新界・第2部 - [二代目]みんなで創る【最強】Wiki*【9/2更新】 | みんさいWiki

◆第2部 ―《夢と奇跡の旅篇》

●世界観

第1部《記憶と修復の旅篇》で世界は「記憶」を取り戻し、過去の傷が繕われた。
だがそこに残ったのは“乾いた現実”だった。
夢がなく、願いを忘れ、奇跡の火が消えた世界。
空は灰色、街には歌がなく、人々はただ「与えられた日常」を繰り返すだけ。
そんな荒野のような現実を前に、天廻卿・柊セイアは「夢を求めよ」という啓示を七瀬イチカに託す。
イチカの旅は、失われた「夢」と「奇跡」を再びこの世界に芽吹かせる巡礼となる。

舞台

灰翳（はいえい）大陸

第2部の主舞台。かつては色彩豊かな地域だが再構築で色が抜けた。北は針葉の薄林、中央は褪せた都市群、南は潮の歌を忘れた港湾地帯。

ルーメン市場（メインの街）

歌が消えた市場。ここで最初の“歌なき”事件が起きる。露店の明かりは点くが笑い声が薄い。イチカの最初の奇跡はここで起きるんだぜ。

夢溜（ゆめだまり）湿地

黒蛸卿の小規模拠点が発見される湿地帯。銀色の泡が浮き、夜に奇妙な反響音が立つ。

虚鐘の港（きょしょう）

港の波が歌を忘れている。灯台に残った古い歌碑が物語の鍵になる。

聖杯陣（聖域）

黒蛸卿が設置した法則断片の集積地。空間が硝子化するように硬くなる場所だぜ。

●主な登場人物

七瀬イチカ

神城リョウと七瀬ムメイの娘。
「定命の旅人」と呼ばれる存在。
神から選ばれたわけではなく、あくまで“人間”として生まれた少女。
セイアから「未来を紡ぐ力」を与えられており、その奇跡で世界に夢を呼び戻す。
旅の本質は「人間が夢を持つことの意味」を証明すること。

柊セイア

第1部からの続投キャラ。天から巡る視点を持ち、人の運命を見通す存在。
イチカに「夢を求めよ」と啓示を与える。
戦士ではなく観測者に近いが、時に導き、時に奇跡を補助する。
夢魘獣との戦いでは精神的支柱の役割を果たす。

シュトルム

謎多き旅の伴侶。名は“嵐”を意味する。
イチカの旅を監視する立場にあるが、次第に彼女の信念に共鳴していく。
黒蛸卿ら四卿のことをよく知っており、彼の過去は物語の終盤で明かされる。

●敵対存在：四卿と夢魘獣

第2部の主敵は《夢魘獣》と、その背後に立つ四人の“卿”。
彼らは「夢は人を苦しめ、世界を乱すもの」という思想を掲げ、夢を封じることで安定を保とうとする。

◆黒蛸卿（こくちょうきょう）

「夢を捕食する触手」を持つ支配者。
夢魘獣の発生源であり、《ユメオチ現象》を引き起こす張本人。
「夢を持たなければ絶望もない」という理屈で世界を安定させようとする。
イチカにとって最も論理的な敵。
「夢は毒だ。希望は災厄だ。ならば我が触手で喰らい尽くし、安定の虚無に沈めよう。」

◆黒響卿（こっきょうきょう）

「歌姫」と「楽団」の姿を取る夢魘獣の集合体。
心象反響を操り、相手の心の奥底にある“自己像”を映し出す。
理想像や恐怖像をコピーして戦わせるため、戦闘は常に“自分との戦い”。
「──私は歌う、私は問う。あなたの心の旋律を、響きとして返すのです。」
「見よ、恐れている己を。愛している己を。求めている己を。すべて音に変えて。」

◆暴食卿（ぼうしょくきょう）

「全てを食らうもの」。
夢・奇跡・肉体・精神すらも食らう底なしの大口を持つ。
黒蛸卿の思想をもっとも単純に、最も獣性的に体現する存在。
「くれ……もっとくれ……夢でも願いでも命でも、全部くれぇ……ッ！！」
「我は空腹。我は飢餓。我は世界の大穴だ……！」

◆幽黒卿（ゆうこくきょう）

「死者の夢」を統べる者。
亡霊や幻影の姿で現れ、死者の言葉を通じて人を惑わす。
「夢は死者のもの、生者が夢を抱くから不幸になる」と主張。
「夢は墓標だ。死者の囁きを聴け、生者よ。そこに安息がある。」
「願いなど虚ろ。奇跡など幻。お前もいずれ、死者の夢に帰るのだ。」

●ユメオチ現象と夢魘獣

《ユメオチ現象》とは、黒蛸卿らの干渉によって人々が「夢を失い、夢魘獣と化す現象」。
対象者は強い願いや恐怖を抱いているほど早く夢魘獣化する。
夢魘獣は人の「叶わぬ夢」を糧に進化し、他者の夢を奪い喰らって増殖する。
弱い夢魘獣：人々の小さな願い（歌いたい、愛されたい、勝ちたい）を具現化した怪異。
強大な夢魘獣：叶わぬ祈りや絶望を抱えた者が変貌した存在。時に国をも滅ぼす力を持つ

そもそもユメオチって？

ユメオチ現象とは何か

ユメオチ現象＝黒蛸卿（とその配下の夢魘獣）が放つ**精神汚染性の夢物質（銀色の体液や夢屑）に触れた人が、現実と夢の境界を侵食され、最終的に「夢魘獣」または夢に支配された姿（半ば人でなくなる存在）へと変貌する一連の病気みたいなもの。
要するに、

夢が現実を乗っ取り、当人の意志と記憶を書き換える

発生源と媒介

黒蛸卿の銀色体液：最も典型的な媒介物。皮膚や呼吸器に付着すると夢の断片が侵入する。
夢魘獣の咆哮／歌／触媒呪歌：黒響卿みたいな連携だと、言葉や旋律そのものが媒介になる。
影響の拡散：空気中に漂う微粒子、接触感染、夢里での“被観測”経路（観測されることで感染）などがある。

メカニズム（概念面と生理面の二重構造）

概念的侵食（夢のコード侵入）

黒蛸卿の夢物質は“被害者の無意識”的側面（願望・恐怖・自己像）に接続し、そのイメージを増幅して現実へフィードバックする。これが「夢が現実を書き換える」第一歩なんだ。

神経的同化（脳内シナプスの書換）

夢物質は微細な精神寄生体を含む。これが脳の情動回路／自己認識回路に付着して情報経路を書き換え、感覚と記憶の参照点をすり替える。

形象化（具現化）

被害者の「心象イメージ」が外界に具現化し、それが周囲の観測者にも影響を及ぼす。被感染者は次第に自分の“内的像”に忠実な行動を取るようになり、最終的には夢魘獣へ転化する。

恒常化

完全な夢魘獣化が起きると、感染体は「夢の法則で動く存在」になり、常人の救済が非常に困難になる。

進行段階（臨床的イメージ）

曝露期（接触直後）

淡い浮遊感、場違いな色彩、耳鳴りのような低音。

初期（半覚醒）

断片的な夢映像が日常へ侵入。記憶の順序が曖昧になり、簡単な判断ミスが増える。

中期（夢と現の混濁）

幻聴・幻視、自己像の変容、奇行。社会的機能が低下する。

後期（夢魘化）：人格崩壊または人格転写。被害者は夢魘の役割を演じる存在となり、黒蛸側の目的に沿った行動を取る。

終末（夢魘獣）

身体的変貌（瞳の異常、皮膚の光沢、唇や指先から銀色の結晶が滲む、異形化等）。完全に「夢魘獣」してしまう。
※進行は個体差が激しい。強固な自我や心の「アンカー（下記）」がある者は止められる場合があるんだぜ。

症状（具体的な兆候）

小さな徴候：夜間の強い悪夢、目覚めた後も夢の残像が残る、会話の文脈を失う。
中程度：日常の反復行動（同じ歌を延々と口ずさむ等）、特定の物に執着、視線がどこか虚ろ。
重度：顔色の変化（青銀色の煌めき）、被感染者が他人を“勧誘”し始める（静かに同調を促す）、身体的異常（冷感や不溶性の体液分泌）。

変異型（バリエーション）

部分型ユメオチ：人格の一部が夢に支配されるだけで、外見はほとんど変わらない。救済可能性高し。
ループ型ユメオチ：時間感覚が損なわれ、同じ一場面を繰り返す。
集合夢魘（コーラス）：黒響卿の歌や楽団が複数人を同時に同期化して同じ夢を見させる集団感染。対応が遅れると疫学的に爆発する。

影響範囲と疫学

都市や閉鎖空間で猛威を振るう。
聖杯や時震が関わる場所では拡大しやすい。
感染者が「夢を観測する者」を増やすことで、伝播が加速される。黒蛸卿はこれを“群体の同調”として利用する。

即時対応と治療法（物語上の対処）

隔離とデバイス的対応

曝露者を隔離し、夢の刺激を遮断する（音や光の操作）。だが根本治療にはならないんだな。

ミル・メモリア（ミル・メモリアでの回復）

：失われた記憶や夢の正しい参照点を再供給する特殊な介入装置だ。銀色体液による夢魘化を逆転させうる唯一の「記憶回復具」として有効。

セシリアの結晶液（生命感応）

：精神侵食と生理攻撃の両方を中和し、菌や寄生体を除去する作用がある。幽黒卿由来の瘴気由来の“屍化”にも有効。

儀礼的解呪（共同の記憶詠唱）：

複数人がその被感染者に向かって共有の“現実の記憶”や愛着を唱えることで、夢の参照点を取り戻す手法。時間と人数が要るが、劇的な効果をもたらすことがある。
真名の呼び掛け：黒響卿の複製・歌の干渉に特効があったように、夢魘獣の作り出した人格に“本名”や“個人史の確証”を突きつけることで、自己像を取り戻すことがある。

完全変容後の救済可能性

早期発見・早期介入なら回復率は高い。
だが完全に夢魘獣へと変貌した個体は、元に戻せない場合が多い。
戦術的には「封印」か「除去」が選択されることが現実的（悲劇だが物語の重みを増す）。

社会的対応・予防策

公衆教育：「夢の共有」や夜間の集会を制限する。
夢保持の儀式：町単位での“現実アンカー”（共同写真、歌、名前の交換）を制度化。
早期検知ネットワーク：ミル・メモリアの簡易検査器具や、セシリア結晶液の配備。
聖杯封印：黒蛸卿が聖杯を操作する場所の封鎖・破壊。八つの聖杯が噴出する領域には入らせない。

主要キャラとの絡み（短く）

七瀬イチカ：旅人として“記憶のアンカー”を持ってるから、ミル・メモリアの鍵になる存在だ。黒蛸卿はイチカを標的にする理由がここにある。

幽黒卿：瘴気で屍化させる。ユメオチとは似て非なる“寄生型”の脅威。両者の同時発生は最悪だぜ。
黒響卿：複製とコーラスでユメオチを拡大する張本人の一角。真名でしか弱らないことがある。

●夢の種

夢の種（ドリームシード）

イチカが各地で見つける“夢の残滓”。形は多様（結晶・紙片・小さな鏡・匂い袋）。正しく育てれば地域の色彩や歌を回復する。

種の育て方

共同の記憶詠唱（町の全員が同じ記憶や歌を一度に唱える）＋賢者の結晶液で“芽吹き”を強制する。失敗すると(*1)ユメオチ源になり得るため慎重が必要。

種の商用化

闇市では「疑似種」を売りつける詐欺が横行。偽の種は使うと精神疲労だけを引き起こす毒物になる。イチカはこうした商いも暴くんだ。

夢の種の本質

旅の中でイチカが見出す「人々が心に残していた小さな夢の欠片」。
それは花のように芽吹き、集まれば奇跡を起こす。
夢の種を咲かせることで、人々は再び「願うことの意味」を思い出す。
イチカ自身もまた「夢の種」を抱えている。
それは――「自分の存在が誰かの奇跡となること」。

派閥・同盟・反対運動

夢守リガルド

伝統的な共同体守護者。イチカを一時的に匿い、儀礼の手順を教える。保守的だが人情味が強い。

記憶商会

過去の断片（第1部の残滓）を扱う商人ギルド。情報を売る代わりに種や結晶液を流通させる。道徳的にグレー。

現実派（秩序支持）

黒蛸思想に一部同調する市民層。安定と秩序を強く望み、管理提案を受け入れやすい。彼らが物語の「誘惑」を作るんだ。

日常の小物

灯歌石

灯歌で使う小石。書かれた願いが光ると町の色が少し戻る。
暴食卿はこれを餌に力を蓄えている。

夢葉（ゆめは）

古い葉形の紙に書かれた一行の詩。集めると種になり得る。

歌碑の欠片

港や村に残る古い石板。修復するとその地域の“音”を呼び戻す。

ミル・メモリアの小箱

記憶回復の補助具。開くと被験者の断片記憶が映像として出るが、使い方には熟練が要る。

社会と文化

職業：記憶補綴師

（第1部の修復の名残、断片記憶の整理を担う）、夢守（小さな共同体の「現実アンカー」を管理）、歌具師（楽器修理屋。音を忘れた街の職人）。

儀礼：毎夜の《灯歌（ともしびうた）》

──小さなランタンを各家の前に置き、誰もが一行だけ「今日見た小さな好奇心」を書いて捨てる。イチカはこの儀礼を通じて町ごとの「欠片」を集める。

教育

子どもたちは「夢の描き方」を学校で習わない。代わりに「効率」と「記録」を学ぶ。この異常が子どもたちの想像力枯渇を助長している。

経済

色彩や歌を「商品化」する暗市が存在する。夢を覚えていた古物（歌碑、詩頁、香）を高値で取り引きする闇業者がいる。

●物語の進行とテーマ

序盤：夢を失った街々を巡る。最初に訪れるのは「誰も歌わない街」。
中盤：夢魘獣と四卿の干渉が強まり、仲間や人々がユメオチに堕ちていく。
終盤：イチカは旅で咲かせた「夢の種」を繋げ、奇跡を世界に顕現。
決戦：黒蛸卿と四卿を前に、夢が「混沌」か「希望」かを巡る思想戦。
テーマは「夢は人を傷つけもするが、それでも夢を抱く価値があるのか？」
イチカの答えは――「夢こそが人を人にする」。

●総評

第2部は、
「夢」＝未来を描く力
「奇跡」＝不可能を可能にする力
「旅」＝その実践
を軸にした物語。
第1部が「記憶と過去の修復」なら、
第2部は「夢と未来の創造」。

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