トレギアが、ギンガとビクトリーの渾身のパンチを受けて、小惑星に叩きつけられる。
ギンガたち7人が、小惑星上に降り立つ。
ギンガ「トレギア! もう諦めろ。お前の野望は、ここで終わりだ!」
トレギア「ふん、そいつはどうかな? ウルトラマンたちよ。では、ごゆっくり」
トレギアが余裕の様子で、姿を消す。
ギンガ「待て、トレギア!」
小惑星上で無数の爆弾が、次々に起動する。
ギンガ「しまった、罠だ!」
ギンガたち7人が、爆発に飲み込まれる。
トレギア「ククク……!」
声「トレギア!」
トレギア「タロウ!?」
タロウ「闇に墜ちた者を、光の国に近づけるわけにはいかん」
トレギア「ふん、宇宙の番人を気取るな! 光が正義だと、誰が決めたぁ!!」
ギンガたちは小惑星上で、爆発のダメージを負っている。
そこへ、3人の新たなウルトラ戦士が降り立つ。
タロウの息子のウルトラマンタイガ。
ウルトラマンジョーニアスと同郷のウルトラマンタイタス。
ルーブ、ロッソ、ブルと同郷のウルトラマンフーマ。
タイガ「先輩! トレギアは、俺たちが止めます!」
ギンガ「油断するな、タイガ! 奴は手強いぞ」
タイガ「任せてください! 最強のチームワークを披露するチャンスだ!」
タイタス・フーマ「あぁ!」
ギンガ「だったら、これを持って行け」
ロッソ、ブル、オーブの放ったブレスレットが、タイガの腕のアイテム・タイガスパークに収まる。
タイガ「光の勇者、タイガ!」
ジードとエックスの放ったブレスレットは、タイタスのもとへ。
タイタス「力の賢者、タイタス!」
ギンガとビクトリーの放ったブレスレットは、フーマのもとへ。
フーマ「風の覇者、フーマ!」
ギンガ「それがお前たちの力になってくれるだろう」
タイガたち「はい!」
タロウとトレギアの激闘が続く。
トレギアがタロウ目がけて放った光線を、タイガたち3人が受け止める。
タロウ「お前たち……」
タイガ「見ててください、父さん!」
3人「俺たちは、トライスクワッドだ!」
タイガたち3人が、トレギア目がけて突進する。
タロウ「よせ! お前たちに敵う相手ではない!」
フーマ「光の速さで、てめぇを倒す!」
タイタス「賢者の拳を受けてみろ!」
タイガ「ストリウムブラスター!」
フーマのスピード戦法とタイタスの怪力のパンチ、そしてタイガの光線がトレギアに決まる。
タイガ「どうだぁ!」
しかしトレギアは、爆炎の中から無傷で現れる。
トレギア「フフフ…… ハァッ!」
トレギアの放った光線を浴び、タイタスが光の粒子と化して、消滅する。
タイタス「ぐおおぉぉ──っっ!!」
タイガ「タイタァ──ス!!」
フーマもまた、トレギアの攻撃の前に消滅する。
フーマ「うわあぁ──っっ!!」
タイガ「フーマぁ──っ!! くっ…… よくも、よくも俺の大切な仲間をぉぉ!! 許さぁん!!」
トレギア「フフフ…… 熱いねぇ」
タイガが激昂して突進するが、トレギアは余裕でタイガの首を捕える。
タイガ「ぐぅっ、離せぇ!!」
タイガがトレギアの攻撃を至近距離でまともに浴び、光の粒子と化して、消滅する。
タイガ「うわあぁあ──っっ!!」
タロウ「タイガぁ──っ!!」
トレギア「フッ…… 良き旅を」
タロウ「うぅおお──っっ!!」
タロウが怒りに燃えて、トレギアと激突する──!
この地球に 宇宙人が密かに暮していることは あまり知られていない。
これは、そんな星で出逢った若者たちの 奇跡の物語である──
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現在の地球上、日本。
民間警備組織E.G.I.S.の自動車が、道路を行く。
運転手は、新人隊員の青年、工藤ヒロユキ。
謎の声「おい、ヒロユキ! 狙われてるぞ!」
ヒロユキ「え?」
どこからか、声が響く。
隣の助手席にいる先輩隊員の宗谷ホマレは、口を開いていない。
後部座席、今回の依頼人の男性である河津も、大きなカプセル状の荷物を抱えたまま、口を開いていない。
ヒロユキ「誰だ?」
謎の声「前!」
ヒロユキ「えっ?」
目の前に光線が炸裂し、炎が上がる。
ヒロユキは何とかハンドルをきって回避するものの、2撃目が炸裂する。
河津「バレたか……」
ヒロユキ「あれは!?」
目の前に、サングラスとマスクで素顔を隠した男2人がいる。
男2人が銃を構え、光線を放つ。
ヒロユキがなんとか、攻撃を回避する。
背後に爆発が起こり、瓦礫が吹き上がる。
E.G.I.S.では、社長の佐々木カナ、オペレーターの旭川ピリカが待機している。
カナ「何っか、嫌な予感がする……」
通信音が鳴り響く。
カナ「ほら来た!」
ホマレ「こちらホマレ。現在、襲撃を受けています」
ヒロユキ「簡単な護衛だって言ったじゃないですかぁ!?」
カナ「お願い、無事に逃げ切って! その車、ローンで買ったばっかりなんだからぁ!」
ホマレ「ピリカ、迂回ルートを捜してくれ」
ピリカ「あいよっ」
河津「急いでくれ! 3時までに送り届ける契約だぞ!」
ピリカ「はい、そこ左!」
ヒロユキ「了解!」
サングラス男の1人が自動車と同じ速度で疾走し、ヒロユキのそばの窓ガラスの向こうで銃を構える。
ヒロユキ「うわぁ! ホマレ先輩、何なんですか、これは!?」
ホマレ「知るかぁ!」
ホマレの側の窓の向こうでも、もう1人のサングラス男が銃を構える。
ホマレ「ブレーキ!」
ヒロユキ「はい!」
ヒロユキが車を急停止させる。
サングラス男たちはそのまま疾走しつつ互いを撃ち合う形になり、同士撃ちとなる。
倒れた2人の男は、顔が異形の姿に変貌している。
ヒロユキ「宇宙人……ですかね?」
河津「契約はこれまでだ!」
河津がカプセルを抱えたまま車を降り、走り去る。
ヒロユキ「河津さん!?」
ホマレ「ヒロユキ! 撤収だ」
ヒロユキ「……ちょっと待ってください。武器を持った連中に狙われてるんですよ!? ほってけないでしょう!」
ホマレ「依頼人は契約を解除した。その時点で、俺たちとは無関係だ。深入りするべきじゃない」
ヒロユキ「契約なんて、関係ない!」
ヒロユキが河津を追い、駆け出す。
ホマレ「おい!?」
カナ「契約解除!? まぁ、でも…… お金は先に貰ってるから、いいか。で、ヒロユキは?」
ヒロユキは、街角でうずくまっている河津を見つける。
河津「うぅっ……」
ヒロユキ「大丈夫ですか!?」
あのカプセルは、宇宙人・
マグマ星人に奪われている。
マグマ「あ~あ、どうやって開けるんだ、こりゃ?」
ヒロユキ「そいつを返せぇ!」
マグマ「邪魔をするなぁ!」
ヒロユキが、マグマ星人と格闘となる。
地面に置かれたままのカプセルが、煙を吹いて開く。
怪獣ザンドリアスの雛、ベビーザンドリアスが、産声を上げる。
ヒロユキ「え……?」
マグマ星人がヒロユキを突き飛ばし、ベビーザンドリアスを奪って逃げ去る。
ヒロユキ「待てぇ!」
マグマ「いただきぃ!」
河津「せっかくあの子を、取り戻したのに……!」
カナたちのもとに、ヒロユキからの通信が入る。
ヒロユキ「ヒロユキです! 金髪の宇宙人の行方を追ってください!」
カナ「金髪の……!? まさか!」
ピリカ「いた! そこから南西に800メートル。工事中のビルだよ」
ヒロユキ「了解!」
ヒロユキと河津は、そのビル内へとやって来る。
ヒロユキ「あの子を、怪獣の餌に?」
河津「あの種は乱獲され、今や絶滅寸前だ。私はそんな生き物たちを保護し、生まれ故郷の星に帰す活動をしている」
ヒロユキ「……河津さんて、宇宙人だっ──」
謎の声「ヒロユキ、後ろ!」
ヒロユキ「え!?」
再びの謎の声に導かれ、ヒロユキが背後に電磁警棒を突きつける。
そこには、あのサングラス男。
ヒロユキ「あ、ごめんなさい」
サングラス男が電撃を浴びて、倒れる。
河津も、もう1人のサングラス男に襲われるが、ヒロユキが電磁警棒で仕留める。
ヒロユキ「大丈夫ですか!?」
河津「あと少しで、仲間の宇宙船が迎えにくる…… それを逃したら、私はこの星に取り残され、あの子も助けられない!」
ヒロユキ「僕が絶対に間に合せます!」
河津「……なぜ、そこまでする? 私は地球人ではないのに」
ヒロユキ「困っている人がいたら助けるのは、当たり前です! それが誰であっても、どこの星の人であっても」
ベビーザンドリアスの声が響く。
ヒロユキたちはその声を追って、ビルの上階へ辿り着く。
ベビーザンドリアスを手にしたマグマ星人がいる。
ヒロユキ「その子を返せ!!」
マグマ「ありがちな台詞を言わせてもらおう。動くんじゃねぇ!」
マグマ星人が、ベビーザンドリアスにサーベルを突きつける。
ヒロユキたちは、迂闊に手出しをすることができない。
マグマ「イッツ・ショータ──イム!」
大地を裂き、巨大な怪獣、時空破壊神ゼガンが出現する。
ヒロユキ「今度は怪獣!?」
ゼガンがビル群を破壊し、街の人々が逃げ惑う。
謎の青年・霧崎が、風船を携え、群衆の中で、平然と佇んでいる。
ゼガンが、ベビーザンドリアスの声を聞きつける。
マグマ「あ、見っかっちゃった…… ほらほら、もっと鳴けぇ! 鳴き叫べえ!」
ゼガンの咆哮に加えて、もう1体、何者かの咆哮が響く。
マグマ「フン、来たぞ」
空から、怪獣ザンドリアスが飛来して、地上に降り立る。
ベビーザンドリアスの母、ヤングマザーザンドリアスである。
河津「やはり、母親が来てしまったのか!」
ヒロユキ「あの子の、お母さん!?」
マグマ「ゼガンよ、そいつをブッ倒せえ!! デモンストレーションは派手なほど、高値がつくからなぁ」
ヒロユキ「どういうことだ!?」
衛星軌道上では、宇宙犯罪組織ヴィラン・ギルドの円盤が浮かんでおり、宇宙商人のマーキンド星人がオークションを開催している。
マーキンド「では、オークションを始めましょう。トップは、時空破壊神ゼガン! 惑星侵略にはもってこいの目玉商品です! それでは全宇宙の皆様、入札スタート~!」
ゼガンとザンドリアスの戦いが続く。
ザンドリアスが、次第に押されてゆく。
マグマ「頑張らないと、こいつがゼガンに食われちまうぞぉ!!」
ヒロユキ「……命をもて遊ぶなぁ!!」
霧崎「では、私からも贈り物を── ヘルベロス」
頭上の空間が裂け、巨大な尾が伸び、ゼガンを刺し貫く。
ゼガンが大爆発を遂げる。
そしてその尾の主、怪獣ヘルベロスが降り立つ。
マグマ「誰だ!? あんなの呼んで来やがったのはぁ!! せっかくのショーがブチ壊しじゃねぇかぁ!!」
ザンドリアスがヘルベロスに吹き飛ばされて、ヒロユキたちのビルの方へ吹っ飛んで来る。
マグマ「おいおいおい、中止、中止ぃ!!」
マグマ星人がベビーザンドリアスを放り、姿を消す。
激しい衝撃で、ヒロユキたちの頭上に、瓦礫が降り注ぐ。
河津「わ、わぁぁっ!!」
ヒロユキ「河津さぁん!?」
河津「私に構わず、その子をぉ!!」
謎の声「伏せろ、ヒロユキ!!」
次の瞬間、河津はホマレに救われ、ビル外にいる。
ホマレ「大丈夫ですか?」
河津「あ、あの状況で…… ま、まさか、君も!?」
カナ「ホマレぇ──っ!」
カナとピリカが、ホマレに合流する。
ホマレ「社長!」
カナ「あれ、ヒロユキは?」
ヒロユキは依然、崩壊しかけたビル内にいる。
ヒロユキ「河津さん? ……河津さぁん!!」
瓦礫の降り積もった中で、ベビーザンドリアスが弱々しい声を上げている。
ヒロユキ「いた……! 待ってろよ、すぐに助けてやるからな」
ヒロユキが瓦礫の隙間に、必死に手を伸ばす。
ヘルベロスの攻撃。とっさに母のザンドリアスが自らを盾とし、ビルを守る。
ビルが激しく揺れ、破損した電気系統から、火花が飛び散る。
そのそばには「火気厳禁」と書かれたタンクが見える。
ヒロユキ「まずい、急がないと!」
ヒロユキが懸命に、ベビーザンドリアスに手を伸ばす。
ヒロユキ「くっ……! 届けぇ──っ!!」
ヘルベロスの攻撃が続き、さらにビルが激しく揺れる。
謎の声「どうする?」
ヒロユキ「え……?」
謎の声「お前だけなら、逃げられるぞ」
ヒロユキ「……うるさい! 僕は助けたいんだ! 今逃げ出したら、ここに!」
ヒロユキが自分の胸を指す。
ヒロユキ「自分の気持ちに、心に嘘をつくことになる! だから僕は、絶対に助ける!!」
ヘルベロスの一際激しい攻撃で、ビル内に炎が上がる。
ヒロユキ「うぅおおぉぉ──っっ!!」
炎に包まれる中、ヒロユキの胸が光り、その中から金色に輝くキーホルダーが出現する。
謎の声「お前の覚悟、受け取ったぁ!!」
霧崎「良き旅の終わり。そして── 始まり」
あの謎の声が、キーホルダーから響く。
謎の声「ヒロユキ! 怪獣の親子を、故郷に帰すぞ!」
ヒロユキ「誰だか知らないけど、力を貸してくれるのか?」
謎の声「あぁ!」
ヒロユキの右腕に、ウルトラマンタロウを模したブレスレット・タロウレットが現れ、それが変身アイテム・タイガスパークに変化する。
謎の声「俺はお前で、お前は俺だ! その手で俺を掴むんだ!」
ヒロユキ「わかった!」
音声『カモン!』
ヒロユキ「光の勇者、タイガ!」
ヒロユキがキーホルダーを手にする。
謎の声「叫べ、ヒロユキ! 『バディゴー』!」
ヒロユキ「バディ──・ゴーッ!!」
音声『ウルトラマンタイガ!!』
ヒロユキがウルトラマンタイガに巨大変身する。
タイガがその手に守っていたベビーザンドリアスを、倒れているザンドリアスのもとに返し、自らはヘルベロスに立ち向かう。
カナ「あれは……?」
河津「ウルトラマンタイガ! 銀河に平和をもたらす、光の巨人!」
カナ「ウルトラマン……」
ホマレ「タイガ!」
ピリカ「格好いいじゃん!」
河津「まさか…… この地球に来ていたとは!」
ヘルベロスが無数のエネルギー波を放つ。
タイガ「スワローバレット!!」
タイガが光線を連射し、そのエネルギー波を撃ち落とす。
タイガとヘルベロス、巨体同士の戦いが続く。
タイガの胸のカラータイマーが点滅を始める。
カナ「あれは…… 何かの警告?」
河津「ウルトラマンは、地球上では3分間しか活動できない」
タイガ「ストリウムブラスタ──っ!!」
タイガの必殺光線がヘルベロスに直撃する。
しかし、致命傷には至らない。
タイガ「ヒロユキ、オーブレットを使うんだ!」
ヒロユキ「わかった!」
『カモン!』『オーブレット・コネクト・オン!』
ウルトラマンオーブに託されたブレスレット・オーブレットが、ヒロユキの左腕に現れる。
タイガ「スプリームブラスタ──っ!!」
オーブの力を得たタイガの必殺光線が、ヘルベロスに炸裂──!!
ヘルベロスが大爆発し、最期を遂げる。
爆炎の中から光が飛び出して、タイガの中に入り込む。
内部のヒロユキのもとには、ヘルベロスを模した指輪が現れる。
ヒロユキ「これは?」
タイガ「ウルトラマンの力を感じる……?」
霧崎が怪しげに、ほほ笑んでいる。
地面に伸びた彼の影が、異形のシルエットを形作っている──
ホマレ「ウルトラマンタイガ……!」
カナ「我が社のイメージキャラクターにしたいわねぇ~!」
ピリカ「それ、いいかも! ……あれ、河津さんは?」
河津は、いつの間にかいない。
カナ「無事に乗れたかなぁ~?」
ピリカ「え?」
ホマレ「……社長は知ってたんですよね?」
カナ「えっ?」
ホマレ「荷物の中身とか、諸々」
カナ「どうかしらねぇ? でもこの街では、色々と起こるもんよ」
変身を解いたヒロユキが、ビル内に降り立つ。
タイガ「どうだ、俺の力は!」
ヒロユキ「僕が…… 君になったのか?」
タイガ「やっぱ地球は、俺がいなきゃ駄目だなぁ」
ヒロユキ「あのさぁ、誰だか知らないけど、君、少し偉そうだよね」
タイガ「はぁ? 誰が偉そうだって?」
ヒロユキのそばに、光に包まれたタイガの姿が見える。
ヒロユキ「わ、わぁっ!?」
タイガ「何、驚いてんだよ? さっきまでお前がこの姿だったんだろう?」
ヒロユキ「へぇ…… そうなんだ」
空から光が降り注ぐ。
タイガ「おっ、どうやら間に合ったみたいだな」
ザンドリアスが、胸にベビーザンドリアスを携え、空へ昇ってゆく。
タイガ「俺たちが救った命だ!」
ヒロユキ「そっか…… 僕たちが」
タイガ「おぉ──い!! 元気でなぁ!!」
タイガが大きく手を振る。
ベビーザンドリアスが愛らしい声を上げ、母のザンドリアスも礼を述べるように、大きく吠える。
ヒロユキも大きく手を振り、ザンドリアスたちの帰還を見送る。
ヒロユキ「元気でなぁぁ──!!」
最終更新:2020年04月03日 22:27