「…………」
「…………」
黒く冷たい肌触り。人の頭を軽く吹き飛ばすであろう衝撃を内包するとは思えぬ小さな鉄塊が今やピッタリと私のこめかみにあてがわれていた。
恐怖はあまり感じない。むしろ持ち合わせてさえいないのかもしれなかった。
「帝国の親衛隊か」
「ご名答……と言いたいところですが、親衛隊の制服を着ているところを見れば当然でしたか」
一応肩をすくめておどけてみせるが、どうやらいかなアクションも目前この女には――確かレイチェルと言ったか――カンに障るだけらしい。
しかし私の役割からして今回はおどけてみせるしかないのだ。
「何をしにあらわれた。生憎ここはただのメードが来るような場所じゃない」
「さて。私は上の絵について解説しろとしか言われていませんので」
残念ながらである。
「であるから私はそもそもここがどこであるかも知りません」
「……お前のその一言でこの構図自体がもう馬鹿馬鹿しくなったんだが」
早くもこの文章自体が破綻寸前であるが、もう少々お付き合いして頂ければ幸いである。筆者より。
「あなたはもう死んでいます」
「ちにゅ」
銃を互いに突きつけながら遊ぶ敵同士の二人だった。
「なんせこの再生能力の前ではそんなちゃちな短筒一つ私に大したダメージも与え」
ばばーん。
二発の銃声。
「あっぶねこいつ撃ちやがった」
「なにやら説明くさい物言いになりますが、先に撃ったのはあなたですし危ういのはあなたの引き金の軽さです」
続けて解説させて頂くとドルヒのセリフ中にレイチェルが発砲し続けてドルヒも発砲という流れ。
ちなみに二人とも直前身をよじって、なんとか頭に風穴が開くようなことはなかったようだ。
引き続き無意味に物騒にじゃれるお二人様である。
「随分自信があるそうだから試してみたまでだ」
「喧嘩を売る前から買わないで下さい。押し売りならぬ押し買いですか」
「迷惑だな」
「ええ、お帰り願いたい限りです」
「私だって早く帰りたいよ」
「それでは早急に無に帰っていただきましょうか」
「念仏ぐらいは唱えてくれるのかな」
「南無大慈大悲救苦救難広大霊観……」
「な、まさかその手袋の下の左手は――」
「ふふ。楼蘭で鬼を封印するのにちょっとばかりてこずりましてね……」
ドルヒはゆっくりと、相手にそれが良く見えるように左手を二人の眼前にかかげる。
そしてゆっくりとその手袋を――
だだーん。
騒音二つ。
「ノせやすいと助かるよな。実際。」
「確かに人間関係が円滑になりますね」
「独り言のつもりだったんだが」
特にこれといった特徴も無い、風穴が開いているだけの左手を下ろしたドルヒはなみなみ注がれたワイングラスのような風情でいたずらに笑ってみせる。
もうすこしで笑顔と一緒に葡萄酒がこぼれ落ちそうだったがそれもあと数瞬で思い過ごしに終わるだろう。
「しかしこれでは話が終わらない」
――まったくである。
お前らこの先ずうっと@wikiでそうしてろ。
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