ワルプルギスの夜/宴の始末 ◆sUD0pkyYlo
【9:第三と第五の魔女――死体蒐集者たちは微笑み合う】
――ひとまずの『話し合い』が終わり、魔女たちは思い思いに、部屋の中に散る。
外はジェダの予告通り、延々と振り続ける雨。
いずれ本格的な休みを取るにしても、これだけの危険人物に囲まれていては気が休まるものではない。
朝までどこかで一眠りするにしても……せめて、この塔を出て、分散してある程度ここを離れてから。
誰が言い出したわけでもないが、誰もが自然とそんな考えに辿り着いていた。
外はジェダの予告通り、延々と振り続ける雨。
いずれ本格的な休みを取るにしても、これだけの危険人物に囲まれていては気が休まるものではない。
朝までどこかで一眠りするにしても……せめて、この塔を出て、分散してある程度ここを離れてから。
誰が言い出したわけでもないが、誰もが自然とそんな考えに辿り着いていた。
そのため、今は雨の中に出て行く前の、ちょっとした小休止、準備の時間といった趣になっていた。
ある者は、ペットボトルの水で喉を潤し。ある者は、ハンカチで身体の湿気を拭き取り。
ある者たちは、当面一緒に行動することになった『パートナー』との打ち合わせを始める。
ある者は、ペットボトルの水で喉を潤し。ある者は、ハンカチで身体の湿気を拭き取り。
ある者たちは、当面一緒に行動することになった『パートナー』との打ち合わせを始める。
そんな中、部屋の一角では。
他の者たちがさり気なく距離を置く中、2人の少女が、穏やかな笑みを浮かべていた。
片やスリップ1枚。片や病人用のパジャマ姿。まるで呑気で平和なパジャマパーティのような一場面。
だが……彼女たちの掌に乗せられたものに気が付けば、そんな和やかな印象は一瞬で砕け散ることだろう。
他の者たちがさり気なく距離を置く中、2人の少女が、穏やかな笑みを浮かべていた。
片やスリップ1枚。片や病人用のパジャマ姿。まるで呑気で平和なパジャマパーティのような一場面。
だが……彼女たちの掌に乗せられたものに気が付けば、そんな和やかな印象は一瞬で砕け散ることだろう。
「……確かに凄いわ。これは、ほんと綺麗……!」
「でしょう? うふふ、『兄様』以外にこういう『趣味』を共有できる人と出会えるなんて、思わなかったわ」
「これ、取り出すの難しかったんじゃない? 見たところ、刃物は使ってないわよね?」
「慣れれば意外と簡単なものよ。予め抵抗する力を奪って、暴れられないようにするのがコツね。
私も最初のうちは力の加減が分からなくて、眼球ごと潰しちゃったりしたのだけど」
「でしょう? うふふ、『兄様』以外にこういう『趣味』を共有できる人と出会えるなんて、思わなかったわ」
「これ、取り出すの難しかったんじゃない? 見たところ、刃物は使ってないわよね?」
「慣れれば意外と簡単なものよ。予め抵抗する力を奪って、暴れられないようにするのがコツね。
私も最初のうちは力の加減が分からなくて、眼球ごと潰しちゃったりしたのだけど」
目をキラキラさせて『宝物』を手に取る紫穂に、先輩の余裕を湛えたグレーテルが微笑みかける。
コロコロと紫穂の掌の上で転がるのは、2つの眼球、のなれの果て。
そう――昼間のうちに神楽とミミから抉り出した、青と黒の色違いの瞳を持つ、あの眼球だった。
他の面々が悪趣味な2人に顔を顰める中、紫穂は今にも頬擦りでも始めそうなうっとりした表情を浮かべる。
コロコロと紫穂の掌の上で転がるのは、2つの眼球、のなれの果て。
そう――昼間のうちに神楽とミミから抉り出した、青と黒の色違いの瞳を持つ、あの眼球だった。
他の面々が悪趣味な2人に顔を顰める中、紫穂は今にも頬擦りでも始めそうなうっとりした表情を浮かべる。
「こっちの青い方は、最後の強がりと、その裏にほんのり香る無力感と絶望が。
黒い方は、極上の恐怖と苦痛が。それぞれ網膜に焼きついて、いい色してる……! ああっ……!」
「そこまで気に入って頂けると、私も捨てずに取っておいた甲斐があるというものよ。
なんなら、お近づきの印に貴女に差し上げてもいいわ」
「え、いいの? 大事にするわ! ありがとう『姉様』!
……ああもう、私ったら、本当に恥ずかしいわ。あんな『ただのお肉』を嬉々として集めてただなんて。
『自分でやる』のは初めてだったから、舞い上がってたのね。私も双葉ちゃんの目でも抉ってくれば良かった」
「あら、誰しも『初めて』は上手く行かないものよ。落ち込むことはないわ。
それに『処女喪失(ロストヴァージン)』の思い出は大事にしないと。二度と無いことなんだから」
黒い方は、極上の恐怖と苦痛が。それぞれ網膜に焼きついて、いい色してる……! ああっ……!」
「そこまで気に入って頂けると、私も捨てずに取っておいた甲斐があるというものよ。
なんなら、お近づきの印に貴女に差し上げてもいいわ」
「え、いいの? 大事にするわ! ありがとう『姉様』!
……ああもう、私ったら、本当に恥ずかしいわ。あんな『ただのお肉』を嬉々として集めてただなんて。
『自分でやる』のは初めてだったから、舞い上がってたのね。私も双葉ちゃんの目でも抉ってくれば良かった」
「あら、誰しも『初めて』は上手く行かないものよ。落ち込むことはないわ。
それに『処女喪失(ロストヴァージン)』の思い出は大事にしないと。二度と無いことなんだから」
まるで年頃の乙女たちが恋の話をするように、和やかに微笑み頬を染めながら、延々と続く陰惨な会話。
狂人でも、同好の士と巡り合えれば楽しいもの。それが滅多に居ない趣味の持ち主なら尚更だ。
狂人でも、同好の士と巡り合えれば楽しいもの。それが滅多に居ない趣味の持ち主なら尚更だ。
「全く、自分の耳年増っぷりが嫌になってくるわね。散々見ていたはずなのに、ちっとも上手くできない」
「あらそういえば、貴女からは血と硝煙、ドブと裏通りの腐った匂いはしないのだけど……?」
「ん~っと、簡単な言い方をすれば、私は『警察の側』にいた、と言えば分かるかしら?
もちろん『普通のお巡りさん』じゃなくて、かなり『特殊な位置』にいたの。色々あってね」
「あ――納得だわ。『そういう場所』に貴女が居たのなら……それはさぞかし、面白かったでしょうね」
「でも逆に言えば、『実践』は許されない立場だったのね。他人が楽しんでるのを、指を咥えて見てるだけ。
だからこの島、今は凄く好きよ。何をしても問題にならないのですもの」
「私もここは気に入ってるわ。ほんと私たち、意見が合うのね」
「あらそういえば、貴女からは血と硝煙、ドブと裏通りの腐った匂いはしないのだけど……?」
「ん~っと、簡単な言い方をすれば、私は『警察の側』にいた、と言えば分かるかしら?
もちろん『普通のお巡りさん』じゃなくて、かなり『特殊な位置』にいたの。色々あってね」
「あ――納得だわ。『そういう場所』に貴女が居たのなら……それはさぞかし、面白かったでしょうね」
「でも逆に言えば、『実践』は許されない立場だったのね。他人が楽しんでるのを、指を咥えて見てるだけ。
だからこの島、今は凄く好きよ。何をしても問題にならないのですもの」
「私もここは気に入ってるわ。ほんと私たち、意見が合うのね」
紫穂とグレーテル。警察庁長官の愛娘と、裏通りでも異端の『厄種』は、そして手を取り合い、握り合う。
本来なら出会うことのなかった少女たち。交わるはずもなかった2人は、歪んだ友情を惜しみあう。
本来なら出会うことのなかった少女たち。交わるはずもなかった2人は、歪んだ友情を惜しみあう。
「ああ、だから残念だわ『姉様』。いずれ貴女とも殺し合わなきゃならないなんて」
「そうね、残念だわシホ。いずれ貴女も殺さないと、命で繋ぐ円環が止まってしまうのですもの」
「また、会えるかしら?」
「ええ、またいつか会いましょう。今度は2人で、ランチと銃を持って!」
「それは素敵ね。本当に素敵な殺し合いになりそう――!」
「だから、それまでは――私は、あのお人形さん。貴女は、あのヴィータとかいう子」
「そうね、残念だわシホ。いずれ貴女も殺さないと、命で繋ぐ円環が止まってしまうのですもの」
「また、会えるかしら?」
「ええ、またいつか会いましょう。今度は2人で、ランチと銃を持って!」
「それは素敵ね。本当に素敵な殺し合いになりそう――!」
「だから、それまでは――私は、あのお人形さん。貴女は、あのヴィータとかいう子」
「「それぞれ、あの子たちを『おもちゃ』に、今を愉しみましょう?」」
【10:第四と第五の魔女――悪党2人は敵意を確かめ合う】
「それにしても……しばらく会わないうちに酷いザマになったものだな、鉄槌の騎士ヴィータ」
「エヴァ……」
「エヴァ……」
――死体蒐集者たちが楽しげに談笑をするのとは、また別の一角。
怒涛の展開の中、再会の言葉を交わす間もなかった2人が向き合っていた。
だが、そこには懐かしさも、再会の喜びもない。
ただ純粋な敵意と殺意だけが、張り詰めていた。
片や、『悪の魔法使い』を自認する吸血鬼の真祖、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
片や、『ずっと悪だった』ヴォルケンリッター、鉄槌の騎士ヴィータ。
塔の前での再会の時も、互いのことは気になっていたが……今までまともに会話する機会がなかったのだ。
グレーテルとの会話に夢中になる紫穂を横目に見ながら、エヴァンジェリンは呆れたような声を出す。
怒涛の展開の中、再会の言葉を交わす間もなかった2人が向き合っていた。
だが、そこには懐かしさも、再会の喜びもない。
ただ純粋な敵意と殺意だけが、張り詰めていた。
片や、『悪の魔法使い』を自認する吸血鬼の真祖、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
片や、『ずっと悪だった』ヴォルケンリッター、鉄槌の騎士ヴィータ。
塔の前での再会の時も、互いのことは気になっていたが……今までまともに会話する機会がなかったのだ。
グレーテルとの会話に夢中になる紫穂を横目に見ながら、エヴァンジェリンは呆れたような声を出す。
「あんな小娘にいいように使われているとは、貴様らしくもない。あの時に見せた激情はどこに行った?」
「うるせぇ。分かってるよ、あたしらしくねーことくらい。だけど今は、効率悪ィことしてらんねーんでな」
「ほぉ、貴様の口から『効率』などという単語を聞くことになるとは。
まさかとは思うが――あの、ジェダの『臨時放送』とやらのせいか?」
「……だとしたら、どうなんだよ」
「別に。ただ、なんともつまらん存在に成り下がったものだな、と思っただけだ」
「うるせぇ。分かってるよ、あたしらしくねーことくらい。だけど今は、効率悪ィことしてらんねーんでな」
「ほぉ、貴様の口から『効率』などという単語を聞くことになるとは。
まさかとは思うが――あの、ジェダの『臨時放送』とやらのせいか?」
「……だとしたら、どうなんだよ」
「別に。ただ、なんともつまらん存在に成り下がったものだな、と思っただけだ」
感情を殺して膝を抱えるヴィータに、エヴァンジェリンは鼻を鳴らす。
つつけば溢れ出しそうなマグマの如き熱を、全て呑み込み、必死に押し留めているようなヴィータの姿。
うっすらと隈さえ浮いた下瞼、据わった目、噛み締められた奥歯。
それらは、燃え盛る炎のようなヴィータの印象にはそぐわぬものであり――
だからこそ、その決意の強さがありありと伝わってくる。
それらを全て理解した上で、なお、エヴァンジェリンはヴィータを見下ろす。
つつけば溢れ出しそうなマグマの如き熱を、全て呑み込み、必死に押し留めているようなヴィータの姿。
うっすらと隈さえ浮いた下瞼、据わった目、噛み締められた奥歯。
それらは、燃え盛る炎のようなヴィータの印象にはそぐわぬものであり――
だからこそ、その決意の強さがありありと伝わってくる。
それらを全て理解した上で、なお、エヴァンジェリンはヴィータを見下ろす。
「やはり貴様は、あの山小屋で殺しておくべきだったか。あの瞬間の貴様の方が、よっぽど美しかったぞ」
「あたしも、あの山小屋でみんな殺せていれば、って後悔してるよ」
「あれから何があったかは知らんが……その腕の傷を治したのは、やはりインデックスどもか?
それで殺されかけてたらザマはないな。どうも『正義の味方』どもはツメが甘くていかん」
「…………だから、お前は『悪』なのか?」
「あたしも、あの山小屋でみんな殺せていれば、って後悔してるよ」
「あれから何があったかは知らんが……その腕の傷を治したのは、やはりインデックスどもか?
それで殺されかけてたらザマはないな。どうも『正義の味方』どもはツメが甘くていかん」
「…………だから、お前は『悪』なのか?」
論理的には少し捻れた、ヴィータの問い。
エヴァンジェリンは哂う。そんな問いをいまさら口にするヴィータという存在ごと、哂う。
エヴァンジェリンは哂う。そんな問いをいまさら口にするヴィータという存在ごと、哂う。
「そうだな。『それもある』な。ヌルい『正義』に毒されるくらいなら、『悪』として憎まれる方がマシだ。
あとは……四の五の理屈をつけずとも、『気に入らない』というだけで『正義』も『悪』も敵に回せるのはいい。
例えば、今の貴様のようにな」
「……ここであたしと、やり合うつもりか?」
「この場で貴様から手を出してくれれば、ラクなんだが。残念ながら、貴様もそこまで阿呆でもあるまい」
あとは……四の五の理屈をつけずとも、『気に入らない』というだけで『正義』も『悪』も敵に回せるのはいい。
例えば、今の貴様のようにな」
「……ここであたしと、やり合うつもりか?」
「この場で貴様から手を出してくれれば、ラクなんだが。残念ながら、貴様もそこまで阿呆でもあるまい」
ややわざとらしく溜息をつきながら、エヴァンジェリンは室内を見回す。
つい先ほど結ばれたばかりの不戦協定。その中の条項の1つ、『協定を破った者は残り全員の敵』。
ここで先に武器を振り上げてしまえば、他の5人も同時に敵に回して戦わねばならない。
ゆえに、敵意も殺意も、今は棚上げ。こうして互いに挑発しあうのが、精一杯だ。
つい先ほど結ばれたばかりの不戦協定。その中の条項の1つ、『協定を破った者は残り全員の敵』。
ここで先に武器を振り上げてしまえば、他の5人も同時に敵に回して戦わねばならない。
ゆえに、敵意も殺意も、今は棚上げ。こうして互いに挑発しあうのが、精一杯だ。
「山小屋でも言ったが、貴様は私の敵となった。それは今でも変わらん。
次に私と会うときまで、精々怪我などしないよう気をつけるのだな?」
「うるせぇ。今度は不意打ちなんてさせねぇからな。そっちこそ勝手にヘロヘロになってんじゃねぇぞ」
次に私と会うときまで、精々怪我などしないよう気をつけるのだな?」
「うるせぇ。今度は不意打ちなんてさせねぇからな。そっちこそ勝手にヘロヘロになってんじゃねぇぞ」
「「貴様/おめーは、私/あたしが殺すのだから」」
【11:第一と第二と第六の魔女――常識人たちもやっぱり同じで】
「あの、取り込み中失礼。ちょっとお話、いいかな?」
「……ですが御主人様……」
「……だからその『ころばし屋』は私が持った方が…………って、何だよお前」
「……ですが御主人様……」
「……だからその『ころばし屋』は私が持った方が…………って、何だよお前」
――死体蒐集者2人が趣味の話に花を咲かせ、悪党2人が互いの敵意を確認する中。
荷物の確認をしていた千秋とイヴの元に、小さな人影が歩み寄っていた。
当面グレーテルと共に行動することが決まっている、蒼星石である。
彼女は千秋の視線に一瞬怯んだものの、すぐに気を取り直して口を開く。
荷物の確認をしていた千秋とイヴの元に、小さな人影が歩み寄っていた。
当面グレーテルと共に行動することが決まっている、蒼星石である。
彼女は千秋の視線に一瞬怯んだものの、すぐに気を取り直して口を開く。
「いや、大したことじゃないけど……ちょっと気になってね。君たち2人は、他のとは少し『違う感じ』がするから」
「違う……感じ?」
「何と言うのかな。『まだ話が通じる雰囲気』って言うか……まともだな、と思って」
「…………」
「違う……感じ?」
「何と言うのかな。『まだ話が通じる雰囲気』って言うか……まともだな、と思って」
「…………」
蒼星石はチラリと横に目を向ける。残る2人も思わず彼女の視線を追う。
グレーテル。殺人狂にしてサディスト、見るからに近寄りたくない雰囲気を纏った『厄種』。
三宮紫穂。グレーテルと狂った趣味を共有し、あえて正気に背を向けてみせる禁断の女帝。
ヴィータ。復讐鬼にして献身者、暗く熱く屈折した想いを抱え込んだ鉄槌の騎士。
エヴァンジェリン。傲然と胸を張り皆を小悪党と呼び、孤高の悪を気取る吸血鬼の真祖。
……確かにこの面々に囲まれては、ここにいる3人はマトモに見える。理屈でなく直感で分かる。
そんな「マトモそうな者たち」に向け、蒼星石はさらに言葉を重ねる。
グレーテル。殺人狂にしてサディスト、見るからに近寄りたくない雰囲気を纏った『厄種』。
三宮紫穂。グレーテルと狂った趣味を共有し、あえて正気に背を向けてみせる禁断の女帝。
ヴィータ。復讐鬼にして献身者、暗く熱く屈折した想いを抱え込んだ鉄槌の騎士。
エヴァンジェリン。傲然と胸を張り皆を小悪党と呼び、孤高の悪を気取る吸血鬼の真祖。
……確かにこの面々に囲まれては、ここにいる3人はマトモに見える。理屈でなく直感で分かる。
そんな「マトモそうな者たち」に向け、蒼星石はさらに言葉を重ねる。
「でも、まともな人でも、自分の家には帰りたいよね。その気持ちなら僕にも分かる」
「……何が言いたい。あんまりもったいぶるなよ、この馬鹿野郎」
「…………」
「1つ尋ねたい。君たちが殺し合いに乗って、優勝を目指すのは、最後の1人になるため『だけ』かい?」
「……何が言いたい。あんまりもったいぶるなよ、この馬鹿野郎」
「…………」
「1つ尋ねたい。君たちが殺し合いに乗って、優勝を目指すのは、最後の1人になるため『だけ』かい?」
不機嫌そうな表情を隠そうともしない千秋、無言を貫くイヴに対し、蒼星石は意を決して尋ねる。
結ばれた『不戦協定』は、あくまで一時的なもの。互いの保身のため、ここでの潰し合いを避けるもの。
だが……本当に、それが今結べる精一杯の関係なのだろうか? もしかしたら……!
結ばれた『不戦協定』は、あくまで一時的なもの。互いの保身のため、ここでの潰し合いを避けるもの。
だが……本当に、それが今結べる精一杯の関係なのだろうか? もしかしたら……!
「ちなみに、僕は違う。僕は、僕自身が生きて帰ることには、執着がない。ジャンクになる覚悟さえもある。
僕が欲しいのは、むしろ優勝後に与えられる『ご褒美』の方だ。
だからもし、優勝者に与えられる『ご褒美』の権利にさほどの執着が無いのなら、僕と本当の意味で――」
「……お断りだ、馬鹿野郎」
「……同じく、お断りします」
僕が欲しいのは、むしろ優勝後に与えられる『ご褒美』の方だ。
だからもし、優勝者に与えられる『ご褒美』の権利にさほどの執着が無いのなら、僕と本当の意味で――」
「……お断りだ、馬鹿野郎」
「……同じく、お断りします」
本当の意味で、手を組める。そう言い掛けた蒼星石の言葉は、しかし、無惨にも遮られる。
それも、輪唱のように続けざまに2回。千秋だけでなく、イヴもまた、はっきりと。
それも、輪唱のように続けざまに2回。千秋だけでなく、イヴもまた、はっきりと。
「生憎と、こっちにもそんな余裕はねーよ馬鹿野郎」
「『ご褒美』がなくてもなんとかなる可能性はありますが――万が一を考えても、お譲りはできません」
「大体、お前が死んじゃうなら、どーやってその口約束を守らせる気だよ。どこまでお人よしだ馬鹿野郎」
「で、でも君たち2人だって、その……」
「こいつも私をいつか殺す気マンマンだしな。心から信用なんてしてないぞ」
「得難くも手強い、御主人様です……」
「……そうか。なら、仕方ないか」
「『ご褒美』がなくてもなんとかなる可能性はありますが――万が一を考えても、お譲りはできません」
「大体、お前が死んじゃうなら、どーやってその口約束を守らせる気だよ。どこまでお人よしだ馬鹿野郎」
「で、でも君たち2人だって、その……」
「こいつも私をいつか殺す気マンマンだしな。心から信用なんてしてないぞ」
「得難くも手強い、御主人様です……」
「……そうか。なら、仕方ないか」
手厳しい拒絶を前に、蒼星石は、改めて己の甘さを思い知る。また1つ、覚悟を決める。
優勝を目指す道を選んだ蒼星石には、もはや『本当の意味での仲間』は得られない。そういうことなのだろう。
ならば、こちらも敵意で応えるのみだ。
優勝を目指す道を選んだ蒼星石には、もはや『本当の意味での仲間』は得られない。そういうことなのだろう。
ならば、こちらも敵意で応えるのみだ。
「だったら……君たちには悪いけど、後々僕が君たちを殺すことになるかもね。
その時になって考え直してくれ、とか言っても、遅いからね?」
「言ってろ、馬鹿野郎。返り討ちにしてやるよ」
「……負けません……」
その時になって考え直してくれ、とか言っても、遅いからね?」
「言ってろ、馬鹿野郎。返り討ちにしてやるよ」
「……負けません……」
「「「何があっても、私/僕は『優勝しなきゃならない』のだから」」」
【12:宴の終わり――次なる始まり】
かくして――魔宴(サバト)を終えた魔女たちは、それぞれの方向に散っていく。
不信と、思惑と、再会や再戦の誓いを抱えて、それぞれに別れて散っていく。
不信と、思惑と、再会や再戦の誓いを抱えて、それぞれに別れて散っていく。
南千秋とイヴは、東に向かって。
エヴァンジェリンは、西に向かって。
グレーテルと蒼星石は、南に向かって。
ヴィータと三宮紫穂は、北に向かって。
それぞれ、ほぼ同時に、雨をおして出発する。
あえて雨の中、それぞれに歩き出す……。
あえて雨の中、それぞれに歩き出す……。
【13:第一と第二の魔女――船の揺り籠】
……雨が、甲板を叩き続ける。
とにもかくにも屋根のある空間に潜り込めたことを感謝しつつ、『雨合羽』――『シルバースキン』を解除して。
千秋はイヴに問い掛ける。
とにもかくにも屋根のある空間に潜り込めたことを感謝しつつ、『雨合羽』――『シルバースキン』を解除して。
千秋はイヴに問い掛ける。
「これ……なんとかなりそうか?」
「……操船のマニュアルも添えてありましたし、少し調べれば、動かすことくらいなら……」
「……操船のマニュアルも添えてありましたし、少し調べれば、動かすことくらいなら……」
ナノマシンによる機械支配も組み合わせれば、きっと何とかなる。
ここまでの道のりの中、再び雨に濡れた身体を拭きながら、イヴは無感情な表情のまま答えた。
ここまでの道のりの中、再び雨に濡れた身体を拭きながら、イヴは無感情な表情のまま答えた。
千秋の獲得した追加支給品の2番目の品にして、全ての支給品の中でも最大級のサイズを誇る代物――
魚雷艇、『ブラック・ラグーン号』。
全長24m強、排水量50トン強。
米軍はエルコ社製PTボートをベースとし、タイはロアナプラのラグーン商会が所有する船。
魚雷や機銃などの武装はジェダの手により撤去されてしまっているが、代わりに操船マニュアルが付属。
休憩のための拠点と水上の移動手段を兼ねた、なかなかに悪くない品物だった。
これを引っ張り出すために、千秋とイヴは雨の中の強行軍を敢行したのだ。
これほどのサイズの品物がランドセルから出てくる様は、ちょっとした冗談のような光景ではあったのだが。
魚雷艇、『ブラック・ラグーン号』。
全長24m強、排水量50トン強。
米軍はエルコ社製PTボートをベースとし、タイはロアナプラのラグーン商会が所有する船。
魚雷や機銃などの武装はジェダの手により撤去されてしまっているが、代わりに操船マニュアルが付属。
休憩のための拠点と水上の移動手段を兼ねた、なかなかに悪くない品物だった。
これを引っ張り出すために、千秋とイヴは雨の中の強行軍を敢行したのだ。
これほどのサイズの品物がランドセルから出てくる様は、ちょっとした冗談のような光景ではあったのだが。
船自体もそう大きなものではないから、地図上に乗っている水路は全て通過できそうだ。
むしろ水上を進む際に注意せねばならないのは、立入り禁止区域とエリア外への飛び出しだろう。
間違って禁止エリアに突っ込んだら笑い話にもならない――そのためにも、操船方法の把握は必須だった。
どうせ、休みを取る時間は必要だったのだ。千秋は手に入れたばかりの『殺人兵器』に向け、端的に命じる。
むしろ水上を進む際に注意せねばならないのは、立入り禁止区域とエリア外への飛び出しだろう。
間違って禁止エリアに突っ込んだら笑い話にもならない――そのためにも、操船方法の把握は必須だった。
どうせ、休みを取る時間は必要だったのだ。千秋は手に入れたばかりの『殺人兵器』に向け、端的に命じる。
「マニュアル読みながらでいいから、見張り頼むぞ。私はちょっと寝させて貰う。
お前は、大丈夫なんだな?」
「少しですけど、寝れましたから……大丈夫、です」
「じゃ、頼んだぞ」
お前は、大丈夫なんだな?」
「少しですけど、寝れましたから……大丈夫、です」
「じゃ、頼んだぞ」
千秋は奥の船室に引っ込んで、操縦席の前にはイヴ1人が残されて。
心を閉ざしたイヴは、読書魔だった少女は、ゆっくりと操船マニュアルのページを繰り始める。
……雨が、甲板を叩き続けている。
岸辺の木に繋留されたブラック・ラグーン号は、静かにその場に留まり続ける……。
心を閉ざしたイヴは、読書魔だった少女は、ゆっくりと操船マニュアルのページを繰り始める。
……雨が、甲板を叩き続けている。
岸辺の木に繋留されたブラック・ラグーン号は、静かにその場に留まり続ける……。
【E-3/水辺・ラグーン号船内/2日目/深夜】
【南千秋@みなみけ】
[状態]:健康、人間不信&精神衰弱。
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ、祝福の杖(ベホイミ残1回)@ドラゴンクエスト5、
首輪探知機、シルバースキン(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:基本支給品×2、ルーンの杖(焼け焦げている)@ファイナルファンタジー4、
コンチュー丹(容器なし)@ドラえもん、青酸カリ(半分消費)@名探偵コナン、
的の書かれた紙×5枚@パタリロ!、太一のゴーグル(血がついている)、替えのパンツ×2枚、
ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)、不明支給品0~1個(本人確認済み)、
インデックスのメモ、ご褒美ランドセル、(ブラック・ラグーン号@BLACKLAGOON)
[思考]:イヴは使えるかな……?
第一行動方針:このまま、ブラック・ラグーン号の上で少し休憩を取る。
第二行動方針:当面、「東」(ただし北東の市街地以外)を目指す。(城? シェルター?)
第三行動方針:イヴを「使い」ながら、さらなる戦力を集める。(ただしイヴも手放しには信用はしない)
第四行動方針:グレーテルの消耗を待ちつつ、グレーテルを倒せる戦力を掻き集める。
第五行動方針:他者を利用しつつ、殺し合いを促進させる。危険因子はその都度排除。
第六行動方針:全て終わったら、八神ヒカリに形見のゴーグルを渡したい(自分が殺した事実は隠す)?
基本行動方針:優勝狙い。優勝のご褒美で“殺し合いに参加していた自分”を消してもらい、元の世界に戻る。
[備考]:
グレーテルに対し、シルバースキン以外の手の内をほとんど明かしていません。
グレーテルを拳銃で撃っても死なない化け物だと思っています。
イヴの真意(最後には千秋も裏切って殺そうとしている)を知った上で組んでいます。
ブラック・ラグーン号は、E-3の水辺、近くに生えていた立ち木に繋留されています。
ちびって汚れたパンツはこっそり履き替えました。
[状態]:健康、人間不信&精神衰弱。
[装備]:ロングフックショット@ゼルダの伝説/時のオカリナ、祝福の杖(ベホイミ残1回)@ドラゴンクエスト5、
首輪探知機、シルバースキン(核鉄状態)@武装錬金
[道具]:基本支給品×2、ルーンの杖(焼け焦げている)@ファイナルファンタジー4、
コンチュー丹(容器なし)@ドラえもん、青酸カリ(半分消費)@名探偵コナン、
的の書かれた紙×5枚@パタリロ!、太一のゴーグル(血がついている)、替えのパンツ×2枚、
ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)、不明支給品0~1個(本人確認済み)、
インデックスのメモ、ご褒美ランドセル、(ブラック・ラグーン号@BLACKLAGOON)
[思考]:イヴは使えるかな……?
第一行動方針:このまま、ブラック・ラグーン号の上で少し休憩を取る。
第二行動方針:当面、「東」(ただし北東の市街地以外)を目指す。(城? シェルター?)
第三行動方針:イヴを「使い」ながら、さらなる戦力を集める。(ただしイヴも手放しには信用はしない)
第四行動方針:グレーテルの消耗を待ちつつ、グレーテルを倒せる戦力を掻き集める。
第五行動方針:他者を利用しつつ、殺し合いを促進させる。危険因子はその都度排除。
第六行動方針:全て終わったら、八神ヒカリに形見のゴーグルを渡したい(自分が殺した事実は隠す)?
基本行動方針:優勝狙い。優勝のご褒美で“殺し合いに参加していた自分”を消してもらい、元の世界に戻る。
[備考]:
グレーテルに対し、シルバースキン以外の手の内をほとんど明かしていません。
グレーテルを拳銃で撃っても死なない化け物だと思っています。
イヴの真意(最後には千秋も裏切って殺そうとしている)を知った上で組んでいます。
ブラック・ラグーン号は、E-3の水辺、近くに生えていた立ち木に繋留されています。
ちびって汚れたパンツはこっそり履き替えました。
【イヴ@BLACK CAT】
[状態]:左腹部に銃創(処置済み・ナノマシンで相当に回復)、疲労(中)。服が雨で濡れている。
[服装]:ゴロンの服@ゼルダの伝説
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に、バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式×5(水と食料少々減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、
神楽の傘(弾0)@銀魂、 、魔晶石(15点分)、テーザー銃@ひぐらしのなく頃に、
ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、 林檎10個@DEATH NOTE、勇気ある者の盾@ソードワールド、
ドラゴンころし@ベルセルク 、エーテライト×1@MELTY BLOOD、胡蝶夢丸セット@東方Project、
エルフの飲み薬×1(1/4程消費)@ドラゴンクエストⅤ、ご褒美ランドセル、ラグーン号操船マニュアル
[思考]:千秋は、御主人様として使えるでしょうか……?
第一行動方針:千秋を「主人役」とし、当面千秋の指示に従う。
第二行動方針:千秋が休んでいる間、見張りをしつつ操船マニュアルを読破する
第三行動方針:「主人役」にはできるだけ他参加者の抹殺を進言し、なるべく早く全ての戦いを終わらせる。
第四行動方針:ブルーはもうどうでもいい。見つけたら殺す?
第五行動方針:高町なのはを追い詰める。アリサは放置。
基本行動方針:マーダーチームの戦闘要員として行動し、最後の最後に「主人役」に牙を剥いて優勝する。
そして全てを忘れて、元の世界に戻る。
[備考]:
ブルーが「4歳児の姿」になるのは、ブルー本人が持つ特殊能力だと信じています。
ゴロンの服の特性に気付いていません。
一旦切った髪は、ナノマシンの力で繋げ合わせました。
千秋に自分の真意(最後には千秋も裏切って殺す予定)がバレているのを知っています。
[状態]:左腹部に銃創(処置済み・ナノマシンで相当に回復)、疲労(中)。服が雨で濡れている。
[服装]:ゴロンの服@ゼルダの伝説
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に、バトルピック@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式×5(水と食料少々減)、アタッシュ・ウェポン・ケース@BLACK CAT、
神楽の傘(弾0)@銀魂、 、魔晶石(15点分)、テーザー銃@ひぐらしのなく頃に、
ロボ子の着ぐるみ@ぱにぽに、 林檎10個@DEATH NOTE、勇気ある者の盾@ソードワールド、
ドラゴンころし@ベルセルク 、エーテライト×1@MELTY BLOOD、胡蝶夢丸セット@東方Project、
エルフの飲み薬×1(1/4程消費)@ドラゴンクエストⅤ、ご褒美ランドセル、ラグーン号操船マニュアル
[思考]:千秋は、御主人様として使えるでしょうか……?
第一行動方針:千秋を「主人役」とし、当面千秋の指示に従う。
第二行動方針:千秋が休んでいる間、見張りをしつつ操船マニュアルを読破する
第三行動方針:「主人役」にはできるだけ他参加者の抹殺を進言し、なるべく早く全ての戦いを終わらせる。
第四行動方針:ブルーはもうどうでもいい。見つけたら殺す?
第五行動方針:高町なのはを追い詰める。アリサは放置。
基本行動方針:マーダーチームの戦闘要員として行動し、最後の最後に「主人役」に牙を剥いて優勝する。
そして全てを忘れて、元の世界に戻る。
[備考]:
ブルーが「4歳児の姿」になるのは、ブルー本人が持つ特殊能力だと信じています。
ゴロンの服の特性に気付いていません。
一旦切った髪は、ナノマシンの力で繋げ合わせました。
千秋に自分の真意(最後には千秋も裏切って殺す予定)がバレているのを知っています。
(新たな支給品)
【ブラック・ラグーン号@BLACKLAGOON】
南千秋の追加支給品。
ロアナプラの「ラグーン商会」が保有する魚雷艇。
船体に比して強力なエンジンを積んでおり、同規模の船に比べ高速で海上を進むことが可能。
機銃や魚雷、積まれている銃など、武装・武器類は全て撤去されている。(魚雷管はあるが、中身は空)
また特別に、操船についてのマニュアルも用意されている。
【ブラック・ラグーン号@BLACKLAGOON】
南千秋の追加支給品。
ロアナプラの「ラグーン商会」が保有する魚雷艇。
船体に比して強力なエンジンを積んでおり、同規模の船に比べ高速で海上を進むことが可能。
機銃や魚雷、積まれている銃など、武装・武器類は全て撤去されている。(魚雷管はあるが、中身は空)
また特別に、操船についてのマニュアルも用意されている。
支給品の中でも最大級のサイズと質量を誇る品物。
臨時の拠点にもなり、水上の高速移動も可能とする『アタリ』の支給品だが、反面、陸上では役に立たない。
船体の規模からして、地図上に明記された水路は全て余裕をもって通過することが出来る。
橋も、全て下を潜って通過することができる。
ただし水上では分かりやすい目印に乏しいため、禁止エリアやエリア外へのはみ出しには要注意。
なお、ベニーのPCなど、武器以外の常時搭載物資が中にあるかどうかは、後続の書き手さんにお任せします。
臨時の拠点にもなり、水上の高速移動も可能とする『アタリ』の支給品だが、反面、陸上では役に立たない。
船体の規模からして、地図上に明記された水路は全て余裕をもって通過することが出来る。
橋も、全て下を潜って通過することができる。
ただし水上では分かりやすい目印に乏しいため、禁止エリアやエリア外へのはみ出しには要注意。
なお、ベニーのPCなど、武器以外の常時搭載物資が中にあるかどうかは、後続の書き手さんにお任せします。
【14:第四と第五の魔女――再会の予感を抱いて】
……雨が、木々の葉を叩き続けている。
あちこちに穴の開いたボロボロの傘の下、そしてヴィータは不満の声を上げた。
あちこちに穴の開いたボロボロの傘の下、そしてヴィータは不満の声を上げた。
「……狭くて歩きにくいぞ。もっとそっちに寄れよ」
「あら、これで精一杯よ。これ以上は私が濡れてしまうわ」
「んなこと言ったって、2本あった傘が1本になったのはお前の勝手のせいだろ!」
「あら、これで精一杯よ。これ以上は私が濡れてしまうわ」
「んなこと言ったって、2本あった傘が1本になったのはお前の勝手のせいだろ!」
まるでアイアイ傘のように1本の傘に2人で入りながら、険悪な会話が続く。
そう――廃病院を出たときには、確かに2人はそれぞれ1本ずつの傘を持っていたのだが。
塔を出る際、紫穂はそのうち1本を、あっさりとグレーテルに与えてしまったのだ。
お陰で、こうして2人で肩を寄せ合って進むハメになってしまっていた。
何度もぶつかる、互いの腕。ヴィータは怒りの声を上げるが、紫穂はまるで意に介した様子はなく。
そう――廃病院を出たときには、確かに2人はそれぞれ1本ずつの傘を持っていたのだが。
塔を出る際、紫穂はそのうち1本を、あっさりとグレーテルに与えてしまったのだ。
お陰で、こうして2人で肩を寄せ合って進むハメになってしまっていた。
何度もぶつかる、互いの腕。ヴィータは怒りの声を上げるが、紫穂はまるで意に介した様子はなく。
「だって、あんなに素敵な『宝物』を頂いてしまったのだもの。貰いっぱなしというわけにはいかないわ」
「だったら1人で濡れて歩けよ! あたしに迷惑かけんな!」
「あら、いいの? 今私が風邪でも引いて倒れたりしたら、貴女も困るのでなくて?」
「…………お前ってほんっと、性格悪いよな!」
「そんなに褒めても、何も出ないわよ」
「褒めてねぇ!」
「だったら1人で濡れて歩けよ! あたしに迷惑かけんな!」
「あら、いいの? 今私が風邪でも引いて倒れたりしたら、貴女も困るのでなくて?」
「…………お前ってほんっと、性格悪いよな!」
「そんなに褒めても、何も出ないわよ」
「褒めてねぇ!」
ヴィータは苛立ちを募らせる。苛立ちつつも、今は忠実に紫穂に従い続ける。
それは、あの塔で交わした『協定』のせい、ではなく。
むしろその前、紫穂と交わした「明日の朝になったら情報を明かす」という『約束』のせいだった。
紫穂が、接触による読心能力を持っているかもしれない――そうと分かった上でなお、ヴィータは逃げない。
むしろ無言のまま、腕が触れ合う度に、雄弁なまでの思念をぶつけてくる。
『もしも明日の朝に約束の情報を出さなければ、『協定』を破ることになっても紫穂を許さない』、と。
それは、あの塔で交わした『協定』のせい、ではなく。
むしろその前、紫穂と交わした「明日の朝になったら情報を明かす」という『約束』のせいだった。
紫穂が、接触による読心能力を持っているかもしれない――そうと分かった上でなお、ヴィータは逃げない。
むしろ無言のまま、腕が触れ合う度に、雄弁なまでの思念をぶつけてくる。
『もしも明日の朝に約束の情報を出さなければ、『協定』を破ることになっても紫穂を許さない』、と。
そんなヴィータの怒りも何もかもを見透かした上で、紫穂は哂う。ただ、哂う。
紫穂は想像する。
この調子で北に進み続けて、北東の市街地に到達して……
今のこのヴィータが、その半身とも呼べる『相棒』と遭遇した時、どんな光景が繰り広げられるのだろう、と。
庭師の鋏を渡す際、蒼星石に触れて読み取った、北東の街での一連の経緯。
その映像の中に映っていた、1本のアームドデバイスの存在。
鉄槌の騎士の振るう鉄槌、『グラーフアイゼン』。
紫穂は想像する。
この調子で北に進み続けて、北東の市街地に到達して……
今のこのヴィータが、その半身とも呼べる『相棒』と遭遇した時、どんな光景が繰り広げられるのだろう、と。
庭師の鋏を渡す際、蒼星石に触れて読み取った、北東の街での一連の経緯。
その映像の中に映っていた、1本のアームドデバイスの存在。
鉄槌の騎士の振るう鉄槌、『グラーフアイゼン』。
あの『協定』を決める場において、紫穂が北を――『北東の街』を選んだのは、まさにそれが理由だった。
ヴィータとグラーフアイゼンを遭遇させたい。それぞれがどんな風に反応するかを見てみたい。
怒るだろうか? 喜ぶだろうか? 慌てるだろうか? 開き直るだろうか? ケンカでもするだろうか?
いくらレベル7のサイコメトラーでも、こればかりは実際に見ないと分からないわけで。
上手く行けばヴィータの戦力強化にもなるし、一石二鳥になる。そう考える。
ヴィータにはいずれあのエヴァを……紫穂に屈辱を与えたエヴァを殺して貰わねばならないのだし。
ヴィータとグラーフアイゼンを遭遇させたい。それぞれがどんな風に反応するかを見てみたい。
怒るだろうか? 喜ぶだろうか? 慌てるだろうか? 開き直るだろうか? ケンカでもするだろうか?
いくらレベル7のサイコメトラーでも、こればかりは実際に見ないと分からないわけで。
上手く行けばヴィータの戦力強化にもなるし、一石二鳥になる。そう考える。
ヴィータにはいずれあのエヴァを……紫穂に屈辱を与えたエヴァを殺して貰わねばならないのだし。
歩き続ける彼女たちの前方で、森が途切れる。視界が開ける。東西に走る広い道路が見える。
そこを曲がって直進すれば、市街地はもう、そう遠くない位置。
ドロドロとした感情を心の中に秘め、少女達は見かけだけは仲良さそうに、寄り添ったまま歩き続ける……!
そこを曲がって直進すれば、市街地はもう、そう遠くない位置。
ドロドロとした感情を心の中に秘め、少女達は見かけだけは仲良さそうに、寄り添ったまま歩き続ける……!
【C-2/森の出口/2日目/深夜】
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:精神汚染。
[装備]:邪剣ファフニール@TOS、ワルサーPPK(銀の銃弾5/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
ショックガン@ドラえもん
[道具]:支給品一式×3(水1.5人分パン二人分弱-一食)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
きんのたま@ポケットモンスター、包帯、双葉の肉片セット、神楽とミミの眼球
[服装]:病人着
[思考]:ああ、楽しみだわ……!
第一行動方針:とりあえず「北東の街」を目指す。
第二行動方針:ヴィータとグラーフアイゼンを出会わせて、互いの反応を楽しみたい。
第三行動方針:参加者の復讐心や不和を煽る。邪魔者は消す。
第四行動方針:能力を見抜いたエヴァに警戒と敵意。機会があればエヴァを消す。
第五行動方針:機会があればまたグレーテルと会いたい。2人きりで楽しく殺し合いたい。
基本行動方針:扇動、ステルス、実力行使、あらゆる手段を用いて殺し合いを加速させて楽しむ。
[備考]:紫穂は朝の放送ではやて殺害犯のことをヴィータに教える約束をしています。
北東の街にグラーフアイゼンがあるらしいことを、まだヴィータには伝えていません。
[状態]:精神汚染。
[装備]:邪剣ファフニール@TOS、ワルサーPPK(銀の銃弾5/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
ショックガン@ドラえもん
[道具]:支給品一式×3(水1.5人分パン二人分弱-一食)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、
きんのたま@ポケットモンスター、包帯、双葉の肉片セット、神楽とミミの眼球
[服装]:病人着
[思考]:ああ、楽しみだわ……!
第一行動方針:とりあえず「北東の街」を目指す。
第二行動方針:ヴィータとグラーフアイゼンを出会わせて、互いの反応を楽しみたい。
第三行動方針:参加者の復讐心や不和を煽る。邪魔者は消す。
第四行動方針:能力を見抜いたエヴァに警戒と敵意。機会があればエヴァを消す。
第五行動方針:機会があればまたグレーテルと会いたい。2人きりで楽しく殺し合いたい。
基本行動方針:扇動、ステルス、実力行使、あらゆる手段を用いて殺し合いを加速させて楽しむ。
[備考]:紫穂は朝の放送ではやて殺害犯のことをヴィータに教える約束をしています。
北東の街にグラーフアイゼンがあるらしいことを、まだヴィータには伝えていません。
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:両腕に僅かに痺れが残る、左足に火傷跡、左手爪全剥
[装備]:祈りの指輪@DQ、フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(食料・水二人分-1食)
ぬのハンカチ×20、マシカルアンバーミサイル×6@メルティブラッド 、
救急箱、はやて特製チキンカレー入りタッパー、ボロボロの傘
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:心とか読まれようが、関係ねぇ……!
第一行動方針:当面紫穂に従う。
第二行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
第三行動方針:エヴァはいずれ自分の手で殺す。
基本行動方針:はやての仇を討つ。その後、優勝してはやてを復活させる。
[備考]:「ヒント」からはやてを殺したのがなのはかもしれないとは思っていますが、
少なくとも決め付けるのはまだ早いと思っています。
エヴァとの会話で、紫穂のサイコメトリー能力に勘付きました(詳細までは知りません)。
[状態]:両腕に僅かに痺れが残る、左足に火傷跡、左手爪全剥
[装備]:祈りの指輪@DQ、フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(食料・水二人分-1食)
ぬのハンカチ×20、マシカルアンバーミサイル×6@メルティブラッド 、
救急箱、はやて特製チキンカレー入りタッパー、ボロボロの傘
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:心とか読まれようが、関係ねぇ……!
第一行動方針:当面紫穂に従う。
第二行動方針:はやてを殺した犯人を見つけ出し、殺す。
第三行動方針:エヴァはいずれ自分の手で殺す。
基本行動方針:はやての仇を討つ。その後、優勝してはやてを復活させる。
[備考]:「ヒント」からはやてを殺したのがなのはかもしれないとは思っていますが、
少なくとも決め付けるのはまだ早いと思っています。
エヴァとの会話で、紫穂のサイコメトリー能力に勘付きました(詳細までは知りません)。
【15:第三と第六の魔女――初夜を待つ花嫁のように】
……雨が、屋根をたたき続けている。
裏手から神社の境内に戻ってきた少女は、腕の中に納まる人形に静かに微笑みかける。
裏手から神社の境内に戻ってきた少女は、腕の中に納まる人形に静かに微笑みかける。
ゴシックロリータ風の黒い衣装を纏った少女が、精緻なアンティークドールを片手で抱いている――
これで背負っている傘がボロボロでなければ、そのまま絵画にもなりそうな美しさだ。
千秋には散々馬鹿にされたが、一旦脱いで水気を絞った服は、見たところ普段と大して変わりが無い。
この体勢、単に傘が1本しかなく、2人の体格差を考えればこれが一番だった、というだけだったのだが……
信頼も何もない者同士で、その気になれば命を一瞬で奪えるであろうこの密着、やや異常なことではある。
これで背負っている傘がボロボロでなければ、そのまま絵画にもなりそうな美しさだ。
千秋には散々馬鹿にされたが、一旦脱いで水気を絞った服は、見たところ普段と大して変わりが無い。
この体勢、単に傘が1本しかなく、2人の体格差を考えればこれが一番だった、というだけだったのだが……
信頼も何もない者同士で、その気になれば命を一瞬で奪えるであろうこの密着、やや異常なことではある。
「神社か……。グレーテル、ここで休むのかい?」
「どうしようかしらね。人の気配はないようだけど……」
「漠然と南の方と言っても、範囲は広いからね。
……そうだ、塔を出る時に、チアキって子に鍵を貰ったよ。
山の下を通ってるトンネル、南の端の扉を閉ざしてきたんだってさ」
「どうしようかしらね。人の気配はないようだけど……」
「漠然と南の方と言っても、範囲は広いからね。
……そうだ、塔を出る時に、チアキって子に鍵を貰ったよ。
山の下を通ってるトンネル、南の端の扉を閉ざしてきたんだってさ」
蒼星石はグレーテルに鍵を示して見せる。そこには警戒の色はあまりない。
7人の間の不戦協定を、真面目に信じてでもいるのだろうか。呑気なことだ、とグレーテルは思う。
だが――そうであればこそ、蒼星石と組んだ甲斐もあるというものだ。
7人の間の不戦協定を、真面目に信じてでもいるのだろうか。呑気なことだ、とグレーテルは思う。
だが――そうであればこそ、蒼星石と組んだ甲斐もあるというものだ。
そう……グレーテルは、一瞬で見抜いていたのだ。
7人が顔を合わせた、その瞬間に。理屈ではなく、その卓越した直感力で。
年齢も背景も思想も容姿も多種多様、見えざる神の手に引かれてあの塔に集まった7人の魔女のうち――
7人が顔を合わせた、その瞬間に。理屈ではなく、その卓越した直感力で。
年齢も背景も思想も容姿も多種多様、見えざる神の手に引かれてあの塔に集まった7人の魔女のうち――
蒼星石だけが、まだ『人を殺したことがない』。
この島に来てからか、それより以前のことなのかは、流石に判断がつかない。
だがあの5人は、どこかで既に他人の命を奪ったことがあるのだろう。血の匂いが微かに漂ってきていた。
その中でただ1人、まだ殺人という罪を犯したことがない蒼星石の姿は、とても目に付くものだった。
誰かを殺す覚悟はしている。自分が死ぬ覚悟もある。それなりに戦闘の場数も踏んではいるようだ。
ただそれでも、まだ、経験はない。
誰かを殺し、壊し、命なき残骸(ジャンク)にしてしまうという、そんな経験は。
だがあの5人は、どこかで既に他人の命を奪ったことがあるのだろう。血の匂いが微かに漂ってきていた。
その中でただ1人、まだ殺人という罪を犯したことがない蒼星石の姿は、とても目に付くものだった。
誰かを殺す覚悟はしている。自分が死ぬ覚悟もある。それなりに戦闘の場数も踏んではいるようだ。
ただそれでも、まだ、経験はない。
誰かを殺し、壊し、命なき残骸(ジャンク)にしてしまうという、そんな経験は。
(人生に一度しかない『処女喪失(ロストバージン)』の時、貴女はどんな素敵な表情を見せてくれるのかしら?
泣くのかしら? 吼えるのかしら? 黙りこむのかしら? ああ、考えただけでも、濡れてしまいそう……!)
「ん? グレーテル、何か言った?」
「いいえ、別に♪」
泣くのかしら? 吼えるのかしら? 黙りこむのかしら? ああ、考えただけでも、濡れてしまいそう……!)
「ん? グレーテル、何か言った?」
「いいえ、別に♪」
グレーテルは哂う。声無き呟きを誤魔化して、ただ想像を弄んで哂う。
覚悟を決めていたとしても、実際にその場に立ってみれば色々と事情は異なるもの。
殺人、という究極の禁忌を犯してしまった時、この生真面目な人形はどんなことになってしまうのだろう――?
そう思ったら、堪らなくなってしまったのだ。千秋に対する執着をも、凌ぐほどに。
覚悟を決めていたとしても、実際にその場に立ってみれば色々と事情は異なるもの。
殺人、という究極の禁忌を犯してしまった時、この生真面目な人形はどんなことになってしまうのだろう――?
そう思ったら、堪らなくなってしまったのだ。千秋に対する執着をも、凌ぐほどに。
(それにチアキには嫌われてしまったようだし。離れて変化を待った方が、かえって面白いかもしれないわね。
後でまた会った時、チアキがどこまで堕ちているかに賭けるのも一興だと思わない、兄様?)
後でまた会った時、チアキがどこまで堕ちているかに賭けるのも一興だと思わない、兄様?)
……雨が、神社の本殿の屋根を叩き続けている。
傘の下そしてグレーテルは、静かに静かに、壊れた笑みを浮かべていた。
傘の下そしてグレーテルは、静かに静かに、壊れた笑みを浮かべていた。
【C-4/神社/2日目/深夜】
【グレーテル@BLACK LAGOON】
[状態]:疲労(中)、全身に軽度のダメージ。左腕に大ダメージ。 核鉄で治癒中。
喪われた心臓の代わりに核鉄(サンライトハート)が埋め込まれている。最高にハイな気分。
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄・収納状態)@武装錬金
ソードカトラス×2(1+15/15)(12/15)@BLACK LAGOON、ソードカトラス専用ホルダー
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶×1本、毒ガスボトル×2個、ボロボロの傘
ソードカトラスの予備弾倉×2(各15発)
[服装]:いつも通りの喪服のような黒い服。胸の中央に大きな穴が空いている。雨に濡れて湿っている。
[思考]:楽しみね……!
第一行動方針:とりあえず「南の方」に向かう。
(少し神社で休憩する? 再び市街地に行く? 南東の廃墟方面? 学校に立ち寄る?)
第二行動方針:蒼星石と一緒に他の参加者を殺す。ただし蒼星石にもある程度警戒。
第三行動方針:蒼星石に『人殺し』を実体験させ、その動揺する様を見物したい
第四行動方針:千秋との再会を楽しみにする。千秋が「完全に闇に堕ちた」姿を見届けたい。
第五行動方針:機会があればまた紫穂と会いたい。2人きりで楽しく殺し合いたい。
基本行動方針:効率よく「遊ぶ」。そして優勝した後、ジェダに「世界のルール」を教えてやる(=殺す)。
[備考]:キルアの名前は聞いていません。
シルバースキンの弱点(同じ場所をほぼ同時に攻撃されると防ぎきれない)に勘付きました。
「殺した分だけ命を増やせる」ことを確信しました。ただし痛みはあるので自ら傷つこうとはしません。
[状態]:疲労(中)、全身に軽度のダメージ。左腕に大ダメージ。 核鉄で治癒中。
喪われた心臓の代わりに核鉄(サンライトハート)が埋め込まれている。最高にハイな気分。
[装備]:ウィンチェスターM1897(1/5)@Gunslinger Girl)、サンライトハート(核鉄・収納状態)@武装錬金
ソードカトラス×2(1+15/15)(12/15)@BLACK LAGOON、ソードカトラス専用ホルダー
[道具]:支給品一式、塩酸の瓶×1本、毒ガスボトル×2個、ボロボロの傘
ソードカトラスの予備弾倉×2(各15発)
[服装]:いつも通りの喪服のような黒い服。胸の中央に大きな穴が空いている。雨に濡れて湿っている。
[思考]:楽しみね……!
第一行動方針:とりあえず「南の方」に向かう。
(少し神社で休憩する? 再び市街地に行く? 南東の廃墟方面? 学校に立ち寄る?)
第二行動方針:蒼星石と一緒に他の参加者を殺す。ただし蒼星石にもある程度警戒。
第三行動方針:蒼星石に『人殺し』を実体験させ、その動揺する様を見物したい
第四行動方針:千秋との再会を楽しみにする。千秋が「完全に闇に堕ちた」姿を見届けたい。
第五行動方針:機会があればまた紫穂と会いたい。2人きりで楽しく殺し合いたい。
基本行動方針:効率よく「遊ぶ」。そして優勝した後、ジェダに「世界のルール」を教えてやる(=殺す)。
[備考]:キルアの名前は聞いていません。
シルバースキンの弱点(同じ場所をほぼ同時に攻撃されると防ぎきれない)に勘付きました。
「殺した分だけ命を増やせる」ことを確信しました。ただし痛みはあるので自ら傷つこうとはしません。
【蒼星石@ローゼンメイデン】
[状態]:金糸雀のローザミスティカ継承、全身打撲(行動には余り支障なし)。雨で服が湿っている。
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン(血まみれ)、金糸雀のバイオリンと弓@ローゼンメイデン
[道具]:基本支給品×2、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、 戦輪×4@忍たま乱太郎
素昆布@銀魂、旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
トンネル南側入り口の鍵
[思考]:僕は、やるよ……!
第一行動方針:とりあえず「南の方」に向かう。
(少し神社で休憩する? 市街地に行く? 南東の廃墟方面? 学校に立ち寄る?)
第二行動方針:当面、グレーテルと共に行動して他の参加者を殺す。グレーテルもあまり信用しない。
第三行動方針:7人の間の約定(不戦協定など)は出来るだけ真面目に守る。
第四行動方針:タバサを殺すのは出来るだけ後回し(できれば最後)。
基本行動方針:優勝して、ジェダに時間をゲーム開始以前にまで戻してもらい、全てを無かったことにする。
[状態]:金糸雀のローザミスティカ継承、全身打撲(行動には余り支障なし)。雨で服が湿っている。
[装備]:庭師の鋏@ローゼンメイデン(血まみれ)、金糸雀のバイオリンと弓@ローゼンメイデン
[道具]:基本支給品×2、ジッポ、板チョコ@DEATH NOTE、 戦輪×4@忍たま乱太郎
素昆布@銀魂、旅行用救急セット(消毒薬と針と糸)@デジモンアドベンチャー
トンネル南側入り口の鍵
[思考]:僕は、やるよ……!
第一行動方針:とりあえず「南の方」に向かう。
(少し神社で休憩する? 市街地に行く? 南東の廃墟方面? 学校に立ち寄る?)
第二行動方針:当面、グレーテルと共に行動して他の参加者を殺す。グレーテルもあまり信用しない。
第三行動方針:7人の間の約定(不戦協定など)は出来るだけ真面目に守る。
第四行動方針:タバサを殺すのは出来るだけ後回し(できれば最後)。
基本行動方針:優勝して、ジェダに時間をゲーム開始以前にまで戻してもらい、全てを無かったことにする。
【16:最後の魔女――悪を越えた悪へ】
……雨が、降り続いていた。
壁の破れた塔の一室で、最後に残った魔女は、憂鬱な溜息をつく。
壁の破れた塔の一室で、最後に残った魔女は、憂鬱な溜息をつく。
「本当に振り止む気配がないな。
まったく、動き出すのが億劫になってしまうよ」
まったく、動き出すのが億劫になってしまうよ」
他の3組がほぼ同時に出発するのを見送ったエヴァは、しかし、すぐには動こうとしなかった。
『協定』で定められたエヴァの担当は、西の方角。
真っ先にエヴァ自身が手を挙げ名乗り出て、早々に『確保』してしまった場所。
廃病院と工場を含むエリアではあり、そこには、因縁あるインデックスたちがまだ居るはずだったが――
実のところ、彼女には西に向けて出発する気は全く無かった。
『協定』で定められたエヴァの担当は、西の方角。
真っ先にエヴァ自身が手を挙げ名乗り出て、早々に『確保』してしまった場所。
廃病院と工場を含むエリアではあり、そこには、因縁あるインデックスたちがまだ居るはずだったが――
実のところ、彼女には西に向けて出発する気は全く無かった。
「大した保障にもなるまいが、これで工場にいる連中が奴らに襲われることはあるまい。
今のあやつらは、まさに満身創痍。実力を十全に発揮するには、多少なりとも休息が要るだろうしな」
今のあやつらは、まさに満身創痍。実力を十全に発揮するには、多少なりとも休息が要るだろうしな」
エヴァは思いだす。今の工場に居るはずの、英雄予備軍たちのことを。
なのは。アリサ。リンク。インデックス。
彼女たちがどういう結論を出すのか、今のエヴァには想像もつかない。興味もない。
けれどそれでも、あそこに居るのは『希望の光』なのだ。
『悪』として己の生涯を終えるつもりのエヴァにとって、『自分を倒してくれるかもしれない存在』なのだ。
間違っても、今ここに集まっていたような小悪党どもに討ち取られたくはない。
なのは。アリサ。リンク。インデックス。
彼女たちがどういう結論を出すのか、今のエヴァには想像もつかない。興味もない。
けれどそれでも、あそこに居るのは『希望の光』なのだ。
『悪』として己の生涯を終えるつもりのエヴァにとって、『自分を倒してくれるかもしれない存在』なのだ。
間違っても、今ここに集まっていたような小悪党どもに討ち取られたくはない。
「それにな――やはり、『悪』は『悪』同士、薄暗い闇の中、醜い潰し合いをするのが妥当だろうよ」
結局ヴィータの傷を治してしまったインデックス。そのインデックスに殺す気で斬り付けたヴィータ。
会話の中で垣間見えたその成り行きだけで、エヴァがこの決意を固めるには十分だった。
毒には毒を。悪には悪を。
小悪党さえ凌ぐ、悪になるためにも。
エヴァンジェリンは、あえて結んだばかりの『協定』を破棄する決意を固める。
会話の中で垣間見えたその成り行きだけで、エヴァがこの決意を固めるには十分だった。
毒には毒を。悪には悪を。
小悪党さえ凌ぐ、悪になるためにも。
エヴァンジェリンは、あえて結んだばかりの『協定』を破棄する決意を固める。
さり気なく見ていたところでは――あの場に集まった他の6名も、それぞれそれなりにやるようだ。
立ち振る舞いが素人臭いのは、僅かに南千秋1人のみ。他の5人は、修羅場の経験を持つ者ばかり。
南千秋にしても、装備や道具はそれなりに恵まれているようで、その態度に不安の色は少なかった。
あの人数を一度に相手にすれば、流石のエヴァにも勝ち目は薄い。
立ち振る舞いが素人臭いのは、僅かに南千秋1人のみ。他の5人は、修羅場の経験を持つ者ばかり。
南千秋にしても、装備や道具はそれなりに恵まれているようで、その態度に不安の色は少なかった。
あの人数を一度に相手にすれば、流石のエヴァにも勝ち目は薄い。
だからエヴァは、『悪』らしく。一計を案じることにした。
少人数に別れての分散。『協定』の価値を著しく減じてしまうようなこの提案を、さりげなく行ったのだ。
あの誰もが好き勝手に発言していた混乱の中、エヴァの真意に気付いた者が果たしていただろうか?
2人ずつくらいなら、エヴァにも勝ち目が見えてくる。今のエヴァでも、戦いようがある。
そして吸血による回復も計算に入れれば、連戦による疲労や消耗の問題も気にする必要はないわけで。
少人数に別れての分散。『協定』の価値を著しく減じてしまうようなこの提案を、さりげなく行ったのだ。
あの誰もが好き勝手に発言していた混乱の中、エヴァの真意に気付いた者が果たしていただろうか?
2人ずつくらいなら、エヴァにも勝ち目が見えてくる。今のエヴァでも、戦いようがある。
そして吸血による回復も計算に入れれば、連戦による疲労や消耗の問題も気にする必要はないわけで。
西の方角を自ら選んで封じ、工場組の面々をさりげなく保護し――
他の3組も進路が交わらぬよう分散させて、相互の連携を防ぐ。
そして西には向かわず、どこかの組の後を追いかけて、グループ単位での各個撃破を図る。
他の3組も進路が交わらぬよう分散させて、相互の連携を防ぐ。
そして西には向かわず、どこかの組の後を追いかけて、グループ単位での各個撃破を図る。
「まあ、工場以外の場所にいる連中に累が及ぶやもしれんが……
元よりあの程度の連中をどうにか出来ない奴らなら、『正義の味方』としても役には立つまい。
それに交戦のついでにでも、『悪』の仲間として私の名を広めてくれれば万々歳だ」
元よりあの程度の連中をどうにか出来ない奴らなら、『正義の味方』としても役には立つまい。
それに交戦のついでにでも、『悪』の仲間として私の名を広めてくれれば万々歳だ」
あの小悪党どもと同列に見られるのは気分のいいものではないが、しかし他に悪名を広める手段もない。
せいぜい『悪』の一味、『塔に集ったワルプルギスの魔女たち』の悪名を広めて貰おう。
上手く行けば、エヴァの願いにも1歩近づく。
『正義の味方』のために露払いをし、ジェダへの道を作り、その上で『悪の中ボス』として討たれるという夢に。
せいぜい『悪』の一味、『塔に集ったワルプルギスの魔女たち』の悪名を広めて貰おう。
上手く行けば、エヴァの願いにも1歩近づく。
『正義の味方』のために露払いをし、ジェダへの道を作り、その上で『悪の中ボス』として討たれるという夢に。
「さて、ではどの組から追うかな……?」
魔法の障壁で身を包み、冷たい雨の中に1歩踏み出しながら。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは――『魔女狩りの魔女』は、ニヤリと獰猛に笑った。
エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルは――『魔女狩りの魔女』は、ニヤリと獰猛に笑った。
【C-3/塔の前/2日目/深夜】
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:全身に痛み、魔力(小)。弱い魔法障壁を展開し雨を弾いている
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式
[思考]:さて、どの馬鹿から襲うか……?
第一行動方針:今出て行った悪党どもを追い、グループ単位で各個撃破する。
(どのチームから追うかは思案中。今ここで休憩を取るかどうかも思案中)
第二行動方針:リリスと遭遇することがあったら、リリスを倒し身柄を押さえ、情報を得る。
第三行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第四行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たちの前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダ打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。誇り高き悪として、正義の前に散る。
[備考]
梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。
ジェダ打倒を目指している者として、ニアの名前をグリーンから聞いています。
パタリロを魔族だと思っています。名前は知りません
紫穂の『能力』が、触れることで発動することを見抜きました。詳細までは把握していません。
[状態]:全身に痛み、魔力(小)。弱い魔法障壁を展開し雨を弾いている
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:支給品一式
[思考]:さて、どの馬鹿から襲うか……?
第一行動方針:今出て行った悪党どもを追い、グループ単位で各個撃破する。
(どのチームから追うかは思案中。今ここで休憩を取るかどうかも思案中)
第二行動方針:リリスと遭遇することがあったら、リリスを倒し身柄を押さえ、情報を得る。
第三行動方針:ジェダの居場所に至る道を突き止め、露払いをする。
第四行動方針:ジェダを倒そうと挑む者たちの前に立ち塞がり、討たれる。
基本行動方針:ジェダ打倒のために暗躍。ただし仲間は作らない。誇り高き悪として、正義の前に散る。
[備考]
梨花の血を大量に吸いました。雛見沢症候群、及び女王感染者との関連は不明です。
ジェダ打倒を目指している者として、ニアの名前をグリーンから聞いています。
パタリロを魔族だと思っています。名前は知りません
紫穂の『能力』が、触れることで発動することを見抜きました。詳細までは把握していません。
イヴから、ランドセルを含めた支給品一式×1を(半ば強引に)譲り受けました。
[備考]
『7人の魔女たち』の間に結ばれた協定は、次の通り。
協定1:7人の間の協定を破った者は、残り全員の敵とみなされ、協定による保護の対象から外される。
協定2:7人は、次の正午までの間、互いに戦うことを避けるものとする。
協定3:当面、7人は4組に分かれて行動する。
協定4:4つの組は、ひとまずは塔から東西南北の4方向に向かって進むこととする。
この振り分けは獲物の取り合いを避けるための方便であり、また、それぞれの組のノルマでもある。
協定5:当面の組分けと進む方角は、以下の通り。
東:千秋・イヴ組 西:エヴァンジェリン(単独) 南:グレーテル・蒼星石組 北:紫穂・ヴィータ組
海に行き当たったら、北に向かった組は北東の街を、西に向かった組は南西の街を目指す。
東と南に向かった組は、それぞれ街は避ける。
協定6:後は臨機応変で適当に。
『7人の魔女たち』の間に結ばれた協定は、次の通り。
協定1:7人の間の協定を破った者は、残り全員の敵とみなされ、協定による保護の対象から外される。
協定2:7人は、次の正午までの間、互いに戦うことを避けるものとする。
協定3:当面、7人は4組に分かれて行動する。
協定4:4つの組は、ひとまずは塔から東西南北の4方向に向かって進むこととする。
この振り分けは獲物の取り合いを避けるための方便であり、また、それぞれの組のノルマでもある。
協定5:当面の組分けと進む方角は、以下の通り。
東:千秋・イヴ組 西:エヴァンジェリン(単独) 南:グレーテル・蒼星石組 北:紫穂・ヴィータ組
海に行き当たったら、北に向かった組は北東の街を、西に向かった組は南西の街を目指す。
東と南に向かった組は、それぞれ街は避ける。
協定6:後は臨機応変で適当に。
ただし、この約定を素直に守るつもりの者ばかりではないことに注意。
また、約定を破ったかどうかの判定方法は特に定めていない。かなりいい加減な口約束に過ぎない。
また、約定を破ったかどうかの判定方法は特に定めていない。かなりいい加減な口約束に過ぎない。
≪247:奪う覚悟があるのならば | 時系列順に読む | 249:拭えぬ過去を振り返り(前編)≫ |
≪247:奪う覚悟があるのならば | 投下順に読む | 249:拭えぬ過去を振り返り(前編)≫ |
≪238:Libido of sensitivity reaches paraisso...get it? ≪245:臨時放送、あるいはイレギュラー |
ヴィータの登場SSを読む | 271:部下に任せた結果がこれだよ!!≫ |
紫穂の登場SSを読む | ||
イヴの登場SSを読む | 256:霧けむる城≫ | |
≪232:屏風の虎 -their roots- ≪245:臨時放送、あるいはイレギュラー |
南千秋の登場SSを読む | |
グレーテルの登場SSを読む | 263:遺。(前編)≫ | |
≪247:奪う覚悟があるのならば | 蒼星石の登場SSを読む | |
≪242:許されざる者(前編) ≪245:臨時放送、あるいはイレギュラー |
エヴァの登場SSを読む |