ニーナの事を、上司であるジェラルドに報告した星
…帰ってきた答えは、少々意外なものだった
…帰ってきた答えは、少々意外なものだった
「ニーナの保護を続行?」
『そうだ』
『そうだ』
ニーナの事に関する報告を先延ばしにしていた件については、軽く小言を言われたが
その後に言われたのは…ニーナの保護を続行しろ、ということ
その後に言われたのは…ニーナの保護を続行しろ、ということ
「…一応さ、理由とか、聞いてもいい?」
『かまわない。彼女が置かれている状況は、お前も認識するべきだろう』
『かまわない。彼女が置かれている状況は、お前も認識するべきだろう』
言葉の合間、向こう側からは騒がしい雑音が紛れ込んでくる
どうやら、ずいぶんとバタバタしているようだ
情報が錯綜しているような印象を受ける
どうやら、ずいぶんとバタバタしているようだ
情報が錯綜しているような印象を受ける
『ニーナ・サプスフォード。「教会」の一員であり、エイブラハム傘下「13使徒」の一員だ』
「…とても、ニーナがその一員だとは、考えにくいんだけど」
『我々も、そう思っている』
「…とても、ニーナがその一員だとは、考えにくいんだけど」
『我々も、そう思っている』
きっぱりとした答え
ニーナが聞いていたら、自分はそんなに未熟かと落ち込みそうだが、聞いていないので問題ない
ニーナが聞いていたら、自分はそんなに未熟かと落ち込みそうだが、聞いていないので問題ない
『「13使徒」は、メンバーの入れ替わりが激しい。欠員が出るのはしょっちゅうで、しかし、すぐにその穴を埋めるようにメンバーが補充される……それも、ニーナのような幼い子供が多い。
もっとも、以前話していたヴァレンタイン・ヴァレンタインのような大人も、当然補充要員に選ばれることがあるようだがな』
「うん、それで?」
『ヴァレンタインのように、大人が補充される場合は、たいていは子飼いの下っ端から、実力でのし上がった者だ。ただ、ニーナのような子供は、「13使徒」となるべく教育されてきた者が多い』
「……ニーナが、ねぇ」
共に過ごしている間の、ニーナの様子を思い浮かべる
確かに、時折「おや?」と思うような発言はあったが……やはり、その為に教育されたという印象が薄い
いや、単に、表に出ていなかっただけなのだろうか?
もっとも、以前話していたヴァレンタイン・ヴァレンタインのような大人も、当然補充要員に選ばれることがあるようだがな』
「うん、それで?」
『ヴァレンタインのように、大人が補充される場合は、たいていは子飼いの下っ端から、実力でのし上がった者だ。ただ、ニーナのような子供は、「13使徒」となるべく教育されてきた者が多い』
「……ニーナが、ねぇ」
共に過ごしている間の、ニーナの様子を思い浮かべる
確かに、時折「おや?」と思うような発言はあったが……やはり、その為に教育されたという印象が薄い
いや、単に、表に出ていなかっただけなのだろうか?
『そのような子供達は、親を失ってエイブラハムに保護された……と言う子供が大半だ。ニーナも、その一人だな』
そこだけを、聞けば
エイブラハムは、親を失った子供に、手を差し伸べる善人ととれるかもしれない
だが
エイブラハムは、親を失った子供に、手を差し伸べる善人ととれるかもしれない
だが
『……ただ、そのような子供達の親の死に際に、不審な点が多い』
「都市伝説に殺されたっぽい、とか?」
『当然、都市伝説被害者も含まれている。そうではない者も多いが………それでも、どうにも、おかしい。そのような境遇の子供が、「意図的に」作られて、集められたように感じられる』
「都市伝説に殺されたっぽい、とか?」
『当然、都市伝説被害者も含まれている。そうではない者も多いが………それでも、どうにも、おかしい。そのような境遇の子供が、「意図的に」作られて、集められたように感じられる』
それは、ジェラルドの、長く生き続けたがゆえに、さまざまな者を見てきた故の観によるものかもしれない
…困ったことに、こういう嫌な観に限って、あたるものなのだ
…困ったことに、こういう嫌な観に限って、あたるものなのだ
『エイブラハムが、意図的に子供の保護者を殺害し、優秀な才能を持った者をそろえようとした節がある。そうして集めておきながら、ほぼ、使い捨ての駒のように扱っている』
「そんな最悪の状況の中、生き残ってるのが今の連中。で、ニーナはその一人?」
『あぁ…その中でも、ニーナは少々、特殊なように思える』
「特殊?」
『そうだ…正直な話、ニーナに都市伝説的才能は、ない』
「そんな最悪の状況の中、生き残ってるのが今の連中。で、ニーナはその一人?」
『あぁ…その中でも、ニーナは少々、特殊なように思える』
「特殊?」
『そうだ…正直な話、ニーナに都市伝説的才能は、ない』
これまた、ニーナが聞いていたら落ち込みそうなセリフだ
星は、こっそりと苦笑する
星は、こっそりと苦笑する
『血筋的に、都市伝説との相性はむしろ悪い方だな。よく、飲まれずに済んだものだ』
「…わりと、ギリギリ、って事?」
『そうだ。そのような微妙な存在を…それも、まだ戦闘力も大して高くなく、他に才能があるわけでもないニーナを、エイブラハムが己の下に置いた理由が、わからない』
「…わりと、ギリギリ、って事?」
『そうだ。そのような微妙な存在を…それも、まだ戦闘力も大して高くなく、他に才能があるわけでもないニーナを、エイブラハムが己の下に置いた理由が、わからない』
何かに利用する為なのだろう
それは、事実
だが、それが何なのか、まだつかめていない
ニーナが何に利用されようとしているのかが、わからないのだろう
それは、事実
だが、それが何なのか、まだつかめていない
ニーナが何に利用されようとしているのかが、わからないのだろう
『幸い…と言うべきかどうか。ニーナ・サプスフォードはお前を信頼しきっているようだ。そばに置いて保護をして……なるべく、エイブラハムや「13使徒」と、接触させるべきではないだろう』
「そいつらと接触したら、良くないことが起きる?」
『正直、その可能性が高い。幸い、連中の名前や能力はともかく、姿に関しては情報が入っている。メールで送っておこう』
「うん、わかった」
「そいつらと接触したら、良くないことが起きる?」
『正直、その可能性が高い。幸い、連中の名前や能力はともかく、姿に関しては情報が入っている。メールで送っておこう』
「うん、わかった」
送られてくるメールに添付された画像を確認していく
…何かに映した映像を、さらに携帯の写メ機能で写した物なんだろうか、多少ぼやけてはいるが、それぞれの顔がはっきりと見える
年齢がバラバラの、男女たち
…これが、ニーナの「仲間」
だが、同時に、敵になるであろう存在達
…何かに映した映像を、さらに携帯の写メ機能で写した物なんだろうか、多少ぼやけてはいるが、それぞれの顔がはっきりと見える
年齢がバラバラの、男女たち
…これが、ニーナの「仲間」
だが、同時に、敵になるであろう存在達
『能力の詳細がわかったら、改めて連絡する……注意しておけ。この中には、都市一つ壊滅させられるよな能力者も存在するようだからな』
「…戦わずにすむように、って祈っておくよ」
「…戦わずにすむように、って祈っておくよ」
苦笑して、通話を切った
添付された画像の連中の顔を、はっきりと記憶する
添付された画像の連中の顔を、はっきりと記憶する
…連中を、ニーナと接触させるわけにはいかない
そう、心に誓いながら
そう、心に誓いながら
to be … ?