全射(surjection)

を

から

への写像とするとき、始集合

と定義域

は写像の定義か
ら一致するが、値域

と終集合

は一般に一致しない。しかしながら、
値域

と終集合

が一致する、すなわち
が成り立つとき、

は

から

への
全射
である。
あるいは、

は

から

の
上への写像
であるという。
また、

が全射であることは、

のどの元

に対しても、

であること、すなわち

となるような

の元

が少
なくとも1つ存在することである。
ただし、全射のでは

の複数の要素が

の1つの要素に同一に対応することは
ありうる。
単射(injection)
始集合

と終集合

が一致せず(

)、
始集合

の要素それぞれが終集合の

の要素に1対1で写像

により写され
る場合を
単射
および
1対1写像
とよぶ。
単射は

に対し、写像

において
であり、また、
を満たす。終集合

に着目した場合、その要素

に対し、単射は

が始集合のただ1つの要素

に帰着されることを意味する。
全単射(bijection)
写像

が全射かつ単射であるとき、

は

から

への全単射である
という。また、
上への1対1写像
とも呼ぶ。
例

,

,

,

を、それぞれ次の式で定義された

への写像と
する。

,

,

であるため全射である。また、

がそれぞれた
だ1つの要素に対応するため単射でもある。

であるため全射。

のとき

となるため、

は

と
複数の要素をもち、ただ1つの要素に定まらないことから、

は単射ではない。

で単射になるが、

は負の数を表さないため全射でない。

となるため、

であることから全射でない。
また、

に対し、

であることから、

はた
だ1つの要素をもたない。例えば

と2つの要素となる。よっ
て単射でもない。
参考文献
- 集合・位相入門(松坂 和夫, 岩波書店, 1968)
- 道具としての線型代数(一石 賢, 日本実業出版社, 2004)
最終更新:2011年04月29日 14:20