…金髪の、シルバーアクセサリーをじゃらじゃらと身につけた青年が、じと目で黒服を睨んでいる
どうやら、この黒服がついに過労で倒れ、それを見知らぬライダーが連れて行った場面を、目撃したらしかったのだ
秋祭り会場に戻って早々、黒服はこの青年に捕まって、責められていた
どうやら、この黒服がついに過労で倒れ、それを見知らぬライダーが連れて行った場面を、目撃したらしかったのだ
秋祭り会場に戻って早々、黒服はこの青年に捕まって、責められていた
「だから、あの時休めって言ったろ?」
「…流石に、あの場所はどうかと思います」
「…流石に、あの場所はどうかと思います」
あの時、連れて行かれた若干いかがわしいホテルを、「首塚」組織で一部拠点として使っていることを知らない黒服としては、こう答えるしかない
青年の善意はありがたいのだが、あれは、ちょっと
青年の善意はありがたいのだが、あれは、ちょっと
「そうか?んじゃあ、将門様んとこで…」
「…それこそ、勘弁してください」
「…それこそ、勘弁してください」
平将門のお膝元でゆっくり休むなど…どんな度胸、自分にはない
そこまで、図太い神経は持ち合わせていないのだ
休むどころか、神経が磨り減る事は間違いない
そこまで、図太い神経は持ち合わせていないのだ
休むどころか、神経が磨り減る事は間違いない
「でも、休めよ?絶対、休めよ?お前が休む気ないんだったら、ベッドに縛り付けてでも寝かせるからな」
じろり
青年は、強い意思を込めて、そう言って来た
…その気迫が、周囲にも伝わったのだろうか
若干、周囲がざわついたような
青年は、強い意思を込めて、そう言って来た
…その気迫が、周囲にも伝わったのだろうか
若干、周囲がざわついたような
「祭当日に倒れたら、元も子もないだろ?……それに」
…ふ、と
青年の視線が、優しげな、そして、心配そうなものに、変わる
青年の視線が、優しげな、そして、心配そうなものに、変わる
「…お前の事、心配なんだからな」
「……すみません」
「……すみません」
申し訳なく、思う
この青年を、自分が煩わせてしまっている事実に
自分には、そんな価値などないのだ
…所詮、「組織」の歯車でしかないのだから
そこまで、心配しないでくれ
この青年を、自分が煩わせてしまっている事実に
自分には、そんな価値などないのだ
…所詮、「組織」の歯車でしかないのだから
そこまで、心配しないでくれ
「今夜は、流石に少し休みます…当日に、備えなければなりませんから」
「そうか?…俺が見ている前で休めよ。ちゃんと見張ってるからな」
「そうか?…俺が見ている前で休めよ。ちゃんと見張ってるからな」
…それはそれで、休めないような…
……まぁ、そうでもしないと、この青年は休んだ事を信じてくれないかもしれない
妙な所で、心配性だから
……まぁ、そうでもしないと、この青年は休んだ事を信じてくれないかもしれない
妙な所で、心配性だから
「わかりました…秋祭りの事について、将門公に伝えなければならない事もありますしね」
「あぁ、そうだな……あ、その事だけどよ。「怪奇同盟」が、力貸してくれるってよ。やばくなったら、墓に逃げ込めば「夢の国」から護ってくれるってよ」
「…「怪奇同盟」が、ですか?」
「あぁ、そうだな……あ、その事だけどよ。「怪奇同盟」が、力貸してくれるってよ。やばくなったら、墓に逃げ込めば「夢の国」から護ってくれるってよ」
「…「怪奇同盟」が、ですか?」
…まさか、アレが手を貸してくれるとは
「怪奇同盟」にとっても、「夢の国」は敵だ、という事なのだろうか
……「夢の国」との戦いで、「怪奇同盟」も手を貸してくれるというのなら、心強い
「怪奇同盟」は、強い結界を扱う能力の者がいると、聞いた事があるから
「怪奇同盟」にとっても、「夢の国」は敵だ、という事なのだろうか
……「夢の国」との戦いで、「怪奇同盟」も手を貸してくれるというのなら、心強い
「怪奇同盟」は、強い結界を扱う能力の者がいると、聞いた事があるから
「伝えていただき、ありがとうございます…後で、Tさんにも伝えておきます」
「……あんな奴に、伝えなくてもいいだろ」
「……あんな奴に、伝えなくてもいいだろ」
Tさんの名前を出すと、青年はムっとした表情を浮かべた
…どうにも、この黒服がいつも以上に過労を背負い込む原因となったTさんが、気に食わないようである
子供っぽい、その嫌い方に、黒服は苦笑する
…どうにも、この黒服がいつも以上に過労を背負い込む原因となったTさんが、気に食わないようである
子供っぽい、その嫌い方に、黒服は苦笑する
「そんな事を言ってはいけませんよ。あの人は、「夢の国」と真剣に戦おうとしているのですから」
「……でもよぉ」
「……でもよぉ」
納得行かない様子の青年
黒服は、困ったように青年を見つめた
黒服は、困ったように青年を見つめた
「…とにかく。今の作業が終わりましたら、少し休みます……場所を、提供してくださるのですか?」
「ん、あぁ。「首塚」の拠点が一箇所、傍に在るから、そこに連れて行ってやるよ」
「ん、あぁ。「首塚」の拠点が一箇所、傍に在るから、そこに連れて行ってやるよ」
ありがとうございます、と
青年の好意に、黒服は小さく、頭を下げた
青年の好意に、黒服は小さく、頭を下げた
…なお
二人のやり取りを聞いていた周囲の中に、多大な誤解を与えた子とを
二人は、ほんの少しも、自覚していないし気付いてもいないのだった
二人のやり取りを聞いていた周囲の中に、多大な誤解を与えた子とを
二人は、ほんの少しも、自覚していないし気付いてもいないのだった
終