「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 我が願いに踊れ贄共・彼は閃光のごとく-08f

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匿名ユーザー

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「………以上が、エイブラハム・ヴィシャスの所持している能力だ」

 安全地点へ移動した後
 ロリスはローゼとレクイエムに、エイブラハム・ヴィシャスが所持している能力について説明していた
 …もっとも、あくまでもロリスが把握できた範囲のものだけである
 一部は、推察交じりの情報であることを先に断ってから説明しておいた

 その説明を聞いていたローゼとレクイエムは、やや難しい表情をする

「…これはまた、厄介な能力だな」
「どれだけダメージを受けても、死ぬことがありませんのね」
「……現状、な」

 ふむ、と考え込んでいるレクイエム
 己の能力でエイブラハムに対抗できるか、考えているらしい

「そちらの推察によれば、治癒能力を、そのエイブラハムとかいう男に使えば…」
「…治癒を行使しようと相手が勘付いたならば、その瞬間にその効果を「ちぐはぐ」にされるだろうな」

 ロリスの言葉に、む、とレクイエムは眉をひそめた
 …レクイエムの治癒能力ならば、相手に気付かれずに行使する事とて可能だ

 ………が

「あの……」
「うん?」

 恐る恐る、と言った様子で、ロリスの傍らに座っていたチェリーが、レクイエムに声をかける

「その、あの……今回、学校町のあちらこちらに…エイブラハム様達が放った彼らの子飼いが、徘徊をしていますから…」
「それなら、私達もわかっていますが…」
「……その中には、先ほど我々を追いかけてきた奴らのような偵察用の能力を持つ者も、いる」

 ………
 …………
 ……………

「…あ、なるほど。レクイエムちゃんが、ロリスさんを治癒しているところを見た人がいるかもしれない、そういう事ですのね?」
「………あ」

 その通りである
 あの現場を、誰かに見られていなかったと言う保証はない
 そして、それがすでに報告されている可能性とて十二分にある

「…ゲルトラウデが管理している子飼いはともかく、メルセデスが管理している子飼いがそのような偵察や監視任務についている者が多い」
「……またあの男か」

 溢れ出す殺気
 何かもう、色々と抑えきれない殺気が溢れ出している

「断言はできないが、すでにエイブラハムまで報告されている可能性はある。気を付けたほうがいい」
「むぅ……困りましたわね~」

 報告されていない可能性、も、ある
 レクイエムの治癒能力を、エイブラハム相手に行使する
 試してみる価値はあるだろう
 …もっとも、その結果を「ちぐはぐ」にされた場合、どういう効果が出るのか
 問題は、そこだが

 エイブラハムの、物事をちぐはぐにする能力
 それは、果たして「どこまでちぐはぐにできるのか
 そこまでは、まだはっきりとわかっていないのだ

「…他にも、相手に気付かれくく治癒能力を発動できる人員を集めたほうが良いのかもしれないな…」
「う~ん…でも、治癒能力持ちの子は、前線に出られるだけの戦闘能力を持っていない子も多いですし~…」
「そちらに、相手に気付かれないように治癒能力を行使できるものは?」

 レクイエムに尋ねられ…
 ロリスとチェリーは、顔を見合わせた

 ……沈黙が下りる

「…すぐにこちらに呼び出せるような人員の中にはいない、な」
「あ、相手がその………じょ、女性で、なおかつ身ごもっている方でしたら、私が治癒できますが…」
「むぅ……」

 …「教会」からの増援は望めない
 そういう事か

「あの、ガブリエル様に連絡をすれば、時間はかかりますが…」
「…何もしないよりはマシですわね。お願いできます?」
「は、はい」

 こくりと頷き、チェリーは小さな端末を取り出し、どこかへと連絡を始める
 …相手を倒す方法は、わかった
 だが、問題は、それを実行できるかどうか…否、相手が実行させてくれるかどうかだ

「ローゼ、我々はこれからどうする?」
「そうですわね…」

 ……一度、「組織」に連絡すべきか
 ローゼがそれを提案しようとした、瞬間


 小さく、地面が揺れると同時
 ドォン!!と言う、爆音のような音が、響いて


 驚いた彼女達が、音の方角に視線を向けると
 まるで、地面から湧き出したかのような大量の水…いや、遠目にもかすかに湯気が見える辺りを見ると、熱湯か?
 とにかく、それが天に届くまでの勢いで湧き出している様子が、はっきりと見えて

 ---その中に
 人影が飲み込まれたように、見えたのだった










to be … ?





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