スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました(漫画版)の第1話

相沢梓 二十七歳、社畜。
恋も遊びも全て犠牲にし、ひたすら仕事のためだけに生きてきた。
最高五十連勤、労働基準法ってどこ行ったんだろう。
そしたらある日、仕事中にばたっと意識を失った。

社員たち「相沢さん!」
「相沢さん!!」
「大変!」
「救急車を!!」

梓(次に気がついた時、目の前には若い女の人の顔があった)

梓は光の球となって、天使の羽根と輪を付けた女性と向かい合っていた。
梓「ああ・・・私、死んだんですね・・・」
女性「はい・・・働き過ぎによる過労死・・・若いのにおいたわしいことです・・・」
梓(・・・・・本当に仕事のためだけの人生だったな)
女性「でも大丈夫です!あなたには是非、来世で幸せな生き方をしてもらいたいと思っております。よかったらご要望お聞きしますよ。私、ある程度自由にやれちゃいますんで」
梓「じゃあ不老不死にしてください」
女性「はい!」

梓(そんなあっさりできるものなのか、素晴らしい)
女性「では体の中をマナがぐるぐるぐるぐる循環して、老いることの体にいいたしましょう!他には?」
梓「それだけでいいです。長くだらだらとスローライフを送るのが目的なので、高原の家とかで自給自足してのんびり過ごせれば満足です」
女性「前世での苦労がしのばれます・・・あっ、どうせなら若い女の子がいいですよね!十七歳くらいが私好きなんで!えーい!」
梓「・・・・・」


次の瞬間は、梓は新たな体を得て、町を見下ろす高原に座り込んでいた。
梓「本当に高原だ・・・そして一軒家。おお・・・」
梓の後ろには、一軒家があった。

その家の扉には、「欲しい人がいたら差し上げます」と読める張り紙が貼られていた。
梓(文字・・・日本語じゃないけど読めるぞ。気前よすぎない!?何ソレ!!これも用意してくれたってことかな)

梓は家の中に入り、立てかけられた鏡を、それに映る今の自分の姿を見た。
梓「これが」
「新しい体。たしかに十七歳だ、なんか魔女っぽい服だけど。顔もまずまずかわいいかな、これで女子高生にでもなったらモテそう」
「・・・・・・・私・・・本当に一度、一生を終えたんだな」

梓は自分の顔を引っぱたいた。
アズサ「社畜の私はもういない!心機一転!!私はアズサ!アズサ・アイザワを名乗ろう!!そして今日からここが私の家だ!!」
「畑もあるし!近くには村もある!自給自足には持ってこいじゃない!あとは・・・・金貨と短剣も!なんという至れり突尽くせり感!」
(あの天使っぽい子に感謝ね)
アズサは、手を合わせて空を拝んだ。
アズサ「じゃさっそく、買い物にでも行ってみようかな」

アズサが外に出た。
アズサ「そういえばここってどこなんだろう。今までとはどことなく空気が違う感じ・・・それに文字も見たことないのだったし」
「・・・異世界とか?だったら魔物の一匹でもいそうだけ・・・」

アズサの前にスライムが出てきた。
アズサ「いた!!・・・ってなんだ、スライムか。とはいえ異世界確定ね・・・」
「ゲームとかだと序盤に出てくる最弱モンスターだけど・・・うおっ・・・コイツ、やる気だぞ。ならば倒さねば」
「たあ!」
アズサは短剣を抜き、スライムを切りつけた。
アズサ「効いたかな?」

スライムはアズサに体当たりしてきた。
アズサ「わっ」
「痛くない・・・まぁスライムだしね」

そこから、アズサはスライムを何度も切りつけた。
アズサ「喰らえ!喰らえ!喰らえ!」

やがて、スライムが小さな宝石となって消えた。
アズサ「やった、倒した。これはお金みたいなものかな。自給自足とはいえ諸々お金は必要だし、遠慮なく頂きます」
アズサが宝石を拾い、村へ向かった。その道中に、何匹かのスライムがいた。
アズサ「・・・結構スライムっているんだな。見つけたら倒していこう」

アズサは、フラタ村に着いた。
アズサ「そんなに大きくなさそうだけどキレイな村。これからお世話になるし、いろいろ知りたいな」
アズサは見かけたおばさんに声をかけた。
アズサ「すいません、村のこと聞きたいんですけど」
おばさん「おや、新しく超してきたのかい?だったらギルドだね、案内してあげるよ」
アズサ(親切・・・・)

アズサはギルドに案内された。
ナタリー「あの一軒家に引っ越されてきたんですね!はじめましてアズサさん!ギルド受付のナタリーです!この村の特徴を一言で言うと「平和」です!!」
アズサ「ですね、よくわかります」
ナタリー「モンスターもスライムくらいしか出ないですしね」
アズサ「スライムと言えば、倒したらこんなのが」
アズサは三個の宝石を、ナタリーに出した。
ナタリー「これは魔法石ですね、こちらで換金できますよ。これなら六百ゴールド・・・銅貨六枚ですね」
アズサ(日本円なら六百円ってとこ?必要な分だけスライム倒してれば一応暮らしていけそうかな、家賃とかないし)
「じゃあ早速お願いします」
ナタリー「換金するためには冒険者登録が必要なんですが構いませんか?」
アズサ「はいはい」
ナタリー「ではステータスを読み取りますね」

ナタリーが一枚の石版を出してきた。
ナタリー「この石版に手を置いて頂ければ表示されますので」
アズサ(ハイテク・・・)
ナタリー「ふむふむ」

アズサの情報が表示された。

アズサ
職業◆魔女
レベル1
体力◆6
攻撃力◆6
防御力◆7
魔力◆9
素早さ◆8
知力 7

特殊能力など
薬草に関する知識
魔女の力により不老不死

獲得経験値6

ナタリー「職業魔女・・・」
アズサ(本当に魔女だったのか・・・)
ナタリー「レベルは1で・・・不老不死!?すごいですね、確かに魔女には長命な人もいるんですがレベル1でというのは・・・」
アズサ「運がいいんですかね」
(転生ボーナスというのは黙っとこう)
ナタリー「それではアズサさん、これからもギルドをよろしくお願いします」
アズサに銅貨六枚が支払われた。

アズサ「よし、収入源確保っと。あとは生活必需品と食材と・・・そうだ、畑用に種も買わないとね」

アズサ「この日から私のスローライフが始まった」
「とにかくだらだらと過ごし、寝たいだけ寝」
「畑の手入れは一応し、体を動かしたい時はスライムを倒す」
「貴重な収入源なので最低二十匹は倒すことを日課とした」
「無理のない労働と安穏な悠久の休日」
「正に悠々自適!ビバ第二の人生!!」

アズサ「そして300年がたった―――――」


第1話 レベルMAXになっていた



アズサ「二十六匹っと」
アズサのデコピンの一撃がスライムを倒した。
アズサ「スライム退治も随分慣れたな。もうデコピンでも倒せるくらいだし、ちょっとはレベル上がったのかも。さて」

アズサがフラタ村に来た。
村人「あ、高原の魔女様!」
「換金ですか?」
アズサ「うん、いつも通りね」
村人(男)「高原の魔女様!こないだの薬、よく効きましたよ!」
アズサ「それはよかったです」
村人(女)「高原の魔女様!またうちの店寄ってくださいね!」
アズサ「今度行きますね」

アズサ「高原の魔女」
「魔女の能力なのか、どの草が薬になるかがわかるようになったので300年の間たまに作って売りに来たり、村に急病人が出たら診察して薬を出したり、幾度か疫病が流行った時も死者が出ないように努めたり、そんな医者のようなことをしていたらこう呼ばれるようになったのだ」
「これだけ長く生きてるともはや村の歴史の生き証人でもあり、守り神的なものと思われ敬われているようだ」
「スローライフの副次的影響とはいえ、これはこれでなかなか満喫してると言えなくもない」

アズサ「こんにちはー」
アズサはギルドに来た。

受付嬢「はい!確かに確認しました。では五千二百ゴールドですね」
アズサ「どうも。ギルドはもう慣れました?新人さん」
受付嬢「や~まだまだですね。魔女様みたいにもっともっと知識を蓄えないと」
アズサ「年の功ですよ。じゃ、また明日来ますね」
受付嬢「・・・・・・・あの・・・魔女様。ちょっと気になってたことがあるんですけど」
アズサ「うん」

受付嬢「高原の魔女様ってどのくらいの実力ですか?」
アズサ「実力って・・・バトル的な意味?大したことないんじゃないかな。冒険者登録はしてるけど冒険なんて一度もしたことないし」
受付嬢「魔女様」

受付嬢がステータスを計る石版を出した。
受付嬢「ステータス見せてもらえませんか?だってずぅっとこのフラダ村を見守ってくれる魔女様ですよ!?きっとすんごいステータスだと思うんです!」

アズサ(ステータスか・・・思えば300年間一度も計らなかったな)
「構わないけど・・・伝説の冒険者みたいなの想像してがっかりしないでね。私はちょっと薬草学に詳しいだけの長生きの魔女なんだから」
受付嬢「またまたご謙遜を~」

アズサが石版に手をかざし、表示されたステータスは――――


アズサ
職業◆魔女
レベル99

体力◆533
攻撃力◆468
防御力◆580
魔力◆867
素早さ◆841
知力◆953

魔法 
瞬間移動・空中浮遊・火炎・竜巻・アイテム鑑定
地震・氷雪・雷撃・精神支配・解呪・解毒・魔法反射
マナ吸収・言語理解・変身・魔法創作

特殊能力など
薬草に関する知識
魔女の力により不老不死
獲得経験値増加

獲得経験値
10840086



アズサ「・・・・あれ?なんかこれ壊れてない?変な数字出ちゃって」
受付嬢「うあああああああ!!!魔女様マジで強すぎですぅぅぅぅ!!」
「〈使用可能魔法〉瞬間移動・空中浮遊・火炎・竜巻・アイテム鑑定・地震・氷雪・雷撃・精神支配・解呪・解毒・魔法反射・マナ吸収・言語理解・変身・魔法創作!!
〈特殊能力〉薬草知識・不老不死・獲得経験値増加!!〈獲得経験値〉1084万とんで86!!
無茶苦茶ですよ!!こんなの世界一強いに決まってますって!!」
アズサ(全部読み上げてくれた・・・)
「いやいや・・・私スライムぐらいしか倒してないよ?獲得経験値1084万なんておかしいでしょ。その石版300年前からあるしさすがに故障・・・」
受付嬢「そんなことないです魔女様!!だって魔女様は300年間毎日欠かさずスライムを倒してきたんですよね!?」
アズサ「そ・・・そうだね。平均一日二十五匹ぐらいかな。魔導書が欲しい時とか家を修理したい時とかはかなり頑張って稼いだ気がするし」
受付嬢「あとこれですよ!!獲得経験値増加!!」
「どこかの時点のレベルアップで得たんだと思いますが、モンスター1匹ごとに経験値が2増える能力なんです!!」
アズサ「なんだ、たったの2か」
受付嬢「でも!スライムの経験値って2なんですよ!!つまり倍!!よって!!」
「こちらの計算式となり・・・!!」
受付嬢が計算式の書かれた黒板を出してきた。
アズサ(どっから出した)

その黒板に書かれた式は、
365(日)×300(年)×4(スライム+ボーナス)×25(匹)だった。

受付嬢「そこから導き出される数字は・・・1095万!!」
アズサ「1084万にかなり近い!!」

受付嬢が眼鏡を外した。
受付嬢「1095万・・・大型ドラゴンが経験値2500といわれてますから・・・4380匹倒したことになりますね」
アズサ「超ドラゴンキラーだ!!」

受付嬢「やっぱり・・・高原の魔女様は偉大な大魔女だったんですね・・・」

アズサはへたりこんだ。
アズサ「うそでしょ・・・」
(継続は力なりとは言うけれど力になりすぎでしょ・・・いやそれよりも・・・)
(こんなことが広がったらまずい!!村のお手伝いどころの次元じゃない・・・)
(どこそこでドラゴンが発生したから退治してくれってとか・・・いや一回ならいいよ!?一回でもやっちゃったら他のドラゴンも退治してくれって絶対言われる!!あそこは倒したのにこっちはダメなのかとか言われる・・・!!)
(そしたらスローライフどころじゃない!!)
(冒険の日々・・・労働の日々・・・そして最後には・・・それは絶対に嫌だ・・)

アズサ「えっと・・・何さんでしたっけ?」
受付嬢「ナタリーです!」
アズサ「得!?あなたも不老不死!?」
ナタリー「へ?」
アズサ(いや偶然か・・・珍しい名前じゃないし)
「あの・・・ナタリーさん。このことは絶対に口外しないでください」
ナタリー「そんな!?我が村の魔女様を称えられないなんて!!」
アズサ「そもそもステータスは個人情報じゃないですか。ナタリーさんも胸の大きさを他人に言いふらされたら嫌でしょ?」

ナタリーは大きな胸を張った。
ナタリー「胸の大きさには自信があります」

アズサ(自慢か!くっ・・・胸にコンプレックスのない人だったか。私よりも確実に大きいな。レベルが上がっても胸の大きさは変動がない。私は300年間同じスタイルだ、むしろ転生前の方が)
「とにかく!私のステータスは誰にも言わない!これ高原の魔女との約束ね!!」
ナタリー「わかりました!!魔女様が最強だということは一切外に漏らさないと約束します!この村の者として高原の魔女様を裏切ることは絶対にしません!プロミス!!」
アズサ(こんなことで高原の魔女の威厳が役に立つとは)

ナタリー「プロミス!!」
アズサはギルドを出た。
アズサ(よし・・・このままナタリーさんに黙って貰えばどうにかなり。この三百年でステータスに興味を持ったのは彼女だけ・・・つまりまた数百年は平穏な日々が続いてもおかしくない。むしろ続け!!)

アズサ「私はほっとして高原の家に帰宅した」
「だがあのステータスに関してはまだ信じられない」
「真偽を確かめるべく、裏の森に赴き、そこにある滝に向かって氷雪の魔法を試すことにした」

アズサ「すべてを凍つかせよ!!ハアッ!!」

アズサの放った氷雪の魔法は、滝全体を凍り付かせた。

アズサ「ガチだった・・・・・」

続く

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最終更新:2019年10月27日 09:05