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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-61

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匿名ユーザー

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 今日こそは、と彼女は決意する
 結局告げられず、明日こそはと決意する

 今日こそは、と彼女は決意する
 結局告げられず、明日こそはと決意する

 今日こそは、と彼女は決意する
 結局告げられず、明日こそはと決意する



 その想いを告げる機会を、永遠に失ってしまうその日まで
 彼女はそれを繰り返し続ける




                     Red Cape







 学校町内の、とある居酒屋
 その日、そこはある高校の卒業生たちが、同窓会のために貸切状態にしていた
 久々に顔を合わせた彼らは賑やかに話し合い、思い出を語り合い、近況を語り合う
 そんな中でも、自然と、仲のいい者同士、良かった者同士で固まるものだ
 その三人もまた、この所はよく顔を合わせているのだが、自然と同じ席に固まって座っていた

 一人は、綺麗に染められた金色の髪に、よく日焼けした姿のチャラチャラとした服装の青年
 一人は、茶色に染めた髪で、服の上からでは悟られにくいが、よく鍛えられた体をした青年
 最後の一人は、天然の薄茶色の髪に白い肌、眼鏡をかけていて、小柄で中性的な外見の青年
 この同窓会の中でも、一際目立つ三人だ
 何せ、このうちの一人は、在学中「狂犬」として恐れられていた存在だし、もう一人はその狂犬の幼馴染で、在学中何度も狂犬とやりあいながらも、それでも親友でい続けた存在
 そして、最後の一人は、そんな荒々しい二人と、対等の友人でいたと言う外見に似合わぬ怖いもの知らず
 まぁ、最後の一人に関しては、何故この二人と友人でいたのだろう、と在学中はよく不思議がられていた
 …いや、今でも、不思議がられている
 事実

「玄宗、お前が日景と清川と仲いいのって、未だに不思議でならないよ」

 などと、かつてのクラスメイト達に不思議そうに言われていた

「そうかい?」

 しかし、当の本人は、と言うと、そんな疑問にむしろ逆に首を傾げている状態だ
 在学中もよく読んでいた分厚い、難しそうな本を、同窓会の席にまで持ち込んで、ぱらぱらとめくりながら烏龍茶を口にしている

「そんなに不思議かよ?」

 コップに注がれたビールを飲みほしつつ、金髪の青年…翼も、かつてのクラスメイトの言葉に首を傾げた
 彼らからしてみれば、自分達が友人同士である事は、特に不思議な事でもなんでもないのだ
 不思議がられる事が、逆に不思議
 そうとしか言いようがないのだ、当人達からして見れば

「不思議よ。日景君と清川君が仲いいのはわかるけどさ~。玄宗君は、二人とはタイプ違うし~」

 いい具合に酔いが回っているらしい女性が、ぐい、と翼にくっ付きながら、そう言って来た
 普通の男性なら、大なり小なりドギマギすべき場面だが、この翼、巨乳好きである
 そして、この女性は、Bカップである

 ざんねん! つばさのこのみには カップサイズが ふたつほどたりない!!

「そんなに違うか?」
「さてね。僕としては、君達二人とは話もあうし、素晴らしき友人であると言う認識は高校時代から何も変わらないな」

 茶髪の青年…誠に尋ねられて、眼鏡をかけた青年…直希は、首を傾げつつそう答えた
 やはり、どんなに不思議がられたとしても、彼らの認識は変わらないのだ

「……ふふふ~」
「なんだよ、どうしたんだよ、藤崎」

 翼にくっついていた女性…藤崎 沙織は、三人を見つめて、にま~っと笑った
 もう、完全に酔いが回っている
 帰りは、タクシーを呼ばなければ危ないかもしれない
 この雪降る季節だ、帰り道で酔い潰れて寝たら、確実に死ねる

「ん~?三人とも、高校の頃からいい男だったけど、ますますいい男になったな~、って。清川君は彼女いたけど、日景君と玄宗君はいなかったわよね~?今はどうなの?」

 楽しげに楽しげに、尋ねる沙織
 それに対して

「いねぇよ」
「残念ながら、その手のことに関しては、僕は一切縁がないね」

 やや不貞腐れて答えた翼と、淡々と答えた直希
 この二人、二人揃って年齢=彼女いない暦である

「俺も、今は彼女と別れたからフリーだな」
「え~!?嘘~!!??」
「卒業の時、ミス中央と付き合ってたよな!?いつ別れたんだよ!?」

 さらりとカミングアウトした誠の言葉に、周囲が騒ぎ出す
 三人の中で、唯一女性絡みで華やかだった男
 今でも、その恋愛模様は周囲にとって話題の種になりうるようだ
 ……もっとも、今まで女性と付き合いながらも、この男、誰か女性を真に愛した事など一度もない最低男だが

「三人ともフリーか~」

 ぺと~~~
 翼にくっ付いたまま、考え込む沙織
 どうした?と翼は首をかしげる

「何考えてんだか知らねぇが、とりあえず重たいぞ」
「あ、ひどーい!乙女に向かって重たいだなんて!」

 これでもくらえー、とますます翼に引っ付く沙織
 やや迷惑そうな翼に、直希は小さく苦笑する

「君は、もう少しレディに対する言動を改めても良いと思うがな」
「そうかぁ?」
「あぁ。君も誠も、な」

 …言動というよりも、態度が、と
 こっそりと、直希は口の中で付け足した
 言っても無駄だ、とわかりきっているから口には出さなかったようだ

 ……と
 翼に寄りかかっていた、沙織が…ぽつり、告げる

「あのさ~…日景君、フリーなら……今夜、寝る場所ないんなら、家に泊めてあげてもいいかな~?って…」


 ………それは
 酔いに力を借りた、間接的な告白
 高校時代、実家に寄り付かず、友人達の家やカプセルホテルを転々としていた翼
 そんな彼が、今でもそんな生活を送っているだろう、とそう考えて
 ならば、今夜は家に……と
 そんな、酔いに力を借りて勇気を振り絞った、間接的な告白

 だが


「いや、今、俺、家族いるから。明日の朝食作らねぇと駄目だし、帰らないと」


 その告白は届く事は、なかった


「……家族??」

 やや、酔いが覚めた様子で
 沙織は、首を傾げた

「あぁ、こいつ、よく話してた黒服と、それともう一人と同居してるんだよ」

 誠が、翼の代わりにその疑問に答えた
 ……黒服
 その言葉に、かつてのクラスメイトがざわつきだす

「黒服って…日景が、よく口にしていた…」
「入学式と卒業式と学校祭と体育祭でも顔見せてたあの人だよな?」
「男だよな。日景が大事な奴だって言ってた男だよな?」
「そうか……こいつ、とうとう……」
「ウホッ、な事になったか…」
「っつか、もう一人って誰だ?……まさかの両手に花?」

 高校時代から、色々と誤解を招く発言が多かった翼
 その誤解は、あの頃から解けている様子はなかった
 そして

「本当?」
「あぁ。大事な奴等と一緒だよ」

 沙織の言葉に頷く翼
 その誤解は、更に加速する!!!

「すげぇ…とうとう、想いを成就させたのか…」
「さすが狂犬、俺たちにはできない事をやってのける。そこに痺れて憧れるぅ!!」
「もう一人が誰か…男か、女か?問題はそれね」
「男じゃない?日景、巨乳がいいとか言いながら男と一緒の事が多いし…」

 進む進む誤解
 が、翼は周囲の誤解に気づいた様子はなく
 誠は、誤解が進んでいる事を知りながらも、笑いを堪えて、指摘する気も修正する気も一切ない
 直希は……その感情が薄い表情の下、何を考えているのか一切わからないが、おつまみに手を伸ばして食べ続けている
 こうして、翼が周囲に与える誤解は、一切修正される事はない

「……………」

 周囲が色々と、誤解を進めていっている中
 ただ一人……藤崎 沙織だけが、暗い表情を浮かべた事に
 誰も、気づいてはいなかった






「…あ~ぁ」

 どさり
 同窓会を終えて、友人が呼んだタクシーに乗って帰宅した沙織
 軽く着飾った格好のまま、ベッドに倒れこむ

 …かなり酔っていたはずなのに、その酔いは半分以上、覚めていた
 暗い想いが、酔いを吹き飛ばしてしまった

「そっか…今、誰かと一緒に暮らしてるんだ…」

 …好きな人、なんだろうな、と
 沙織もまた、色々と誤解しているがために、そう考えた

 ……結局、自分の想いは届きはしなかった

 高校の頃から、ずっとずっと想っていた
 しかし、それを告げる事はずっとできずに
 今日、とうとう酒の力を借りて遠まわしに告げたけれど……気づいてもらえすらしなかった

「……馬鹿みたい」

 自分が悪いのだ
 さっさと、伝えていれば良かった
 そうすれば、フラれたらフラれたで、それで踏ん切りがつけたのに
 馬鹿みたいに、自分の中で想いを抱え続けたせいで……届かなかった思いが、自分の中で燻る

「………本当、馬鹿みたい………」

 ぽろぽろと、涙が溢れ出す
 あぁ、どうして、どうして伝えらなかったんだろう
 羨ましい
 今、彼が一緒に暮らしているという相手が、羨ましくて羨ましくて…


『-----ソレジャア、ウバッテシマエバイイダロウ?』


「………っ!?」

 どこからか、聞こえてきた、声
 がばり、沙織は顔をあげて周囲を見回した
 明かりもつけていない、暗いワンルームマンションの一室
 当然、沙織以外…誰も、いない
 だと言うのに

『ウバッチマエヨ。ホシインダロォ?イトシイオトコトイッショニイタインダロォ?』

 声が、響く
 沙織の耳に、はっきりとその声が届く

「な、何……何、なの………?」

 酔いが、完全に吹き飛んでしまった
 恐怖が、沙織の思考を支配しだす

『ホシケリャア、イッショニイタケリャア、ウバッチマエバイインダヨォ!!ウバッチマエバ、ズゥットズゥット、イトシイオトコハオマエノモンダゼェ!?』

 けたけたけたと、声は笑う
 …恐怖
 それに、支配されながらも
 しかし、その声が語る内容は、酷く誘惑的だった

『イトシイアイテヲトラレタァ?ウバッチマエ!ジブンノモノニシチマエヨォ!!』
「で、でも…」
『ソレジャア、アキラメルカァ?ズットズットオモッテイタアイテヲ、タニンニトラレテクヤシイダロォ?』

 声は誘惑する
 奪ってしまえと誘ってくる
 …だが、沙織は首を左右に振る

「…できない、よ……私なんて…日景君に、見てもらえてすら、ない…」
『カンケイナイネェエエエ!!チカラヅクデモノニシチマエヨォ!ジブンカラハナレラレナクシチマエバイイダロォ!!!』
「ち、力づくなんて…無理だよ…」

 相手は、元「狂犬」だ
 女である沙織が、力で敵うはずが…

『ムリジャナイサァ?トシデンセツトケイヤクスリャアナァアア!!』
「…とし、でんせつ……けい、やく…?」

 聞きなれぬ言葉
 謎の声は、沙織の困惑を無視して続ける

『オシエテヤロウカァ?オマエニフサワシイトシデンセツヲショウカイシテヤロウカァ?…オマエガ、イトシイオトコヲテニイレルタメニ、ツカエルトシデンセツヲヨォオオオ!!』
「…契約、すれば……日景君は、私、の…?」
『ソウサァ!!アノオトコヲオマエノモノニスルコトガデキル。イッショウハナサズニ、ジブンダケノモノニデキルゾォ!!!』
「一生……」

 誘惑の声が笑う
 沙織を誘い、笑う、笑う
 ぼんやりと、暗い部屋の中…最早、恐怖は吹き飛んで、沙織はその誘惑に、誘われて

「……おし、えて……その、都市伝説を…契約を……」



 この日
 藤崎 沙織は……「悪魔の囁き」に、耳を貸してしまった

 この日以降、彼女と顔を会わせた、彼女を知る者たちはこう言う

「何て言うか…印象、ちょっと変わったかな?何だか、凄く自信満々ってか…色っぽくなった?」
「男を引き寄せる色気身につけたよねー。何やったんだろ?」

 と…

 ……そして
 彼女の周囲に、行方不明者が少しずつ、増えはじめるのだが
 …その異変に気づく者が現れた時には、もう全てが手遅れでしかなかったのだ


 ただ、はっきりしているのは
 この日、また一つ、悪意の種がまかれて芽を出した

 …ただ、それだけの事実である






to be … ?



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