「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-17a

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 秋祭り三日目、夜の帳も下りてきて、風も少し冷たい、そんな夜。
 そんな中俺たちは、
「何で墓場なんかにいんだよTさん!」
 携帯を取り出してなにやらかざしているTさんを見つつ叫ぶ。……さみぃ。
「いや、確か数年前はここに……」
 Tさんは携帯をブンブン振っている。
 そんなんで誰かからかかってくるかよこの野郎ついに変な電波を頭で受信したんじゃねえだろうな―― 
 ピリリリリリリリリリリリリリ
 携帯が突然鳴りだした。
 うぉをっ!? ビクッてなるじゃないか!
「リカちゃん?」
「わたしじゃないの」
 どうやらリカちゃんのいたずらではないらしい。じゃあ、誰だ?
「盟主様の御成りかな」
 Tさんが呟いた。
「盟主……様ですか?」
「ああ」
 そう言ってTさんは携帯に出る。スピーカモードに入れ、
「≪怪奇同盟≫の盟主さん?」
『……はい』
 聞こえてきた若い姉ちゃんの返答におお、とTさんは言い、
「いきなり盟主さん本人から電話くれたってことはここが本部なのか? それとも、ここに≪夢の国≫がいるからか?」
『さて、どうでしょうね』
「意地悪な方だ」
 笑い合う二人。
 なるほど。この声の姉ちゃんが≪怪奇同盟≫とかいうところの一番偉い人か。
「さて、いきなりですまないが本題に入らせてもらうよ」
『はい』
「まず、この子だが」
 そう言ってTさんは夢子ちゃんを指差す。っつーか電話相手にそんなことしても、
『≪夢の国≫の契約者ですね?』
 なぜ視えているように言うんだこの姉ちゃん!
「あの、私のこと、知ってるんですか?」
 オーケー、気にしてるのは俺だけなんだな? 俺がおかしいんだな?
 盟主さんはええ、と夢子ちゃんの質問を肯定し、
『手を焼かせてくれましたから』
 いい感じに傷を抉ってきた。
「すみません」
 若干沈んだ声で夢子ちゃん。これはこれでかわいいけどな。
「あ~……、じゃあ秋祭りの間に結界を張ってくれたことと、町を治すのに尽力してくれたことをこの子共々感謝しておく」
 Tさんの言葉にいえいえ、役目ですから。と盟主さん。
『あなたがその子を元に戻したのですか?』
 今度は向こうから質問してきた。
「一応、残念ながら元通り、とはいかなかったが……」
『都市伝説化していますね』
 Tさんが頷き……いかん! なんか重い空気が! そこで夢子ちゃんが、
「私は私を取り戻せたことを本当に幸運だと思っています。本当なら私もあの人と一緒に消えてもしょうがないのに、皆さんに感謝してもしたりないくらいです! 都市伝説になったことだって悪いことじゃないですし」
 必死で場を取り繕うとしている。
 俺はTさんを小突く。Tさんは気付き、咳払い一つ。そして、
「で、だ」
 交渉を切りだした。
「もう夢子ちゃんも≪夢の国≫も悪夢から解放された。町でさんざん暴れといてなんだがこの子らにはもう手を出さないで欲しい」
「夢子ちゃんいい子なんだよ。頼む姉ちゃん!」
「おねがいします、なの」
 皆で頼みこんでみる。
 Tさんの話では≪怪奇同盟≫はこの町の自衛団みたいなものだという。
『………………』
 盟主の姉ちゃんは無言、ちょっと不安になる。この姉ちゃんもあの赤いはんてんの嬢ちゃんみたいに≪夢の国≫を恨んでいるのだろうか。
『心外です』
「へ?」
 なんかこう、明るいトーンで拗ねたように言われたせいで何を言われたのかよく分からない。
 盟主さんは続ける。
『私たちが街や人々に害を為さない都市伝説と、戦う理由などあると思います?』
 電話の向こうで笑っている顔が想像できるような声だった。
「えと、じゃあ」
 窺うように夢子ちゃん。
『ええ、≪怪奇同盟≫は≪夢の国≫に手を出しません』
「ありがとうございますっ」
 頭を深く下げる夢子ちゃん。
「よっ、太っ腹!」
「いいひとなの!」
「大統領!」
「だいとーりょー!」
 とりあえず喜びを最大限に表わす。感謝感謝!!
「あ~、そこ二人ちょっと黙っててくれ……盟主さん、感謝する」
 Tさんに言われたので二人して黙ることにした。
『いえ、ところであなたは皆を回っているんですか? どうやら張り紙も張っていたようですけど』
「んー、あの戦いに参加した中で、とりあえず俺が把握している集団には、もう手を出すなよ~。と言って回ってる」
『この後はどちらへ?』
「ん、次でラストでな」
 そこでTさんは嫌そうな顔をして、
「≪首塚≫だ」
『将門様ですか?』
 ああ、と頷くTさん。
「気が滅入るよなぁ」
『お気をつけて』
「ほどほどにやってくる」
 そう言って行くぞ。と告げるTさん。
 俺たちはとっとと墓場から出ることにした。


           ●


 去り際、スピーカーモードを通常通話モードに切り替えて青年は電話口に告げる。
「ああ、そうだ」
『はい?』
「契約者なしの≪さっちゃんの歌の四番目≫を知らないか?」
『いえ、ちょっと』
 電話の向こう側は少し困ったような声だ。
「そうか、いや、なんでもないんだ」
 もう一人も容姿すら分からんしな~、どうしたものか。
 青年のそのつぶやきは電話の向こうにも届く。
『……彼女の罪ですか?』
「罰を与えに来てほしくはないけどな」
 では、と言って青年は電話を切る。
「くそ、赤マントめ、嫌な仕事押しつけやがって」
 どう夢子に説明したものか。そう考えながら彼等は駅へと歩いて行く。
 欠け始めた月が、きれいだった。


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