普段ならば、避けられていたはずの攻撃
しかし、生まれてしまった致命的な隙故に、その攻撃を避けられなかった
放たれた、大量の骨と化石
それを、イザークは避けきれず
しかし、生まれてしまった致命的な隙故に、その攻撃を避けられなかった
放たれた、大量の骨と化石
それを、イザークは避けきれず
「----ッガ!?」
後頭部に、やや大きめの化石が直撃した
ぐらり、意識がかすむ
ぐらり、意識がかすむ
「……ジョル、ディ」
薄らぐ視界の中
ジョルディが、こちらを見ているのが、見えて
ジョルディが、こちらを見ているのが、見えて
「………すまない……また、護れな、い」
伸ばした手は、かつてと同じように届かずに
イザークの意識は、そこで闇へと落ちた
イザークの意識は、そこで闇へと落ちた
イザークが意識を失い、倒れていった、その様子を
ジョルディは、はっきりと、見ていて
その手元に、巨大な刃が生まれた
ジョルディは、はっきりと、見ていて
その手元に、巨大な刃が生まれた
「っ!」
攻撃が、飛んでくるか
すぐに避けられるよう、構えたエーテルだったが
すぐに避けられるよう、構えたエーテルだったが
----ガキィン!!
「……え」
ジョルディが剣を振り下ろしたのは、己の足元
エーテルが放った冷凍光線で凍りついて行っていた足元だ
自らの動きを束縛しようとする氷を、ジョルディは叩き割ったのだ
エーテルが放った冷凍光線で凍りついて行っていた足元だ
自らの動きを束縛しようとする氷を、ジョルディは叩き割ったのだ
「-------イザーク!」
そして
ジョルディは、先ほどまで戦っていた相手であるエーテルになど、見向きもせずに
まっすぐに、イザークに向かって飛んで行った
大量の骨と化石に押しつぶされているイザーク
その邪魔な物を、獲物の一振りで薙ぎ払う
ジョルディは、先ほどまで戦っていた相手であるエーテルになど、見向きもせずに
まっすぐに、イザークに向かって飛んで行った
大量の骨と化石に押しつぶされているイザーク
その邪魔な物を、獲物の一振りで薙ぎ払う
「イザーク………イザーク、イザークっ!」
気を失っているイザーク
その体を抱き起し、必死に呼びかけている、その様子は…どうやら、バーサークがとけて、正気に戻っているようだった
その体を抱き起し、必死に呼びかけている、その様子は…どうやら、バーサークがとけて、正気に戻っているようだった
エーテルは、ほっと息を吐く
……何とか、殺さずにすんだ
その事実に、安堵する
……何とか、殺さずにすんだ
その事実に、安堵する
「怪我はないか?」
「あ、はい…」
「あ、はい…」
真に駆け寄り、その状態を確認するエーテル
……バイクがむーざん無残な事になってしまっているが、まぁ、それは今は放置しよう
後で、「組織」に申請すれば、戦闘中に発生した損害と言うことで修理してもらえる、もしくは買いなおせるだけの金を受け取れる事くらいは説明してあげたほうがいいかもしれないが
……バイクがむーざん無残な事になってしまっているが、まぁ、それは今は放置しよう
後で、「組織」に申請すれば、戦闘中に発生した損害と言うことで修理してもらえる、もしくは買いなおせるだけの金を受け取れる事くらいは説明してあげたほうがいいかもしれないが
……あの、ジョルディの様子から、見て
もう、戦意はあるまい
もう、戦意はあるまい
「これで、こっちの話を聞いてくれるといいんですが…」
「…あぁ…………まぁ、その為にも」
「…あぁ…………まぁ、その為にも」
ちらり、と
エーテルが視線を向けたのは………真の、後方
エーテルが視線を向けたのは………真の、後方
そこにいる人物の、隠しきれていない気配に、エーテルは戦闘中から気づいていた
「あの二人を監視しているのであろう存在を、何とかしないとな」
「えっ?」
「えっ?」
きょとん、とする真
そして、エーテルの言葉が聞こえていたのだろう、ジョルディがびくり、と怯えたように体を震わせた
そして、エーテルの言葉が聞こえていたのだろう、ジョルディがびくり、と怯えたように体を震わせた
「あら?気づかれていたのかしら?」
その声の主にも、聞こえていたのだろう
ふわり、それは姿を現した
ふわり、それは姿を現した
「さすがかしら。さすがは、「組織」上層部かしら」
現れたのは、少女
まるで、道化のような装束を身にまとった西洋風の容姿の少女だった
目深にかぶった帽子のせいで表情ははっきりとわからないが、口元を見る限りだと笑っているようだ
なかなか、流暢な日本語だ………若干、語尾がおかしいが
まるで、道化のような装束を身にまとった西洋風の容姿の少女だった
目深にかぶった帽子のせいで表情ははっきりとわからないが、口元を見る限りだと笑っているようだ
なかなか、流暢な日本語だ………若干、語尾がおかしいが
「ぁ……」
「「十三使徒」ともあろうものが、無様かしら。でもまぁ、仕方ないかしら」
「「十三使徒」ともあろうものが、無様かしら。でもまぁ、仕方ないかしら」
くすくす、少女は笑っている
嘲笑っているようなその様子に、真は警戒態勢を取る
嘲笑っているようなその様子に、真は警戒態勢を取る
「…お前が、あの二人を無理矢理戦わせていたのか!?」
「違うかしら。私は、ただあの二人を監視していただけかしら」
「違うかしら。私は、ただあの二人を監視していただけかしら」
真の問いかけに、少女はあっさりと答える
向けられる敵意におびえた様子もなく、くすくすと笑い続けている少女に、エーテルは問いかける
向けられる敵意におびえた様子もなく、くすくすと笑い続けている少女に、エーテルは問いかける
「監視…だけでは、ないだろう?」
「その通りかしら。二人が敗北したり、エイブラハム様を裏切る様子があったら、報告するよう言われていたかしら」
「………っ」
「その通りかしら。二人が敗北したり、エイブラハム様を裏切る様子があったら、報告するよう言われていたかしら」
「………っ」
少女の答えに、ジョルディがますます怯える
気絶しているイザークの体を護ろうとするように、抱え込んで
気絶しているイザークの体を護ろうとするように、抱え込んで
……くすくすと
少女は、笑う
少女は、笑う
「…でも。私が信じているのは、エイブラハムじゃなくて、メルセデス様かしら」
「………?」
「ジョルディ・ムダーラ。メルセデス様の命令かしら、あなた達を見逃してあげるかしら!」
「………?」
「ジョルディ・ムダーラ。メルセデス様の命令かしら、あなた達を見逃してあげるかしら!」
あっさりと、そう告げた少女
その言葉に、ジョルディが驚いた表情を浮かべた
その言葉に、ジョルディが驚いた表情を浮かべた
「どういう事だ?」
「言葉通りの意味かしら。メルセデス様からは、あの二人を見逃せと命令されているかしら!」
「言葉通りの意味かしら。メルセデス様からは、あの二人を見逃せと命令されているかしら!」
……どういう事だ?
エーテルは、判断に悩む
メルセデスに関しては、すでにある程度報告が来ている
…だが
それらの報告などで判断すると、彼がそんな命令をするようには、思えなかったのだ
もし、そのような命令を下したのが、真実だったとしても………その裏に、どんな思惑が絡んでいるのか
見極めが、やや、難しい
もっと情報を聞き出さなければ
エーテルは、判断に悩む
メルセデスに関しては、すでにある程度報告が来ている
…だが
それらの報告などで判断すると、彼がそんな命令をするようには、思えなかったのだ
もし、そのような命令を下したのが、真実だったとしても………その裏に、どんな思惑が絡んでいるのか
見極めが、やや、難しい
もっと情報を聞き出さなければ
「それじゃ、告げるべき事は告げたかしら。私はここでおさらばかしら」
「っ、待て!?」
「っ、待て!?」
エーテルの言葉に、真が少女を捕まえようと動いた
が…………っふ、と
少女の姿が、掻き消える
が…………っふ、と
少女の姿が、掻き消える
「っ幻!?」
『ローズは幻と情報のエキスパート「ニバス」の契約者かしら!つかまったりなんてしないかしら!』
『ローズは幻と情報のエキスパート「ニバス」の契約者かしら!つかまったりなんてしないかしら!』
っふ、と
少女が姿を現したのは……ジョルディとイザークの、目前
怯えた様子を見せて……しかし、イザークを護ろうとする体制のままのジョルディに、少女は笑って
少女が姿を現したのは……ジョルディとイザークの、目前
怯えた様子を見せて……しかし、イザークを護ろうとする体制のままのジョルディに、少女は笑って
「…あなたも、ローズと同じでメルセデス様から渡されているはずかしら。生き延びたかったら、それをうまく使いこなして見せるかしら」
、ニタリ、道化装束の少女は、笑って
まるで最初からそこにいなかったかのように、っふ、と姿を消したのだった
まるで最初からそこにいなかったかのように、っふ、と姿を消したのだった
to be … ?