インペリアル・ドラゴン・シリーズ(IDシリーズ)

  • 近衛の配備するメサイアの総称。
  • 正式にはベータ・タイプと呼ばれるメサイアのみを指す。
  • 魔法技術大国日本帝国製だけに、他国のメサイアと比較しても圧倒的に高性能。
  • 狩野重工製とされるが、実際には近衛兵団兵器開発局が独自に開発し、狩野重工が各部パーツの製造を行っているにすぎない。

アルファ騎とベータ騎

 世界がメサイアを必要としたのは、アフリカと南米を襲った未曾有の危機、魔族軍の両大陸侵攻において、大型妖魔に勝てる戦力としての存在が求められたからに他ならない。
 初期においては手作りに近かったメサイアも、クイック・ライン製造方式が確立された後は、コストも生産期間も10分の1程度に落ち着き、これが量産化に拍車をかけた。
 しかし、量産するなら何を?
 これが問題だった。
 今までのメサイア? 

 近衛はそれを諾としなかった。

 その背景には、諜報機関(神音商会)から仕入れた魔族軍メサイア“メース”の存在があった。

 カタログスペックだけで勝ち目がないと知った近衛首脳部は、無用の混乱を避けるため“メース”の存在は極秘としつつも、開発陣にメサイア以上の存在との戦いを想定した騎の開発を命じることになる。
 このため、まず近衛が目指したのは、重武装を可能にする高出力エンジンの開発。
 計画スタートから10年かけて完成したのが「スーパー魔晶石エンジン(21式特殊魔晶石機関(IJSME-21)・別名栄21型エンジン)」。
  • 「グレイ・ファントム」が搭載する魔晶石エンジン(H&WFME-45)より小型なのに出力そのものは約2.5倍というモンスターエンジンの完成により、近衛はメサイアの独自開発をスタートさせる。
 これがβ騎であり、この開発にはさらに十年を必要とした。

 だが、高額が予想されるβ騎だけでは戦争は出来ない。
 ハイスペック騎の数的不足を埋めるためのローエンド騎、それがアルファ騎として開発された、一般的に知られる近衛の主力騎“征龍(せいりゅう)”である。

【補足】
 ・ようするにβ騎がF-15なら、α騎はF-16みたいなもんです。



征龍

  • MDIJα-003
  • スーパー魔証石エンジンの運用テスト機。後、量産ライン完成を受けて設計変更された後期量産型を含め120騎が製造される。
  • 当初から量産機として開発されているため、操縦は楽だが、他国メサイアと比較しても平均的スペックしかない。
  • 新型騎の配備に伴い、現在は訓練騎及び回収騎に全騎が改修されてはいるが、実力的には開発当時のグレイファントムやスターリンと互角の実力を持つため、開戦後、一部の騎が改良処理を受けて一線に戻されている。
  • 元来、メサイアは何度も戦闘を経験させることでより強くなるという、いわば機械としてではなく、兵士としての性格が強いため、戦闘経験が少ない新型よりこの騎の方が強い可能性すらある。後は騎士の腕の問題。


雛鎧(すうがい)

  • TMDIJα-003
  • 征龍をベースにした訓練騎。
  • ML系の武装を減らし、装甲を与えたタイプ。
  • メサイアコントローラー、騎士双方の訓練用のため、コクピットは計4つ。
  • 騎士用コクピットは候補生と教官のタンデム方式。
  • 教官席のボタン一つで候補生の後頭部をド突く“バー”が飛び出す。


征龍改

  • MDIJα-003S
  • 開戦時に改装がほどこされた征龍の最終バージョン。
  • 多種多様なオプション装備によって任務に応じた機能特化が可能。
  • 雛鎧改装が進んでいる間はペーパープランの範疇だったが、戦争勃発で突如、実現。
  • 大型実体弾兵器他、およそメサイアが使用出来る兵器の99%を搭載可能。
  • ……と、ここまで書けばかなりだが、実際は開発局の倉庫に眠っていたパーツの寄せ集め。
  • 開発にあたった技師達も、「予想外」とはっきり言い切ったほどの性能を発揮できたのは、まさに偶然の産物。
  • 変更点は以下の通り。
  • 着脱可能な補助装甲を追加。
  • 実体弾兵器用ウェポンマウント追加。
  • 関節部防御装甲追加。
  • 対小型妖魔用カウンターシステム搭載。
  • 増加エンジン内蔵型バックパック搭載。


角龍

  • MDIJβ-104
  • スーパー魔晶石エンジンとして開発された栄21型エンジンの高い出力をフル活用し、熟練の騎士が操ることを目標とした、いわば特殊騎として開発されたため、征龍では勝負にならない。
  • というか、対メサイア戦に関していえば、開発部自らが、この騎の戦線投入は「オーバーキル」そのものだと判断したほどの曰く付きの騎。
  • その高性能故採用されたとはいえ、メサイアに慣れない騎士が多かった採用当時の近衛騎士団の事情から、配備は限られたものとされたが、手練れの騎士と共に各地に派遣され、近衛騎士団の名声を高めたのは間違いなくこの騎。
  • 後のβタイプはこの騎をベースに開発される。


妖魔との戦いの中で

 相次いだ大型妖魔との戦闘の中で回収された運用データが次々と騎体の改修に反映されるようになり、近衛のメサイアの性能は開発初期と比較しても格段に向上した。
 その昇華となるべく開発されたのがMDIJα-015「幻龍」である。
  • αチームはこの騎の運用の成功で自信を深め、独自シリーズとして「幻龍改」、「鳳龍」、「殲龍」等の開発に動く。
  • 一方、βチーム本隊が全力で正統なIJMDFβ-104の後継騎シリーズの開発を継続、新型エンジン(栄31型)の開発、素材の開発、フレームレベルの設計見直しを経て、MDIJβ-604「水龍」、MDIJβ-606「白龍」の開発に成功する。

開発の背景

  • 双方共に、改修と後継騎開発を急いだ背景にあるのが、メサイアの性能では大型妖魔戦において発生する、様々な不安が払拭できなかったことにある。
  • 具体例としては、数度の実戦すべてにおいて、角龍はその都度大規模整備が必要なほどの騎体疲労を引き起こしていることが上げられる。

【ネタバレ】
  • αがガンダム系、βがミラージュ系です。要するに。 


MDIJβ-604。「水龍」

  • ウォーター・ドラゴン、アドヴァンスド・ドラゴンなどの別名を持つ。
  • 魔晶石精霊は「さくら」。
  • 現在は、後継機「白龍」の技術をフィードバックしているため、名称は「水龍改」。
  • 白龍と皇龍のテスト騎として開発された、指揮駆逐用メサイア。角龍と比較しても、かなりの軽量・高出力化に成功。
  • この騎の配備により、ようやく対妖魔戦において通用するメサイアを近衛は獲得することになる。
  • ドラゴン・シリーズはこの騎から始まるとされる由縁である。
  • 由忠→ルシフェルへと、近衛左翼大隊筆頭騎士が代々搭乗。


MDIJβ-606「白龍」

  • 水龍のデータを元にフレームまで見直して完成した騎。
  • 仮想敵は完全に対大型妖魔、つまり、対メサイア戦なんて最初から眼中にないという点ですでに他のメサイアを超えている。
  • というか、普通、マトモな国ならこんなメサイアを開発すらさせないだろう……。
  • 運用目的は無差別破壊・殺戮とかなり物騒で、使用には天皇の許可がいる。
  • ただ、議会にはこの事実は伏せられている。
  • 新型エンジン(誉55型)を搭載、エンジンのさらなる高出力化による各種オプションによる重武装搭載が可能。
  • 戦時中の魔族側メサイアの技術情報入手により、開発計画そのものが、第五段階で白紙に戻される。
  • このため、白紙に戻される前の“白龍”を、“白龍Ver-5”と呼ぶ。
  • “白龍Ver-6”、つまり、制式採用騎の完成は一年戦争後。
  • 別名「史上最悪、禁断のメサイア」。


MDIJβ-X603「飛燕」

  • 白龍の軽量バージョンであり、同時に、白龍系統のメサイアのトータル・テストベッド騎でもある。
  • 同時に唯一実戦経験がある騎。
  • 白龍が重メサイアとしての性格を持つのに対して、こちらは軽メサイアとしての性格を持つため、普通のメサイアより若干小型。
  • 「白龍を投入するほどではない局面での使用」を前提に開発されたため、装甲他、白龍よりおちる上、機動性重視のため、操縦がピーキーすぎて扱いづらい欠点がある。
  • テスト1号機の精霊は「弥生」。
  • テスト一号騎は開発途中になぜか訓練騎に種別変更された。
  • 評価途中で一年戦争に突入したため、開発は全て中断し、結果として飛燕として生産された騎は存在しない。
  • 実戦投入決定の時点で、名称をD-SEEDと変更されている。


MDIJβ-X603-S2「D-SEED」

  • 飛燕のテストベッド一号騎(RT-01)。
  • 扱いは駆逐メサイア。
  • 関節に小型妖魔を取り憑かせないため、装甲同士の隙間を可能な限り隠している点が特徴。
  • 祷子が搭乗したのがこの騎。
  • 戦争中は、「近衛の白い奴」と呼ばれ、国連軍の象徴的存在として扱われた。
  • ちなみに、一年戦争を通して妖魔撃破総数ダントツトップがこの騎。
  • 装甲色は特に許された場合のみ用いられる白ベースに一部紫。
  • 一年戦争時に大破、後に再利用される。
【ネタバレ】
  • イメージはエンゲージ・オクターバーSr.1



MDIJβ-X603-S2改「D-SEED改」

  • 3つの魔晶石エンジンを一つのエンジンとして機能させるAI3エンジンシステムに改修された騎。



βMDIJβ-X603-S3“死天使(Destroying Angel)”。

  • 美奈代の“白雷(はくらい)”喪失を受けて開発・建造された騎。
  • D-SEEDの姉妹騎とされるが、皇龍の姉妹騎の方が正しい。
  • 最初からAI3エンジンシステムを搭載することを前提に作られた最初の騎でもある。
  • 上層部命令により装甲をD-SEEDに類似させている。
  • 装甲色は特に許された場合のみ用いられる白ベースに一部青を採用しており、一見しただけではD-SEEDと区別が付きづらい。
  • 後の水鈴のフレームを使用しているため、D-SEEDより性能的には上。



MDIJβ-603-E1「EndLess」

  • 麗菜専用騎。
  • D-SEEDの改造騎で、麗菜の要望にそった騎。
  • といえば聞こえはいいが、開発中の別メサイアにあーだこーだ言って来る麗菜に業を煮やした開発局が、D-SEEDを祷子向けのセッティングで付きだした所、麗菜が大喜びしたという(ま、祷子と麗菜の感覚が似通っていたという偶然の産物だろう)
  • 開発局が未だに祷子をテストパイロットとして欲しがるきっかけともなった騎。
  • 装甲色は白+明るい紫。
【ネタバレ】
  • イメージはエンゲージ・オクターバーSr.3


MDIJα-015「幻龍」

  • αタイプの量産騎。
  • 近衛騎士団のメサイアといえば、実は白龍ではなく、この騎を指す。
  • 本来、αチームが入手した水龍の最初期段階の設計を元に開発された、悪く言えば水龍のデチューンモデル。
  • ただし、パワーは無論一級品。
  • 操縦は常に安定、整備性も高く、稼働率も高いとなると、騎士・整備士共に評価は高い。
  • その代償として、パワーを半分近く落としたため、軽装甲にならざるを得ず、満足な防御はシールド程度。無論、白龍とでは比較にはならない。
  • 戦争で最も戦ったのは当然、このメサイアの系統。
  • はっきりいって、思いっきりプレーンな騎。
  • 緑曰く「味も素っ気もない」。
  • だからすぐ改装されることになる。



MDIJα-015E「Minagi」

  • 幻龍をベースにした麗菜専用機。
  • 麗菜の特性にあわせたチューニングが施されている。
  • 外見は幻龍と大差ないが、指揮メサイアとしての機能は充実。
  • 一年戦争で麗菜が駆る。
  • 「Minagi」は麗菜の専属MC遠野美凪少尉(当時:現大尉)から。
  • いわば麗菜の美凪イジメの一環。



MDIJα-015B2「幻龍改 カノン」

  • 幻龍の改良騎。
  • 上級騎士の中に、幻龍のプレーンな能力に不満を持ったり、騎士の能力が発揮しきれないとするケースが続出。改良騎の開発が現場から強く要望されたことから、新人設計技師として近衛に招聘されたばかりの津島紅葉が中心となって開発されたのがこの騎。
  • 量産騎用に抑え気味に設定されていたエンジン出力を本来の性能へと、倍近く増大させ、装甲も大幅強化した結果、近衛初の重装甲タイプとなる(この頃、他国が重装甲化しつつあるだけでなく、近衛もメサイア運営上、防御がシールドだけとなるとシールド自体がデッドウェイトであることや、シールドを振り回すことでの機体への負担を軽減させたかった等、各種理由はある)
  • 強化武装とアクティブバインダーが選択式で搭載可能。
  • 出力が向上されたエンジンと各種武装によりスペック上の戦闘能力は米軍本国仕様のグレイファントムを上回るほどで、特にこの騎から採用された紅葉曰く「目玉兵器」である「斬艦刀」は、グレイファントムの重装甲を膾のように切断する。
  • ちなみに、カノンは試作騎搭載のメサイア精霊体の名前、「華音(かのん)」から。



MDIJα-015-S1「幻龍改 アリア」

  • 一般名称はカノン・エスワン。
  • 指揮官騎兼特別部隊向け専用バージョン。
  • 索敵機能他、情報関連装備が強化されている。



MDIJα-015-S3「幻龍改 アリア」

  • 一般名称はカノン・エススリー。
  • 戦場に出ることが多い麗菜殿下の護衛部隊(別名レイナ・ガーズ)向けに開発された騎で、一般騎士向けメサイアの中では一二を争う高額騎。


MDIJα-015-S3ver-2「幻龍改 アリア」

  • 一般名称はカノン・エススリーツー。
  • MDIJβ-X603-E1「EndLess」配備にあわせて実施されたS3改装バージョン。
  • 装甲形状は予め儀仗騎としても用いられることを想定し、MDIJβ-X603-E1「EndLess」に近い独自のデザインが採用されている。
  • いわゆる万能メサイアで、追加装甲や装備は潤沢。
  • こちらも、試作騎搭載の精霊体「亜梨阿(ありあ)」から。
【ネタバレ】
  • イメージ当然、ベルリンSR2です。……ええ。



MDIJα-X045「鳳龍」

  • 幻龍ではいまだ不安のある集団戦や対重装甲メサイア戦に対応すべく試作されたのがこの騎とされるが、実際は白龍を開発してのけたβチームに対する対抗意識のみで開発されたといっても過言ではない騎(幻龍改の開発でこんな不安は払拭されている!)
  • 白龍が対大型妖魔戦用に開発されたのと異なり、こちらは純粋に対メサイア戦用に開発された近衛では珍しい強襲用メサイアで、強力なML砲4門及び砲撃専用特殊アクティブバインダーを装備。単独でも局地制圧が可能となっている。
  • 後に羽山が搭乗する。
  • 生産数2騎



MDIJα-X045B「鳳龍改」

  • “鳳龍”の量産型。
  • 新型の魔法処理装甲(亜6型魔法処理装甲)を採用し、軽量化と装甲増を成し遂げる。
  • 機動力は従来のメサイアとは比較にならない程高く、メサイアで初めて空中格闘戦能力を保有したと言っても過言ではない。




MDIJβ-901「皇龍」

  • 「白龍」の指揮官機にして天皇専用騎。
  • βチームが総力を挙げて開発した、いわばIDシリーズの究極版。
  • 頭部に操縦者保護用の生命維持装置用魔晶石エンジンを搭載している。
  • 麗羅が搭乗したことから、彼女の専用騎と化している。
  • 精霊体は「綾(りょう)」



MDIJβ-9012「水鈴(すいれい)」

  • 皇龍のパーツを流用して、試作エンジンを搭載して完成した騎。
  • 皇龍がより指揮官機としての性能を追求したのに対して、こちらは駆逐用メサイアとしての性格を強くしている。
  • 疑似人格に問題があり、フルコントロールは、今のところ綾乃でなければ出来ない。
  • 精霊体は「水鈴(みすず)」
最終更新:2010年07月17日 12:47