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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 女装少年と愉快な都市伝説-01

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秋祭り2日目~夕方1


「…はぁ」

思わず、深い溜め息をつく。 何にか? 勿論、今自分が陥っている状況にだ。
"周囲を武装したグー○ィーと無数の黒服たちに取り囲まれている"。 な、何を言ってるのか(ry。
そんな下らないボケをセルフでかましている内に、剣を構えたグ○フィーがこちらに突っ込んできた。
ズドン!! という盛大な踏み込みの音、そのスピード、更にはその余波によって吹き荒れる風。
全ては、そのグーフ○ーがただの着ぐるみではないということを、雄弁に物語っていた。
だが。
向こうがただの着ぐるみでないというのなら。
―――こっちは、普通の人間(ヒト)ではない。

「…っ、よっ…と」

着ぐるみにあるまじき速度で繰り出された斬撃を、紙一重の差でかわす。
唸る剣に引き裂かれた空気がこっちの肌を痛めつけるが、それだけだ。
黒服たちはまだ動かない。逃げ出さないよう防いでいるのか、それともグーフィ○一体が勝負をつけるつもりなのか。
必殺の斬撃をかわされた○ーフィーはこちらへの警戒を強めたようで、ほぼ棒立ちだった先程までとは違い、その手に持った剣と盾を構えている。
それと同時に黒服たちにも動きがあった。 いつでも飛びかかれる体勢へと移行し、その圧倒的な数で以て文字通りこちらを"圧倒"しようとする。

「……はぁー」

また溜め息を一つ。 ○ーフィーだけならなんとか逃げ切れもしたかもしれないが、黒服が加わるとなるともう無理だ。
数のせいで逃げ場がない。 となれば、もう能力(ちから)を使うしかないだろう。
―――人間(ヒト)にあらざるそのチカラ。
―――今向かい合っている敵と同じ、都市伝説のチカラを。

自らの都市伝説を発動させる前に、最後の確認を行う。 これまでに経験した戦いの中で、癖になってしまった確認を。

「―――嘆願一。 武器を捨てて、退いて貰えませんか?」

返事はない。 ただ、殺気が満ちていく。

「―――忠告二。 武器を捨てて、早く退きなさい」

返事はない。 辺りに、殺気が充満した。

「―――命令三。 武器を捨てて、さっさと退け」

返事の代わりに、アスファルトを踏みしめる、ザリザリという音が重なった。

「―――宣告四。 いい度胸だ……さっさと死ね」

その瞬間。
地を揺るがすドン!! という轟音と共に、人外たちの戦いが始まった。



グーフィ○は、その少年のことを侮っていた。 確かにこの町には強大な契約者が多い。
だがたった一人で、契約した都市伝説すらその側に従えていないその少年をそこまでの脅威だとは到底思えなかったし、しかも対峙するのは自分だけではない。
夢の国の象徴(マスコット)の一体である自分ほどでなくても、黒服たちはそれなりに強い―――並みの契約者ならば、その数の前に呑み込まれてしまう程度には。
だから、真正面から突撃した。 この程度の相手、すぐさま取り込んでみせるとでもいうように。

…結論から言うとするならば、それがグーフ○ーの命取りとなった。

真正面から突っ込んだグ○フィーには、少年が何かを呟いた瞬間に現れた巨大な鉄の塊を避けることが出来なかった。
その鉄の塊はグー○ィーの剣をへし折り、盾をへしゃげさせても止まることはなく、その身体を数十メートルも吹き飛ばす。
無様に地面に叩きつけられそれでも何とか身体を起こしたグーフ○ーの眼に、しかし少年の姿は映らない。
グーフィ○に出来たのは自分を覆った影を感じ、振り向くことのみ。
―――次の瞬間。

ズドン!! という轟音と共に降り下ろされた巨大な鉄塊に、○ーフィーの身体は潰され、粉微塵となって消えた。



「…はぁ」

溜め息。 同居人には「幸せが逃げますよ?」と散々たしなめられているのだが、こればかりは直らない。
何に対しての溜め息か? …当然、さっきの戦闘に対してのだ。 祭りに参加するため、自分+同居人二名は南地区へと向かっていたのだが、途中で財布を忘れたことに気付き、ちゃっかりと準備万端だった同居人たちを残して自宅であるマンションに帰ってきた。 
それだけならよかったのだが、再度祭り会場を目指す途中で《夢の国》の黒服部隊+グー○ィーと首なしのバイクマン&バールっぽいものを装備した女の子との戦いに遭遇し、そのバイクマンたちが逃げ去った後にコソコソとやり過ごそうとしているところを黒服の一人に発見され、その結果として(心の底から不本意ながら)戦闘が始まった。
…のだが、その戦闘自体は既に終わっている。 油断していた○ーフィーに不意討ち気味のカウンターを喰らわせ、さらに高速かつ高威力の追撃を行うことで速攻撃破。
残りの黒服たちは適当に整地用ローラーで薙ぎ払いつつ、全速力で離脱し撒いた。
グ○フィーが油断していなかったらもっと苦戦していただろうが、それでも敗けはしなかったと断言出来る。
しかし、一月ほど前にこの町に引っ越してきて以来、「のんびりまったり平和に暮らす!」という目標のもとに「都市伝説? ハ、何ですかソレ? 美味しいの?」という態度で生活していたのが、これでもうパァだろう。
夢の国にはもう捕捉されただろうし、その他の組織に身元がバレるのもおそらく、時間の問題。
となれば。

「とりあえず、合流しますか…」

まずは今頃祭りを楽しんでいるだろう、同居人たちを回収して、襲撃に備えよう。 後のことは、彼女らと相談して決めればいい。
手札は三つ。 幸いにして、こっちの都市伝説《ジェットばあさん》のスピードはかなりのものだ。 
人の身でありながら100キロ近くの速度を叩き出し、さらに高速のホッピングを可能とする上攻撃用の鎌を造り出すことも出来るその能力ならば、黒服くらいからなら簡単に逃げられる。
さらに高い汎用性を誇る《地震発生装置》に重量たっぷりの整地用ローラーを出現させる《重いコンダラ》の二つも合わせれば、物理的な戦闘力ならば相当なものになる。
マスコット連中とやりあっても、易々と敗けはしないはずだ。
…物理的な能力に特化している分その穴もあるのだが、夢の国の能力が噂に聞く限りなら何とか大丈夫だろう。

「……はぁ」

また溜め息が漏れる。 脳裏に浮かんでいるのは、ほんの少し未来の映像(ビジョン)。
楽しみにしていた祭りを邪魔された同居人たちはきっと、その恨み辛みをこっちにぶつけてくるだろう。
何らかの埋め合わせを要求される可能性もある。
自分のせいでないのにその責任を追求されるのは中々に不条理だが、世の中そんなもんだ。

「…はぁ」

最後にもうひとつ溜め息を吐き、同居人たちがいるであろう、南地区の祭り会場を目指すのだった。




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