「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-41

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だれでも歓迎! 編集
 これは、一体どう言う状況なのか?
 Tさんの契約者は、目の前で行われているその戦いを見て、そう疑問を抱かざるを得なかった


 時間は少し巻き戻る
 そもそもの発端は、Tさんが将門に、宴の参加の件などで話をしようと彼の元へ行くと…ちょうど、日焼けマシンの契約者である青年も、そこにいた
 まぁ、Tさんから将門への話は問題なく進んだのだが
 …青年が、Tさんに突っかかったのだ
 そもそもこの青年、黒服の件もあって、あまりTさんのことが好きではない
 傍にあの黒服がいれば宥めてくれるところだが、今、傍に居るのは宥めてくれる黒服ではなく…むしろ、その自体を面白がる将門である
 そして、本来、ある程度は将門のストッパーになれる存在であるこの青年が冷静さを失っているこの時点で

「ならば、戦って不満を解消すればよい」

 との、将門の言葉を止めてくれる存在など、ここにはいなかったのだ


 勝負は一対一
 殺すまではしない、恨みっこなし
 …将門にとっては、寝酒の余興のようなものだろう
 と、言うか、その為に提案したとしか思えない
 Tさんにとっては、非常にえらい迷惑だろう
 黒服がこの事態を知ったら、また胃痛を覚えそうである

 ……とまれ
 戦いが始まってしまったからには、最早止める事など不可能なのである

「……む?」

 戦いが始まって、すぐ
 Tさんは、自分の肌が…うっすらと、日焼けしてきているのを感じた
 …なるほど、そう言う能力か

 ーーーー日焼けせずにすめば幸せだな

 そう考えた直後、まるで日焼けマシンにでも入っているかのように日焼けしていっていたTさんの体の日焼けが、止まった

「……っち」

 青年は舌打ちする
 こちらの能力を見切られた
 …ならば
 床を蹴り、青年はTさんへと接近する
 じわじわと焼けないならば、接触して一気に焼くまで!

「その手に触れられるのは、なんだか嫌な予感がするな」

 Tさんはそう呟き、するり、青年の手から逃れた
 前のめりのような状態になったが……そのまま、下から拳を振り上げる

「っと」

 ひらり
 これも、交わされる
 ……戦いなれている
 青年はTさんに、そんな印象を受けた
 そもそも、あの黒服と一緒に「夢の国」を討ち取った奴なのだ
 黒服には戦闘力がないのだから、こちらが戦えないと問題だったのだろうが…
 ……まぁ、いい
 自分とて、経験はそれなりに積んでいるつもりだ
 そう簡単に、負けるつもりはない!

 …Tさんから見て、青年は戦いなれているように見えた
 とくに格闘技を齧ったような様子はないが…実戦を積み、その中で自分にあった戦い方を自然と確立していったであろう印象
 決まった型がない分、攻撃の先読みなどは難しいが、不可能ではない
 先ほど掠った拳から、尋常ではない熱を感じた所によれば、接近戦でも、相手を焼く事ができると言う事
 ヘタに捕まれては、大きなダメージを負う
 まずは、距離をとるべきだろう

「……破ぁっ!!」
「っ!?」

 白い光を放つと、青年はそれを転がりながら避けた
 しかし、すぐに起き上がり、こちらに接近してこようとする
 青年が動くたび、じゃらじゃらと、彼が身に付けているシルバーアクセサリーが音を立てた

 じゃらんっ

 その中でも、青年が腰から下げている銀のチェーンが、Tさんの目を引く
 青年が身に付けているシルバーアクセサリーの中で、それだけは異色のような……そんな、違和感
 だが、その正体を探るよりも前に、青年はTさんへと接近する

 …じゃらり
 Tさんの嫌な予感は当たっており…銀のチェーンが、Tさんに向かって投擲される

 ---かわすことができれば幸せだ!

 刹那、Tさんの足が白く光り、驚異的な瞬発力で飛びのく
 じゃらんっ
 銀のチェーンはTさんには届かず、青年の手元に戻った


「チートな能力だな、おい」

 ひゅんひゅんとチェーンを弄びつつ、青年は呟く
 見えている限り、相手が幽体ではない限り有効なはずの自分の能力が、なぜか通用しない
 接近しようにも、先ほどのように、能力で驚異的な瞬発力で逃げられる
 …戦いにくい

「褒め言葉と受け取っておこうか」

 その余裕の言葉が、気に食わない
 弄ばれているような、子供扱いされているような、そんな錯覚
 …ふざけるな!
 黒服や将門相手に子供扱いされるなら平気だが、それ以外に子供扱いされるのは気に食わない
 意地でも、一撃当ててやる!

 身に付けていた指輪を一つ、手に取った
 ……じゅう、と
 それに、強烈な熱をこめる
 それでも溶ける事のない指輪を、Tさんに向かって投げつけた

「っと」

 当たれば、火傷確実のそれを、Tさんはひらりと避ける
 元から当てるつもりなどない
 本命は…

「---捕った!」
「!」

 じゃらんっ
 銀のチェーンが、Tさんの腕に絡みつく
 直後、青年の能力がチェーンを通して……Tさんの腕に、届いた
 じゅぅうううう………っ、と、肉の焼けた匂いがし始める
 これで……

「…このチェーンが切れてくれれば、幸せなんだがな」

 ぶちんっ!!

「……んな!?」

 チェーンが、切れた
 接続が切れたことより、Tさんに絡みついたチェーンはこれ以上熱される事はなく……Tさんはぺい、と絡みついたチェーンを捨てた
 チェーンがまきついていた部分は、真黒に火傷している

「今のは少し痛かったな」
「……あぁ、そうだろうな」

 これも駄目か
 ならば、どうするか?
 決まっている
 やはり、直接触れて焼くしかない
 接近しようと、再び床を蹴ろうとして…

「--------っ!」

 視界の隅に入った、その姿に
 思わず、動きが止まった

 戦いの音が、聞こえたのだろうか?
 Tさんの契約者らしき、頭に人形を乗せた少女と………もう一人少女が、この部屋まで来ていたのだ
 その、もう一人の少女に
 青年は、見覚えがあった

「----------ぁ」

 トラウマが、引きずり出される
 あれに、追いかけられた記憶
 パレードや着ぐるみに追いかけられた恐怖は、秋祭り二日目での戦いの際に捨てた
 しかし……彼女自身に
 「夢の国」自身に追い詰められた、あの時の恐怖は、まだ完全には消えてはいない

 あの時、黒服が助けてくれなければ
 自分はあのまま殺されて、内臓を引きずり出されて……

「----っ」

 恐怖を振り払う
 そうだ、自分はあの時、黒服に助けられた
 それ以外だって、何度も助けられて
 だから、助けられるようになりたくて、強くなろうとした
 強くなったつもりだ

 ……そんな自分が、恐怖になど支配されてどうする!!!

 体が硬直したのは、ほんの一瞬
 しかし
 そのほんの一瞬が、戦いに置いて致命的な隙となる

「---破ぁっ!」
「っ!」

 放たれた、白い光の攻撃
 青年はそれを慌てて避ける
 しかし、その攻撃はフェイント
 避けた先に、Tさんが先回りしていて

「-----っだ!?」

 びたんっ!!
 床に叩き付けられ、そのまま組み敷かれた
 両手首を、しっかりと拘束されてしまう
 戦いの最中で、高温に達しているはずの青年の体に触れていても、Tさんは涼しい顔をしている

「……っそれも、お前の能力かよ…!?」
「それなりに、融通が利く能力なんでね」

 効かない時は全くきかないのが困りものだが
 そう言って、Tさんは苦笑してくる

 ----なんとも楽しげな将門の笑い声が、響き渡った

「くっかかかかかか!勝負ありだな」
「………はい」

 がっくりと、青年は項垂れる

「…俺の、負けです」

 せめて、黒服をさんざこき使われた恨みを込めて一発くらいは殴りたかったのだが
 せいぜい、火傷を少し負わせられただけ
 この結末に、青年はがっくりと力尽きるのだった


「おい、Tさん、大丈夫か?……ってか、何だよその健康的な日焼けは」
「かっこいいの」

 Tさんの契約者が、Tさんに駆け寄ってくる
 チェーンがまきついた部分が火傷している以外は、健康的な範囲で日焼けしただけである
 この程度の火傷ならすぐ直せる、と考えたTさんだったが
 ぽん、と

「む?」

 投げ渡されたそれを、キャッチする
 それは、小さな瓶
 何かに何か入っているようだが…

「「蝦蟇の油」だ。使っとけ」

 ややむすっとした表情で、青年がそう言ってくる
 …別に使わなくともどうにかなるのだが
 好意として寄越してくれたのなら、それを断る訳にも行かないだろう
 火傷した部分に、瓶の中身を塗りつけると………すぅ、と、火傷が初めからなかったかのように消えていく
 おぉ~、とTさんの契約者と頭の上の人形が、感嘆の声をあげた

「あの、大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない」
「……つか、どうしてこんな事態になったのか。詳しく説明してもらおうか」

 夢子の心配そうな表情と、契約者のじと目での、その言葉に
 Tさんは小さく、苦笑するしかないのだった


 …勝てなかった
 その事実に、青年は考え込む

 やっぱり、自分はもっと強くならなければならない
 もっと強くならなければ…黒服を護りきれない

「………」

 己の右手を、じっと見詰める
 …厨2病との多重契約で進化させた能力で得た、炎の力
 黒服には、よほどの事がない限り使ってはいけない、といわれている
 だから、先ほどの戦いでも使わなかった
 ……いざとなればこの能力がある、と思ってはいけない
 この能力を使わずにすむくらい、強くなる必要がある……

 そうやって、青年が考え込んでいると
 ぽん、と頭に手をおかれた

「……将門様?」
「くくっ、よく戦ったな」

 ぽふぽふと
 まるで、子供にするように頭を撫でられる
 …子供扱いは好きではないが、将門相手ならば、さほど不満には感じない
 何せ、相手は数百年を生きる祟り神だ
 人間である自分など、子供どころか赤子のようなものだろう

 …それよりも、よく戦った、と
 ほんの少しでも、褒められた
 青年としては、それが嬉しかったのだ

「ところで、戦いの前に言った事、覚えておるか?」
「あ、はい。殺すまではしないと、恨みっこなし」
「…もう一つだ」

 え?
 もう一つ??
 きょとん、とする青年
 くっくっく、と将門はなんとも楽しそうに笑っている

「やはり、聞こえていなかったんだな」
「え?」

 Tさんが、そう言って来たものだから
 青年は、ますます首をかしげる
 …何の事か?

「将門公、最後の一つのアレを小声で言ったのは、反則だと思うのだが」
「おやぁ?何の事かぁ?」

 くっくっくっくっく、と
 将門は楽しそうに笑い続けるだけだ
 …その、笑い方に
 青年は、激しく嫌な予感を覚えた

「……将門様?最後に、何と仰ってたので?」
「「負けた方は勝った方の言う事を一つだけ聞くように」と言ったのだが?」

 ……………
 何ぃいいいいいい!!!???

「んな事言ったんですかっ!?」
「ただ勝負するだけではつまらんだろう?」
「いや、それもちょっとはわかりますけどっ!?」

 待て!!
 と、いう事は
 自分は、Tさんの言う事を聞かなければいけない訳で…

 ちらり、青年はTさんに視線をやった
 ごにょごにょごにょ
 …Tさんは己の契約者と、「夢の国」と、何やら話し込んでいる
 何故だ
 何故、こんなにも嫌な予感がするっ!?

「…さて」

 くるり
 Tさんが、振り返ってきた
 なにやら、Tさんの契約者がにんまりと楽しそうな笑みを浮かべており

 …嫌な予感、倍増

「さて……ちょ~~~っと、一緒に来てくれるか?」
「何でお前が言うんだよ」

 自分はTさんに負けたのだ
 その契約者に命令される筋合いはない

「え、だって俺、Tさんの契約者だし。Tさんの権利は俺の権利?」
「どんなジャイアニズムだっ!?」

 くそ、この貧乳めっ!!
 心の中で毒づきつつ、青年は立ち上がる

「…わかったよ。付いて行けばいいんだろ、付いて行けば!」
「思ったより素直だな」
「……負けは負けだからな」

 将門の言葉をしっかり聞いていなかった自分が悪いのだ
 不満を感じても、それは仕方ない
 青年は、素直にTさんたちの後をついていく
 …その後ろ姿を、将門はなんとも、なんとも楽しげに笑いながら、見つめ続けていたのだった


 ………そして
 やってきたのは、「夢の国の地下カジノ」
 青年も、少年時代に何度かあの黒服につれてこられたことがある場所で

「あらあら、久しぶり!」
「きゃあ!あの時のあの子なのね!」
「大きくなったわね、今年でいくつだったかしら?」

 きゃいきゃいきゃいきゃい
 あっと言う間に、姫君たちに囲まれた
 …だから、苦手なのだ

「あれ?お姫様たち、こいつ知ってんの?」

 Tさんの契約者がきょとんと声をあげる
 きゃいきゃいと、姫君たちはそれに答えていく

「えぇ、知ってるわ」
「あの時はまだ小学生だったの。可愛かったわ」
「ドレスがとっても似合ったわ」

 …うぉい!
 最後待て!!
 誰だ、それを口に出したのは!
 白雪姫かシンデレラかアリスかっ!?

「ドレス?」
「な、何でもねぇっ!!」

 首をかしげた「夢の国」に、青年は慌ててそう言った
 青年にとって、あの経験は完全に黒歴史である
 思い出したい記憶であるはずもないし、触れられたくもない
 しかし、姫君たちはそんな事を気にした様子も全くなく、きゃいきゃい勝手に騒いでいる

「そうだわ、今でも似合うんじゃないかしら?」
「そうだわ、きっと似合うわ」
「どんな服がいいかしら?やっぱりドレスがいいかしら?」
「……待てお前等っ!?」

 正気を疑う発言がっ!?
 待て
 待て待て待て!!

 もう既に、20を超えた歳である青年
 女装なんぞさせられて、可愛いなんて言われるような年頃ではない
 必死の抵抗を見せようとする

 …と言うか、少年時代だって、女装なんぞさせられたくもなかったわ!!
 あの時の、黒服の「助けられなくて申し訳ありません」と言わんばかりの表情が忘れられない

 そもそも、青年自身、自分が女装が似合う、などと考えた事はない
 男して、そんな事考えるはずもない
 しかし、姫君たちは勝手に騒いでいるし

 ……キラリーン
 Tさんの契約者が、まるで、面白い玩具でも見つけたような表情を浮かべたのを
 青年は、確かに見てしまった

「うん、それじゃあ、お姫様たち、女装コース一択で」
「「「「「はーい!」」」」」
「待てこらぁあああああ!!!!!!!」
「ほら、言う事聞くんだろ?」

 にんまり
 Tさんの契約者は楽しげに笑っている
 ちらり、Tさんに視線を向けたが…あきらめろ青年、と言う表情を浮かべていて
 「夢の国」の方は、事態に付いていけていないのか、ややきょとんとしている
 小人は…………視線をそらすなぁあああああ!!!!!!!
 見ろ!こっちを見ろ!!
 現実を見て助けろ!!
 青年のそんな意思は悲しくも届く事はなく

 はしっ
 姫君たちが、青年の体を、掴んだ

「さぁ、行きましょ、素敵な服を選んであげる」
「髪も綺麗に結ってあげる」
「綺麗にお化粧してあげる」
「っちょ、待てっ!?あれから10年はたってんだぞ!?女装が似合う訳なんざねぇだろっ!!待て、考え直し……!!」

 ずるずるずるずるずるずるずる
 ぱたんっ
 青年は、哀れ、「夢の国の地下カジノ」の奥の部屋へと連れ込まれていった…



 ----数分後

「ほら、隠れるなってー。撮影してやるから」
「するなっ!!言う事聞くってのは一つだけだろ!撮影だけはやめろ!!」

 抵抗空しく、女装させられた青年は、テーブルを一つ盾にして、徹底抗戦していた
 …何故、よりによって、ミニスカート!
 丈が短すぎるだろう、これは!!
 スカートの丈を押さえ、青年は決して、テーブルの影から出ようとしない

 …何故、ミニスカか?
 世の中には、女性にとってはムカつく事実かもしれなが……無駄毛処理不要なほど、足の綺麗な男は実在する
 ようは、そう言う事である
 単に、青年がそのタイプだっただけだ

 そして、青年は心の底から否定するだろうが
 その女装は、似合っていた
 確実に似合っていた
 街を歩いていたらナンパされる事確実なほどに、似合っていた
 うっすらと化粧され、髪も綺麗に結われ、今流行りの女物の服を身に付けた姿は、やや貧乳気味の美女に見える
 青年に女装が似合うことは、本人の意思とは裏腹に、残念ながら少年時代から確定事実であった

「えー、似合ってるのに」
「あぁ、似合っているな」
「男がそんな事言われて喜ぶとでも思ったか!?」

 …この姿だけは、絶対に
 絶対に、黒服にだけは見られたくない!
 ついでに言えば、「はないちもんめ」の少女相手だって、あまり見られたくない
 色んな意味で、あまり見られたくない

「ほら、この後将門にも見せるんだから、出ろってば」
「将門様を呼び捨てにすんな!………ってか、将門様にも見せられるかっ!!こんな姿っ!!!」
「えー、もしかしたら気に入ってくれるかもよ?」

 無責任な発言をっ!!
 この格好を将門が見て、何をどう気に入ると言うのかっ!!

「女装はしただろ!?もういいだろ!?」
「えー、撮影まだしてないぜ?」
「だから撮影だけは止めろっ!!」
「…えっと、そ、それくらいにした方が…」
「えー、だって、記念になるし」

 いらん!!
 こんな記念なんぞいるかっ!!
 …とにかく、自分は午後からバイトがあるのだ
 だと言うのに、いつまでもこの格好でいられるかっ!
 何とか、この女装状態から脱出する方法を考えなければ……!


 「夢の国の地下カジノ」その、一角にて
 しばし、青年にとって受難としか言い様がない戦いが、繰り広げられ続けたのだった



 このスレの変態の皆様に捧げて終了





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