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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 喫茶ルーモア・隻腕のカシマ-11c

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喫茶ルーモア・隻腕のカシマ


マスター(前編)


その日は、とても静かな日でした

いつもであれば、都市伝説やその契約者たちで賑わう店内も
その時は、わたしたち三人だけで
気だるい雰囲気が漂っていました

寺生まれのTさん、花子さんらしき女の子
黒服さんと小さな女の子、コーラしか注文しない綺麗な男性
ちょっとエッチな人面犬さん、口裂けさんと一緒に来るスーツの人
そして、彼らの契約者さん達
他にもたくさんの都市伝説や契約者たちが
ルーモアへと足を運んで来てくれるそうです

でも、その日は本当に誰も来ませんでした
こんな日は、わたしがバイトを始めてからその時まで
一度も無かったと思います

今にして思えば
これも全て、何かの都市伝説によるもの影響だったのかもしれません

*



ジャック・ザ・リッパーがカシマに保護された同日のことである

─ 17:25 ─


「今日は、お客さん来ませんね~」
伸びをしながら、サチ
「う~ん、しばらくは大規模な調査があるらしいんだよ」
マスターが応え
「調査……ですか」
「厄介な都市伝説が動いているらしいよ」
輪が補足する

常連の契約者達は何か大きな事件の調査があるらしく
朝からずっと、今の時間帯──逢魔ヶ刻──まで誰も来てはいない

店内には三人だけ

カラン・コロン……カラン・コロン……来客を告げるベル
「「「いらっしゃいませ」」」
どこかホッとした表情の三人

─ 17:28 ─


初めて見る客
───ガリガリに痩せ、頬のこけた男だ
その客は、店内をジロジロと眺め回すと
「知識の泉…その英知を…我に分けたまえ」
そう、つぶやいて三人に視線を移す

三人は揃って眉をひそめる
今まで色んな客が来たが、その中でもかなり異質な雰囲気を纏っている

「そのガキか……限定予知と……輪廻…転生だと?」

その言葉でハッとする三人
都市伝説の契約者
そして、この男は輪を好ましく思っていない

「生き返るのか?……まあ、倒してみれば分るな」

いつの間にか、マスターはカウンターから出て男の後ろ側にいる
「お客さま、席はどちらになさいますか?」
マスターの声はいつもの調子
だが、その表情は……硬い

「あんた契約者か……俺は人間に興味は」
「客でないなら出て行ってくれませんか」

有無を言わせない、マスターらしからぬ口調

─ 17:30 ─


「大気に宿る…優しき風の精霊よ…眼前の敵を散らせ」

「んっ!」「きゃっ」「うわっ?!」
突如発生した風に吹き飛ばされる

「マスター!サチ!……くそっ、おまえ一体……」

「契約者だ……この世界を都市伝説から救う……な」

「都市伝説から……救う?!」
「輪……コイツは危険すぎる……逃げろ!」

「そこの二人、うるさいな……」

「大地よ…その重き手で…我が敵を潰せ」

「んぐっ!」「んッ」
急激に重力が高まったかの様に這いつくばるマスターとサチ

─ 17:31─


「やめろッ!」
輪は当身を食らわせようと走る
だが、狙いすましたかの様に蹴りを繰り出す男
「うぐっ!」
鳩尾に直撃し、もんどりうつ
男の動きは外見に似合わず速い
よく見ると、青白い光が男の体全体を包み込む様に揺らめいている
「ふん、ガキが……俺の魔法に叶うはずないだろうが」
「っ…はぁ…はぁ……ま、魔法?!」
「男は30を越えると……ど……選ばれし者は魔法を使える様になるんだよ」
「……どうて、グッ?!」
蹴り上げられる
「黙れ」

「大気に宿る…猛き風の精霊よ…眼前の敵を切り裂け」

血煙が上がる
体中を小さな裂傷が覆い尽くしている
「なッ!」「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
地に臥す二人から悲鳴があがる
「回復はしないか……やはり一度*してみるしかないな」

─ 17:34 ─


輪は立ち上がる事が出来ない
この男から逃れるすべは───無い
自分は都市伝説だ
いつかこういう事態に遭遇するであろうことは十分に考えられた
だが、幸福な時間に包まれて
自分が都市伝説であることすら忘れかけていた

「ふん、首塚のヤツラ……ここが都市伝説の拠点の一つだと?
 笑わせるな! 雑魚のガキが一匹いるだけじゃねぇーかよ!
 ……まぁいい、いずれ首塚のヤツラも消して……ん?」
足元にまとわりつく手
「やめ……るん、だ」
マスターは増大した重力に押しつぶされながらも
無様に這いずり、もがき……男の足を掴んでいた
「ふん、大人しく見ていろ……今からアンタを都市伝説から解放してやる」
男は振りほどこうとするが、離れない
引きずって前に出ようとするも、重い
しがみ付かれ足が動かない
「……コイツ」
増大した重力によってマスターの体は鉄の塊の様に重くなっている
男は、自身のかけた魔法の威力を初めて知る
同時に、この重さの中を這いずりながら進んだマスターの気迫を知る
「こんなバケモノの為に……これ程まで魅入られているとは……末期だな」
「バケ……モノ……なんか、じゃあ……ない」
「チッ……大地よ……その束縛を……解放せよ」
魔法を解き、しがみ付く手を振り解いて進む
マスターとサチは重圧から解放され、荒い息を吐く

─ 17:38 ─


「随分と上手く取り入っていた様だな……この糞ガキ」
「……ろせよ……ボクを*せよ!!」
「……ふん」
「*せばいいだろ! ニンゲンは関係ないんだろ! ボクを*ろせ!!」
「*して下さい……だろ?」
「……グッ……ろして……下さい」
「なんだって?……お願いしますはどうした?」
「お願いします! ボクを*して下さいッ! もう二人を傷つけないで下さいッ!!」
「いいだろう……確実に死ぬ魔法でやってやる」

「凍てつく風よ……」
詠唱が始まり、男の右手が蒼い冷気に包まれる
「北より来りて……」
この魔法を受けた者は、その体を徐々に凍結させていく……そして
「眼前の敵の命を……」
相手は死ぬ
「奪え!」
繰り出される手刀
肉がえぐられ、掌が深々と突き立つ



*


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