秋祭り三日目 嬉しくない再会があって
●
駅から降りて、なにやら墓みたいなものが一つ立っているところにまで来た。
なんか今日は墓に縁があるな……。
「で、何ここ?」
「≪平将門の首塚≫だな。将門公の本拠地だ」
Tさんはそう言うが、
「つってもさー」
「どこにもひといないのー」
その通り、将門さんどころか人っ子一人いやしねえ。
「もしかして、異空間、ですか?」
「だろうな」
夢子ちゃんにうなずきさて、どうしたものかと思案するTさん。
そもそも異空間という言葉をナチュラルに会話に出してくるこの人たち、イケナイと思う。
「行けるか?」
夢子ちゃんに訊ねるTさん。
「難しいです。≪夢の国≫で侵食してもいいのならあるいは、ですけど」
「微妙に本末転倒だな~」
参った。そういって墓っぽいものに手をかざすTさん。
む、手詰まりっぽいかな? ならば。
「ここは俺に任せろ!」
ずいと一歩前に出る。
?
という顔で見てくる夢子ちゃんにTさん。たぶん頭の上のリカちゃんもそんな感じだろう。
しかし、
「ふふふ、相手は偉そうな奴なんだろ?」
「ああ、過労の黒服さんに聞いた話から想像するとそんな感じか」
「なら簡単だぜ」
俺は大きく息を吸い、
なんか今日は墓に縁があるな……。
「で、何ここ?」
「≪平将門の首塚≫だな。将門公の本拠地だ」
Tさんはそう言うが、
「つってもさー」
「どこにもひといないのー」
その通り、将門さんどころか人っ子一人いやしねえ。
「もしかして、異空間、ですか?」
「だろうな」
夢子ちゃんにうなずきさて、どうしたものかと思案するTさん。
そもそも異空間という言葉をナチュラルに会話に出してくるこの人たち、イケナイと思う。
「行けるか?」
夢子ちゃんに訊ねるTさん。
「難しいです。≪夢の国≫で侵食してもいいのならあるいは、ですけど」
「微妙に本末転倒だな~」
参った。そういって墓っぽいものに手をかざすTさん。
む、手詰まりっぽいかな? ならば。
「ここは俺に任せろ!」
ずいと一歩前に出る。
?
という顔で見てくる夢子ちゃんにTさん。たぶん頭の上のリカちゃんもそんな感じだろう。
しかし、
「ふふふ、相手は偉そうな奴なんだろ?」
「ああ、過労の黒服さんに聞いた話から想像するとそんな感じか」
「なら簡単だぜ」
俺は大きく息を吸い、
叫んだ。
「将門のバーカ!!」
……
……………
…………………………
あれ? おかしいな。ジャイアンタイプならこうすれば絶対に引き入れてくれるはずなのに……
と一瞬不安になりかけた時。
目の前になんか光った物体が現れて、中から鉄の箱が出てきた。
「おおおおおおお?」
そしてその箱が展開していき、
「将門様の結界前でなにやってんのよアンタたち、殺された……」
中から出てきた髪の長い姉ちゃんが何やら言いかけて、夢子ちゃんに視線をやったまま固まった。
「≪夢の国≫!?」
「あの、お久しぶりです」
「おお、知り合いか!」
こんな所に夢子ちゃんの知り合いがいるとは、
「あんたなんでここ――」
あんまりよろしい仲ではなさそうだけど、
「ちょうどいい!」
そんなことを思っているとTさんが箱から出てきた姉ちゃんの言葉を遮り、
「ちょっと将門公に用があるんだ。連れてってくれるな?」
ぽん、と肩に手を置いて言うTさん。
有無を言わせないという雰囲気がムンムンだ。
Tさんや、それは若干脅しじゃなかろうか……
……………
…………………………
あれ? おかしいな。ジャイアンタイプならこうすれば絶対に引き入れてくれるはずなのに……
と一瞬不安になりかけた時。
目の前になんか光った物体が現れて、中から鉄の箱が出てきた。
「おおおおおおお?」
そしてその箱が展開していき、
「将門様の結界前でなにやってんのよアンタたち、殺された……」
中から出てきた髪の長い姉ちゃんが何やら言いかけて、夢子ちゃんに視線をやったまま固まった。
「≪夢の国≫!?」
「あの、お久しぶりです」
「おお、知り合いか!」
こんな所に夢子ちゃんの知り合いがいるとは、
「あんたなんでここ――」
あんまりよろしい仲ではなさそうだけど、
「ちょうどいい!」
そんなことを思っているとTさんが箱から出てきた姉ちゃんの言葉を遮り、
「ちょっと将門公に用があるんだ。連れてってくれるな?」
ぽん、と肩に手を置いて言うTさん。
有無を言わせないという雰囲気がムンムンだ。
Tさんや、それは若干脅しじゃなかろうか……
「これは」
「広ぇっ!」
「大きい」
「きれいなの」
で、姉ちゃんの箱に乗ってたどり着いたそこは、どこかの日本家屋みたいだった。やたらめったら広いが。
姉ちゃん(≪フィラデルフィア計画≫の契約者らしい)。はそのまま部屋の奥の方へと行ってしまった。
碌に言葉も交わしていないなーおしいなーとか思いつつその姿を追っていると、奥の方にはスーツ姿に眼鏡をかけたキャリアウーマンみたいな姉ちゃんと、
「なんだ、あれ」
甲冑を来た若武者? いや、なんか、これはおかしい。気配が、違う。この気配はどこかで――
「ぁ……」
夢子ちゃんが顔を青くして退いている。
そうだ、この気配。あのクソ爺、≪夢の国の創始者≫に、似てる?
愉快そうに甲冑の武者は言う。
「くっかかか、この深夜に何事ぞ?」
これが、平将門か。
「あー、戦後交渉に、ね」
「ほう?」
Tさんの言葉に無言で顎をしゃくる将門さん。
それに頷きTさんは話し続ける。
この日何度目かになる、≪夢の国≫の境遇を――
「――というわけだ」
「それで?」
間髪なく入れられた問い。それにTさんは答える。
「もう≪夢の国≫は歪んでいない。手を出してやらないで欲しい」
「嫌、だなァ」
ニタァっと、将門さんは嗤う。
そして立ちあがり、傍に置いてあった弓を引き、
「そこな小娘は、我が配下に手を出しおったしな」
祟り殺さねば、
そう言って、引かれ、狙いを定める弓、
あのクソ爺と似ている気配、しかしこれは何か違う。あのクソ爺は個人的な戦闘力はそんなに大したことはなかった。でもあの武者は、
強い。
やばい、これは、やば――
突然武者の姿が見えなくなった。
何事かと一瞬思って、すぐに俺たちの前にTさんが立ったことに、気づいた。
「……邪魔をするか」
「聞き入れてもらえないだろうか、将門公」
「くどい。邪魔だ、退け」
将門さんはどうやらこっちの意見を聞く気はないようだ。俺はTさんに声をかけ、この場からとっとと逃げようと言おうとする。けど、直後、あの姉ちゃんしかここからの脱出方法を知らないことに気が付いた。
どうする!? パニくる寸前、Tさんが言葉を発した。
やれやれ、
「頭が固いな」
と。
「……なに?」
将門さんは弓を傍にどけ、再びどかりと座り、疑問顔をTさんに向ける。
「もっと柔軟に考えられんか? 将門公。もし、やっと悪夢から抜け出したこの子を害するというのなら、あんたは俺の敵だ」
「くっかかかかかかかかかかかかっ!! 青二才が、この祟り神に物を申すかっ!!」
将門さんの興味が夢子ちゃんから移っていくのをはっきりと感じる。
「将門公は≪夢の国≫との戦には、いたのだったか」
「かかかか! そうよ! 彼奴らを何度も何匹も討ち取ってやったわっ!」
将門さんの言葉にTさんは頷き、
「公よ、あの戦いの下地を整え、≪夢の国の創始者≫を討ったモノがいることを知っておられるか?」
「ああ、いるらしいなァ」
「そいつは≪夢の国の創始者≫、いわば≪夢の国≫の中枢を討つまでの間≪夢の国≫が町へ手を出しづらくなるように、壁となり、餌となるように町の契約者たちに情報を播いた」
一息つき、
「そいつは、俺でな?」
と言って、
笑い、
続ける。
「所詮公も俺の手の上で踊っていただけなんだよ、首塚に祭られし祟り神、この国の歴史上に名を残す、最悪クラスの祟り神、平将門公?」
よく踊ってくれた。と、
――瞬間
爆弾でも爆発したかのような音を立てて鞘入りの刀がTさんの目の前に強引に突き刺さった。
「広ぇっ!」
「大きい」
「きれいなの」
で、姉ちゃんの箱に乗ってたどり着いたそこは、どこかの日本家屋みたいだった。やたらめったら広いが。
姉ちゃん(≪フィラデルフィア計画≫の契約者らしい)。はそのまま部屋の奥の方へと行ってしまった。
碌に言葉も交わしていないなーおしいなーとか思いつつその姿を追っていると、奥の方にはスーツ姿に眼鏡をかけたキャリアウーマンみたいな姉ちゃんと、
「なんだ、あれ」
甲冑を来た若武者? いや、なんか、これはおかしい。気配が、違う。この気配はどこかで――
「ぁ……」
夢子ちゃんが顔を青くして退いている。
そうだ、この気配。あのクソ爺、≪夢の国の創始者≫に、似てる?
愉快そうに甲冑の武者は言う。
「くっかかか、この深夜に何事ぞ?」
これが、平将門か。
「あー、戦後交渉に、ね」
「ほう?」
Tさんの言葉に無言で顎をしゃくる将門さん。
それに頷きTさんは話し続ける。
この日何度目かになる、≪夢の国≫の境遇を――
「――というわけだ」
「それで?」
間髪なく入れられた問い。それにTさんは答える。
「もう≪夢の国≫は歪んでいない。手を出してやらないで欲しい」
「嫌、だなァ」
ニタァっと、将門さんは嗤う。
そして立ちあがり、傍に置いてあった弓を引き、
「そこな小娘は、我が配下に手を出しおったしな」
祟り殺さねば、
そう言って、引かれ、狙いを定める弓、
あのクソ爺と似ている気配、しかしこれは何か違う。あのクソ爺は個人的な戦闘力はそんなに大したことはなかった。でもあの武者は、
強い。
やばい、これは、やば――
突然武者の姿が見えなくなった。
何事かと一瞬思って、すぐに俺たちの前にTさんが立ったことに、気づいた。
「……邪魔をするか」
「聞き入れてもらえないだろうか、将門公」
「くどい。邪魔だ、退け」
将門さんはどうやらこっちの意見を聞く気はないようだ。俺はTさんに声をかけ、この場からとっとと逃げようと言おうとする。けど、直後、あの姉ちゃんしかここからの脱出方法を知らないことに気が付いた。
どうする!? パニくる寸前、Tさんが言葉を発した。
やれやれ、
「頭が固いな」
と。
「……なに?」
将門さんは弓を傍にどけ、再びどかりと座り、疑問顔をTさんに向ける。
「もっと柔軟に考えられんか? 将門公。もし、やっと悪夢から抜け出したこの子を害するというのなら、あんたは俺の敵だ」
「くっかかかかかかかかかかかかっ!! 青二才が、この祟り神に物を申すかっ!!」
将門さんの興味が夢子ちゃんから移っていくのをはっきりと感じる。
「将門公は≪夢の国≫との戦には、いたのだったか」
「かかかか! そうよ! 彼奴らを何度も何匹も討ち取ってやったわっ!」
将門さんの言葉にTさんは頷き、
「公よ、あの戦いの下地を整え、≪夢の国の創始者≫を討ったモノがいることを知っておられるか?」
「ああ、いるらしいなァ」
「そいつは≪夢の国の創始者≫、いわば≪夢の国≫の中枢を討つまでの間≪夢の国≫が町へ手を出しづらくなるように、壁となり、餌となるように町の契約者たちに情報を播いた」
一息つき、
「そいつは、俺でな?」
と言って、
笑い、
続ける。
「所詮公も俺の手の上で踊っていただけなんだよ、首塚に祭られし祟り神、この国の歴史上に名を残す、最悪クラスの祟り神、平将門公?」
よく踊ってくれた。と、
――瞬間
爆弾でも爆発したかのような音を立てて鞘入りの刀がTさんの目の前に強引に突き刺さった。
「くっかかかかかかかかかかかかかかかかか!! 貴様がそうであったか青年! 愉快愉快!!」
将門さんはそう言うと、立ち上がりひと振りの刀を抜いた。
「そしてこの将門をいいように踊らせたなどと思いあがったこと、後悔させてやろうぞっ!」
「そしてこの将門をいいように踊らせたなどと思いあがったこと、後悔させてやろうぞっ!」
この瞬間、将門さんの興味は完全にTさんに移った。