マジンカイザー(漫画版)の第1話

世界征服を企む狂気の天才科学者Dr.ヘル!
その配下のあしゅら男爵の率いる機械獣軍団により
人類は最大の窮地に立たされていた

機械獣軍団の猛攻により、人類の希望
マジンガーZはあしゅら男爵に奪われてしまう
そしてマジンガーからひきちぎられた操縦者、
兜甲児の行方は不明となってしまった…

人類対Dr.ヘルとの長き戦いの日々に、
終焉の時がせまりつつあった

光子力研究所を守るのは傷ついたグレートマジンガー、アフロダイA、ボスボロットの3体。それに対し――

あしゅら「幾度となく我々の邪魔をしてきた憎きグレートマジンガーももはや風前の灯火!」
「人類の最後の希望!!グレートマジンガーの命は!」
「このあしゅら男爵と、アシュラマジンガーが断つ!!」

光子力研究所を攻めるのは、あしゅら男爵によって醜悪に改造されたマジンガーZ(アシュラマジンガー)と、無数の機械獣軍団だった。

鉄也「まだだ!まだこの偉大な勇者グレートマジンガーは負けはしない!!」
あしゅら「ほざけぇー!!」

アシュラマジンガーと機械獣軍団が光子力研究所に迫る。
グレートマジンガーはマジンガーブレードを手に機械獣軍団に挑むも、グロッサムX2の攻撃でマジンガーブレードを砕かれ、アシュラマジンガーのルストハリケーンに苛まれる。
アフロダイAとボスボロットも機械獣軍団に蹴散らされていた。

鉄也のパイロットスーツのバイザーが砕け、グレートマジンガーが光子力研究所に叩き付けられる。
ジュン「鉄也ァァァ!!」

あしゅら「とどめだ、ブレストファ…!?」
アシュラマジンガーがブレストファイヤーの構えに入ったその瞬間、アシュラマジンガーの背後から巨大な熱線が放たれ、アシュラマジンガーを除く機械獣軍団を跡形もなく消滅させた。

あしゅら「なっ、何ヤツ!?」

その一撃を放ったのは、アシュラマジンガーの後ろに立っていた、まだ誰も知らない新たなマジンガー。
その名も――

マジンカイザー
第1話 皇帝降臨

あしゅら「あ…あれはマジンガー!?そして兜甲児!!」
マジンカイザーの頭のカイザーパイルダーに乗っているのは勿論、甲児である。
が、その様子はまるで、パイルダーに囚われているかのようだ。

あしゅら「やはり生きておったか兜甲児!だが――」
あしゅら男爵がアシュラマジンガーの頭に合体した円盤の中に身を隠した。

一方、甲児がカイザーパイルダーの中でどんなことになっているかは知るよしもない光子力研究所の面々は、マジンカイザーの登場に沸き立つ。

シロー「兄きぃ!」
弓「甲児君!」

さやか「甲児君!」
ボス「かぶとぉー!!」

鉄也「兜…」

あしゅら「貴様から奪ったこのマジンガーで今度こそ引導をわたしてやる。死ねぇ!!兜甲児ッ!!」
襲いかかるアシュラマジンガー。それに呼応して、パイルダー内の甲児の目がカッと開かれる。

マジンカイザーが右腕を大回転させ、ターボスマッシャーパンチとして射出。パンチはアシュラマジンガーのすぐ横を凄まじい速さで通り過ぎていった。
その衝撃でよろけるアシュラマジンガー。
あしゅら「当たらずしてこの衝撃!!」

ターボスマッシャーパンチは光子力研究所に向かって飛んできていた。
鉄也「あぶないっ」
グレートマジンガーがアフロダイAを抱え、ボスボロットを押しのける。

ターボスマッシャーパンチは、光子力研究所に当たった。研究所の内装が崩れる。

さやか「お父さまぁー!」
ボス「兜テメェーあぶねぇじゃねーかぁ!!」

弓「みんな大丈夫かね」
ジュン「はい…」
弓(よ…ようすがおかしい。甲児君は…あのマジンガーを使いこなせてないのか?)

あしゅら「光子力ビーム!!」
今度はアシュラマジンガーの光子力ビームがマジンカイザーを直撃したが、カイザーは微動だにしない。
あしゅら「こ…光子力ビームがきかない!??」

マジンカイザーが反撃の光子力ビームを発射。稲妻のような激しい光が、アシュラマジンガーやグレートマジンガーの間近の地面をえぐっていく。
あしゅら「ひいいい!!」

鉄也「やめろ兜ォォ――!!」
カイザーの光子力ビームをかわしつつ懸命に呼びかける鉄也だが、パイルダー内の甲児には全く届かない。

弓(やはりそうか、甲児君はあのマジンガーを使いこなせてない!動くモノすべてに攻撃しているのだ!)
暴走――いかん、このままでは)
青ざめる弓教授。

さやか「きゃあああ」
マジンカイザーの光子力ビームが、アフロダイAの左腕をもぎ取った。
ボス「さやかぁ!」
さやか「どうしちゃったのよ?甲児君!?」
さやかの叫びに甲児が反応した。

さやか「甲児君!!」

マジンカイザーが動きを止めた。
あしゅら「動きが止まった、チャンスだ。ブレストファ…」
アシュラマジンガーが攻撃を仕掛けようとすると、マジンカイザーが再び動き出し、口から放つルストトルネードで、アシュラマジンガーとグレートマジンガーたちを吹き飛ばしていく。
あしゅら「ぐあぁあああ」
鉄也「ぬわぁあああ」
さやか「きゃあああ」

弓(こ…このままでは全員殺される!!)
「みんなにげるんだぁ!!」

さやか「甲児くーん!!」

鉄也(こ…この暴走を止めなくては!!パイルダー内の兜の身がもたない――へたをすれば)
死!

鉄也(させはせん!!)
「このグレートマジンガーでオマエを止めてみせる!!」
グレートマジンガーがスクランブルダッシュで飛び上がり、マジンカイザーに挑む。
マジンカイザーがルストトルネードを止め、グレートマジンガーの方を向く。

鉄也「ゆくぞっ、ドリルプレッシャーパァ――ンチ!!」
グレートマジンガーが両腕を射出する。
マジンカイザーも両腕をターボスマッシャーパンチとして射出した。

ドリルプレッシャーパンチとターボスマッシャーパンチが激突。
ドリルプレッシャーパンチは片方(左手)が砕かれ、もう片方(右手)も弾き飛ばされた。
鉄也(パンチがくだかれた!!――だが)
グレートマジンガーが右手を戻し、間髪入れずにサンダーブレークを放つ。
鉄也「サンダァーブレイクゥ!!」

が、マジンカイザーは右手を掲げてこれを受け止めた。
鉄也(片手でうけとめているだと)
「チッ」
グレートマジンガーがマジンカイザーの目前に着地する。

鉄也「ニーインパルスキッ…」
そして膝パーツを鋭角状に変形させ、ニーインパルスキックを放とうとするも、それより早くマジンカイザーがグレートマジンガーを踏みつけた。
鉄也「ぐわああああああ!!!」

弓「こ…これが甲児君の新マジンガー…」
マジンカイザーはグレートマジンガーを殴り続ける。

あしゅら「ふはっはっはっはっ、動くものすべてに牙をむける血に飢えた獣のようだ。なんとすばらしい光景!」
「さすがは“魔神”という名をもつ者、その名のとおり」
「魔神そのものではないか!!」

一方、カイザーパイルダーに囚われた甲児。
意識を失ったその脳内には、かつて彼がマジンガーZを手に入れた日、祖父・十蔵から贈られた言葉が響いていた。

お前は 神にも 悪魔にも なれる
いいや 神すらも 超えることができる!!

鉄也「カブトォ!!」
鉄也の叫びに、甲児が一瞬反応する。

鉄也「ブレストォ、バァーン!!!」
グレートマジンガーが立ち上がり、ブレストバーンを撃つも、マジンカイザーはものともせず、右の拳でグレートの胸を貫いた。
鉄也「!!」

グレートマジンガーの胸から血しぶきのようにオイルが噴き出す。
マジンカイザーはグレートマジンガーを貫いたまま持ち上げ、胸からファイヤーブラスターを放とうとする。

さやか「だめぇ!!」
アフロダイAが背後からマジンカイザーに抱きつき、ファイヤーブラスターを止めようとする。

鉄也「!!」
シロー「さやかおねーちゃん!!」

さやか「甲児君のマジンガーはこんな事をするためにあるんじゃないわ!それを一番よく知っているのは甲児君のはず!」
アフロダイAの右手が溶けていく。
さやか「あぁあ」

鉄也「かぁぶぅとおー!!」
グレートマジンガーがマジンカイザーの手をより深く貫かせながらも、身を乗り出し、マジンカイザーの頭に頭突きを叩き込んだ。
鉄也「お前のマジンガーを悪魔にするつもりか!?答えろ兜ォ!!答えろぉ!!」

甲児の精神世界。
十蔵――否、十蔵の形を持ったマジンカイザーの意識体が甲児に絡み付き、囁きかける。
十蔵「ワシは最高のマジンガーを作り上げた!!このマジンガーなら神にも悪魔にもなれる。いや!その神をも超える力をもっているのだ」
「さあ愛する我が孫・兜甲児よ、お前は何を求める!?このマジンガーに何を求めるぅぅぅ――――!!」

甲児「オレは…」
煩悶する甲児。その背中に、さやか=甲児の理性がそっと抱き着く。

さやか「私を…いや、みんなのためにその力を使うんでしょ?」
「――それがみんながまっている、甲児君のマジンガー」

鉄也「兜ォ!!」
ブレーンコンドルとカイザーパイルダーの風防が砕けた。
甲児(オレの、マジンガー)

その瞬間、ファイヤーブラスターが放たれ、グレートマジンガーを飲み込んでいった。

シロー「あにきぃ――!!」

大破したグレートマジンガーが地面に叩き付けられる。
勝ち誇るあしゅら男爵。

あしゅら「くははははっ、さらばだグレートマジンガー、そして剣鉄也!」
「そしてなんと恐ろしい!!恐ろしい力だ、新マジンガー!」
「だがもはやエネルギー切れで動けまい!!その新マジンガー、このあしゅらがいただいたぞ!!」
アシュラマジンガーがマジンカイザーに向かうも、ターボスマッシャーパンチがアシュラマジンガーの首を掴み、マジンカイザーに引き寄せた。
あしゅら「ま…まだ動けるのか!?」

マジンカイザーがファイヤーブラスターをチャージし始める。
あしゅら「!!」
弓「ま…まだ破壊するというのか?」

あしゅら「ひっ…次こそは!!」
「おぼえていろ兜甲児!!」
アシュラマジンガーからあしゅらの乗る円盤が分離し、飛び去っていった。

甲児「すまなかったなマジンガーZ、つらいおもいをさせちまった…」
アシュラマジンガーの首を掴んだまま語りかける甲児。精神世界での対話によって、正気を取り戻していたのだ。

シロー「!!」
シローの顔が喜びに輝く。
甲児「いつでも来やがれあしゅら男爵!次は手かげんしねーぜ!」

弓「こ…甲児君、正気にもどったのか!?」
甲児「はい」
シロー「やったー!」
弓「さやかは…鉄也君は??」
甲児「無事です」

鉄也はカイザーパイルダーの中にいた。
甲児「鉄也さん、すまねぇ。オレのせいでこんなことに」
鉄也「ああ…まったくだ。カイザーのコクピットに飛びこまなきゃ今ごろ黒コゲだったぜ。後でみっちりしごいてやる」
甲児「…か…かくごしときます」
「さやかさんもごめんよ。怖い思いさせちゃって」
さやか「ううん、甲児君なら大丈夫だって信じてた…。でも今度のデートは甲児君のおごりだからね、かくごなさい」
甲児「はいはい」

富士山麓を、登る朝日が照らしていく。
甲児(なんて恐ろしい力なんだ、このマジンガーは…。一つ間違えればみんなの命を奪ってしまうところだった…)

十蔵(お前は何をもとめる!?)

甲児(乗りこなしてみせるぜ、おじいちゃん。この力を皆のためにオレは使う。悪魔になんて絶対させない)
「このマジンカイザーを!」

第1話 完

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最終更新:2018年03月04日 17:06