メリーランド州の公園 06時45分。
湖周辺に一台の高級車がやって来て、フィリップ・ハマースリーが愛犬と共に降りてくる。
フィリップ「よし、いいか?俺をよく見ろ、取ってこい」
ボールを投げると犬はそれを全速力で追いかける中、後部座席にいたNSAの高官トーマス・ブライアン・レイノルズが無線機で連絡を取りながらフィリップの様子を見ていた。
トーマス「それは問題ない」
フィリップ「はぁ…やなやつだ…」
トーマス「報せてくれ」
フィリップ「こんなとこへ何しに来た?もし本当だぞ、今、プライベートの時間だ」
トーマス「5分だけです」
フィリップ「断る。何とも云った通りわしは最後まで論外を押し通すつもりだ」
トーマス「すぐです、院長。5分でいいんです。コーヒーは?」
フィリップ「そんなことより、犬と遊びたいよ!」
トーマス「賛成しろとは言いません。その代わり…他の議員を…自由にしてやってほしい」
フィリップ「通信技術による国家法案とプライバシー法案。プライバシー侵害という名義だ。ポスト4だ、この法案が監視社会への第一歩どころか監視社会そのものだ」
トーマス「騒ぎ過ぎだ」
フィリップ「政府が好き勝手にカメラやマイクを仕掛けられるような法案など、わしが議長の椅子に座ってる限り通過させん」
フィリップは再び愛犬に向けてボールを投げる。
トーマス「ええ、官僚が誰を止めようと興味はありませんがね。この国は富と力がある。だからこそ周りは敵だらけだ。一般市民の知らないところで戦争が起きている」
フィリップ「ああ、わかっとるよ」
フィリップはベンチに座る。
トーマス「この1年間だけで監視員のおかげで命が救われた市民何人いるか、ご存じですが?」
フィリップ「馬鹿を言うなトーマス。この法案が通ればわしの選挙のシラスーチュク州では大企業の経営者3人が破滅する」
トーマス「そういう御心配でしたら…、前回集まった金額は保証しましょう」
フィリップ「心配しとるのは、献金が減ることじゃない。選挙区の住民達の職を奪われることだ。目をさまさんか!国家の安全ではなく、ほかにも目を向けたらどうだ?全く…じゃあ行くぞ」
フィリップがベンチから立ち上がるとトーマスがフィリップの左腕を掴む。
トーマス「まだ話しは終わってない。もうお忘れですか?たしか個人的な問題で今度は手をお貸ししたことがありましたが…」
フィリップ「わしを脅迫するつもりか?厚かましい」
トーマス「残念だが、この件は強引にやらなかったようですな。ご立派だあなたの選挙区の住民は運がいい」
フィリップ「さあ、戻る。行くぞ」
フィリップが座ってるトーマスの元を離れて車で立ち去ろうとする中、トーマスの同僚が背後から取り押さえて毒薬による注射で殺害する。
その同僚は殺害したフィリップを車の運転席に乗せて、不慮の事故としての偽装か薬を車の座席下にばら撒きアクセルさせ、フィリップの乗った車を後方に向けて湖に沈める。
変わってリンカーン記念堂中心の風景が映り映画のタイトルが表示される。
|ENEMY OF THE STATE|(背景茶色、文字白)
最終更新:2018年10月18日 20:39