10 そして
色々あったがもう金曜だ、早いな
何だかここ最近は都市伝説絡みの出来事が多い
この町に越してきた四月から動いてはいたものの進展は無かった
何だかここ最近は都市伝説絡みの出来事が多い
この町に越してきた四月から動いてはいたものの進展は無かった
四月に人面犬のおっさんとその仲間に出会えたのは良かったが、その後はさっぱりだ
空七の一件も大家さんの一件も「怪奇同盟」の盟主さんに挨拶する件も進展は殆ど無かった
空七の一件も大家さんの一件も「怪奇同盟」の盟主さんに挨拶する件も進展は殆ど無かった
それが九月に入って一気に動き出しそうな気がする
高奈先輩と友達になったことがそれを予感させて仕方がない
不思議な話だ、もしかしたら四月からの行動が今につながっている?
まさかな
高奈先輩と友達になったことがそれを予感させて仕方がない
不思議な話だ、もしかしたら四月からの行動が今につながっている?
まさかな
そして一気にといえば美人さんとの出会いも増えた、気がする
具体的にはやっぱり高奈先輩との出会いだったり「ヒーローズカフェ」の店員さんだったりする
商業の女子に心が砂漠になったときや合コンの数合わせで参加したときの顛末に比べたら凄い進展だ
もしや本当に“ツキ”ってヤツが俺の方向に向き始めたのだろうか
まさかな
具体的にはやっぱり高奈先輩との出会いだったり「ヒーローズカフェ」の店員さんだったりする
商業の女子に心が砂漠になったときや合コンの数合わせで参加したときの顛末に比べたら凄い進展だ
もしや本当に“ツキ”ってヤツが俺の方向に向き始めたのだろうか
まさかな
ただし、だ
今になって一番不安なのはこの後のことだ
良いことが起これば漏れなく悪いことも起こる、という格言がある
実際、最初に高奈先輩と出会えた後日、俺はなんか変なの(組織の変なの)に絡まれてしまった
いやあえらい目にあったぜ、あの夜は
今になって一番不安なのはこの後のことだ
良いことが起これば漏れなく悪いことも起こる、という格言がある
実際、最初に高奈先輩と出会えた後日、俺はなんか変なの(組織の変なの)に絡まれてしまった
いやあえらい目にあったぜ、あの夜は
俺の予感が正しければ、そろそろ悪いことが起きるのではないか
あのなんか変なのに追い回された一件は決して小さい出来事ではないぞ
用心には用心を重ねた方がいいに決まっている、現に今もうっすらと赤マントのニオイがするからな
あのなんか変なのに追い回された一件は決して小さい出来事ではないぞ
用心には用心を重ねた方がいいに決まっている、現に今もうっすらと赤マントのニオイがするからな
そう、赤マントだ
四月頃から学校町内で都市伝説を見ることはあった
何せここは学校町だ、都市伝説を目撃する確率は決して低くない
だが最近は幾らなんでも増え過ぎじゃないか、他の人が目撃しててもおかしくない
四月頃から学校町内で都市伝説を見ることはあった
何せここは学校町だ、都市伝説を目撃する確率は決して低くない
だが最近は幾らなんでも増え過ぎじゃないか、他の人が目撃しててもおかしくない
気になるのは今の時点でニオイを感じるという一点だ
俺の知る限り、徘徊性の都市伝説は日中と人っ気のある場所は避ける
実際この学校町にしても、都市伝説を見る時間帯は圧倒的に夕方と夜が多い
夕方はともかく、日の出ている内に目撃したことはほとんど無かった
じゃあこの赤マント臭は何なんだろうね
俺の知る限り、徘徊性の都市伝説は日中と人っ気のある場所は避ける
実際この学校町にしても、都市伝説を見る時間帯は圧倒的に夕方と夜が多い
夕方はともかく、日の出ている内に目撃したことはほとんど無かった
じゃあこの赤マント臭は何なんだろうね
立ち止まる
今、俺は東区にいる
あのなんか変なのの一件以来、夜間の散歩はしていない
してはいないんだが、東区の散策は下校のついでに続けていた
そして今は夕方だ、つまりもう都市伝説が出没してもおかしくない時間帯だ
あのなんか変なのの一件以来、夜間の散歩はしていない
してはいないんだが、東区の散策は下校のついでに続けていた
そして今は夕方だ、つまりもう都市伝説が出没してもおかしくない時間帯だ
まさか、近くに赤マントがいるのか?
俺は感覚を開いてニオイをよく確認しようとした
俺は感覚を開いてニオイをよく確認しようとした
「助けてくださぁーい!」
悲鳴だ
今のは確かに女の子の悲鳴だ
距離は近いぞ、丁度この近くから聞こえたはずだ
距離は近いぞ、丁度この近くから聞こえたはずだ
直前まで考えていた内容の所為でまさか赤マントが出たのかと疑問がよぎる
いや、そんなことは現場を確認すれば一発で答えが出る
俺の足は既に動いていた
いや、そんなことは現場を確認すれば一発で答えが出る
俺の足は既に動いていた
声の聞こえた場所へ走る
「助けてぇぇー!!」
曲がり角に入ったとき、俺は悲鳴の主を見つけた
恐らく転んだのだろう、道路に倒れて手で顔を覆っていた
おさげロールというべきかドリルな髪が目を引く制服姿の女の子だ
恐らく転んだのだろう、道路に倒れて手で顔を覆っていた
おさげロールというべきかドリルな髪が目を引く制服姿の女の子だ
そして女の子の前にいるのは――赤マントじゃねえか!! 奴らは二体いるぞ
気色悪いことに手をわきわきさせながら、徐々に女の子に対して距離を詰めていた
気色悪いことに手をわきわきさせながら、徐々に女の子に対して距離を詰めていた
迷う理由など全く無い、俺は速歩でこちらに近い方の赤マントに近づいた
奴らがこちらに気づいた気配は無いが当たり前だ、俺は気合で気配を閉じている
奴らがこちらに気づいた気配は無いが当たり前だ、俺は気合で気配を閉じている
夕方とはいえまだお天道様は沈んでないんだ、悪いことができると思うなよこの野郎
「 跪け 」
肩を手で叩くと同時、赤マントの体は膝から地に崩れる
余所見している猶予など無い、崩れた赤マントの脇をすり抜けてもう一体へ間合いを詰める
余所見している猶予など無い、崩れた赤マントの脇をすり抜けてもう一体へ間合いを詰める
後ろから胸ぐらを掴むように手を回すと同時に腰の辺りを装束ごと引っ掴んだ
慌てた様に赤マントは身を捩るが逃がす積りなど無い、引き寄せながら足を払い、そのまま後方へ投げ飛ばした
慌てた様に赤マントは身を捩るが逃がす積りなど無い、引き寄せながら足を払い、そのまま後方へ投げ飛ばした
赤マントの悲鳴を聞いたがそんなものは無視だ
女の子に近寄り、肩に手を掛けて膝裏に手を滑り込ませた
女の子に近寄り、肩に手を掛けて膝裏に手を滑り込ませた
「ひっ、ひィィィっ!?」
「ちょっ、ごめんね! 逃げるよ!!」
「ちょっ、ごめんね! 逃げるよ!!」
女の子をお姫様だっこで抱き上げるとそのまま前方へ疾走
抱き寄せて分かったがこの子は契約者じゃない、普通の一般人だった
ニオイだ、契約者特有のニオイが無い、あと体重軽いな!?
一瞬余計なことが頭をよぎったが、振り払う
抱き寄せて分かったがこの子は契約者じゃない、普通の一般人だった
ニオイだ、契約者特有のニオイが無い、あと体重軽いな!?
一瞬余計なことが頭をよぎったが、振り払う
今は赤マントから逃げるぞ
先程の場所よりも開けた十字路に出た
後ろはどうだ、奴らの気配は――無い、ニオイも無い
後ろはどうだ、奴らの気配は――無い、ニオイも無い
今回も上手く逃げられたんだろう、警戒するに越したことは無いがひとまず安心だ
「あのー……、君、大丈夫? 立てる?」
「……こ、怖かったですの」
「……こ、怖かったですの」
女の子は全身がふるふる震えて涙目になってる
血の気が引いているのを見るに余程怖かったんだろう
血の気が引いているのを見るに余程怖かったんだろう
「立てるかな、よっ」
「きゃひっ、あっ、ご、ごめんなさい! まだ、無理ですのー……」
「きゃひっ、あっ、ご、ごめんなさい! まだ、無理ですのー……」
足からゆっくり下ろしたが膝が凄く震えている、確かに無理だ
「ちょっと待ってね、おぶるから。よっ」
「あう、ご、ごめんなさい!」
「あう、ご、ごめんなさい!」
素早く立ち位置を変えて女の子をおぶった
まさか施設時代の救護実習で学んだ技術がここで活きるとはな
まさか施設時代の救護実習で学んだ技術がここで活きるとはな
「あの、ありがとうございます。あの変な人達に追い掛けられて、怖くて、転んで」
「あ、あー……、そうだったの」
「あ、あー……、そうだったの」
彼女は凄い大声で助けを呼んでいたが、俺以外に人を見なかったな
そもそも都市伝説が徘徊しているときって人の気配がかなり薄くなることが多い
東区は閑静とはいえ一応は住宅街だから悲鳴を聞いて誰かが来てもおかしくないんだが
そもそも都市伝説が徘徊しているときって人の気配がかなり薄くなることが多い
東区は閑静とはいえ一応は住宅街だから悲鳴を聞いて誰かが来てもおかしくないんだが
「あれだよ、ほら! 最近はなんか変質者が多いみたいだから、大通りを通った方がいいよ!」
「うぅぅー、気をつけますの……。でもアルバイトに遅れるからよく近道を通ってましたの……」
「……アルバイト?」
「はい、五時からですの……」
「うぅぅー、気をつけますの……。でもアルバイトに遅れるからよく近道を通ってましたの……」
「……アルバイト?」
「はい、五時からですの……」
五時かー、おぶってるから時計を確認できないけど勘が正しければもうすぐ五時じゃないかな?
「……バイト先まで送ろうか?」
「えっ? あっ、あのっ、すいません! よろしくお願いしますのっ!」
「えっ? あっ、あのっ、すいません! よろしくお願いしますのっ!」
OK、女の子の頼みは引き受けるのが、ほら、男としてなんかアレだ
話を聞けば、バイト先というのが東区のかなり奥の方にある喫茶店らしい
話を聞けば、バイト先というのが東区のかなり奥の方にある喫茶店らしい
「商業高校の方ですの?」
「うん、早渡脩寿って言います、よろしくね」
「私はコトリーと申しますの! 高校一年生ですの!」
「マジかっ!? てっきり中学生だと思ったけど!! てか俺とタメだよ!? 敬語使わなくてもいいよ!?」
「まあそうでしたの!? でも私は普段からこういう話し方ですわ!」
「うん、早渡脩寿って言います、よろしくね」
「私はコトリーと申しますの! 高校一年生ですの!」
「マジかっ!? てっきり中学生だと思ったけど!! てか俺とタメだよ!? 敬語使わなくてもいいよ!?」
「まあそうでしたの!? でも私は普段からこういう話し方ですわ!」
女の子の制服は東区高校のでも東区中学のでも無いので別の区の中学かと思ったぜ
話を聞けば辺湖市新町の高校に通ってるらしい、背丈からして中学生だと判断したが甘かったな
話を聞けば辺湖市新町の高校に通ってるらしい、背丈からして中学生だと判断したが甘かったな
コトリーちゃんは先程よりも大分落ち着いたらしい、素の彼女はかなり朗らかな女の子のようだ
「ちょっと急ぐね」
「あう、お願いしますの!」
「あう、お願いしますの!」
いくら変質者(赤マント)に襲われたとはいえバイトに遅刻はまずいよね
コトリーちゃんを抱え直すと足を速め、東区の奥へと急いだ
コトリーちゃんを抱え直すと足を速め、東区の奥へと急いだ
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