マスタリング難易度:ふつう シナリオ難易度:ふつう
『イントロダクション』
レギュレーション
一話完結型の単発シナリオ。
NCは「箱庭の物語」「歪曲の舞踏」を所持していること。
参加PL人数:3~5人
必要時間:4時間前後
合計悪意点:
- PL3人/33点
- PL4人/43点
- PL5人/53点
あらすじ(トレーラー)
ドールたちが旅の途中に立ち寄った滅びた町。閑静な一角に、綺麗に手入れされた古びた洋館が立っていました。
何者かの気配を感じる洋館の中に、導かれるように入ってしまったドールたちは、洋館に閉じ込められてしまいます。
果たして、ドールたちは無事に脱出できるのでしょうか…?
シナリオを行う上での予備知識
本シナリオのボスはネクロマンサー(姉妹を作った存在とは異なる)です。
初期作成のドールでも撃破は可能な調整となっていますが、かなり手ごわく設計されているので、
寵愛を10~20点ほど積んだ姉妹で戦うのが望ましいでしょう。
NPCデータ
外見や語り口調については、NCの趣味で適宜変更してください。
ただし、コレクターの望みである「ドールの頭部を奪い、ドラッグイーターに作り替えて愛でて楽しむ」だけは変更しないでください。
本シナリオのネクロマンサーです。積み重なった複数の頭部を持つ異形のサヴァントで、ESP能力を使用できます。旅をしてきたドールの頭部を自我を維持したままコレクションし、様々な会話をしたり本を読んであげたり撫でたりしゃぶったりするのが大好きです。彼女が作ったドールは旅の途中ですが、たまたまやってきた姉妹を自身のドールと同じく愛でてあげようとしています。
ハンドアウト
ありません。
『アドベンチャーパート』
導入
「旅を続けている君たちが立ち寄った滅びた町。何か使えるものはないかと探索していた君たちの前に、明らかに人の気配を感じる古びた洋館が現れた。不意に、君たちに『この洋館に入りたい』という強い衝動が生まれる。…扉が閉まる音でふと気づくと、既に君たちは洋館の中に入ってしまっていた。」
カルマの設定
アドベンチャーパート開始時に公開されるカルマは以下の2つです。
「書斎にたどり着く」
このカルマはドール共通のものです。コレクターに出会い、バトルパートに突入すれば達成となります。
「洋館から脱出する」
このカルマはドール共通のものです。洋館を脱出すれば達成となります。エンドパートに突入すれば自動的に達成されるでしょう。
イベント:メインホールにて
アドベンチャーパートを開始します。
「君たちの意識は、洋館の中で覚醒した。ドアは強固に締まっており、開く気配はない。薄暗い屋敷の中は綺麗に手入れされており、確かに何者かの気配が漂っている…。」
まず、全員に狂気判定(修正+1)をさせてください。姉妹たちの意識は急速に覚醒しつつあります。しかし、何故この洋館に入ってしまったのかがまったくわかりません。何があったのか、どうしてこうなったのか、と言った対話をさせるとよいでしょう。自己紹介が必要な場合は、現状を整理するため、まずは自分たちが何者か認識する、という理由でするといいでしょう。
なお、洋館の扉は開きません。扉の破壊を試みようとしても、最終戦争の時、シェルターの役目を果たすように極めて頑丈につくられているこの扉は破壊不可能です。
会話が一段落した場合、または扉を壊そうとした(そして失敗した)場合、奥から声が誘い掛けてきます。
「こんにちは、お客様。どうぞこちらへいらっしゃいな。」
「乱暴な真似は止めましょう? あまり私のお家で暴れるようでしたら、こちらにも考えがありますわ。」
なお、それでも扉を破壊するのを諦めない場合、何者か(ドラッグイーターです)が物陰から攻撃を仕掛けてきます。反撃はできませんが、ダメージ設けません。全員に狂気判定(修正-1)をさせてください。これは先に進むまで延々と続きます。
姉妹が先に進んだ場合、「イベント:書斎にて」に続いてください。
イベント:書斎にて
通路や広間、部屋を抜け、導かれるままに姉妹が先に進めば、大きな書庫にたどり着くことになります。
整頓された本棚。古びた紙の臭い。それらはこの終わってしまった世界の中で、ある種荘厳な雰囲気を漂わせています。
そして。
その部屋の中心部、作りのいい椅子にその少女は座っています。
「こんにちは、珍しいお客様。どうか、お話を聞かせていただけないかしら?」
可愛らしい少女の体の上に、まるでブドウの房のように積み重なった十数個の頭部。ネクロマンサー、コレクターです。
無数の頭部が矢継ぎ早に言葉を紡ぎます。
「僕が知らないドールなんてそうそう来ないよ。」
「あたし、知りたいこと沢山あるんだ。」
「我の知らぬ旅、我の知らぬ景色、我の知らぬ生物…。」
「みんなみんな、教えてよ! お姉ちゃん!」
コレクターの様子を見た姉妹全員に狂気判定(修正-2)をさせてください。成否にかかわらず、少女たちは「ネクロマンサー」にまつわる記憶のカケラを得ることになります。
また、この時点で姉妹はコレクターも含めて、対話判定を行うことができます。コレクターは姉妹の旅の話を熱心に聞き入れ、相槌すら入れてくるでしょう。望む姉妹には、コレクターへの未練を獲得させて構いません。その場合は歪曲P47の敵への未練表を使ってください。
ネクロマンサーであるコレクターとの会話により、姉妹には生前の記憶やネクロマンサーのことがおぼろげながらわかります。姉妹全員に記憶のカケラを取得させてください。迷ったら「ネクロマンサー」にでもするとよいでしょう。
(この時点で記憶のカケラを二つ取得することになります)
しかし、楽しい話は長くは続きません。コレクターの中にある「他人の頭が欲しい」という狂気が、ゆっくりと頭をもたげてくるからです。
ある程度話をした場合、下記の台詞を言って剣呑な雰囲気を漂わせましょう。
「みんな、すっごく素敵! ねぇ、私とずっと一緒にいてくれない?」
「そうだよ、お姉ちゃん。君たちの頭の中、すっごく興味があるなぁ…。」
「くすくすくす…。」
どのように姉妹が対応したとしても、コレクターは指を鳴らします。
そして、本棚がゆっくりと動き、大量のカプセルが本棚の裏から現れます。
そこには、大量の少女の頭部―いくつかは成人男性や老人の物もあります―が収められています。
「これが、私のお友達!」
「僕の大事なコレクション!」
「さぁ、あなたたちも!」
「「「頭を、頂戴!!!」」」
そう叫ぶと、カプセルが開き、少女の頭部とコレクターが姉妹に襲い掛かります。
『バトルパート』
勝利条件の設定
『コレクターを完全解体する』or『コレクターに未練を持つ姉妹がコレクターとの対話判定で大成功する』
一つ目はコレクターの持つ全てのマニューバを損傷させれば条件達成です。パーツが1つでも残っている限り、戦闘は終了しません。
二つ目は【ボイスエフェクト】などを所持した姉妹が存在する場合の勝利条件となります。大成功した時点で戦闘は終了となります。
手駒の配置
配置/参加PL人数 |
3人 |
4人 |
5人 |
花園 |
ナイトメア×5 |
ナイトメア×5 |
ナイトメア×5 |
|
|
ドラッグイーター×1 |
ドラッグイーター×2 |
煉獄 |
ナイトメア×5 |
ナイトメア×5 |
ナイトメア×5 |
|
デュラハンヘッド×1 |
デュラハンヘッド×2 |
デュラハンヘッド×3 |
地獄 |
コレクター×1 |
コレクター×1 |
コレクター×1 |
|
ヘッドセット×1 |
ヘッドセット×1 |
ヘッドセット×1 |
戦術と演出
コレクターのデータを除く、全ての手駒データを開示します。
コレクターは精神攻撃主体のサヴァントです。メインの攻撃はデュラハンヘッドとドラッグイーターが担う事となります。
戦闘の軸になるのはコレクターの【悪意の芽】です。【心崩し】や【精神汚染】を駆使して、まずは姉妹を発狂させましょう。
それがコレクター以外の相手への未練であれば【悪意の芽】で「嫌悪」に書き換え、【エンバーミング】で失敗させての同士打ちを狙うのが基本戦法となります。
コレクターへの未練であれば、どの発狂であっても問題ないでしょう。また、コレクターの行動値が余った場合は、積極的に姉妹の未練を「嫌悪」に変更していくことを推奨します。
必要であれば、戦闘を長引かせることで姉妹にプレッシャーをかけるとよいでしょう。デュラハンヘッドは【庇う】を、ヘッドセットは【接続頸椎】を持っており、コレクターは二重のガードに守られていることになります。【強制再起動】の存在もあり、十分に戦闘を長引かせることができるでしょう。
ナイトメアは主に「むらがる」要員として使ってください。ただし、手番が来たら容赦なく【うわごと】で発狂のプレッシャーをかけてください。
コレクター(サヴァント)
頭
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
超知覚反応 |
P87 |
【よぶんなうで】相当 |
よぶんなめ |
P87 |
|
よぶんなあたま |
P88 |
|
のうみそ |
P81 |
|
めだま |
P81 |
|
接続端子 |
歪曲P43 |
【エナジーチューブ】相当 |
腕
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
強制再起動 |
歪曲P55 |
|
心崩し |
歪曲P52 |
|
悪意の芽 |
歪曲P52 |
|
痩せた腕 |
歪曲P52 |
【よぶんなにく】相当 |
痩せた腕 |
歪曲P52 |
【よぶんなにく】相当 |
胴
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
念動力 |
P90 |
【ワイヤーリール】相当 |
知覚混乱 |
歪曲P53 |
|
狂気の造型 |
箱庭P80 |
|
精神バリア |
P89 |
【スチールボーン】相当 |
しんぞう |
P86 |
|
はらわた |
P81 |
|
足
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
フローター |
P141 |
|
痩せた脚 |
歪曲P52 |
【よぶんなにく】相当 |
痩せた脚 |
歪曲P52 |
【よぶんなにく】相当 |
解説
無数の頭部を持つESPサヴァント。
ドールの頭部をコレクションするネクロマンサー。
悪意:15 行動値:14
ヘッドセット(ホラー)
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
接続頸椎 |
歪曲P54 |
【守護本能】 |
騎乗調整 |
歪曲P53 |
|
フローター |
P141 |
|
ただよう |
P80 |
【ほね】 |
精神汚染 |
P142 |
|
よぶんなあたま |
P88 |
|
のうみそ |
P81 |
|
めだま |
P81 |
|
おぞましきもの |
歪曲P52 |
|
止まらぬ痙攣 |
歪曲P52 |
|
解説
コレクターの集めた頭部。コレクターの頭部周辺に合体している。
これらは特にお気に入りのコレクション。
悪意:9 行動値:11
デュラハンヘッド(ホラー)
パーツ名 |
参照先 |
効果(オリジナルパーツのみ) |
庇う |
P72 |
|
鋭い脊椎 |
P84 |
【仕込みブーツ】相当 |
触肢 |
P80 |
【ほね】 |
エンバーミング |
P91 |
|
のうみそ |
P81 |
|
アドレナリン |
P89 |
|
めだま |
P81 |
|
解説
コレクター特製のドラッグイーターの亜種。
コレクターへの敬愛で満ちている。
悪意:5 行動値:10
舞台効果
ナイトメアたちは、強化調整をされていないドールの頭部として扱ってください。
彼女達は「お気に入り」に成れなかった存在です。
ギミック
コレクターに対して未練を取った姉妹は、【ボイスエフェクト】や【少女】を使用することでコレクターと会話判定(修正+1、ポジションがアリスなら修正+2)を行うことができます。成功した場合、1人の姉妹に付き1度のみ、コレクターは「転倒」します。大成功した場合、コレクターの狂気は和らぎ、勝利条件を満たしたものとして戦闘終了となります。
コレクターの会話例
「僕のコレクションに、よくも!」(ヘッドセット完全解体時)
「「「我ら、復活!」」」(ヘッドセット【強制再起動】時)
「俺が…間違って…る…?」(対話判定成功時)
「自分の脚で…踏み出した方が…いいの、かな…?」(対話判定大成功時)
「なんで!? こんな、嘘だよ!」(敗北寸前)
「私が…私は…ただ…知りたかった…のに…。負け…。」(敗北時)
『エンドパート』
修復
戦闘に勝利したら、ドールたちは以下のパーツを入手できます。無事に残った「たからもの」の数だけ、任意の未練から狂気点を減少させてください。
PL人数 |
基本パーツ |
強化パーツ |
3人 |
9 |
4 |
4人 |
11 |
6 |
5人 |
13 |
7 |
エンディング
「そんな…嘘…」(完全解体時)
「…私は…間違って…いた…の?」(対話判定大成功時)
敗れ去ったコレクターは地面に崩れ落ちます。しかし、完全に解体されていても、コレクターは自我を失ってはいません。姉妹はコレクターと会話することができるでしょう。
会話する場合、コレクターは自分の敗北を哀しみ、そしてコレクションを傷つけないでほしいと哀願してきます。姉妹が望むなら、コレクターを修復することも、逆にコレクターにとどめを刺すこともできます。
修復する場合は、戦闘で入手した基本パーツ6つが必要となります。修復した場合コレクターは驚き、姉妹の命令を何か一つ聞くでしょう。
ただし、連れて行くことはできません。彼女の物語は、あなたたち姉妹のものとは異なる…後日談だからです。
とどめを刺す場合は、コレクターの断末魔の叫びを聞くことになるので、姉妹全員に狂気判定(修正-2)をさせてください。
コレクターのコレクション…ドラッグイーターたちは自我を維持しています。コレクターへの感情もバラバラです(サヴァント同然の物、憎しみをたぎらせているもの、哀れんでいるもの、ETC…)
PLが彼女たちに体を与えることはできません。また、彼女たちの意見を統一するのも難しいでしょう。
コレクターを修復した場合のみ、ドラッグイーターたちに体を与え、解放することができます。
また、コレクターの書斎には様々な本があります。姉妹が望むなら、その中の一部を「たからもの」として持って行くことができます。
そのなかには、姉妹を作ったネクロマンサーに関わる本があるかもしれません。
書斎を存分に探索したら、姉妹は洋館を脱出し、シナリオ終了となります。
最終更新:2016年11月05日 09:14