学校町がにわかに騒がしくなった、その日
その病院は夕方以降、やけに忙しくなっていた
……怪我やら何やらで運ばれてくる患者が、やけに多いのだ
凍傷を起こしている患者が、ずいぶんと目立つ気がする
その病院は夕方以降、やけに忙しくなっていた
……怪我やら何やらで運ばれてくる患者が、やけに多いのだ
凍傷を起こしている患者が、ずいぶんと目立つ気がする
「確かに、今日は寒いけどなぁ…?」
その病院に勤めている一人の看護師は、入院病棟を見回りつつ、首をかしげた
傾げた拍子に、ゴキッ、と音が鳴る……どうやら、疲れているようだ
どうにも、この学校町では時折、こうやってやけに患者が多い日があるような気がする
傾げた拍子に、ゴキッ、と音が鳴る……どうやら、疲れているようだ
どうにも、この学校町では時折、こうやってやけに患者が多い日があるような気がする
「…平和に見えるけどなぁ」
ちらり、窓の外を見る
大分暗くなってきた町並み
はらはらと、雪が降り続けている
大分暗くなってきた町並み
はらはらと、雪が降り続けている
彼には見えない
町中を徘徊する、凍れる悪魔達の姿が
彼には見えない
町中いたるところで繰り広げられている、戦いが
町中を徘徊する、凍れる悪魔達の姿が
彼には見えない
町中いたるところで繰り広げられている、戦いが
契約者でもなく、人ならざる存在とも縁のない彼には、わからない
この学校町が巻き込まれようとしている事態も、世界の真実も
この学校町が巻き込まれようとしている事態も、世界の真実も
かつん、かつん、と、足音を響かせ、病棟を見回り続ける
……そろそろ、より静かな病棟へと入っていく
確か、意識不明の患者が多いエリアだ
いつ容態が急変するかわからない患者も多い
一人一人、しっかり確認していかないと…
……そろそろ、より静かな病棟へと入っていく
確か、意識不明の患者が多いエリアだ
いつ容態が急変するかわからない患者も多い
一人一人、しっかり確認していかないと…
………と
前方から、人影
おや?と思ったが、見れば自分と同じく白衣を着用していた
なんだ、同僚か…と、彼は小さく会釈してすれ違った
相手も小さく会釈を返してきて、そのまますれ違う
前方から、人影
おや?と思ったが、見れば自分と同じく白衣を着用していた
なんだ、同僚か…と、彼は小さく会釈してすれ違った
相手も小さく会釈を返してきて、そのまますれ違う
(………あれ?)
……若干の、違和感
先ほどの相手………同僚で、あんな奴は、いたか?
あんな、男か女かはっきりしない外見の奴なんて、いなかったような
それに、あの身に着けていた白衣、なんだか不自然だったような……
先ほどの相手………同僚で、あんな奴は、いたか?
あんな、男か女かはっきりしない外見の奴なんて、いなかったような
それに、あの身に着けていた白衣、なんだか不自然だったような……
…すれ違った相手が、二日前病院に運ばれてきて、以来、意識不明のままだったはずの患者である事実に気付いたのは
彼が、その人物の病棟がもぬけの殻になっている現場を見た、その瞬間だった
彼が、その人物の病棟がもぬけの殻になっている現場を見た、その瞬間だった
「ったく、寝込んでる暇なんてなかったってのによ」
ぱさり
白衣を脱ぎ捨てた樹
体に巻かれていた包帯も、邪魔な分は全て取り払っている
白衣を脱ぎ捨てた樹
体に巻かれていた包帯も、邪魔な分は全て取り払っている
…もう、体に問題はない
十二分に、戦える
十二分に、戦える
「どうして、誰も気づいてないんだか」
町中を、氷のオブジェが動き回る
他にも、どうにもよくない気配を指せている者がいる
他にも、どうにもよくない気配を指せている者がいる
「どうせ、馬鹿弟子共も巻き込まれていそうだからな」
…自分から、首を突っ込みそうなのも、いるし
「師匠が寝てる訳にゃ、いかねぇだろうがよ」
弟子が戦っている間、師匠が何もしないわけにはいかないだろう
さて、まず戦うべきは、倒すべき相手は誰だ?
最終目標はエイブラハム・ヴィシャスとして
まずは、目に入った相手から倒していこうか
さて、まず戦うべきは、倒すべき相手は誰だ?
最終目標はエイブラハム・ヴィシャスとして
まずは、目に入った相手から倒していこうか
「………後で、丁にも謝らねぇと駄目だしな」
雪が舞う中、決して、万全ではないはずの体調で
樹は、戦いの場へと、自ら躍り出た
樹は、戦いの場へと、自ら躍り出た
to be … ?