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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-12

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黒服Hと呪われた歌の契約者 12


 あの手の夢は、久々だ
 ま、だからと言って嬉しいもんでもないが

「…さて、と」

 仕事だ、仕事
 過労死候補ナンバー1の同僚が強制的に休まされている以上、自分たちが仕事をしなければならない
 まだ、「夢の国」との戦いの後始末はさておき、「鮫島事件」の事後処理が終わっていないのだ
 上層部の連中は相変わらず見栄の張り合いやら面子を保とうとするのに必死ときた
 まったく、現場の苦労をちったぁ知れと言うのだ
 そう考えつつ、部屋を出ると

「…あぁ、おはようございます」
「あぁ、おはよう」

 ……あれ?
 過労死候補ナンバー1の同僚
 隣の部屋に住んでいるそいつが、極自然に、スーツ姿で部屋を出ているところだった
 ………あれ??

「お前、「組織」からも休めって言われてるだろ」
「えぇ、そうですが…今日は、人と会う約束がありますので」

 仕事ではありません、と苦笑してくる過労死候補ナンバー1の同僚
 ……あぁ、なるほど
 あそこに、今後のバックアップを依頼するつもりか

 「組織」からの扱いが微妙になってしまったこいつ
 新たに、支援してくれる団体を得なければ、なかなかに大変だろう
 「あそこ」なら、仕事を押し付けられる確立が低いわりにバックアップは万全だ
 問題あるまい

「…あぁ、そうだ。お前も、あの夢見たか?」

 将門の口ぶりからするに、こいつも、あの夢を見る条件はクリアしているはずなのだが
 しかし、こいつは小さく、首を傾げてきて

「…夢、ですか?」
「あれ?見てないか?「首塚」主催祝勝会の案内。将門の生首が夢に出てそれを」
「いえ……あぁ、私は先に口頭で伝えられましたので、そのせいかもしれません」

 あぁ、なるほど
 先に情報を得ていれば、夢で見る事はなかったのか
 ……うん、正解だ
 あんな夢みたら、こいつまた頭痛が再発して

「…そうですか、将門公は、そんな招待法をしましたか…」

 あ
 どちらにせよ、頭痛と胃痛再発か?
 いやいや、俺のせいじゃないぞ?
 俺のせいじゃないからな?

「ま、矢文で招待されるよかマシだろ」
「……そう言う問題でしょうか」

 そう言う問題、にしておけばいいのだ

「…それで、あなたは、行かれるのですか?」
「いや、行かないな。どうにも「首塚」は苦手だ」

 あまり、関わりたくない
 それが本音だ
 正直、自分が担当している契約者たちにも出来れば行って欲しくないものだ
 一応、後で連絡しておくか

「そうですか……まぁ、その方が良いかもしれませんね。私に「鮫島事件」の情報をもたらしたのがあなたと知ったら、将門公が興味をもってくるかもしれません」
「それは、御免だな」

 美人のねーちゃんに興味もたれるならともかく、男に興味もたれるのは、ちょっと

「お前は、行くんだな?」
「はい。まぁ、付き合いもありますから…」

 今後、「組織」と「首塚」の仲介者になる可能性も高い男だ
 確かに、参加しておいた方がいいだろう、こいつは
 「組織」と「首塚」、その両者に対して…こいつは、多分中立であろうとするのだろうし

「ま、せいぜい楽しんで来たらどうだ?たまにはしっかり休んだ方がいいぞ」
「…そう、できればいいのですが」

 小さく、苦笑してくる
 …あぁ、そうか
 宴に参加しても休めない可能性があるか、こいつは
 つーか、あれだ
 こいつの場合、頼まれた仕事を断れないから悪い
 そうじゃなくても、自主的に仕事を見つけたらやってしまうから悪い
 どう考えても、過労死しやすいタイプだ
 都市伝説だから、過労死せずにすんでいるようなものだろう

 俺とは、大違いだ

(…「組織」の中に、「コトリバコ」を手にいれやがった奴がいることは、黙っておいた方がよさそうだな)

 知ったら、こいつはまた動くだろう
 そいつを止めようと、動くはずだ
 …いつかは知るかもしれないが、積極的に伝えるべきではない
 知られる前に始末できればいいが、それも難しそうだしな

 マンションの入り口まで、そのまま自然と並んでいく
 ……あぁ、畜生
 こいつが女体化状態だったならば、エレベーターの中でじっくりと痴漢行為でもやってやったところなのだが

 …あの女体化ガスマッドガッサー、やっぱ退治じゃなくて捕獲の方向で行きたいな
 あのガスを量産できれば、色々と幸せな事になりそうだ
 それはもう、しっかりと使いこんでやるのだが…

「……あの」
「ん?あぁ」

 おぉっと
 また、能力が発動したか
 ちょっとした妄想でもいい勢いで伸びるから困る

「相変わらず、制御が大変そうですね」
「まぁな。幸い、戦闘で扱いやすい能力だから良しとするさ」

 OK、バレてない
 こちらの能力の発動条件はバレてないぞ
 こいつは、俺をただ、制御の難しい都市伝説と契約してしまった為に都市伝説に飲まれた不幸な存在だと信じて疑っていない
 真相がバレたら仕事手伝ってくれなくなるかもしれないから、秘密だ秘密

「…それでは、私はこれで」
「あぁ。人と会う約束とやらを終わらせたら休めよ?」

 はい、と同僚は小さく頭を下げて、俺とは反対の道に歩いていった
 さて、と
 携帯を弄り、連絡する

「俺だ……あぁ、今から「本部」に行く。「鮫島事件」の再発防止についてはそっちに任せた。後始末はこっちがやる」

 ……まったく
 まだしばらく、俺の髪から、血の匂いはとれないだろうな
 それを考えると、やや憂鬱になるが

 まぁ、仕方あるまい
 「組織」には、管理派も過激派もいらない
 ただ「組織」は、都市伝説に関する事を吹聴しないよう、人々に言いまわる存在だけでいいのだ
 だから、余計な連中は殺ぎ落とさないと


 秋風も冷たくなってきた中
 かすかに血の匂いをさせながら…黒服は、路地裏に消えて行ったのだった



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