こんなことがあって後
学校町北西、西地区にある高校。その体育館の中に彼女の姿はあった。
「大丈夫、夢の国ではみんな仲良しだよ」
「うがああああああああああああ」
叫び声をあげ、必死に抗う子供が黒いパレードに呑みこまれた。
「≪体育館の地下室に閉じ込められた子供≫か」
彼女が視線を向けると、体育館の入口に黒服が立っていた。
それも、両手の指では数えきれない程に。
「あれ、なんだかいっぱいいるね」
黒服の背後には彼等の担当する契約者らしき人間が、やはり複数人いた。
「五日前、学校町に≪夢の国≫が侵入したという情報が広く流布された」
多くの黒服が契約者とともに近付いて来つつ言う。
「≪夢の国≫は危険であると上が判断した」
黒服は警戒してある程度離れた距離から近づこうとしない契約者たちを背後に置いたまま女を包むように広がり、
「他の町にも応援が要請されている」
一人の黒服が言う。
「故に我らが来た」
別の黒服が言い、
「そう」
黒服達は女を囲いこみ、
「あなたの下へと」
跪いた。
「ご苦労さま」
唖然とする契約者たちを余所に女は笑って言う。
そして契約者たちに向かって言葉を放つ。
「ねえ」
女は振り向き、
「≪夢の国≫に不利益を働く人のところには黒服の人が行くんだよ?」
知ってる? と、
女は言う。
「な、お前! いつから!」
契約者たちのうちの誰かが自らの担当をしていたらしい黒服に怒鳴る。
「いつから?」
その契約者を担当していたであろう黒服は立ち上がり、首をかしげ、
それは、
「この黒服を食らってから」
突然黒服の体が膨れて中から奇妙に片腕と片足が長い人のようなモノが現れた。
「人間味の無い存在の≪組織≫の黒服ならばこそ。入れ替わりも気づかれなかった」
感情など一切感じない声で奇形は言う。
「う、あ」
たじろぐ契約者。女はそれを見て、
「ねえ」
知ってる? きぐるみの――
「中の人は奇形なんだって」
女の周りの全ての黒服から奇形が出現した。
「大丈夫、夢の国ではみんな仲良しだよ」
「うがああああああああああああ」
叫び声をあげ、必死に抗う子供が黒いパレードに呑みこまれた。
「≪体育館の地下室に閉じ込められた子供≫か」
彼女が視線を向けると、体育館の入口に黒服が立っていた。
それも、両手の指では数えきれない程に。
「あれ、なんだかいっぱいいるね」
黒服の背後には彼等の担当する契約者らしき人間が、やはり複数人いた。
「五日前、学校町に≪夢の国≫が侵入したという情報が広く流布された」
多くの黒服が契約者とともに近付いて来つつ言う。
「≪夢の国≫は危険であると上が判断した」
黒服は警戒してある程度離れた距離から近づこうとしない契約者たちを背後に置いたまま女を包むように広がり、
「他の町にも応援が要請されている」
一人の黒服が言う。
「故に我らが来た」
別の黒服が言い、
「そう」
黒服達は女を囲いこみ、
「あなたの下へと」
跪いた。
「ご苦労さま」
唖然とする契約者たちを余所に女は笑って言う。
そして契約者たちに向かって言葉を放つ。
「ねえ」
女は振り向き、
「≪夢の国≫に不利益を働く人のところには黒服の人が行くんだよ?」
知ってる? と、
女は言う。
「な、お前! いつから!」
契約者たちのうちの誰かが自らの担当をしていたらしい黒服に怒鳴る。
「いつから?」
その契約者を担当していたであろう黒服は立ち上がり、首をかしげ、
それは、
「この黒服を食らってから」
突然黒服の体が膨れて中から奇妙に片腕と片足が長い人のようなモノが現れた。
「人間味の無い存在の≪組織≫の黒服ならばこそ。入れ替わりも気づかれなかった」
感情など一切感じない声で奇形は言う。
「う、あ」
たじろぐ契約者。女はそれを見て、
「ねえ」
知ってる? きぐるみの――
「中の人は奇形なんだって」
女の周りの全ての黒服から奇形が出現した。
「くそっ!」
誰かの声。
「ごみこさん!」
その叫びと共に、ひどく薄汚れた人間が女に向かう。
「あたしを捨てたなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
それは恐ろしい声をあげ、薄汚れた姿で突き進む、
「知らないよ」
女はそう言うと黒服の輪から離れた。
「追え! てけてけ!」
その女を追うように下半身のない女が猛スピードで迫る。
「もう、しつこいなー。……そうだ!」
何か良いことを思いついたかのように女は声を上げると、てけてけが到達する瞬間、消えた。
「みんなでショーを楽しもうよ」
その姿は体育館の上の方の通路にあった。
いつの間にか通路にはいっぱいに何かがいる気配が満ちている。
そこに満ちる気配は、楽しそうな、何かを待ちわびる気配で……
「演目は≪夢の国≫の住人と異国の戦士ね」
スタート。と
手を パン と叩く。
それと共に床にいる奇形が動く。
契約者たちが応戦する音もすぐにしだした。
そして、その眼下の光景を見て愉快そうに笑い、嗤う住人の気配。
住人達はこらえきれないかのように一人、また一人と床へと飛び下りていく。
「ん~」
眼下の光景を見ずに女は思考する。
「なんであんなに派手派手にいっちゃったのかな?」
彼女がこの町に潜入するとき、なぜか察知して欲しいかのようにパレードを出していた。結果、いろんな存在に潜入がばれるのだが、
それは、
「わたし、そんなに目立つつもりなかったんだけどな」
彼女の意図するものではなかった。そのため学校町潜入後、すぐにパレードはしまい、姿をくらませたのだが。しかし、
「なんでわたしそんなことしたんだろう」
この疑問は彼女に残った。
誰かの声。
「ごみこさん!」
その叫びと共に、ひどく薄汚れた人間が女に向かう。
「あたしを捨てたなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
それは恐ろしい声をあげ、薄汚れた姿で突き進む、
「知らないよ」
女はそう言うと黒服の輪から離れた。
「追え! てけてけ!」
その女を追うように下半身のない女が猛スピードで迫る。
「もう、しつこいなー。……そうだ!」
何か良いことを思いついたかのように女は声を上げると、てけてけが到達する瞬間、消えた。
「みんなでショーを楽しもうよ」
その姿は体育館の上の方の通路にあった。
いつの間にか通路にはいっぱいに何かがいる気配が満ちている。
そこに満ちる気配は、楽しそうな、何かを待ちわびる気配で……
「演目は≪夢の国≫の住人と異国の戦士ね」
スタート。と
手を パン と叩く。
それと共に床にいる奇形が動く。
契約者たちが応戦する音もすぐにしだした。
そして、その眼下の光景を見て愉快そうに笑い、嗤う住人の気配。
住人達はこらえきれないかのように一人、また一人と床へと飛び下りていく。
「ん~」
眼下の光景を見ずに女は思考する。
「なんであんなに派手派手にいっちゃったのかな?」
彼女がこの町に潜入するとき、なぜか察知して欲しいかのようにパレードを出していた。結果、いろんな存在に潜入がばれるのだが、
それは、
「わたし、そんなに目立つつもりなかったんだけどな」
彼女の意図するものではなかった。そのため学校町潜入後、すぐにパレードはしまい、姿をくらませたのだが。しかし、
「なんでわたしそんなことしたんだろう」
この疑問は彼女に残った。
彼女は気付かない。それが彼女が望んだ行動だと。
彼女は思い出せない。本当の彼女を。
彼女は望んでいる。悪夢からの解放を。
彼女は祈っている。≪夢の国≫の幸せを。
彼女は思い出せない。本当の彼女を。
彼女は望んでいる。悪夢からの解放を。
彼女は祈っている。≪夢の国≫の幸せを。
「さぁ、次に行こうか」
そう言って彼女が体育館の床に向かって呼びかけると、王をたたえる民衆のように、マスコットが、異形が、喝采を浴びせた。
契約者たちの姿は、存在しなかった。
そう言って彼女が体育館の床に向かって呼びかけると、王をたたえる民衆のように、マスコットが、異形が、喝采を浴びせた。
契約者たちの姿は、存在しなかった。