トミカヒーロー レスキューフォースの第1話


常識を超えた災害・超災害に立ち向かうため
世界消防庁は特別救助部隊を結成した。
その名は「レスキューフォース」。
今日も彼らは 命懸けで人々を救い続ける。

“Seve the life”
レスキューフォースよ、
超災害を爆裂的に鎮圧せよ!




ファイナルレスキュー承認
爆鎮完了!




コンビナートの立ち並ぶ人工島。空から煙を吹きながら、何かが落ちて来る。
地面に転がった装置を、アンドロイドのマール、サーン、シーカの3人組が拾い上げる。

シーカ「マール様、こいつがクライシスメーカーでゴンスか?」
マール「どんな災害が起きるか、楽しみだねぇ~」

装置を操作すると、小さな炎が吹き出す。

サーン「おぉ! 炎が出たザンス!」
マール「火は怖いわ。どんな小さな炎だって、甘く見てるとぉ~」
サーン「ん? これは一体……?」

サーンが装置のダイヤルを回すと、シーカ目掛けて炎が大きく吹き出す。

シーカ「わぁ、熱熱熱熱!」
マール「あら、言ってるそばから、もぅ~! ちょっとぉ!」
サーン「ん? ほぅ、な~んだ、取説があったザンスねぇ~!」


特別救助部隊レスキューフォースの本部基地、レスキューフェニックス。
隊長の石黒鋭二(えいじ)が、隊員の陣雷(じんらい)響助(きょうすけ)香月(こうづき)レイ、白木寿里(じゅり)に、新入隊員の主人公・轟 (ひかる)を紹介する。

石黒「彼の名前は轟 輝。特別救助学校に入学してまだ1年と日は浅いが、レスキュービークルの操縦テクニックを高く評価され、こちらへの配属が決まった」
輝「自分にとってレスキューフォースに入隊するのは、子供の頃からの夢でした。よろしくお願いします!」

挨拶もそこそこに、一同が背を向ける。

輝「あれ? ちょ、あの? どこ行くんスか?」
寿里「訓練に決まってるでしょ、見習いくん」
輝「……見習い?」
レイ「自分のと、比べてみなさい」

レイが自分の正隊員の隊員証と、輝の準隊員の隊員証を比べてみせる。

響助「そういうことだ、ペーペー。正式な隊員として認められるかどうかは、ま、今後のがんばり次第かな」
輝「はい、がんばります!」


響助の指導のもと、輝が訓練に入る。

輝「よろしくお願いします!」
響助「訓練開始!」

水平に張られたロープを輝が渡り切り、椅子に掛けている響助のもとへ駆け寄る。

輝「セーラー渡過訓練、終わりました!」

響助は書類で顔を隠しつつ、居眠りしている。ムッとしながらも、輝が次の訓練へと走る。

輝「消火訓練お願いします!」
響助「轟輝…… 意外と真面目だね」


寿里の指導のもと、輝が人形相手に心臓マッサージの訓練。

輝「1、2、3、4、5、6、8、9、10……」
寿里「はい、そこまで。合格です。お疲れ様でした」
輝「ありがとうございました」

寿里が人形を抱き上げる。

寿里「コータローくんも、お疲れちゃんで~す」
輝「それ、名前あるんスか……?」

レイとともに格闘技の訓練。訓練相手のミット目掛け、レイがパンチやキックを次々に決める。

輝「あのぉ、レスキューなのに、なんで格闘技なのか……」
レイ「その備え、しっかりやって損はなし」

レイがミットを輝に投げ渡す。

レイ「隙あり!」

ミットを受け止めた輝の隙を突き、レイの蹴りが炸裂。


サーン「なるほどなるほど~、使い方をマスターしたザンス」
シーカ「待ちくたびれたでゴンス~」
マール「今度こそ、大丈夫だろうねぇ~?」
サーン「ご心配なく。では、行くザンス~! そ~れっと!」

サーンがハンマーでクライシスメーカーを叩くと、彼方のコンビナートから炎が上がる。

マール「わぁ~!」
サーン「うまくいったザンス」
マール「ちょっとちょっと、貸してちょうだい! えい、えい!」

コンビナート地帯が次々に炎に包まれ、人々が逃げ惑う。

衛星軌道上に浮かぶ災害検知衛星レスキューアイが、火災を検知。
世界消防庁の総司令・南部奈津乃からの通信がレスキューフォースに下る。

総司令「超災害発生。レスキューフォースに緊急出場要請」
石黒「レスキューフォース、緊急出場!」
一同「了解!」
寿里「レスキューストライカーを搭載します!」
レイ「レスキューフェニックス、フライトモード!」
石黒「レスキューフェニックス、発進!」
一同「発進!」

レスキューフェニックスが飛行形態に変形。
大型放水車レスキューストライカーを前部に連結して空へ飛び立ち、災害現場を目指す。

総司令「今回の現場は、人工島オメガアイランド。現在、島の工場地区では複数の火災が発生している」
石黒「火災の原因は?」
総司令「目下のところ不明だ…… 居住区には、多くの住人が取り残されている。これ以上火災が広がれば、彼らが危険だ。レスキューフォースは現地消防チームと協力して、彼らの安全を確保するように」
一同「了解!」

人工音声が状況を伝える。

『間もなく、被災地上空。間もなく、被災地上空』

石黒「レスキューフォース、着装!」
一同「了解!」

輝たち4人が基地内の4箇所のブースに入る。

一同「着装!」

『ビルドアップ』

万能ツール・レスキューコマンダーの操作により、4人の体を強化服レスキュースーツが覆う。
輝&はR1(アールワン)、響助はR2(アールツー)、レイはR3(アールスリー)、寿里はR4(アールフォー)となり、名乗りを決める。

一同「R1!」「R2!」「R3!」「R4!」「レスキューフォース、着装完了!」
R1「これ、やりたかったんだよなぁ!」
R2「おい、行くぞ!」

災害現場にレスキューフェニックスが着陸する。

R1「レスキューコマンダー!」

R1の乗ったビークル・コアストライカーが、レスキューストライカーに格納される。

R1「レスキューストライカー、起動!」

『スタートアップ』

R1「レスキューストライカー、発進!」

レスキューストライカーが発進。現場を目指す。


災害現場では、消防員たちが消火にあたっているが、炎はどんどん勢いを増し、なかなか鎮火しない。

「もうダメです……」「弱音を吐くな! ここで食い止めなければ、居住区が危険だ!」

そこへレスキューストライカーが到着。

「おぉ、あれは……」「レスキューフォースだ!」

レスキューストライカーの放水により、みるみる火が消し止められる。
R1たち4人が降り立つ。

一同「レスキューフォースです!」「火災は我々が食い止めます」「レスキューストライカー、消火続行!」

石黒「セーブ・ザ・ライフ! レスキュー開始!」
一同「了解!」「ウェーブサーチ、パワーサーチ、発進!」

『ウェーブサーチ パワーサーチ スタートアップ ゴー』

レスキューストライカーから、小型無人偵察車ウェーブサーチ、パワーサーチが発進。

一同「よし、行くぜ!」「おぅ!」「はい!」

ウェーブサーチたちからの情報をもとに、R1とR2が建物のそばを捜索。ドアの向こうから声が響く。

声「おぉい、助けてくれぇ! 助けてくれぇ!」
R1たち「レスキューブレイカー!・ブレイクハンマー!」「ブレイクアックス! ドアから離れて!」

2人が万能ツール・レスキューブレイカーをハンマーと斧に変形させ、ドアを叩き割る。
煙に巻かれている男性を、R1が助け出す。

男性「ゴホッ、ゴホッ……」
R1たち「大丈夫ですか?」「俺は奥の方を!」

炎に囲まれている男性のもとに、R3が駆けつける。

R3「レスキューフォースです。おケガは?」
男性「大丈夫です。でも、逃げ道を塞がれてしまって……」
R3「ご安心を。R1、聞いてた?」

R1「コアストライカー、発進!」

『コアストライカー・スタートアップ・ゴー』

R1「至急、R3のところへ行ってくれ」
ストライカー『了解』

コアストライカーの人工知能が応答し、無人のまま炎をかき分け、R3たちのもとへ到着する。

男性「す、すげぇ!」
R3「さ、乗って」

R1が運んで来た人々を、R4が手当てする。

R4「ケガ人の搬送を始めましょう」
R1「了解。コアエイダー、発進!」

『コアエイダー・スタートアップ・ゴー』

レスキューストライカーから発進されてやって来た救急車コアエイダーに、R4が負傷者たちを運び込む。

R4「大丈夫ですか? ……え?」
住民「見たんだ…… 俺ぁ、確かに見た」
R4「見たって、何をです?」
住民「第6区画に…… 子供がいた」
R4「何ですって!?」
R1「コアストライカー!」


炎に囲まれた建物の中に、1人の少年がいる。

「コロ、どこだ!? コロ!」


R1「待ってろよ、今行くからな!」

しかし目の前に、何人もの黒ずくめの者たちが現れ、R1たちに襲い掛かってくる。

R1「何だぁ!?」
R4「何なのよ、こいつら!?」

マール「アクストは、レスキューを妨害するアンドロイドですのよ~」
サーン「開発したのは、天才的頭脳を誇るこの私ザンス!」
シーカ「本日、晴れてのデビューでゴ~ンス!」
マール「さぁアクストたちよ、じゃんじゃん暴れておやりぃ~!」

R1「くそぉ…… こんなことしてる場合じゃないのに!」

状況を知った石黒隊長が、R2たちに指令を送る。

石黒「謎の集団がR1たちを襲っている」
R2「何ですか、それ?」
石黒「とにかく、現地に向かってくれ」

R4「このままじゃ、ケガ人が…… 火事場のスーパーパワー!」

怒り心頭のR4が、瓦礫を持ち上げ、アクストたちに叩きつける。R1も必死にアクストに抵抗する。

R4「もう~許さないからぁ! コアエイダー、さっさと発進しなさい!」

コアエイダーが走り去る。アクストの1人が、R1の背後目掛けて飛び掛る。

R4「危ない!?」

危ういところへR3が駆けつけ、アクストを一撃。さらに襲い来るアクストたちを、R3が次々に倒す。

R3「言ったでしょ? その備え、しっかりやって損はなし!」

R3の倒したアクストの腕がちぎれ、機械が覗く。

R3「アンドロイド……?」

R2も加勢する。

R1「先輩、逃げ遅れた子供がいるんです!」
R2「何だとぉ!?」

コアストライカーが走って来る。

R2「今だ、行け!」
R1「はい!」

マール「ジャマしてやる、ジャマしてやるぅ!」

コアストライカー目掛けてR1が走る。
しかしマールの仕業により巨大な炎が上がってR1が吹き飛ばされ、さらにアクストたちが立ち塞がる。


火の中に取り残されている少年。

「助けて!」


R1「俺はレスキューフォースだ! 俺の使命は、こんなヤツらと戦うことじゃない! 助けを待ってる誰かを、この手で救うことだ! それが、俺の使命だ! 待ってろよ、今行くからなぁ!! うぉぉ──っ!!」

気合とともに、襲い来るアクストたちを次々にはね飛ばし、R1が突進する。

R3「何なの、あの新人!?」
R4「見習いくん、スゴすぎ……!」

アクストの大群を潜り抜け、R1がコアストライカーに乗り込む。
レスキューストライカーがコアストライカーを格納。次々に炎の上がる中を突き進む。

ストライカー「右ニ回避セヨ」
R1「いや、こっちだ!」

R1がハンドルを左にきり、危うく右側から倒れてきた障害物をよける。

R1「よっしゃ!」
ストライカー『ナゼダ?』
R1「え?」
ストライカー『人工知能ノ私ニ想定デキナカッタ事態ガ・ナゼ・ニューフェイスニハ・ワカッタノダ?』
R1「話は後、今はレスキューが先だ!」
ストライカー『了解』

少年の取り残された区画にレスキューストライカーが到着、R1が降り立つ。
頭上、建物の空中通路の途中で動けずにいる少年。

少年「助けてぇ! 助けてぇ!」
R1「待ってろよ、今行くぞ!」

目の前に障害物。

R1「ブレイクハンマー!」

障害物をブレイクハンマーで叩き壊し、R1が通路を駆け上る。

R1「もう少しの辛抱だ! がんばれ!」

突如立ち上った炎にR1が足場を踏み外し、かろうじて腕1本で通路からぶら下がる。

少年「お兄ちゃん!?」
R1「負ける……もんかぁ!」

必死に大勢を立て直したR1が、少年のもとに辿り着く。

R1「大丈夫かい、ケガはないか?」
少年「うん……」

炎がどんどん、2人を取り囲んでくる。

R1「君、名前は?」
少年「マモルだよ」
R1「よし。マモルくん、俺にしっかりつかまってるんだ」
少年「うん!」

そこへR2たちも駆けつける。

R2「あいつ、まさか!?」
R1「行くぞ!」

R1がマモル少年を抱き、一気に飛び降りる。

R1「ブレイクロープ!」

レスキューブレイカーから通路目がけてロープが伸び、R1たちを支える。
地上へ降りてゆくR1たち。だが眼下で突然の爆発が起き、火柱が立ち上る。

一同「R1!?」

炎がやんだ中から、無事にマモルを抱いたR1が姿を現す。

R2「R1!」

R1「大丈夫か?」
マモル「うん、大丈夫!」
R1「よし……」

ひときわ大きな爆発音。

R1「なんだぁ!?」

燃え盛る火の中から、巨大な炎が怪物のように立ち上る。

サーン「我らの炎は自由自在に操ることができるザンス~!」
マール「島全体を、焼き払ってやる~!」

R2「こっちだ!」

暴れまわる炎から逃げる一同。

R1「マモルくんを頼みます!」
R2「どこへ行く!?」
R1「ファイナルレスキューを要請します!」
R2たち「ファイナルレスキューは、最後の手段だ!」「使い方を誤れば、逆に被害が……!」「見習いくんには、まだムリよ!」
R1「俺にやらせて下さい、お願いします! 隊長!」
石黒「……ファイルレスキュー承認。爆裂的に鎮圧せよ!」
R1「了解!」

R1がレスキューストライカーに乗り込み、勢いを増す炎の怪物めがけて突き進む。

『ターゲット・ロックオン』

R1「よぉし、行くぜ! ファイナルレスキュー・ウォーターキャノン発動!!」

『ウォーターキャノン』

レスキューストライカーが放水銃から、砲弾のごとく強力な消火液を撃ち出す。
燃え盛る炎が見る見る凍結し、無数の氷片となって砕け散る。
降り注ぐ氷片の雨から逃げ惑うマールたち3人。置き去りにされたクライシスメーカーも凍結してゆく。
炎に包まれていた周辺の設備も、どんどん鎮火してゆく。

石黒「火災は完全に鎮火した。よくやったな、R1」

R1「爆鎮完了!!」


無事に鎮火した人工島の一角。マモル少年が一匹の子犬のもとに駆け寄る。

マモル「コロ、コロ!」
輝「マモルくんも、この子を助けに行ってたのか?」
マモル「うん、コロっていうんだ」
輝「ははっ、そうか。おいコロ、ご主人様を心配させちゃダメだぞ」


すごすごと引き揚げて行くマールたち3人。

マール「2人とも、あんまり落ち込むと、体に悪いわ~」
シーカ「あぁ、マール様は優しいでゴンス~」
マール「よしよし」
サーン「さすがは、我らが姫君ザンス~」


輝たちがレスキューフェニックスに帰還する。

寿里「無茶しまくりだったね、見習いくん」
輝「ありがとうございます!」
レイ「褒めて・な・い」
響助「おい、ペーペー」
輝「はい?」
響助「自分の命も、大事にしろよ」
輝「……はい!」


レスキューフェニックスが、夕日に照らされた空の彼方へと飛び去って行く。


(続く)

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最終更新:2014年11月02日 08:47