「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-16

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 秋祭り三日目早朝、俺とTさんとリカちゃん、それに≪夢の国≫の夢子ちゃんは北区の神社に来ていた。
 疲労? 寝たら復活した。俺若いもん。
 いつかのように張り紙を張って行きながら神社を歩き回っていると、一日目にも見た情報屋さんを見つけた。
「こんちはー」
「こんにちはなの」
 手を振りながら近づいて行くとこっちに気づいた情報屋さんも手を振ってくれる。
「こんにちは、≪夢の国≫倒したのはやっぱりTさんたち?」
「ああ」
 情報屋さんの質問にTさんが答える。
「……いや、やっぱり寺生まれはスゴイな」
「ま、ね」
 Tさんはなにか言いたげだったが夢子ちゃんを見てやめる。
「占いか? それなら今日は都市伝説関係者にはタダで占ってやってるんだが」
「いや、情報屋の力を借りにきた」
 そりゃ残念。と情報屋さん。
 なんだよ金取るのかよ、いいじゃんまけてよ。
「ところで」
 情報屋さんは俺の隣を指さし、
「その子誰?」
 俺の隣にいる子、夢子ちゃんを見て訊く。
 微妙な間。
 俺が即答できずにいると情報屋さんの隣におっさんが現れていた。
「青年、そいつは――」
 おっさんの言葉をTさんが引き継ぐ。
「この子は、≪夢の国≫だ」
 瞬間、場の空気が変わるのを俺は感じた。
「お前が」
 妙に緊張した気配。このままだとそのまま荒々しいことになりそうな雰囲気。
「ま、待ってくれよ」
 俺は夢子ちゃんの前に出、両手を広げて庇うようにする。
「待たない、待たない」
 情報屋さんの後ろにフードがついた長いコートを着た、頭だけの男が出てきた。
 なんだこいつ、こいつも情報屋さんの契約した奴か!?
「アンサー、オッサン。止まれ」
 情報屋さんが俺越しに夢子ちゃんに襲いかかろうとする二人を止めた。
 そして、腕を組むと、
「話を聞こうか、Tさん」
 Tさんに目を向けた。
 Tさんは夢子ちゃん、というよりも≪夢の国≫の境遇を情報屋さんに聞かせる。
 彼等がクソ爺に操られていたこと。それによって≪夢の国≫全体が歪められていたこと。夢子ちゃんがその先兵として利用されていたこと。現在クソ爺をぶちのめして≪夢の国≫は正常に戻ったこと。
 それを聞いた情報屋さんは、
「…………、この子も被害者だと?」
 質問するようにTさんに訊いた。
「実行犯ではあるがな」
 Tさんは頷く。
「で、何でまた俺のところに連れてきた?」
 情報屋さんの質問にTさんは夢子ちゃんを見る。
「一応現実を見てもらおうと思ってな。≪夢の国≫が、少なくともこの町ではどう思われているのか、ひいては≪夢の国≫が暴れた場所ではどういう反応をこれからされるのかを身をもって確認してもらおうと思った」
「きっついことするねぇ」
 苦笑して情報屋さん。
「あの……」
 夢子ちゃんが何か言いたげに声をあげる。
「あ? あー、君は生まれ変わったってことでいいんだろ?」
「はい、今は私が≪夢の国≫の王様、です」
「ならもう歪むな。それを守ってくれるんなら、いいや」
 笑って頭だけの男とおっさんを引っ込ませる情報屋さん。
「で? Tさん、情報屋の力を借りたいことってなんだ?」
「ああ、今聞かせた≪夢の国≫の境遇を広めて欲しい。特に、どこの集団にも属してない連中に」
「了解」
「なんで?」
 俺はTさんに訊ねる。そんなこと広めて何かいいことでもあるんだろうか?
「≪夢の国≫は派手に暴れてたからな。このままだといろんな奴にケンカを売られかねん。傍目には≪夢の国≫を統率している奴は変わってないように見えるわけだしな。もし、以前≪夢の国≫を見たことがある人間が今の≪夢の国≫、夢子ちゃんを見たら攻撃しかねん」
「でもやっぱり夢子ちゃん強いんだろ?」
 なら問題なくね?
「それでも戦闘は夢子ちゃんたちの本意じゃないよ」
 だろ? とTさん。夢子ちゃんは、
「は、はい」
 と肯く。
「だから情報を広げて意味のない襲撃が起きないようにする」
 とTさん。
「……、例のごとくそんなでっかい範囲で広めると金、高いぞ?」
「ん」
 Tさんは頷くと情報屋さんに背を向けてこっちを見る。
「さて、じゃあ行くか」
「今日はどこへ?」
「張り紙しつつお祭り見学だな」
 情報屋さんに告げて歩いて行く。
 今日も町中移動すんのか……疲れそう……。


            ●


 情報屋は離れていく青年たちを見ていた。だが、青年だけがなぜか戻って来る。
「どうした?」
 青年に声をかける。すると青年は、
「あれには料金交渉と言ってある」
 と言って契約者たちを親指で肩越しに指差す。
 で、実は。と言い、
「もう一つ、頼みがあってな」
 懐から何かを取り出した。それは防犯カメラの映像データから取り出した画像で。
「これは?」
「ルーモアのマスター殺しの犯人の画像だ」
「!」
「こいつの居場所を調べてくれ」
 青年は画像を情報屋に渡す。
 受け取った情報屋は苦笑いで、
「≪夢の国≫の一件が終わったから疎遠になるかと思ったけど、けっこう縁が続きそうだな」
「良きかな良きかなってね」
 青年も苦笑いで応じる。
 さて、と一言入れて、
「妹さんだが」
「……」
 情報屋は無言、青年は構わず続ける。
「元凶の爺さんが自分の姫用に何人か冷凍睡眠させていた。そのうちの一人かも知れんし、パレード内で生き残っていた可能性もある」
 申し訳なさそうに、
「すまない。あの子の記憶も曖昧ではっきりとしたことは分からないんだ。だが、今≪夢の国≫は本来の姿に戻っている。妹さんが無事だったらおそらくどこかに排出されているはずだ」
 情報屋は青年の話を聞くと頷く。
「なら、そこからは俺の分野だな。失せモノも探し人も占い師件情報屋にお任せってな」
 そして青年にしっしっ、と手を振る。彼の契約者に値段交渉には応じないという態度を示しているように見えるように。
「ほら、早く行ってやらんと、契約者たち待ってるぞ?」
「ああ」
 青年はそう言うと契約者の許へと歩いて行った。

 情報屋は去って行く青年を見て呟く。
「Tさん、理屈では分かっていても感情が先立つことってあるんだぜ?」
 彼が持つ紙には今文字が書かれていっている。それは、

 ――アカイショウゾクニチュウイ

 赤い……装束か?
 情報屋がそう思っていると握ったペンから声が聞こえた。
「青年、これを彼等に教えなくていいのか?」
「いいんだよエンジェルさん。これが俺の≪夢の国≫のあの子への感情から来る嫌がらせだから」
「ああ、小学生が好きな子をいじめたくなる心理――」
「ちげえよ! なんかその発言でいい感じなシリアスな空気崩壊したぞ!?」
「ドンマイ、ドンマイ」
 頭だけの男が慰めるが情報屋は立ち直らない。
 なぜなら、
「女の子にならまだしもなんで野郎に言われて元気をださにゃならんのよ」
「ところで」
 エンジェルさんは言う。
「≪夢の国≫だけじゃなく一緒にいるあのTさんやらも危険なんじゃないのか?」
「………………あ」

 秋祭り三日目、周囲には出店の準備をしている者しか見えず、日はまだ昇っている途中だ。



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