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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 喫茶ルーモア・隻腕のカシマ-03a

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rumor

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喫茶ルーモア・隻腕のカシマ


カシマさん(前編)


ゆったりとした曲が流れる店内
いつもの気だるい午後

カウンター席の1番(最奥)に座って店内を見回す
店内全体が見渡せるので、最近はここがボクの定位置だ

客は3人、女子高生だ
ボクから見て左手後ろの1番テーブルで、先ほどから
都市伝説まがいの話で盛り上がっている様だった
話の中心にいるのは、肩までの黒髪で
華奢なフレームのメガネをかけた、おとなしそうな娘

カラン・コロン……カラン・コロン……来客を告げるベル
「いらっしゃいませ」
女子高生が一人で入ってくる
「こんにちは、マスター」
彼女は、ボクの2つ隣の席──カウンター席3番──にサッと座る
「こんにちは、輪くん……今日はそこの席なのね」
無言でコクリと頷く
「最近はそこが輪の指定席なんだよ」
「ここは全体が見渡せるからね」

それを聞くと満足そうに "姫さん" は頷いた

最初の頃は、相手にするのが面倒で無視していたが
来る度に声をかけてくるので、仕方なく相手をしてあげている
ボクらのことは何も話してはいない
ただの知り合いだ
「いつものヤツでいいのかな?」
「そうね、アイスでお願い」
程なくして、ロイヤルミルクティーが出てくる
ボクは、からかうつもりで話しかける
「最近見なかったから、彼氏でも出来たのかと思っていたけど」
「ブッ?!」
飲みかけた紅茶を噴出しそうになって堪える
マスターとボクは顔を見合わせてから姫さんをもう一度見て、何度も頷きあう
「そ、そんな、彼氏とかそういうんじゃないのよ……恩人というかその」
随分と動揺している……正直、相手をするのが面倒くさいや
「……ボクはややこしい話を聞くつもりは無いからね」
「ところで、今日は何か聞きたいことでもあったのかい?」
ボクが突き放し、マスターが助け舟を出してようやく姫さんは平常心を取り戻す
「今日は……何となく顔を出しただけ、かな」



そんな会話をしていると
「あら?姫さまじゃないかしら?」
後ろから声がかけられた───先ほどのメガネをかけた娘だ
「……あら、××さん?」
「ここに来ているということは、姫さまも都市伝説に興味があるのかしら?」
「そうね、少し調べてはいるわ」
「そう……それじゃあ "カシマさん" の話は聞いたことがあるかしら?」
「"カシマさん"?聞いたことはあるけど、いくつかパターンがあるのよね?」
「そうよ、無数にパターンが存在するわ……興味があれば聞いていかない?」
ややあって、答える
「ええ、聞きましょう」

*



カシマさんについての話をまとめるとこうだ

①カシマさんという方が不幸に遭い亡くなってしまう話を聞く
②この話を聞いた人は、しばらくするとカシマさんが夢の中に出てくる
③その時にカシマさんは、質問をする
④質問に答えられない場合、その人間の大切なモノを奪ってしまう

「大切なモノを奪う……初めて聞くパターンね」
「そうね、普通は体の一部を奪うと言われているものね」
「マスターはこの話、どう思う?」
「私も初めて聞くパターンだね……興味深い」

マスターの話によると

①女性が多いが、カシマさんの人物像はいくつものパターンが存在する
②家に訪ねてくるパターンがあるが、家族が常に一緒にいる場合襲えなくなり
 夢に出てくるパターンも存在する
③質問のパターンがいくつもあるのは、簡単に答えられない様にする為の対策
④下半身、腕のみ、脚のみといった複数のパターンが存在するが
 体の一部を奪うという部分は共通している

「やはり、体の一部を奪うという部分は共通しているし……」
「大事なモノを奪うというのはどこか不自然な気がするかしら?」
「そうだね……何かこう、故意に話を変えている様にも感じるね」

誰かが新たなカシマさんを生み出そうとしている……
そういうことなのだろうか

そんな会話をした日から3日程経った頃だろうか
予期しない事態が発生したのは……

*



ボクは眠っている──これは夢だ──と自覚している

どろりとした液体が腰辺りまで侵食し足元がおぼつかない
……底なし沼にはまる様な感覚
背後から何かが浮かび上がる気配
振り向くとそこには……女性が立っている
ニヤリと嗤っていた
じっとりと生暖かく不快な汗が体表を覆う

「坊や……あなた、良いモノを持っているわね」
「……」
「私、嫌いなの……満たされて、足りている人たちが……」
「……」
喉が張り付く───声がうまく出ない
「坊や……私の名前はなあに?」
「……カ、カシマさん」
「正解……でも残念、少し足りないわ」
ボクは緊張している───この先に訪れる恐怖に震える
「……」
「時間切れ」
「くっ」
「……あなたの大事なモノを頂くわ」

体がずぶりと埋まり、もがく……が引きずり込まれていく
ボクの意識は何かに飲み込まれていった

*



『おい!輪!……しかりしろ!輪!!』
「……マスター」
マスターの心配そうな顔がすぐそこにある
『ひどい汗だな……うなされていたから起こしたんだが大丈夫か?』
「カシマさん……カシマさんの夢を見た」
『カシマさん?!……体は……良かったどこも無くしてはいない』
「本当だ……何も変わっていない」
良かった……
『じゃあ、ただの悪夢だったんだな……』
本当に?アレが……ただの悪夢?

『本当に良かった……
 折角手に入れた都市伝説を傷物にされたくはないからね』

「え?!!」
『どうしたんだい?輪……顔色が悪いな』
「……嘘だよね」
『何がだい?』
「ボクは……都市伝説だから、大事にされているの?」
『ああ、そうだよ……輪はとても大切な存在だよ……私だけの都市伝説だ』
マスターの声は優しい、恐ろしいほどに優しい

ボクの意識は飲み込まれる
底深く……奈落へと落ちていくかの様に



*


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