「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-18

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「だからぁ。あの子ってば、女心がわかってないのよねぇ」

 …秋祭りも近くなってきた日の、うららかな昼下がり
 ホテルのケーキバイキング会場にて、女が二人
 一人は、スーツ姿に眼鏡をかけたキャリアウーマン風の女性
 もう一人は、長い黒髪の、二十代前半と思わしき女性

 ぱくぱくぱくぱく
 主に食べているのは、キャリアウーマン風の女性
 ケーキ一つ一つのサイズはさほど大きくないものの、既に10個以上は食べている

「…あらぁ?どうかしたのぉ?フィラちゃん」
「……あなたまで、その呼び方はやめてくれる?」

 キャリアウーマンの言葉に、フィラと呼ばれた女性は嫌そうに顔をゆがめた
 御免なさいねぇ?とキャリアウーマンはくすくすと微笑む
 ふわり、キャリアウーマンの傍に浮いている…他の客には見えていないであろう、頭だけの少女の幽霊が、おろおろと申し訳なさそうな表情で、フィラと呼ばれた女性…「フィラデルフィア計画」の契約者を見つめている

「それよりも、いいの?」
「何がぁ?」
「…決戦が近いって言うのに、こんな事してて」

 …夢の国との決戦は、秋祭り
 それまで、あともう少し
 なのに、この二人はのんびりケーキバイキング中

「大丈夫よぉ。私たちってば、戦闘向きじゃないしぃ」
「…………」

 じ、と
 どこが?というように、見つめられ、キャリアウーマンはくすくす、笑う

「私とこの子の能力ってば、下準備が必要なのよぅ。それに、お洋服を着てる相手じゃないと駄目だしぃ…さらに言うと、洋服をハンガーにかけて壁際にかけてなきゃ駄目だからぁ」

 しゅんとしている生首の幽霊…ハンガーの生首
 それの頭を、キャリアウーマンはよしよし、撫でてやっている
 ……キャリアウーマンの言うとおり、ハンガーの生首の能力には制限が多い
 壁際に、ハンガーにかけられた服…そこに、彼女の生首が出現し、それを見た相手が、彼女が出現した服を着る
 …何とも、制限が多い
 一応、契約により壁際じゃなくても、ある程度よくなったけど
 ただし、発動すれば強力なもの
 ある意味で戦闘向きだが、ある意味で制限のせいで戦闘向きではない
 何とも、不便なのである

「ほらぁ、『夢の国』の主戦力って、マスコットとか黒いパレードでしょぉ?…服とか、どうしろってのよぉ」
「さらに言うと、住処が定まっていないのに、服を壁際のハンガーにかけているとは思えない?」
「そう言う事ぉ」

 あむ、と
 キャリアウーマンは、またケーキにぱくつく
 甘さを味わう様子は、幸せそうだ

「だからぁ。同胞への連絡終えちゃったら、ほぼ、やる事がないのよねぇ……あ、あなたは、まだ結構忙しかったかしらぁ?」
「まぁ、私は能力が必要とされたら呼び出されるだろうし…今は呼ばれてないから、いいんだけど」

 …ここのケーキバイキングの代金は、このキャリアウーマンのおごりだし
 それを思い出して、フィラデルフィア計画の女性も、取ってきていたケーキに食いつく
 うん、せめて元は取らないと

「決戦の時、あなたはどうするの?」
「将門様のお傍にいるわぁ」

 何気なく尋ねたフィラデルフィア計画の質問に、キャリアウーマンはあっさりとそう答えた
 その答えに、フィラデルフィア計画の女性は、小さく首をかしげる

 将門の傍にいる、という事は…すなわち、戦いの場に出るという事
 …戦闘向きではない、と、自分で、そう言っていた癖に
 わざわざ、戦いの場にでる?

 …くすくすくす
 キャリアウーマンは、どこか妖艶に、微笑む

「…せめて、将門様の盾になるくらいは、できるかもしれないでしょぉ?」
「いざとなったら、将門様のために、死ぬと?」
「そう言う事ぉ」

 女二人、ケーキを食べながらの会話にしては、何とも物騒 
 しかし、キャリアウーマンは、まるでそれが当たり前のことのように
 くすくす、笑いながら言うのだ

「私、死ぬ時は将門様のお傍で、って決めてるからぁ」

 それは、強い忠誠心と
 恋慕に似た、思いゆえ
 それゆえに、彼女は将門に全てを捧げている

 ……自分と同じように、都市伝説と契約していた同僚は、「組織」に消された
 あまりにも目立って人を殺してしまったし…私利私欲で、快楽的に人を殺すようになってしまっていたから、それは仕方ない事だったのだろう
 しかし、彼女はそれを割り切る事ができずに
 「組織」に対し、恨みのような、しかし、どこかぼんやりとした感情を抱いていた
 そんな彼女を拾ったのは、将門だ

『来るが良い。あの「組織」を嫌うならば、我の下に来い……我の復讐を、手伝うがいい』

 その圧倒的な存在感と、力に
 一瞬で、魅了された

 そして、誓ったのだ
 自分は、将門様のために生きよう
 将門様の為に死のう

 …それが、自分の人生の目標なのだ


「私にとって、「首塚」の組織は家族みたいなものだしぃ。少しはお役に立たなきゃねぇ」

 くすくす、キャリアウーマンは笑う
 フィラデルフィア計画は、それにどう答えたらいいのかわからないのか、曖昧な表情を浮かべつつ…ケーキに手を伸ばす


 「首塚」組織の女が二人
 秋祭りの決戦に向けて、ホテルのケーキバイキング会場にて、鋭気を養っているのだった



 終
















おまけ


(…そうよ、「首塚」の組織は…私にとって、家族みたいなものよ)

 将門様に、今、目の前にいる「フィラデルフィア計画」
 「幸運の眉毛コアラ」少年、「日焼けマシンで人間ステーキ」のチャラけた青年、技の「厨2病」
 「死人部隊」の中年に、「一年生になったら」の子供
 あとは、え~と…誰がいたっけ?
 とりあえず、家族なのである

 …そう、それに…

(…毎度毎度、チャラ男は美味しい子だわぁ。子供に優しいからショタとの組み合わせもいけるしぃ、技の「厨2病」や将門様相手限定だったら、受けでもいいかしらぁ?…でも、本命はやっぱり黒服よねぇ。敵味方同士の組織所属というシチュエーションだし、明らかにあの子は黒服を意識しまくってるしぃ………それにあの黒服さん、美味しい事に最近女体化もしてたみたいだしねぇ…残念ながら元に戻ったみたいだけど………ふふふふふふふふ、いいわ、萌えだわ!!「首塚」組織は萌えの宝庫!!本当素晴らしいわぁ。次のイベントはチャラ男×黒服で、黒服女体化中のネタ!!!)

 ッカ!!!と
 一瞬で、妄想を膨らませたキャリアウーマン…否、貴腐人
 己の契約者の邪で腐な妄想を感じ取り、ハンガーの生首はびびくん!!と怯えたのだった



 今度こそ終わっちまえ





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