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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-60

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 この冬、学校町は例年にない大寒波に襲われていた
 冬将軍が在住しているんじゃないかと疑いたくなるほどの、連日の寒さと雪
 …だが、そう言う状況だからこその、アルバイトと言うものがある
 屋根の雪下ろしと雪かきと言う、冬限定のアルバイト
 それを終えて、「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者…翼は、帰路についていた
 ほぅ、と吐き出す息が白い
 今日の夕食はどうしようか、そんな事を考えながら歩いていると

「あら、翼」
「ん?あぁ、望。今、帰るところか?」

 家族であるはないちもんめの契約者…望と、帰宅ルートが重なったようだ
 背後から駆けて来た望と、合流する

「そうだけど……ねぇ、まだ、時間あるわよね?」
「へ?……あぁ、夕食の準備の時間とか、まだ余裕はあるけど」

 どうしたんだ?と首をかしげる翼に、望は真剣な表情で彼を見上げた

「翼、都市伝説退治のアルバイトをやってる、って言ってたわよね?」
「う…あ、あぁ」

 望の言葉に、ややバツが悪そうに頷く翼
 彼としては、秘密にしておきたいアルバイトだったのだ。友人によって暴露されてしまったが
 ……まぁ、危険と隣り合わせのアルバイトである
 翼としては、少なくとも、黒服には知られたくなかった事だろう

 …それは、望としては同感ながらも、どうでもいい
 だから、尋ねる

「そのアルバイト…私でも、できるかしら?」
「……は?」

 きょとん、と翼は望を見つめる
 望は、真剣そのものな表情だ

「いや、できる、だろうけど……いやいや、お前はまだ、バイトなんてしなくてもいいだろ?」
「やりたいのよ」

 自分だって、生活費を稼ぎたい
 黒服と翼にだけ任せるのが嫌なのだ
 だからと言って、黒服と出会う以前までやっていたアレは、もうやるつもりはない
 ならばどうするか、と考えた時、思いついたのが、翼がやっている都市伝説退治のアルバイトだった
 翼の友人だと言う、仲介者を名乗っていた青年は、「仕事を手伝ってくれるなら、フリーだろうがどこかの組織に所属していようが問わない事にしている」と言っていた
 つまり……自分でも、できるはずだ

「駄目かしら?」
「う~……」

 望の真剣な様子に、翼は困ったような表情をして
 …やがて、根負けしたように、携帯を取り出す

「ちょっと、あいつに連絡とってみる。ちょっと待ってろ」

 わかったわ、と望が頷くと、翼は仲介者に連絡をとり、何やら話し出す
 二言、三言、歩きながら話していって…

「……時間があるなら、今から会って欲しい、ってよ。お前の能力知った上で、仕事回せるかどうか決めるって」
「時間はあるんだし、会うわよ。もちろん」

 翼は、まだどこか渋った表情のまま、頷いて
 仲介者に、会う約束を取り付けていた







 ………そして、今にいたる
 場所は、仲介者の家
 その、仲介者の部屋に二人は通されていた
 部屋の壁一面を、本棚が占拠しているような部屋だ
 小説やマンガの類も多いが、同時にどこか古めかしい、古書と呼んで差し支えのないようなものが随分と混ざっている

「…すまないね。たいしたおもてなしもできないで」

 と、仲介者が、紅茶の入ったカップを盆に載せて運んできた
 テーブルの上に、ことん、ことん、と並べていく

「気にすんな。急に話を持ちかけてきたのはこっちなんだし」
「いや、直接会いたいと言ったのは僕だからな…………さて」

 仲介者が席につき…じっと、望を見つめてきた
 その、どこか感情が乏しい眼差しを、望は真正面から受け止める
 …ここで、人見知りをしている場合などではない
 舐められてはいけないのだ

「…僕が、翼に提供しているような仕事を、君もしたいそうだね?」
「えぇ」
「だが、正直、大なり小なり危険を伴う仕事だ。僕としては、友人の大切な存在を、そんな危険な目にあわせたくはないのだが」
「でも、あなたはその友人に、危険な仕事を提供しているんでしょう?」

 望の言葉に、翼が「おい…」と、言葉をかけようとしたが
 仲介者が、それを制した

「まぁ、確かに、な。出来る限り、彼にとって無理のない仕事を選んで提供しているつもりではあるがね」
「翼の能力や実力を知ったうえで、ということかしら?」
「そうさ」

 紅茶を口にしつつ、頷く仲介者
 その様子は、どこか優雅さすら漂う
 仲介者の中性的な雰囲気と、どこか病弱そうな線の細い雰囲気が、そんな錯覚を引き起こさせているのかもしれない

「「組織」のように、他人を捨て駒にするようなやり方は嫌いでね。その人物の能力と実力を知ったうえで、仕事を提供しているつもりさ」
「…だから、私に仕事を提供するには、私の能力を知る必要がある訳ね?」
「そう言う事さ」

 …さて、どうしようか
 口で説明するよりも、実際やって見せた方が早い訳で
 す、と望は翼に視線をやった
 何かを感じ取ったのか、翼が「げ」、と嫌そうな表情を浮かべたが、無視

「買って嬉しいはないちもんめ」
「っちょ、てめ………-------っ!?」

 とりあえず、煩いので言葉を封じておいた
 指一本、動かせなくしてやる
 …ほう、と仲介者が関心したような声をあげた

「なるほど、発動条件はわからないが、発動したら問答無用のようだね」
「えぇ。このままストリップでも腹踊りでもさせられるけど、何かやらせる?」

 てめぇこのやろう!?と翼が抗議の視線を向けてきているが、それも無視
 いや、と仲介者は軽く手を振ってくる

「ストリップは面白そうだが、後が怖いので遠慮しておこう。君の能力は理解した」
「ありがとう」

 とりあえず、能力を解除してやる
 ぜぇぜぇ、と翼の息が荒いが、大袈裟な
 呼吸までは止めていなかったはずだ

「お前なぁ…」
「説明の手間が省けるでしょ」
「そりゃ、そうだけどよ」

 不満そうな視線を向けてくる翼
 だが、そんな視線を向けてくるだけで、本気で怒っては来ない
 甘い男だ、と望は考える
 ……だからこそ、自分がフォローしてやらないと、とも思うのだが

「…わかった。君が望むのならば、君でも無理なくできそうな仕事を提供しよう」
「感謝するわ」

 ……よし
 とりあえず、面接合格、と言ったところなのだろう、多分
 ただ、と仲介者は続けてくる

「始めのうちは、翼と一緒に頼む事が多いと思うがね。君の実力を見る為にも」
「……わかったわ」

 まぁ、仕方ない
 能力を見せただけでは、実力までは推し量る事ができないのだから

「翼も、構わないだろうか?」
「まぁ、いいぞ」

 心配だし、と言ってくる翼
 …こちらを心配してくるなど、翼の癖に生意気な

「あ、ただ…」
「…わかっている。君の愛しの黒服には黙っておけばいいのだろう?」

 理解している、と仲介者は表情を変えぬまま、頷いてくる
 …初詣の時、聞いた時も、思ったのだが…
 ……「愛し」の?
 じろり、翼を睨んでやると、翼は慌ててきて

「っと、ところで。その言い方、誤解を招くから、やめろよ」
「誤解?……高校時代の君の発言及び行動を見るに、真実であると思っていたのだが」

 違っていただろか?と
 仲介者は、不思議そうに首を傾げてきた
 ……この男、高校時代に知り合いに黒服との事をどう話していたのやら
 後でじっくり、尋問する必要がありそうだ
 望からの視線が怖いのかオーラが怖いのか、翼は話題をそらすように、仲介者に告げる

「……それと、直希」
「何だね?」
「突っ込む機会を失いかけてたんだが、なんでメイド服なんだよ」

 直希、と言う名前らしい仲介者に……翼は、今になって、ようやくその服装に関して突っ込んだ
 …あ、突っ込んで良かったんだ、と望は変な所で納得する

 そう
 メイド服、である
 仲介者は、古きよき時代のシックなメイド服を纏っていたのだ
 中性的な外見のせいで、違和感がないから困る

 もっともな翼の突っ込みに、直希は表情一つ変えずに答えてくる

「一言で言うならば、身内の陰謀だ」
「どんな陰謀よ」

 突っ込みOKらしいので、とりあえず望が突っ込む
 やはり、直希は表情一つ変えない
 まるで、慣れていることであるかのように

「朝起きたら、服を全て洗濯されていた。服がないので困っていたら、このメイド服を差し出された。サイズがピッタリだったから困る」
「だからって着るなよ!?」
「あぁ、安心してくれ。スカートはすーすーするので、タイツも着用している」
「そんな問題じゃねぇだろっ!?」

 むしろつけんな!?と突っ込み続けている翼
 …表情が淡白なせいでわかりにくいが、直希は一切合財、動揺一つしていないようで

 ………あぁ、こいつも変人なんだ、と
 望はそんな解釈をしたのだった




終わる




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