電脳都市OEDO808 獣の属性のオープニング

センゴク「俺の名はセンゴク、一匹狼の賞金稼ぎ。ならず者の電脳犯罪者どもを片っ端から捕まえて警察に引き渡すのが俺の仕事だ。クリス・ダンフォード、コードネーム「バラ発疹」、こいつを追いかけて上海からOEDOに7年ぶりに舞い戻ってきた。だが、この7年の間に俺の知っていたOEDO、特に犯罪者たちのたむろする旧市街はすっかり様子が変わってしまっていた。電警、電脳警察の下部組織だった保安隊が勢力を増し、旧市街全体を飲み込もうとしている。街には武器が溢れ、以前よりずっと物騒な気配が漂っている。この世界最大の都市で何かが始まろうとしている。俺が仕掛けた罠をいつもすり抜けるA級の電脳犯罪者、「ベンテン」と「ゴーグル」も、この街にやって来ているらしい。奴らの狙いは…? なにはともあれ調べてみるか。」

MISSION 0 START

さっそく俺は情報を元に賞金首が足しげく通っているというBARへと立ち寄った。しかしカウンターに座っていたのは「バラ発疹」ではなく夜に咲くであろう、美しき薔薇だった。

センゴク「参ったねぇ、こんなチンケなBARにゃあ、あんたみたいなネオンは眩しすぎる。俺の名はセンゴクだ。」
魔矢「わたしの名前は魔矢。どうやらご同業のようね。でも、見かけない顔だわ。」
センゴク「男を追ってきた。上海から」
魔矢「『薔薇発疹』は今夜現れるわ。むかいのカウンターにね。」

魔矢と名乗る女の情報は確かだった。暫くして店内に入ってきた男がグラス一杯の酒を飲み干した頃、俺はしかけた。咄嗟に懐の銃に手を掛けた男の顎を俺の銃のグリップが砕いていた。
ふとカウンターに目を向けた時、すでに魔矢の姿は消えていた。それと同時に保安隊を名乗る男たちがBARにヅカヅカと入ってきて銃を構えた。
センゴク「よくここがわかったな。」
隊員「通報があった。貴様ら害虫を退治してくれとな。」
センゴク「その台詞は訂正が必要だ。害虫はこいつだけで、俺は真面目な納税者だ。」
隊員「賞金首と賞金稼ぎは同義語じゃないのかね。」
センゴク「こいつは俺が捕まえた。電警まで俺が連れて行く。」
隊員「それは出来ない相談だ。」
センゴク やるか?
センゴク
(語り) 酔い覚ましに丁度いい運動の後、BARを出た俺を待っていたのは、魔矢だった。
センゴク 保安隊に通報したのは あんただな。
魔矢 ええ。
センゴク なぜだ。
魔矢 力量を試したかったのよ、センゴクシュンスケの。
20 センゴク
(語り) まったく、綺麗な薔薇には棘があるとはよく言ったもんだ。
俺は魔矢の案内で電脳警察署にやってきた。付いた先は局長室。
見覚えのある長髪の中年男が、冷酷な視線で俺たちを出迎えた。
魔矢 長谷川局長、センゴクシュンスケです。
長谷川 久しぶりだな、センゴク。
ごくろうだった、クリス刑事。さがっていてくれ
魔矢 はい。
センゴク ・・・この茶番劇は、あんたが仕組んだのか?
長谷川 言っている事の意味が分からんな。わたしは来栖警部におまえを連れてくるよう命じただけだ。
センゴク
(語り) 俺は長谷川の話しを早々に受け流し局長室を出た。
魔矢 センゴク、あなたと局長、過去に何があったの?
センゴク ゴシップのネタになるような話はない。
魔矢 あなたなら保安隊を潰せる、局長はそう言っていた。
30 センゴク 保安隊を潰す?電警の下部組織を?
魔矢 いまでは半分独立した組織よ。今の保安隊長マクゼ・マランは、旧市街を中心に勢力を伸ばしてきたの。電警内部での発言力は長谷川局長に匹敵するわ。
センゴク マクゼ・マラン・・・!あのマクゼか!?
魔矢 先に謝るわ、貴方の過去データを調べさせてもらった。
電脳警察治安局保安隊の創始者である貴方の父親、そして母親の死と、マクゼが関係している疑いがあることも。
センゴク ・・・もう過去のことさ。
センゴク
(語り) 俺は魔矢に後ろ手で挨拶をすると、居心地の悪い電脳警察署を後にした。
魔矢 機動刑事としてセンゴクの下についても、異論はありません。
長谷川 だが、センゴクは機動刑事になるつもりはない。
魔矢 でも、彼をこのままただの賞金稼ぎで終わらせたくないんです。
長谷川 賞金稼ぎといっても馬鹿にしたものではない、奴らは電脳犯罪者の検挙率向上に貢献している。
40 魔矢 彼らは機動刑事として補佐役のサイバノイドを振り回すパワーがあります。
長谷川 センゴクはそのパワーで保安隊を揺さぶればそれでいい。
隙をみてこちらが動く、そして保安隊を一気に潰す。
センゴクは噛ませ犬にすぎない。何も機動刑事にする必要はない。
魔矢 それでは話しが違います!
長谷川 センゴクが断ることは、最初から計算に入れてある。
奴に保安隊の存在を印象づければそれでいい、奴は勝手に動く、いや、動かざるをえない。
魔矢
(心の声) 証拠さえ掴めば、センゴクは動く。あたしがやるしかないわ。たとえ・・・非合法なやり方でも。
センゴク
(語り) 俺の腕に装着された携帯モニターの着信ランプが明滅している。
センゴク 魔矢か?
魔矢 センゴク・・・貴方は賞金稼ぎで終わるような人じゃないわ。
センゴク ・・・何かあったのか?
魔矢 ・・・それだけが言いたかったの。私は私にしかなれない、けど貴方なら。きっと・・・。
50 センゴク 魔矢!待つんだ魔矢!
センゴク
(語り) 魔矢からの通信が途切れた。
俺は咄嗟的に保安隊本部に向け車を走らせていた。
マクゼ お目覚めかね?来栖魔矢刑事。
魔矢 !マクゼ!
マクゼ 何故ここに忍び込んだのか聞かせてもらおうか。
魔矢 言わなければわからない?
マクゼ いや、大体の察しはつく。
魔矢 そうよ、あたしは証拠を掴んだわ。ここを除いた旧市街の全コンピュータをシステムダウンさせるプログラムをね!
マクゼ よくそこまで。
センゴク
(語り) 俺は保安隊本部の正面入口を車で ぶち破ると、待ち構えていた武装隊員目掛けガトリング銃を乱射していた。
60 センゴク 死にたくない奴は道を開けろ!
センゴク
(語り) 研究室のドアを蹴破り銃を構えた先には、魔矢に銃口を構えたマクゼが立っていた。
マクゼ よくここまで来れたものだ。久しぶりだなセンゴク、銃を捨てろ!
センゴク
(語り) 俺は迷うことなく銃を捨てた。
センゴク これでいいのか?
マクゼ 甘いなセンゴク、父親と同じだ。冥途の土産に教えてやろう・・・君の母親を事故にあわせたのも、君の父親に毒物を注入したのも、私の部下がやったことだ。
センゴク
(語り) マクゼは魔矢を突き放すと俺に向けて銃口を構え、引き金を引いた。その瞬間、俺の前に魔矢が立った。
銃弾は魔矢の体に命中し、魔矢は糸の切れたマリオネットのように俺の胸に倒れた。
マクゼ このスイッチを押せば全てが終わる!センゴク!見ておけ!電脳都市の終焉を!

      • 作動しない?・・・馬鹿な!こんなことがあるはずがない!このシステムを破れる人間などいるはずが!
センゴク 年貢の納めどきだ!マクゼ!
センゴク
(語り) 俺は魔矢を腕に抱きながら銃を拾い上げマクゼ目掛け引き金を引いた。
銃弾はマクゼの額を撃ち抜き、脳髄を壁にぶちまけた。
70 センゴク 魔矢!
魔矢 貴方はもっと、別の貴方になれるわ・・・
センゴク
(語り) 魔矢という名の薔薇は俺の腕の中で美しく、儚(はかな)く散った。

長谷川が警察隊を引き連れ現れた。
センゴク ・・・魔矢は死んだぞ。何故魔矢を、保安隊本部に侵入させた。
長谷川 来栖刑事の行動は、彼女の独断だ。
センゴク だから・・・関知しないっていうのか。
長谷川 そうだ。
センゴク 貴様・・・!魔矢を噛ませ犬にしたな!
長谷川 センゴクシュンスケ。
殺人、傷害、公共物不法侵入、建造物破壊、騒乱、電脳都市治安維持法違反の現行犯で逮捕する。
センゴク 満足だろう、全てあんたの思いどおりだ。
80 長谷川 俺の血に塗れた手に、手錠ははめられた。

再び奴の顔を見たのは、病院のベッドの上だった。
長谷川 やっと目が覚めたようだな。さっそくだが、おまえには裁判が待っている。判決はすぐ出るだろう。
センゴク 死刑か?
長谷川 情状酌量して無期懲役は免れない。だが、他に方法がある。
これを受け取ることだ。
センゴク
(語り) 奴は俺に十手型の警棒を差し出した。
センゴク 機動刑事になれっていうのか。あんたの手駒になれと。
長谷川 あるいは一生牢につながれるか。機動刑事になれば、無期懲役を執行猶予し、捜査の実績に応じて刑期を短縮してやろう。どちらを選ぶ?センゴク。
センゴク
(語り) 長谷川は俺の首にリングをはめた。
センゴク !なんのマネだ!?
長谷川 そのリングの周囲には小型爆弾が仕掛けてある。起爆装置は私が持っている。爆発したら、お前の首は間違いなく吹っ飛ぶ。
90 センゴク 分かったよ、電警の犬になってやる。
だが気をつけろよ、この犬はいつか飼い主を噛み殺すかもしれないぜ。
長谷川「…覚えておこう。それから、お前の仲間を紹介しよう。」

病室のドアが開いた、そこには見慣れた2人の男が立っていやがった。

センゴク「なるほど、マクゼのシステムを破ったのはお前たちか、A級電脳犯罪者、ベンテン、ゴーグル。不思議なもんだ。命がけで追いかけっこをしていた俺と おまえらが揃って電警の機動刑事とはな。しかも豪勢な首輪つきとくる。長谷川十蔵、心配すんな。あんたの思う壺にはまってやらあ。腹ぁ抱えて笑うがいいぜ。」

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最終更新:2018年06月14日 23:30