喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
ウォーターアミューズメント
波打ち際に二人
だが、海ではない
波のプールだ
そう、ここは学校町の南に位置するウォーターアミューズメントパーク
だが、海ではない
波のプールだ
そう、ここは学校町の南に位置するウォーターアミューズメントパーク
商工会から配布されたサービスチケットで
輪を連れて行ってくれとサチは頼まれていた
輪を連れて行ってくれとサチは頼まれていた
「ごめんね、わたしもあんまり泳げないの……」
「サチが謝る事じゃない」
「うん……でも、泳ぎを教えてあげられたら良かったなって思って」
「泳ぎは……マスターに…教えてもらう……約束だから」
「……うん、ごめんね」
「……」
「輪くんにとって、マスターは家族なんだね……」
「かぞく?……そう……なん、だろう……か」
「お父さんだよね」
「おとう……いや、違うと……思う」
「家族っていいよね……」
「……サチは良い家族を持っているだろ?」
「……うん、そう……だよね」
「サチが謝る事じゃない」
「うん……でも、泳ぎを教えてあげられたら良かったなって思って」
「泳ぎは……マスターに…教えてもらう……約束だから」
「……うん、ごめんね」
「……」
「輪くんにとって、マスターは家族なんだね……」
「かぞく?……そう……なん、だろう……か」
「お父さんだよね」
「おとう……いや、違うと……思う」
「家族っていいよね……」
「……サチは良い家族を持っているだろ?」
「……うん、そう……だよね」
「ま、まぁ……大体、サチだってボクとよりどっかの男と行けば良かったんだよ」
「でも、マスターに頼まれたわけだし……正直、相手が……いません」
どんよりとした空気が漂う
───こんなにも晴れているのに
「あ゛~~え~と……ごめん……でもさ、友達とでも良かったんじゃないかな?」
「……うん、いいの……輪くんが、遊んでくれるから……」
「ぁぁ……ああ、そうだね! 遊ぼう! ハハハ!」
「……そうだね! 遊ぼうね! えへへ!」
「でも、マスターに頼まれたわけだし……正直、相手が……いません」
どんよりとした空気が漂う
───こんなにも晴れているのに
「あ゛~~え~と……ごめん……でもさ、友達とでも良かったんじゃないかな?」
「……うん、いいの……輪くんが、遊んでくれるから……」
「ぁぁ……ああ、そうだね! 遊ぼう! ハハハ!」
「……そうだね! 遊ぼうね! えへへ!」
ウォータースライダーに人工水流のウェイクボード
やたら高くて美味しくないパスタにカレー
「ルーモアの方が安くて美味しいね」
「当たり前だろ……比較にならないよ」
当然だと主張する輪
それを見て何だか嬉しくなるサチ
やたら高くて美味しくないパスタにカレー
「ルーモアの方が安くて美味しいね」
「当たり前だろ……比較にならないよ」
当然だと主張する輪
それを見て何だか嬉しくなるサチ
「ねぇ、サチ……知らないおばさんにバナナもらった……」
断り切れなかったという感じで輪
「え?持ち込み禁止でしょ?」
「だよね……バナナは持ち込みに入らないのかな?」
「う~ん……おやつには入らないかもしれないけど……大丈夫かな?」
「2本もらったから、サチにも1本あげるよ」
「ぇ……わたし、もうお腹いっぱいだし……」
「……ダイエットは必要ないんじゃない?」
「あ、胸見て言った? 胸見て言ったよね?! むぅ~~~!!」
「ほら、いいから食べなよ」
「じゃあ半分だけ、ね」
「しょうがないなぁ……半分ね、はい」
断り切れなかったという感じで輪
「え?持ち込み禁止でしょ?」
「だよね……バナナは持ち込みに入らないのかな?」
「う~ん……おやつには入らないかもしれないけど……大丈夫かな?」
「2本もらったから、サチにも1本あげるよ」
「ぇ……わたし、もうお腹いっぱいだし……」
「……ダイエットは必要ないんじゃない?」
「あ、胸見て言った? 胸見て言ったよね?! むぅ~~~!!」
「ほら、いいから食べなよ」
「じゃあ半分だけ、ね」
「しょうがないなぁ……半分ね、はい」
「楽しいね!」
「うん!」
「うん!」
ちょっとだけ無理やりなテンション
でも、二人は不思議と楽しいと思えている
でも、二人は不思議と楽しいと思えている
*
カラン・コロン……カラン・コロン……
帰宅を告げるベル
帰宅を告げるベル
輪が店内に入ると黒服の男がひとり
組織の構成員の中でもどこか人間くさい男
組織の構成員の中でもどこか人間くさい男
通称 "黒服D"
「では、これで……」
輪の帰宅を契機に、話を切る黒服D
「ええ、よろしく頼みます」
頭を下げるマスター
輪の帰宅を契機に、話を切る黒服D
「ええ、よろしく頼みます」
頭を下げるマスター
礼を返した後
黒服が出口へと向かって来る
黒服が出口へと向かって来る
「こんにちは、輪くん」
「……」
「もう帰りますから、そんなに邪険にしないでもらいたいですね」
「……さようなら」
一言だけの挨拶
「……」
「もう帰りますから、そんなに邪険にしないでもらいたいですね」
「……さようなら」
一言だけの挨拶
さっさと帰れ
そういう意味のこもった挨拶
そういう意味のこもった挨拶
輪は組織が嫌いだった
こいつらは死の臭いがする
どんなに洗っても取れない、嗅覚では感じられない感覚的な臭い
黒服D個人を嫌いなわけではない
理性では判っている
だが、漠然とした不安がまとわり付く様で落ち着かなくなる
こいつらは死の臭いがする
どんなに洗っても取れない、嗅覚では感じられない感覚的な臭い
黒服D個人を嫌いなわけではない
理性では判っている
だが、漠然とした不安がまとわり付く様で落ち着かなくなる
自分のいない間
一体、二人で何の話をしていたのか……
一体、二人で何の話をしていたのか……
マスターと関わらないで欲しい
黒服がすれ違い様に声を掛ける
「良い契約者と出逢いましたね……」
「え?」
振り返り、見上げたが黒服の顔は見えない
だが、どこか悲しげな声だった様にも思える
「良い契約者と出逢いましたね……」
「え?」
振り返り、見上げたが黒服の顔は見えない
だが、どこか悲しげな声だった様にも思える
カラン・コロン……カラン・コロン……
黒服が出て行ったのをベルが告げる
黒服が出て行ったのをベルが告げる
「お帰り、楽しめたかい?」
立ち止まっている輪を笑顔で迎えるマスター
「ただいま……う~ん、サチのお陰でそれなりに……かな」
「そうか……今度は……今度は、必ず泳ぎを教えるからな」
「うん……約束、だから」
立ち止まっている輪を笑顔で迎えるマスター
「ただいま……う~ん、サチのお陰でそれなりに……かな」
「そうか……今度は……今度は、必ず泳ぎを教えるからな」
「うん……約束、だから」
"ただいま"……か
マスターはいつでも輪を暖かく迎えてくれる
ここがボクの家……
家族か……
マスターはいつでも輪を暖かく迎えてくれる
ここがボクの家……
家族か……
「おと……」
「ん?」
柔らかい表情、全てを包み込んでくれそうな……
「いや……その……マスター、おなか空いた」
「そうか、たくさん遊んできたんだものな」
「ん?」
柔らかい表情、全てを包み込んでくれそうな……
「いや……その……マスター、おなか空いた」
「そうか、たくさん遊んできたんだものな」
きっと受け入れてくれる
そう思う
けれど、本当にそうだろうか
自分にはその資格があるのだろうか
何度も自分に問いかける
そう思う
けれど、本当にそうだろうか
自分にはその資格があるのだろうか
何度も自分に問いかける
今はまだ、判らない