ウルトラマンZの第24話

寄生生物セレブロの暗躍により、ハルキたち対怪獣ロボット部隊ストレイジは解散を強いられる。
新たに結成された第一特殊空挺機甲群のもと、ヨウコは特空4号機ウルトロイドゼロで初出撃するが、最終兵器D4レイの反動に耐えきれず、ウルトロイドゼロは機能停止に陥る。
ストレイジ隊長ヘビクラショウタは、ジャグラスジャグラーとしての正体を現し、ウルトロイドゼロを奪いにかかる。

そこへ怪獣ファイブキングが出現し、攻撃を加える。

ジャグラー「そう簡単にはいかねぇか」
ライザー『Zeppandon !

ジャグラーがダークゼットライザーで、怪獣ゼッパンドンに変身し、ファイブキングに立ち向かう。



滅亡への遊戯



ファイブキングを操るのは、セレブロに寄生されたクリヤマ長官。

ヘビクラ「セレブロ、今はそいつの中にいるのか?」
クリヤマ(セレブロ)「ようやくお前の目的が分かったぞ、ジャグラスジャグラー! 俺が人類に造らせた最終兵器を、横取りするつもりだったのかぁ!」

ウルトラマンゼットも、戦いに加わる。

ヘビクラ「よぉ、ハルキ。手伝ってくれるのか?」
ハルキ「その怪獣もあんただったのか、隊長! 一体、何が目的なんスか!?」
ヘビクラ「昔、大きな木を切ったことがあってな*1
ハルキ「はぁ?」
ヘビクラ「戦争を止めるため。自分の正義を貫くためだった。だが、すべてを否定されたんだ。だから、その玩具が要るんだ。自分の正義が絶対だと思ってる連中に、その正義の危うさを味わわせるために」

ゼッパンドンがファイブキングに向ってゆく。

ゼット「話は終わってないぞ!」

ゼットがゼッパンドンとファイブキングに戦いに割り込み、三つ巴の乱戦となる。
ファイブキングの猛攻がゼットを追いつめ、さらにゼットのカラータイマーが点滅を始める。

ゼット「ハルキ、これ以上の戦闘は無理だ!」
ハルキ「でも!!」

ついにゼットは、光の粒子と化して消滅してしまう。
だがファイブキングもまた、ゼッパンドンの攻撃に胴を貫かれ、倒れる。

ヘビクラ「隙だらけだぜ」

ゼッパンドンが、ウルトロイドゼロを奪おうとする。

クリヤマ「選択肢は2つだぁ!」

倒れたと思われたファイブキングが、地上に倒れているハルキに、攻撃の狙いを定めている。

クリヤマ「そいつを奪って目的を達成か、それともこの小僧の命を助けるか!?」
ヘビクラ「フン、決まってるだろ」

ゼッパンドンは迷わずに、ウルトロイドゼロに向おうとする。
ファイブキングの攻撃が、今や放たれる寸前。

ヘビクラ「はぁ……」

ヘビクラがやむなくファイブキングの方へ向き直り、必殺の火炎弾を放つ。
両者の攻撃が至近距離で直撃し合い、巨大な爆炎が上がる。

ゼッパンドンの変身が解け、ヘビクラが地上に倒れる。
傍らでは、変身アイテムのダークゼットライザーが、煙を吹いて転がっている。

ヘビクラ「また、やっちまった……」

クリヤマは、ふらつきながらも、ハルキのもとからウルトラマンベリアルのメダルを奪う。

ハルキ「長官……?」
クリヤマ「これは、返してもらうぞ!」


ハルキが気づくと、そこは医務室のベッドの上。
ユカとイナバが付き添っている。

ハルキ「ここは……?」
ユカ「ちょっと、起きないで!」
イナバ「ハルキ……」
ユカ「なんで警備員が最前線で倒れてんの? とにかく、ここでしばらく治療に専念しないと」
ハルキ「ヨウコ先輩は!?」
ユカ「幸い軽傷で、もう退院した。うちらと違って、最新兵器のパイロット殿は忙しいんだよ」
イナバ「D4レイの発射時に、エネルギーの逆流が発生したらしくて、それで改良が済んで、今度テストがあるらしいんだよ」
ユカ「えぇっ!? もう~、起動させたら大変なことになるって言ってるのに~っ! いいですか? 地球は1個の大きな生命体なんです! ウルトロイドゼロは明らかにオーバーテクノロジーで、地球そのものを破壊する可能性がある! だから地球はその存在を拒絶してるんです! 怪獣たちだってきっと、その地球の意志に従って動いてるんです!」
イナバ「それ、俺に言われてもなぁ……」
ユカ「だって~! 長官に何回言っても、聞いてくれないんですよぉ!」
ハルキ「長官は今どこに?」
ユカ「えっと…… ヨウコと一緒にウルトロイドゼロのテストじゃない?」
ハルキ「先輩が危ない…… すぐにいかなくちゃ!」

ハルキが飛び起きようとして、傷の痛みに顔をしかめる。

ユカ「ちょ、ちょっと!? そんな体じゃ無理だって!」
ハルキ「でも俺、見たんです! 長官の目が、あいつと同じように赤く光ってて!」
ユカ「何の話!?」
ハルキ「だから、あいつの目と……」
イナバ「……ハルキ!」
ハルキ「……」
イナバ「ちょっと、ドライブ行かないか?」


地球防衛軍日本支部では、クリヤマが作戦部長のユウキ マイに、ヘビクラがジャグラーに変身する様子の録画を見せている。

ユウキ「これは!?」
クリヤマ「前ストレイジ隊長ヘビクラショウタは、宇宙人だった── しかも、ウルトロイドゼロの強奪を画策していたんだよ」
ユウキ「ということは、元ストレイジのメンバーも?」
クリヤマ「あぁ。彼らも宇宙人が成り代わっているかもしれない。もし、妙な行動をとるようなら、彼らに対し、武器の使用をも許可する」
ユウキ「……わかりました!」


ヨウコは格納庫で、ウルトロイドゼロのもとに待機している。
クリヤマがやって来る。

クリヤマ「ここにいたのか── 捜したよ」
ヨウコ「長官!」
クリヤマ「いよいよだ── これまでいろいろな星で楽しんできたが、この瞬間はいつも興奮するよ」
ヨウコ「……?」
クリヤマ「最高の景色だぞ。自分たちで造り上げた兵器で滅んでいく、愚かな者たちの阿鼻叫喚は──!」
ヨウコ「な、何を言ってるんですか?」
クリヤマ「文明をもつ星に恐怖を植え付け、防衛のために次々と兵器を造らせる。そして最後は、自らが造った最終兵器で、文明そのものを滅亡させる! それを私はこう呼んでいる── 文明自滅ゲーム! ハハハハハ!!」
ヨウコ「あの……!?」

クリヤマの体からセレブロが飛び出し、ヨウコに取りつく。

ヨウコ「グ、グ、グゥッ!! ウ……」

ヨウコが苦悶の末、完全にセレブロに規制され、奇怪な形相となる。
クリヤマのもとからベリアルのメダルを奪い、ウルトロイドゼロのコクピットに放り込む。

ヨウコ(セレブロ)「キエテ カレカレータ(いい気分だ)


地球防衛軍日本支部内に衝撃が走り、警報音が鳴り響く。

「ウルトロイドゼロが、出撃しました!」

ヨウコの乗ったウルトロイドゼロが、格納庫の壁面を強引によじ登る。

ユウキ「ナカシマ隊員、何をしてるの!?」
ヨウコ「キエテカレカレータ」
ユウキ「答えなさい!!」

ウルトロイドゼロが格納庫を突き破って、空へ経飛び立つ。
狂気の形相のヨウコが、コクピットで通信ケーブルを引きちぎる。

ヨウコ「さぁ、最終ステージだ」


ハルキはイナバの運転するストレイジ専用車ステッグで、街を行く。
ユカからの通信が入る。

ハルキ「こちらハルキ」
ユカ「ウルトロイドゼロが無許可で出撃して、各地の怪獣管理区域を襲ってる!」
ハルキ「えっ!? ヨウコ先輩はどうなってるんです?」
ユカ「コクピットに乗ってるはずなんだけど、応答なし、こちらからの停止信号も受けつけない!」

ウルトロイドゼロが北海道の管理区域を襲撃し、怪獣を吸収している。

「こちら室別第36怪獣警戒隊! 休眠中のクレッセントが、ウルトロイドゼロに吸収されています!」

ユカ「ウルトロイドゼロは世界中を飛び回って、次々と休眠中に怪獣を吸収してる。クレッセント、ダンカン、アーストロン、バードン、サタンビートル、マジャバ! ハルキ、今度はウルトロイドゼロが深間市に向ってる! おそらく、標的はレッドキング……」
ハルキ「パコさん、止めてください! 俺、行きます!」
イナバ「行くって、お前……!?」

ハルキは無言で、真剣にイナバを見据える。

イナバ「そうか…… フフッ、行って来い!!」
ハルキ「……押忍(オス)!!」


深間市の採石場で、ウルトロイドゼロがレッドキングを襲撃する。
雌のレッドキングが、自身を盾にして、自らの卵を必死に守っている。
しかしレッドキングは黒い粒子と化して、跡形もなくウルトロイドゼロに吸収されてしまう。

さらにウルトロイドゼロが、卵をめがけて手刀を突き立てようとする。

ハルキ「やめろぉぉ!!」

ウルトラマンゼット・アルファエッジが飛来し、ウルトロイドゼロに一撃を見舞う。

ヨウコ「ハハハ! 来たか、ウルトラマンゼット。お前には感謝してるぞ。私のゲームの駒として、十分に働いてくれた! おかげで馬鹿な地球人に、こんなにも素晴しい兵器を造らせることができたぁ!!」

ヨウコが、手にした怪獣メダルを周囲にばらまく。
ウルトロイドゼロの装甲を突き破り、内部から怪獣の肉体が次々に飛び出す。

ヨウコ「さぁ、このゲームのラストを飾るラスボスを紹介しよう。死と破壊の王、デストルドスだああぁぁ──!!」

ウルトロイドゼロは、機械のボディと無数の怪獣が融合した奇怪な姿、殲滅機甲獣デストルドスと化す。

ユカ「死と破壊の王、デストルドス……」

ゼット「なんだか知らないが、ウルトラヤバイことになっちまったみたいだな。あいつを倒すぞ、ハルキ!」
ハルキ「でも、あの中にはヨウコ先輩が!」
ゼット「何だって!?」

ウルトラマンゼットが必死に、デストルドスからレッドキングの卵を守る、


地球防衛軍日本支部では、ユカがコンピューターを相手に奮闘している。

ユカ「もう、コクピットがどこに行ったのかもわからない…… ヨウコ、どこ!?」

武装した隊員たちが、ユカを取り囲む。

隊員「元ストレイジのオオタユカさんですね?」
ユカ「……何の用?」
隊員「長官が何者かに襲われ、搬送されたことは知っていますね? あなたに容疑がかけられています。ご同行願えますか」
ユカ「クリヤマ長官が? はぁ…… 私たち、もう罠にはめられちゃったみたいだね」

突如、何者かが隊員たちを当身し、ユカの窮地を救う。


ゼットはレッドキングの卵を安全な場所に置き、デストルドスに立ち向かう。
ウルトロイドゼロに加えて無数の怪獣たちの融合したデストルドスのパワーが、ゼットに炸裂する。

ゼット「うぅっ、なんてパワーだ!」
ハルキ「ベータスマッシュで行きましょう! 真っ赤に燃える勇気の力!」
ライザー『Ultraman Z, Beta Smash !

ゼットは、ウルトラマンジャックエースタロウの力を得た形態、ベータスマッシュに変身し、パワー殺法でデストルドスに立ち向かう。
しかしベータスマッシュの怪力でもなお、デストルドスには敵わない。

ゼット「ヤバい! ガンマフューチャーだ!」
ハルキ「押忍! 変幻自在、神秘の光!」
ライザー『Ultraman Z, Gamma Future !

ゼットが、ティガダイナガイアのメダルによるガンマフューチャーに変身し、超能力攻撃を繰り出す。

ゼット「ガンマイリュージョン!」

しかしガンマフューチャーの攻撃もデストルドスには通用しない。
逆にゼットはデストルドスの攻撃をまともに食らい、痛烈に岩盤に叩きつけられる。

ヨウコ「お前たちが造った最強の必殺兵器を、食らうがいい──!!」
ゼット「まずい、これは!?」
ヨウコ「D4レイ── 発射」
ゼット「ゼスティウム光線!!」

デストルドスが最終兵器、D4レイを発射する
ゼットもゼスティウム光線を放ち、両者の光線が空中で激突する。

D4レイの強力な光線が、ゼットの光線を押し戻し、ゼットを直撃──!!


どこかの空間。
倒れているハルキに、ゼットが語りかける。

ゼット「ハルキ…… ハルキ……」
ハルキ「ゼットさん……」
ゼット「俺たち2人のコンビも、どうやらここまでみたいだ」
ハルキ「どういうことっスか」
ゼット「さっきの攻撃で、俺たちの体はかなりのダメージを受けた。これ以上変身しようとしたら、たぶん、地球人のお前の体はもたないだろう。色々と、巻き込んじまってすまなかったな。あ、地球では、こういうとき何ていうんだ? えっと…… ウルトラ淋しい気持ちでいっぱいでございま──」

ゼットの姿と声が消えてゆく。

ハルキ「ちょっと、どこ行くんすか? 待ってくださいよ、ゼットさん! ゼットさ──ん!!」


ハルキが気づくと、そこにはヘビクラがいる。

ヘビクラ「おぅ、起きたか」
ハルキ「隊長…… あんたは!?」

ユカやイナバ、ストレイジの皆も現れる。

ハルキ「みんな?」
ユカ「デストルドスは、ゼットを倒した後、世界中の主要都市を破壊してる。各国の防衛軍が一大犯行作戦に打って出てるけど、次々に壊滅」
ハルキ「えっ…… それで、どうする気っスか」
ヘビクラ「決まってんだろ」

ヘビクラがハルキに、ストレイジの隊員服を投げ渡す。

ヘビクラ「俺たちの基地を取り戻しに行くぞ」


※この続きは『ウルトラマンZの最終回』をご覧ください

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最終更新:2020年12月31日 21:14

*1ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA』で、ジャグラーは王立惑星カノンの聖なる木「命の木」を、争いの源と見なして切り落としたが、そのためにガイたちとの亀裂を生む一因になった。