Tさん VS 日焼けマシンで人間ステーキと同時刻契約者視点
「だり~」
俺は今、Tさんから出された宿題のめんどうくさい数式なぞ解いている。学校行かない分なのだからしょうがないと割り切るが、やっぱりめんどい。
と、そんなことを思っていると、
――破ぁ!!
Tさんの気合が聞こえた。
「なんだぁ?」
今の気合の声ってことは、戦っている、のか?
「もしかして将門様とのお話がこじれてしまったんじゃ」
夢子ちゃんの言葉に、
「冗談じゃねえぞ!?」
と立ち上がる。
Tさんも将門にゃかなわない的なことを言っていた。それに、また昨日のようなことになられたら……
「トラウマが増えるじゃねえか!」
勉強道具を放りだす。そして、
「ちょっと行ってくる」
言うと、
「私も行きます」
「わたしもー」
二人が言ってきたのでそのままついてこさせる。正直戦闘になったら一番役立たずなのは俺だ。
昨日案内されてきた通路を逆に辿る。戦闘をしているらしい物音が近くなってきているのが感じられる。
そして、将門のいる部屋へとたどり着いた。そこではやはり戦闘が行われているんだが、
「Tさんと、……黒服さんと一緒にいたチャラい兄ちゃん?」
Tさんと戦っているのは≪夢の国≫と戦うちょっと前に黒服さんと一緒にいるのを見た禁断の恋に走ってるっぽいチャラい兄ちゃんだった。
兄ちゃんがこっちに気づき、俺たちを、いや、夢子ちゃんを見て一瞬顔をこわばらせた? そう思っているうちに、
「――破ぁっ!」
Tさんが白光を放って、
「っ!」
避けた兄ちゃんを先回りし、
「――――っだ!?」
びたんっ!! と床に叩き付けてそのまま組み敷いていた。
そのままTさんが両手首をしっかりと拘束してしまうと、
くっかかかかかかか! と、
やたらと楽しげな将門の笑い声が響き渡った。
「勝負ありだな」
「…………はい」
俺の、負けですと兄ちゃんはうなだれたまま言った。
とりあえず場は収まったのか?
そう思いつつTさんに駆け寄る。
「おい、Tさん、大丈夫か? ……ってか、何だよその健康的な日焼けは」
「かっこいいの」
駆けよってみたらなんかTさんは海にでも行ってきたかのように健康的な日焼けをしていた。見当たるケガも腕が多少火傷しているくらいだ。
「ははは、そうだろうそうだろう」
Tさんが自身の日焼けを見せて笑っているとチャラい兄ちゃんが何かをTさんにポンと放ってきた。
「む?」
Tさんが受け取ると、それは小さな瓶で、
「≪蝦蟇の油≫だ。使っとけ」
ややむすっとした表情で、兄ちゃんがそう言った。
「ありがたく使わせてもらおう」
そう言ってTさんが火傷した部分に、瓶の中身を塗りつけると………すぅ、と、火傷が初めからなかったかのように消えていく。
「おぉ~」とリカちゃんと一緒に歓声を上げる。すげえ、RPGの傷薬みたいだ!
「あの、大丈夫ですか?」
夢子ちゃんが心配そうに訊くが、Tさんは涼しい顔で「ああ、問題ない」と答える。
トンデモ人間め。
「……つか、どうしてこんな事態になったのか。詳しく説明してもらおうか」
ジトっと睨んで言うと、Tさんは小さく苦笑した。
チャラい兄ちゃんは将門によくやったとかなんとか褒められている。またアイツのせいか?
将門はくっく、と笑いながらチャラい兄ちゃんに言う。
「ところで、戦いの前に言ったこと、覚えておるか?」
「あ、はい。殺すまではしないと、恨みっこなし」
ああなんだ。試合みたいなもんだったのか。それなら――
「……もう一つだ」
「え?」
チャラい兄ちゃんがキョトンとした。
なんだ? 兄ちゃんも知らないのか?
将門はくっくっく、とやたらと楽しそうに笑っている。それを眺めていたTさんがため息を一つついて、
「やはり、聞こえていなかったんだな」
「え?」
Tさんの言葉にチャラい兄ちゃんはますます首をかしげた。
俺も気になる。なんだ?
「将門公、最後の一つのアレを小声で言ったのは反則だと思うのだが」
「おやぁ? 何の事かぁ?」
将門は楽しそうに笑っているだけだ。チャラい兄ちゃんが若干焦ったように言う。
「将門様? 最後に、なんと仰ってたので?」
将門はチャラい兄ちゃんを見て、
「『負けた方は勝った方の言う事を一つだけ聞くように』と言ったのだが?」
かっかっか! と笑いながら言った。
…………………ほう?
「んな事言ったんですかっ!?」
「ただ勝負するだけではつまらんだろう?」
「いや、それもちょっとわかりますけどっ!」
チャラい兄ちゃんは何か将門と話し込んでいる。まあそれはそれとして、Tさんを手招きする。
「TさんTさん、ここじゃイジルためのオモチャが足りないと思うんだ」
「何かアテがあるのか?」
「夢子ちゃんに頼んで≪夢の国の地下カジノ≫に連れて行ってもらうってのはどう?」
Tさんは俺の顔を見て、
「こういうときは冴えてるな、契約者」
しみじみと言われた。まあそんな褒めるなよ。
「行こうぜ」
「ずっと勉強と言うのも酷か。ん、では遊ぶか。彼と」
「おうっ」
彼"で"、ね。
俺は今、Tさんから出された宿題のめんどうくさい数式なぞ解いている。学校行かない分なのだからしょうがないと割り切るが、やっぱりめんどい。
と、そんなことを思っていると、
――破ぁ!!
Tさんの気合が聞こえた。
「なんだぁ?」
今の気合の声ってことは、戦っている、のか?
「もしかして将門様とのお話がこじれてしまったんじゃ」
夢子ちゃんの言葉に、
「冗談じゃねえぞ!?」
と立ち上がる。
Tさんも将門にゃかなわない的なことを言っていた。それに、また昨日のようなことになられたら……
「トラウマが増えるじゃねえか!」
勉強道具を放りだす。そして、
「ちょっと行ってくる」
言うと、
「私も行きます」
「わたしもー」
二人が言ってきたのでそのままついてこさせる。正直戦闘になったら一番役立たずなのは俺だ。
昨日案内されてきた通路を逆に辿る。戦闘をしているらしい物音が近くなってきているのが感じられる。
そして、将門のいる部屋へとたどり着いた。そこではやはり戦闘が行われているんだが、
「Tさんと、……黒服さんと一緒にいたチャラい兄ちゃん?」
Tさんと戦っているのは≪夢の国≫と戦うちょっと前に黒服さんと一緒にいるのを見た禁断の恋に走ってるっぽいチャラい兄ちゃんだった。
兄ちゃんがこっちに気づき、俺たちを、いや、夢子ちゃんを見て一瞬顔をこわばらせた? そう思っているうちに、
「――破ぁっ!」
Tさんが白光を放って、
「っ!」
避けた兄ちゃんを先回りし、
「――――っだ!?」
びたんっ!! と床に叩き付けてそのまま組み敷いていた。
そのままTさんが両手首をしっかりと拘束してしまうと、
くっかかかかかかか! と、
やたらと楽しげな将門の笑い声が響き渡った。
「勝負ありだな」
「…………はい」
俺の、負けですと兄ちゃんはうなだれたまま言った。
とりあえず場は収まったのか?
そう思いつつTさんに駆け寄る。
「おい、Tさん、大丈夫か? ……ってか、何だよその健康的な日焼けは」
「かっこいいの」
駆けよってみたらなんかTさんは海にでも行ってきたかのように健康的な日焼けをしていた。見当たるケガも腕が多少火傷しているくらいだ。
「ははは、そうだろうそうだろう」
Tさんが自身の日焼けを見せて笑っているとチャラい兄ちゃんが何かをTさんにポンと放ってきた。
「む?」
Tさんが受け取ると、それは小さな瓶で、
「≪蝦蟇の油≫だ。使っとけ」
ややむすっとした表情で、兄ちゃんがそう言った。
「ありがたく使わせてもらおう」
そう言ってTさんが火傷した部分に、瓶の中身を塗りつけると………すぅ、と、火傷が初めからなかったかのように消えていく。
「おぉ~」とリカちゃんと一緒に歓声を上げる。すげえ、RPGの傷薬みたいだ!
「あの、大丈夫ですか?」
夢子ちゃんが心配そうに訊くが、Tさんは涼しい顔で「ああ、問題ない」と答える。
トンデモ人間め。
「……つか、どうしてこんな事態になったのか。詳しく説明してもらおうか」
ジトっと睨んで言うと、Tさんは小さく苦笑した。
チャラい兄ちゃんは将門によくやったとかなんとか褒められている。またアイツのせいか?
将門はくっく、と笑いながらチャラい兄ちゃんに言う。
「ところで、戦いの前に言ったこと、覚えておるか?」
「あ、はい。殺すまではしないと、恨みっこなし」
ああなんだ。試合みたいなもんだったのか。それなら――
「……もう一つだ」
「え?」
チャラい兄ちゃんがキョトンとした。
なんだ? 兄ちゃんも知らないのか?
将門はくっくっく、とやたらと楽しそうに笑っている。それを眺めていたTさんがため息を一つついて、
「やはり、聞こえていなかったんだな」
「え?」
Tさんの言葉にチャラい兄ちゃんはますます首をかしげた。
俺も気になる。なんだ?
「将門公、最後の一つのアレを小声で言ったのは反則だと思うのだが」
「おやぁ? 何の事かぁ?」
将門は楽しそうに笑っているだけだ。チャラい兄ちゃんが若干焦ったように言う。
「将門様? 最後に、なんと仰ってたので?」
将門はチャラい兄ちゃんを見て、
「『負けた方は勝った方の言う事を一つだけ聞くように』と言ったのだが?」
かっかっか! と笑いながら言った。
…………………ほう?
「んな事言ったんですかっ!?」
「ただ勝負するだけではつまらんだろう?」
「いや、それもちょっとわかりますけどっ!」
チャラい兄ちゃんは何か将門と話し込んでいる。まあそれはそれとして、Tさんを手招きする。
「TさんTさん、ここじゃイジルためのオモチャが足りないと思うんだ」
「何かアテがあるのか?」
「夢子ちゃんに頼んで≪夢の国の地下カジノ≫に連れて行ってもらうってのはどう?」
Tさんは俺の顔を見て、
「こういうときは冴えてるな、契約者」
しみじみと言われた。まあそんな褒めるなよ。
「行こうぜ」
「ずっと勉強と言うのも酷か。ん、では遊ぶか。彼と」
「おうっ」
彼"で"、ね。
「……さて」
Tさんがチャラい兄ちゃんを振りかえる。チャラい兄ちゃんがなんか青い顔になってる気がするが、きっと気のせいだ。
「さて……ちょ~~~~~~と、一緒に来てくれるか?」
言うと、
「何でお前が言うんだよ」
え、
「だって俺、Tさんの契約者だし、Tさんの権利は俺の権利?」
「どんなジャイアニズムだっ!?」
褒められた。
チャラい兄ちゃんは立ち上がると、
「……分かったよ。付いて行けばいいんだろ、付いて行けば!」
こっちに振り向いた。
「思ってたより素直だな」
Tさんが言うと、
「……負けは負けだからな」
そう言って俺たちについてきた。
Tさんがチャラい兄ちゃんを振りかえる。チャラい兄ちゃんがなんか青い顔になってる気がするが、きっと気のせいだ。
「さて……ちょ~~~~~~と、一緒に来てくれるか?」
言うと、
「何でお前が言うんだよ」
え、
「だって俺、Tさんの契約者だし、Tさんの権利は俺の権利?」
「どんなジャイアニズムだっ!?」
褒められた。
チャラい兄ちゃんは立ち上がると、
「……分かったよ。付いて行けばいいんだろ、付いて行けば!」
こっちに振り向いた。
「思ってたより素直だな」
Tさんが言うと、
「……負けは負けだからな」
そう言って俺たちについてきた。
●
で、夢子ちゃんに頼んで≪夢の国の地下カジノ≫まで来た。さて、どう遊んでくれようかと思っていると、
「あらあら、久しぶり!」
「きゃあ! あの時のあの子なのね!」
「大きくなったわね、今年でいくつだったかしら?」
≪夢の国≫が復活したくせにずっとカジノに入り浸っているお姫様たちが周りを囲んだ。
ん?
「あれ? お姫様たち、こいつ知ってんの?」
チャラい兄ちゃんのことを知ってるっぽい口ぶりのお姫様たちに訊ねると、
「ええ、知ってるわ」
「あの時はまだ小学生だったの、可愛かったわ」
「ドレスがとっても似合ってたわ」
へぇ、
「ドレス?」
「な、なんでもねぇっ!?」
首をかしげた夢子ちゃんにチャラい兄ちゃんは慌てて言った。お姫様たちはかまわず、
「そうだわ、今でも似合うんじゃないかしら?」
「そうだわ、きっと似合うわ」
「どんな服がいいかしら? やっぱりドレスがいいかしら?」
「……待てお前等っ!?」
チャラい兄ちゃんがなんか言ってるがそんなことよりも今エプロンドレスの娘さんが良いこと言った。
チャラい兄ちゃんを見てみる。少年時代にはとても似合っていたらしい女装、今の兄ちゃんは見たところTさんと同い年(見た目)くらい。大多数の男はこの年になるともう女装が似合うとは思えない。思えない、が。世の中には例外というものが存在する。そして俺はその例外たちと割と縁がある人間だ。
お姫様たちに振り返る。
「うん、それじゃあ、お姫様たち、女装コース一択で」
『はーい!』
いい返事だった。
チャラい兄ちゃんがなにか叫んでいるような気がするがさて、聞こえんなぁ。くっくっく。
Tさんはなにやらチャラい兄ちゃんに合掌している。夢子ちゃんはよく状況を分かっていないっぽい。俺の肩のリカちゃんと顔を見合わせてキョトンとしている。うむ、この辺も後で夢子ちゃんには教えてあげなくちゃな。と思いつつお姫様たちに言う。
「やっちゃえ!」
『はーい!』
はし、とお姫様たちの手がチャラい兄ちゃんの体を掴む。
「さぁ、行きましょ、素敵な服を選んであげる」
「髪も綺麗に結ってあげる」
「綺麗にお化粧してあげる」
そう言ってカジノの一室に連れ込もうとする。
「っちょ、待てっ!? あれから十年はたってんだぞ!? 女装が似合う訳なんざねぇだろっ!! 待て、考えなおし……!!」
ばたん、と。カジノの一室の扉が無情にも閉まった。
――――そして数分後
「ほら隠れるなってー。撮影してやるから」
「するなっ!! 言うこと聞くってのは一つだけだろ! 撮影だけはやめろ!!」
お姫様たちに見事に女装させてもらったチャラい兄ちゃんはカジノのテーブルを一つ、どっかの映画みたいに楯にして俺の写撃に抗戦していた。
「いいじゃんか、写真くらい」
朝のあの様子だとキャリアウーマンな姉ちゃんが喜ぶと思うんだがなぁ。
思い出す。
こちらから逃げようとしてふわりと際どく舞う無駄毛処理が不必要なほどの綺麗な足を飾るミニスカート、運動か、はたまた戦闘かバイトで鍛えられたっぽいしなやかな筋肉からなる見事な脚線美、お姫様たちのナイスチョイスによって合わせられた衣装、綺麗に結わえられた髪。チャラい兄ちゃんの普段は世間からはみ出そうとしているような金髪も今では帰国子女か異国のお嬢さんみたいに見える。そんなものを
「記録に残さないなんてもったいない」
正直な感想だった。
「似合ってるのに」
「あぁ、似合ってるな」
Tさんと率直な感想を言い合う。
「男がそんな事言われて喜ぶとでも思ったかっ!?」
「またまたぁ、結構好きなくせに」
「ねぇよっ!」
強情だ。
まあいいや、
「ほら、この後将門にも見せるんだから、出ろってば」
カメラをしまってテーブルの奥に向かって声をかけてやる。
「将門様を呼び捨てにすんな! ………ってか、将門様にも見せられるかっ!! こんな姿っ!!!」
えー、
「もしかしたら気に入ってくれるかもよ?」
「何をどう気に入るんだよ!?」
それはまぁ、いろいろ?
「女装はしただろ!? もういいだろ!?」
何か言っている。サラリと流して惜しいのでもっかい撮影の件を言ってみる。
「えー、撮影まだしてないぜ?」
「だから撮影だけは止めろっ!!」
どうも撮影は断固拒否の構えらしい。
「……えっと、そ、それくらいにした方が……」
「だって、記念になるし」
夢子ちゃんがおずおずと言ってくる。どうもチャラい兄ちゃんが嫌がってるのを見るのが辛いらしい。かわいいなぁ、そして今度"嫌よ嫌よも好きのうち"という言葉を教えてやろう。
「あらあら、久しぶり!」
「きゃあ! あの時のあの子なのね!」
「大きくなったわね、今年でいくつだったかしら?」
≪夢の国≫が復活したくせにずっとカジノに入り浸っているお姫様たちが周りを囲んだ。
ん?
「あれ? お姫様たち、こいつ知ってんの?」
チャラい兄ちゃんのことを知ってるっぽい口ぶりのお姫様たちに訊ねると、
「ええ、知ってるわ」
「あの時はまだ小学生だったの、可愛かったわ」
「ドレスがとっても似合ってたわ」
へぇ、
「ドレス?」
「な、なんでもねぇっ!?」
首をかしげた夢子ちゃんにチャラい兄ちゃんは慌てて言った。お姫様たちはかまわず、
「そうだわ、今でも似合うんじゃないかしら?」
「そうだわ、きっと似合うわ」
「どんな服がいいかしら? やっぱりドレスがいいかしら?」
「……待てお前等っ!?」
チャラい兄ちゃんがなんか言ってるがそんなことよりも今エプロンドレスの娘さんが良いこと言った。
チャラい兄ちゃんを見てみる。少年時代にはとても似合っていたらしい女装、今の兄ちゃんは見たところTさんと同い年(見た目)くらい。大多数の男はこの年になるともう女装が似合うとは思えない。思えない、が。世の中には例外というものが存在する。そして俺はその例外たちと割と縁がある人間だ。
お姫様たちに振り返る。
「うん、それじゃあ、お姫様たち、女装コース一択で」
『はーい!』
いい返事だった。
チャラい兄ちゃんがなにか叫んでいるような気がするがさて、聞こえんなぁ。くっくっく。
Tさんはなにやらチャラい兄ちゃんに合掌している。夢子ちゃんはよく状況を分かっていないっぽい。俺の肩のリカちゃんと顔を見合わせてキョトンとしている。うむ、この辺も後で夢子ちゃんには教えてあげなくちゃな。と思いつつお姫様たちに言う。
「やっちゃえ!」
『はーい!』
はし、とお姫様たちの手がチャラい兄ちゃんの体を掴む。
「さぁ、行きましょ、素敵な服を選んであげる」
「髪も綺麗に結ってあげる」
「綺麗にお化粧してあげる」
そう言ってカジノの一室に連れ込もうとする。
「っちょ、待てっ!? あれから十年はたってんだぞ!? 女装が似合う訳なんざねぇだろっ!! 待て、考えなおし……!!」
ばたん、と。カジノの一室の扉が無情にも閉まった。
――――そして数分後
「ほら隠れるなってー。撮影してやるから」
「するなっ!! 言うこと聞くってのは一つだけだろ! 撮影だけはやめろ!!」
お姫様たちに見事に女装させてもらったチャラい兄ちゃんはカジノのテーブルを一つ、どっかの映画みたいに楯にして俺の写撃に抗戦していた。
「いいじゃんか、写真くらい」
朝のあの様子だとキャリアウーマンな姉ちゃんが喜ぶと思うんだがなぁ。
思い出す。
こちらから逃げようとしてふわりと際どく舞う無駄毛処理が不必要なほどの綺麗な足を飾るミニスカート、運動か、はたまた戦闘かバイトで鍛えられたっぽいしなやかな筋肉からなる見事な脚線美、お姫様たちのナイスチョイスによって合わせられた衣装、綺麗に結わえられた髪。チャラい兄ちゃんの普段は世間からはみ出そうとしているような金髪も今では帰国子女か異国のお嬢さんみたいに見える。そんなものを
「記録に残さないなんてもったいない」
正直な感想だった。
「似合ってるのに」
「あぁ、似合ってるな」
Tさんと率直な感想を言い合う。
「男がそんな事言われて喜ぶとでも思ったかっ!?」
「またまたぁ、結構好きなくせに」
「ねぇよっ!」
強情だ。
まあいいや、
「ほら、この後将門にも見せるんだから、出ろってば」
カメラをしまってテーブルの奥に向かって声をかけてやる。
「将門様を呼び捨てにすんな! ………ってか、将門様にも見せられるかっ!! こんな姿っ!!!」
えー、
「もしかしたら気に入ってくれるかもよ?」
「何をどう気に入るんだよ!?」
それはまぁ、いろいろ?
「女装はしただろ!? もういいだろ!?」
何か言っている。サラリと流して惜しいのでもっかい撮影の件を言ってみる。
「えー、撮影まだしてないぜ?」
「だから撮影だけは止めろっ!!」
どうも撮影は断固拒否の構えらしい。
「……えっと、そ、それくらいにした方が……」
「だって、記念になるし」
夢子ちゃんがおずおずと言ってくる。どうもチャラい兄ちゃんが嫌がってるのを見るのが辛いらしい。かわいいなぁ、そして今度"嫌よ嫌よも好きのうち"という言葉を教えてやろう。
●
その後、夢子ちゃんを宥めすかし、Tさんにチャラい兄ちゃんを縛りあげさせてチャラい兄ちゃんを将門の前まで連れ出した。
で、
「将門さん、どうよ? チャラい兄ちゃんのこの見事な女装!」
「くかかか! 女形で天下をとれるやもしれんなぁ!」
「おお、話がわかんじゃん将門さん!」
女子が足を出すなとか言われたらどうしようかと思ったぜ!
「くくく、どれ、酌でもさせようか」
「う……」
Tさんがポン、とチャラい兄ちゃんの肩に手を置く。顔はすごくいい笑顔だ。
「~~~っ!」
酌をする兄ちゃんを眺めて爆笑しまくった。
で、
「将門さん、どうよ? チャラい兄ちゃんのこの見事な女装!」
「くかかか! 女形で天下をとれるやもしれんなぁ!」
「おお、話がわかんじゃん将門さん!」
女子が足を出すなとか言われたらどうしようかと思ったぜ!
「くくく、どれ、酌でもさせようか」
「う……」
Tさんがポン、とチャラい兄ちゃんの肩に手を置く。顔はすごくいい笑顔だ。
「~~~っ!」
酌をする兄ちゃんを眺めて爆笑しまくった。
●
意外に話が分かる将門に多少俺の中での将門の評価を改めつつ地下カジノにてチャラい兄ちゃんを追いかけて荒らしに荒らした地下カジノを掃除している。チャラい兄ちゃんは、
「バイトだと言って帰られちまった。いや、けっこう楽しませてもらったけど」
お姫様たちもキャイキャイと嬉しそうだ。久しぶりに昔馴染みと会ったんだから当然か。
Tさんはさっきからなんか小人と飲んでる。小人から誘ってきてたんだが、小人若干泣き上戸だ。苦労してるんだろうか?
「うしっ!」
モップを片づけて辺りを見回す。完璧だ。
今回は楽しんだし、これでもうしばらくは勉強する気も起きようというものだ!
まあ、その前に、だ。
俺は近くのお姫様に声をかけ、訊ねる。
「この地下カジノって、防犯カメラとか、ある?」
あの姿は形として残しておきたい。もし手に入ったらアルバムの黒服さん(女体化)の隣に保存しよう。
そう思った。
「バイトだと言って帰られちまった。いや、けっこう楽しませてもらったけど」
お姫様たちもキャイキャイと嬉しそうだ。久しぶりに昔馴染みと会ったんだから当然か。
Tさんはさっきからなんか小人と飲んでる。小人から誘ってきてたんだが、小人若干泣き上戸だ。苦労してるんだろうか?
「うしっ!」
モップを片づけて辺りを見回す。完璧だ。
今回は楽しんだし、これでもうしばらくは勉強する気も起きようというものだ!
まあ、その前に、だ。
俺は近くのお姫様に声をかけ、訊ねる。
「この地下カジノって、防犯カメラとか、ある?」
あの姿は形として残しておきたい。もし手に入ったらアルバムの黒服さん(女体化)の隣に保存しよう。
そう思った。
余談
チャラ男を縛り上げるときに……
嫌だ嫌だと暴れるチャラい兄ちゃん、だがとりあえず将門には見せたかったのでTさんに視線をむけた。
「頼む」
「ん」
うなずくとTさんは小人から縄を受け取った。
「コレがあの青年を縛ってくれると、俺の契約者が幸せだ」
Tさんがそう言うと縄が発光し、テーブルの後ろへと飛んで行った。
「むがっ!? んなぁ? やめ、ちょ!?」
何かテーブルの向こう側でどたばたと音が聞こえる。
「どうしたんですか?」
夢子ちゃんが心配して見に行っ――
「きゃあ」
とかわいらしい悲鳴が聞こえた。
「なんだ?」
見に行くと、
「これは」
「あー、ちょっと縛り方を指定しておけば良かったか」
「なんかすごいの」
チャラい兄ちゃんは縛られていた。
口を猿轡でも噛まされたかのように縄が二周して、残りは手を後ろに縛り付け、
胸が(偽乳が入ってる、だと?)強調されるように縄が周り、股に縄がキツク食い込んでおり、足が逃走防止用に縛りあげられていた。
「なんつーか」
エロい。亀甲縛りの亜種みたいだ。
……まあ、いいか。
このまま将門の所にもって行くことにした。
「頼む」
「ん」
うなずくとTさんは小人から縄を受け取った。
「コレがあの青年を縛ってくれると、俺の契約者が幸せだ」
Tさんがそう言うと縄が発光し、テーブルの後ろへと飛んで行った。
「むがっ!? んなぁ? やめ、ちょ!?」
何かテーブルの向こう側でどたばたと音が聞こえる。
「どうしたんですか?」
夢子ちゃんが心配して見に行っ――
「きゃあ」
とかわいらしい悲鳴が聞こえた。
「なんだ?」
見に行くと、
「これは」
「あー、ちょっと縛り方を指定しておけば良かったか」
「なんかすごいの」
チャラい兄ちゃんは縛られていた。
口を猿轡でも噛まされたかのように縄が二周して、残りは手を後ろに縛り付け、
胸が(偽乳が入ってる、だと?)強調されるように縄が周り、股に縄がキツク食い込んでおり、足が逃走防止用に縛りあげられていた。
「なんつーか」
エロい。亀甲縛りの亜種みたいだ。
……まあ、いいか。
このまま将門の所にもって行くことにした。