空へと登っていくような、雷
明らかに自然現象ではないそれ
明らかに自然現象ではないそれ
それを、見た瞬間
カインは、酷く嫌な予感を感じた
カインは、酷く嫌な予感を感じた
具体的に何が起きようとしているか、わかる訳ではない
ただ……漠然と感じる、不安
ただ……漠然と感じる、不安
ちゃり、と首元でロザリオが小さく音を立てた
……唯一の家族だった姉の形見である、そのロザリオが
カインは、表に溢れ出しそうになる不安を抑え込むように、そのロザリオを握りしめた
傍には、悠司がいるのだ
大人である自分が、この状況で不安を出す訳にはいかない
自分が、しっかりしなければ
カインは、そう自分に言い聞かせた
……唯一の家族だった姉の形見である、そのロザリオが
カインは、表に溢れ出しそうになる不安を抑え込むように、そのロザリオを握りしめた
傍には、悠司がいるのだ
大人である自分が、この状況で不安を出す訳にはいかない
自分が、しっかりしなければ
カインは、そう自分に言い聞かせた
「悠司」
「あ、は、はい」
「お前は、カラミティに頼まれて、俺を護ろうとしてくれているんだな?」
「あ、は、はい」
「お前は、カラミティに頼まれて、俺を護ろうとしてくれているんだな?」
はい、と頷いてきた悠司
…嘘を言ってはいないだろう
悠司の周りに、カインにとっても顔なじみである悪魔がいるのが何よりの証拠だし、悠司にはそんな嘘をつく必要性もない
…嘘を言ってはいないだろう
悠司の周りに、カインにとっても顔なじみである悪魔がいるのが何よりの証拠だし、悠司にはそんな嘘をつく必要性もない
「そうか…なら、悠司。申し訳ないが…俺は、あの雷の発生した場所に、向かおうと思う」
「あの場所に、ですか?」
「……正直、危険だと思うよ」
「あの場所に、ですか?」
「……正直、危険だと思うよ」
ストラスが、苦言を呈するように言ってきた
それは、カインとてわかっている
…だが、それでも
その危険を冒してでも、あの場に向わなくてはならない
そんな気がするのだ
それは、カインとてわかっている
…だが、それでも
その危険を冒してでも、あの場に向わなくてはならない
そんな気がするのだ
「…わかっている。だが、どうやら町全体が危険な状態らしいしな…それなら、どこにいても同じじゃないか?」
「まぁ、そうとも言うけどね」
「まぁ、そうとも言うけどね」
小柄なフクロウの姿で、肩をすくめるストラス
悠司は、えぇと……と、考え込んでいるような表情を浮かべている
悠司は、えぇと……と、考え込んでいるような表情を浮かべている
「あの…それなら、せめて、この倒れている人を、僕の知り合いの人に頼んで、どこかに運んでもらいますから……そこに連絡し終えるまで、待っていてもらえますか?」
「あぁ、わかった」
「あぁ、わかった」
カインが頷くと、悠司はすみません、と少しカインと距離を取って、携帯電話を取り出した
どうしよう
悠司は真剣に悩む
「教会」関係者を保護しろと言われているので、とりあえず、倒れているグザファン契約者は「組織」に引き渡さなければなるまい
…ただ
そうなると、カインの事がバレてしまうかもしれない
悠司は真剣に悩む
「教会」関係者を保護しろと言われているので、とりあえず、倒れているグザファン契約者は「組織」に引き渡さなければなるまい
…ただ
そうなると、カインの事がバレてしまうかもしれない
『とにかく、カインさんの事は伏せて、連絡するしかないでしょうね』
「う、うん、そうだね、タマモ…でも、あの人を引き渡すとなると、僕もこの場にいないと…」
『ちょっとー、どうにかならないの?悪魔達ー』
「う、うん、そうだね、タマモ…でも、あの人を引き渡すとなると、僕もこの場にいないと…」
『ちょっとー、どうにかならないの?悪魔達ー』
ミズキのその言葉に、ふむ、とアガレスが(カインに会話がばれないように火)テレパシーで伝えてくる
『一応、儂らは悪魔じゃから、変身くらいはできるがの』
「まだ呼んでない誰かに、召喚者に変身してもらえばいいんじゃないかな」
「まだ呼んでない誰かに、召喚者に変身してもらえばいいんじゃないかな」
ストラスも続けてそう言ってきた
…確かに、そうするしかないだろう
悠司は独りしかないのだ
カインを守りつつ「組織」の仕事をこなすなどできない
ならば……誰かに、変わってもらうしかない
それも、「組織」にバレないようにしながら…
…確かに、そうするしかないだろう
悠司は独りしかないのだ
カインを守りつつ「組織」の仕事をこなすなどできない
ならば……誰かに、変わってもらうしかない
それも、「組織」にバレないようにしながら…
「え、えぇと、それじゃあ…まだ呼んでないのは…」
『ヴァッサゴと、オリアス候じゃが……オリアス候に、契約者の演技をしてもらうのは無理じゃな』
「無理だね」
「無理だにゃ」
『ヴァッサゴと、オリアス候じゃが……オリアス候に、契約者の演技をしてもらうのは無理じゃな』
「無理だね」
「無理だにゃ」
まさかの悪魔三体からの全否定
……どれだけ演技が苦手なのだろう、そのオリアスと言う悪魔は
……どれだけ演技が苦手なのだろう、そのオリアスと言う悪魔は
『でもよ、カインにバレずに呼び出せるのか?』
『ヴァッサゴは、儂の弟のようなもんじゃからの。儂が話をつけて、こっそり呼んでおくよ』
『ヴァッサゴは、儂の弟のようなもんじゃからの。儂が話をつけて、こっそり呼んでおくよ』
それくらいはできる、とでも言うように、少年の顔で笑うアガレス
すみません、と悠司はこっそりと苦笑した
すみません、と悠司はこっそりと苦笑した
『それでは、ヴァッサゴと言う悪魔に、主様に代わってもらうと言うことで……主』
「うん、黒服さんに連絡するよ」
「うん、黒服さんに連絡するよ」
と、悠司は携帯電話の操作を始めた
……その背後で、カインが不安げに雷が天に上った方向を見つめている事に、気づかないまま
to be … ?