喫茶ルーモア・隻腕のカシマ
ジャックと夢の国(後編)
─ 03:22 ─
ジャックは辺りを見回すが生きている子供は確認できない
臓器も肌も眼球も無い、ただの屍だけがそこにある
臓器も肌も眼球も無い、ただの屍だけがそこにある
黙祷を捧げる
静かに、ただ静かに
静かに、ただ静かに
「グッ!!」
脇腹に灼熱感
「何ッ?!」
ハサミが突き刺さり、ジョキジョキと臓器を切り裂く
ベロンと皮膚と肉がめくれ、垂れ下がる
ベロンと皮膚と肉がめくれ、垂れ下がる
「夢の国ではね、ヒトは死なないんだ……僕、もうヒトじゃないけどね! へへへ」
油断
まさかこんなにも早く再生するとは考えていなかった
霧となるまで切り裂いたというのに、こんな短時間で再生するとは……
いや、再生ではない
そもそも死んでなどいない
そんな事実は無い
霧となるまで切り裂いたというのに、こんな短時間で再生するとは……
いや、再生ではない
そもそも死んでなどいない
そんな事実は無い
そういうことだ
─ 03:26 ─
「まぁいい」
「何が、まぁいい……だよ……痛いよね? 苦しいよね?」
黄色いクマの着ぐるみは、ジャックの周りを回る様にトントンとステップしている
口元には縫い付けられた笑み
声と共にパクパクとだけ動く
「……痛みは感じる……貴様と同じ様にな」
そう言って、メスを振るう
「ぎャッ!」
ポロリと落ちるクマの右手首
メスを振るう
「うぎィッ?」
ポロリと落ちるクマの左手首
メスを振るう
「あ゛ッ?!」
右ヒザが切断され崩れ落ちる
とっさに手を伸ばし、体を支えようとするが……手首から先は無い
むき出しの肉で体重を受ける
「イッ?! ぎゃアァぁァァぁぁァぁぁぁぁァァァ!!」
メスを振るう
腹が切り裂かれ、臓物が飛び出す
悲鳴
メスを振るう
臓物が切り裂かれる
悲鳴
メスを振るう
切り裂かれる
悲鳴
「何が、まぁいい……だよ……痛いよね? 苦しいよね?」
黄色いクマの着ぐるみは、ジャックの周りを回る様にトントンとステップしている
口元には縫い付けられた笑み
声と共にパクパクとだけ動く
「……痛みは感じる……貴様と同じ様にな」
そう言って、メスを振るう
「ぎャッ!」
ポロリと落ちるクマの右手首
メスを振るう
「うぎィッ?」
ポロリと落ちるクマの左手首
メスを振るう
「あ゛ッ?!」
右ヒザが切断され崩れ落ちる
とっさに手を伸ばし、体を支えようとするが……手首から先は無い
むき出しの肉で体重を受ける
「イッ?! ぎゃアァぁァァぁぁァぁぁぁぁァァァ!!」
メスを振るう
腹が切り裂かれ、臓物が飛び出す
悲鳴
メスを振るう
臓物が切り裂かれる
悲鳴
メスを振るう
切り裂かれる
悲鳴
─ 03:38 ─
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
─ 07:13 ─
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴 メスを振るう 切り裂かれる 悲鳴
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
メスを振るう 切り裂かれる メスを振るう 切り裂かれる
─ 10:38 ─
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
死んでなどいない メスを振るう 切り裂かれる
もう、悲鳴はあがらない
「……壊れたか」
だらしなく倒れ、口をパクパクと動かしているクマの着ぐるみ
「あば……えが……お……あばば……ゆ……めま……る」
何か呟き続けている様だが、もはや言葉になっていない
「脆弱な精神だ」
バサリと外套をひるがえし、精肉工場を出る
ぐらりと視界が揺れる
眩暈
どうやら時間をかけ過ぎた様だった
早く、手当てをして安全に休める場所まで行かなくてはならない
だが、霧を張ったとしても……
この出血と返り血では臭いで感付かれる可能性が高い
眩暈
どうやら時間をかけ過ぎた様だった
早く、手当てをして安全に休める場所まで行かなくてはならない
だが、霧を張ったとしても……
この出血と返り血では臭いで感付かれる可能性が高い
「どうせ見つかるならば……面倒だ、正面から出るとしよう」
─ 11:23 ─
外に出ると、時刻はまだ昼のはずだったが辺りは暗く
パレードが行われている
賑やかな音楽と電飾に彩られ、ギラギラとした着ぐるみ達が練り歩いていく
パレードが行われている
賑やかな音楽と電飾に彩られ、ギラギラとした着ぐるみ達が練り歩いていく
ジャックはゆっくりと歩く
立ち塞がる者達を切り裂きながら歩く
だが、きりが無い
「チカチカと鬱陶しい……」
メスを投げつける
電飾のコードが切断され、"やぐら"の様なイルミネーションカーが
チカチカとした電飾の発光を止める
すると、その周りにいた着ぐるみ達が攻撃を止め
電飾を修理し始めていた
「ほぉ……なるほどな……」
すぐに修繕は完了し、こちらへと向かって来るが
素早くメスを投擲する
明滅を止める電飾
更に数本のメスを投擲、明滅を止める電飾
「さて、パレードのメイン達が来る前に退場させて頂くとしよう」
立ち塞がる者達を切り裂きながら歩く
だが、きりが無い
「チカチカと鬱陶しい……」
メスを投げつける
電飾のコードが切断され、"やぐら"の様なイルミネーションカーが
チカチカとした電飾の発光を止める
すると、その周りにいた着ぐるみ達が攻撃を止め
電飾を修理し始めていた
「ほぉ……なるほどな……」
すぐに修繕は完了し、こちらへと向かって来るが
素早くメスを投擲する
明滅を止める電飾
更に数本のメスを投擲、明滅を止める電飾
「さて、パレードのメイン達が来る前に退場させて頂くとしよう」
─ 11:34 ─
悠然と退場する
が、多量の出血がジャックの足を鈍らせる
視界が二重になり、眩暈が強くなっていく
「もっと離れなければ……」
離れれば、奴らとて追っては来ない
夢の国のテリトリーから出てしまえば、不死ではなくなるのだから……
が、多量の出血がジャックの足を鈍らせる
視界が二重になり、眩暈が強くなっていく
「もっと離れなければ……」
離れれば、奴らとて追っては来ない
夢の国のテリトリーから出てしまえば、不死ではなくなるのだから……
濃霧に抱かれながら歩く
ヒザに力が入らなくなる
「んッ…………ハァ……フゥ」
そろそろ止血をして体を休めなければ……
休めば直る
だが、ここでは人目に付き過ぎる
「……ア……ハァ……ハァ……ここまで……か」」
ヒザに力が入らなくなる
「んッ…………ハァ……フゥ」
そろそろ止血をして体を休めなければ……
休めば直る
だが、ここでは人目に付き過ぎる
「……ア……ハァ……ハァ……ここまで……か」」
視界が暗転し記憶が途絶える
抱きかかえられる感触
薄っすらと眼を開くと、軍装の男がいる
「……か……しマ?」
「うむ、今から安全な場所に運ぶ……安心しろ」
薄っすらと眼を開くと、軍装の男がいる
「……か……しマ?」
「うむ、今から安全な場所に運ぶ……安心しろ」
再び、視界が暗転し記憶が途絶えた
*
夢を見ていた
メアリ……アーニー……エリザベス……
キャサリン……メアリー……
彼女達の夢
自分の切り裂いた女達の
メアリ……アーニー……エリザベス……
キャサリン……メアリー……
彼女達の夢
自分の切り裂いた女達の
そう……メアリーだ
彼女達の総称はメアリー
ジャックが切り裂かねばならなかった女達
彼女達の総称はメアリー
ジャックが切り裂かねばならなかった女達
臓器を持ち去り、研究しなくてはならなかった
医師として
死を振りまく女達を止め、病に臥した者達を助ける為に……
医師として
死を振りまく女達を止め、病に臥した者達を助ける為に……
メアリー
彼女達はメアリー
死の病を振りまくメアリー
彼女達はメアリー
死の病を振りまくメアリー
時が過ぎ
振りまく病は変わったが、その存在の意味するところは変わらない
振りまく病は変わったが、その存在の意味するところは変わらない
彼女達は現代では
こう呼ばれている
───エイズ・メアリーと
こう呼ばれている
───エイズ・メアリーと
─ 16:58 ─
目を覚ますと廃ビル
カシマをからかい
そして、礼を言った
カシマをからかい
そして、礼を言った
「カシマ、貴方は確か……私の夢を覗きましたか?」
「……少しうなされていた……悪夢であれば切り捨てようと思ったのだが……」
「文字通り、身も心も丸裸にされてしまった様ですね」
「……済まない」
「で、どうでしたか?」
「過去を見て……君を助ける事ができて、良かったと思っている」
「そうですか……未来の妻の過去は、ドラマチックでしたか?」
「つ……つつつ、妻ぁぁぁぁぁ?!」
「ええ、体だけならまだしも……心まで晒したのですよ?」
「……むぅ」
「嫌いですか? 異国の女は……」
「い、いや……嫌いではないのだが……」
「日本の女性よりも、胸は大きいと思いますよ?」
「む、胸?!!……いや……いやその……あまりにも……」
「……あまりにも?」
「あまりにも……う……美しいので……ワタシなどで、良いのかと……な」
「?!!」
「……少しうなされていた……悪夢であれば切り捨てようと思ったのだが……」
「文字通り、身も心も丸裸にされてしまった様ですね」
「……済まない」
「で、どうでしたか?」
「過去を見て……君を助ける事ができて、良かったと思っている」
「そうですか……未来の妻の過去は、ドラマチックでしたか?」
「つ……つつつ、妻ぁぁぁぁぁ?!」
「ええ、体だけならまだしも……心まで晒したのですよ?」
「……むぅ」
「嫌いですか? 異国の女は……」
「い、いや……嫌いではないのだが……」
「日本の女性よりも、胸は大きいと思いますよ?」
「む、胸?!!……いや……いやその……あまりにも……」
「……あまりにも?」
「あまりにも……う……美しいので……ワタシなどで、良いのかと……な」
「?!!」
冗談だったはずが、どこかが……何かがズレ始めていた
─ 17:31 ─
『いやぁぁぁぁぁぁ!!』
「ん?!」
カシマの表情が険しくなる
「今……何か聞こえた様な気がするが……サチ殿?……」
カシマの表情が険しくなる
「今……何か聞こえた様な気がするが……サチ殿?……」
苛立つ
解らない
苛立つ理由は無い
解らない
苛立つ理由は無い
「私には何も聞こえませでしたが……何か?」
「いや……そうか……空耳だろう」
「いや……そうか……空耳だろう」
楽しい時間を邪魔された
楽しい?
確かにカシマをからかうのは楽しかった
……だが、それだけではない
楽しい?
確かにカシマをからかうのは楽しかった
……だが、それだけではない
嫉妬
誰に?
何故?
誰に?
何故?
─ 17:33 ─
何を馬鹿なことを……くだらない、とジャックは思い直す
そうだ、男性型になってやり過ごせばいい
何故?
何故、男性型に?
だが……
そうだ、男性型になってやり過ごせばいい
何故?
何故、男性型に?
だが……
「クッ?!!」
「どうした? ジャック……また、笑いをこらえているのか?」
「どうした? ジャック……また、笑いをこらえているのか?」
違う、笑えなどしない
なれない……男性型になれないのだ
どういうことだ?
この先、女性として生きていけというのか?
なれない……男性型になれないのだ
どういうことだ?
この先、女性として生きていけというのか?
「ってください……」
「ん?」
「帰ってください!!」
「ん?」
「帰ってください!!」
ヒステリックに叫ぶ
まるでそこらの小娘の様だった
判らない
どうすれば良いのか、判らない
まるでそこらの小娘の様だった
判らない
どうすれば良いのか、判らない
─ 17:35 ─
「どうしたんだ急に? いや……そうだな、ワタシには配慮が欠けていた」
違う、違うのだ
自分はただ……
ただ、何だというのだ?
女でいたいとでも思ったというのか?
何故?
いや、それは愚問だ
自分はただ……
ただ、何だというのだ?
女でいたいとでも思ったというのか?
何故?
いや、それは愚問だ
どうすれば良いというのだ……
「済まなかった……いずれまた謝罪するが、今日はこれで失礼する」
「ぁ……」
「ぁ……」
カシマが帰ると静かになった
誰も何も音を出さない
たった一人でジャックは
静かに
静かに眠りに落ちていく
誰も何も音を出さない
たった一人でジャックは
静かに
静かに眠りに落ちていく
今は何も考えるべきではない
一時的な気の迷い
大きな怪我を負ったせいだ
一時的な気の迷い
大きな怪我を負ったせいだ
ただ、それだけのことだ