少年、鳴海歩の元に電話がかかった。
歩「はい、鳴海です」
?「歩か?」
推理せよ 真実のために
歩「ああ兄貴」
?「『ブレード・チルドレン』の謎を追う・・・」
歩「は?」
?「まどかにも伝えてくれ」
そう言うなり、電話は切られた。
推理せよ 大切な人を守るために
歩「え・・・何・・・・兄貴・・・?」
推理せよ―――
―――兄を越えるために!
歩「・・・・・やべ・・・・寝すぎた・・・・」
そんな夢を見ていたのは、屋上で雑誌を見ながら寝ていた少年、
私立月臣学園1年となった歩だった。
歩(「あの日」の夢を見た)
(・・・・そうか。そういや今日だったな)
(2年前、兄貴が失踪した「あの日」・・・・・・)
?「きゃあああ!!」
歩「あ―――・・・?」
歩が悲鳴の聞こえた方へ向かう。
歩「・・・・んだァ?さわがしい」
「・・・・・!?フェンスがねぇ!!!」
「・・・・・?」
歩が下をのぞき込んで見ると、地面には1人の女子生徒の死体とフェンスがあった。
死体の周りには人が集まっていて、その中の1人が歩を見上げて、叫んだ。
女子「あんたね!」
歩「へ?」
女子「あんたが突き落としたのね!!」
歩「・・・あ?ああ~~~~?」
その後、警察がその現場に来た。
警官「ご苦労様です!」
和田矢「うわあ~カワイイ娘だな~~~♡」
落ちた生徒手帳の写真を見ていた、巡査・和田矢末丸の頭にひじ打ちが叩き込まれた。
和田矢「う~~~」
まどか「月臣学園2年F組、宗宮可菜。非常階段6F踊り場より落下・・・」
「・・・まいったわね・・・」
和田矢のひじ打ちを叩き込んだ、警部補・鳴海まどかが和田矢から取った生徒手帳を見る。
和田矢「けっけけ、警部補!!」
まどか「あら?」
生徒手帳には、他の人達と写ってる可菜の写真もあった。
まどか(写真・・・)
まどか「ふぅん・・・・あっこれ頼むわ」
まどかが警官に生徒手帳を渡した。
警官「ハイ」
和田矢「上からの落下・・・かぁ。自殺、事故、他殺。よりどりみどりですねえ」
「どれだか晩飯賭けませんか?」
そう言う和田矢の腹にまどかはパンチを叩き込んだ。
和田矢「あ・・・あうぅ」
まどか「和田矢、現場を見なさい」
「自殺・事故・他殺、その中で最も可能性が低いのは?」
和田矢「え?え~~~と・・・事故?」
まどか「根拠は?」
和田矢「だってつまんない事故にしちゃ捜査がものものしい・・・」
そう言う和田矢の顔面をまどかは殴った。
まどか「答えは自殺。これを見なさい」
まどかが割れた眼鏡を拾った。
和田矢「?」
まどか「自殺者は大抵死ぬ前に容姿を気にするものよ」
「特に女性なら化粧もヘアスタイルも服装もきちんと決めてからという傾向が強い。眼鏡も外してるケースが圧倒的に多いわ」
「年頃の女性が、こんなダサイ眼鏡かけて自殺をするかしら?」
和田矢「でっ、でも、被害者はメガネ美人でいつもかけていたかもしれないかもしれないですか?」
まどか「生徒手帳の写真ちゃんと見た?」
生徒手帳の写真の可菜は、眼鏡をかけていなかった。
まどか「刑事を続けたかったらもっと観察力を養いなさい」
女子「あんたがカナを突き落としたんでしょ!!」
まどか達の近くで、あの女子が歩に詰め寄っていた。
女子「カナが落ちたあと、あの踊り場に顔を出したの、私この目でちゃんと見たのよ!!」
歩「・・・ギャーギャーうるせえ女だな。ただの事故だろ?」
女子「ただの事故!?ふざけんじゃないわよ!」
歩「ふざけてんのはそっちだろ。俺はたまたまあそこにいただけだ」
女子「たまたま!?そんな言い訳通用するとでも・・・、!」
まどかが女子の前に出てきた。
まどか「それぞれの言い分はわかりました。詳細は個別に―――・・・」
まどかと歩が互いに気付いて、黙ってしまった。
和田矢「どうしました?警部補?」
その後、生徒指導室で聞き取りが行われた。
和田矢「目撃者、野原瑞枝さんの話によりますと・・・」
瑞枝「私が友達の辻井君とちょうと話をしていた時でした・・・」
?「きゃあああああ!!!」
瑞恵(当時)「!!!」
瑞恵「突然すごい悲鳴が聞こえてきたんです」
「「何があったんだろう」ってふりむくと人が落ちていくのが見えて・・・ちょっと離れてたけどすぐにカナだってことがわかりました」
瑞恵(当時)「カナッ・・・」
瑞恵「現場に私達がかけつけた時、6階非常口の踊り場にちょうどあの男が顔を出したんです!」
歩「ああ~~~・・・」
和田矢「・・・・というころでしたが、なぜ君は放課後あそこにいたんですか?生徒は滅多に行かない場所だそうですが・・・」
歩「屋上が静かでずっと寝てたんですよ。で、そろそろ帰ろうと思って降りてきたら非常階段の方が騒がしかったもんで」
「ちょーっと見てみたくなっただけですよ。文句あります?」
和田矢(かわいくない)
「非常口のほうから誰も不幸な人物は逃げてこなかったんですね?」
歩「誰もいませんでしたよ」
和田矢「ほう誰も・・・」
歩「おいおっさん」
和田矢「おっ、おっさんとはなんだ!!僕は、僕はまだ・・・」
歩「もしかして刑事サン俺を疑ってんの?どーせさあ、友達とやらが感情的になってるだけで、結局事故か自殺でおさまるんだろう?」
「フェンスももともと壊れたっていうし」
まどか「用務員の話によると、確かに以前からフェンスのボルトの接合が甘くなってたらしいわ」
「でも相当強い力で押さないと外れなかったことが確認されてるし、ボルトも金網もかなりの負荷がかかって曲がった状態だった」
「狭い踊り場で足をすべらせて寄りかかったぐらいじゃ、絶対そうはならないのよ」
「つまり事故はありえない」
歩「・・・自殺は?」
まどか「遺書はないし否定する材料がいくつかあるわね。今のところ、宗宮可菜さんは踊り場からフェンスごと突き落とされたとしか考えられないの」
歩「・・・・・・」
和田矢「フッフッフ」
歩「あ?どーしたおっさん」
和田矢「おっさん言うな!!!」
歩「うおっ」
和田矢「いいか!6階以外の非常口は最近使った形跡がなく、階段を駆け下りて逃げる者も目撃されてない!」
「さらに!お前自身が6階非常口から誰も逃げてこなかったと認めたぞ!」
「その上おまえは僕を「おっさん」呼ばわりした!!」
歩「なんの関係があるんだよ」
和田矢「す・な・わ・ちっ」
「お前以外に被害者を突き落とすことは不可能だ!!!観念しろ悪党!!!」
歩「ほーう」
歩が拳を鳴らし―――――
和田矢の額に絆創膏が貼られた。
和田矢「・・・・・」
まどか「恥ずかしいセリフを大声で言わない!」
和田矢「だってこいつ以外に考えられないですか・・・・」
歩「・・・・・」
和田矢「それに犯人がわかればうまくいくと「あの事件の」、あぐっ」
まどかが和田矢の顎を引っ張って、言葉を止める。
まどか「自分の置かれた立場、分かった?」
歩「あーあー、めんどくせーことになったのはしっかりわかったぜ」
まどか「・・・まあ今日のところはもういいわ」
和田矢「えっ!?」
まどか「帰って夕食の準備なさい」
和田矢が歩を締め上げた。
和田矢「警部補!?何甘いこと言ってんですかぁ!こんな奴署に連行してぎゆうと絞り上げれば-」
歩「・・・てめっ、何しやがる!!」
まどか「和田矢」
和田矢「?」
まどか「和田矢、私の名前を言ってみなさい」
和田矢「へ?」
「え・・・えーと鳴海まどかさんでしたよねぇ」
歩「むさ苦しい」
まどか「じゃあこの容疑者の名前は?」
和田矢「え?」
和田矢が歩の生徒手帳を見る。
まどか「おぼえてなさいよ」
和田矢「鳴海歩。・・・・鳴海?あれ?」
まどか「「あれ?」じゃないでしょう。観察力が足りないわよ」
和田矢「・・・あのー、つまりこいつ・・いえ、こちらの方は・・・」
歩(バーカ)
まどか「私の弟よ」
歩「・・・・・・」
夜。歩とまどかの暮らすマンションの一室。
まどか「なっ、なによコレ!!」
歩「カレーだ。見てわかんねえのか?」
まどか「そーゆーことを言ってんじゃないのよ!!あんた今夜は地中海風ブイヤベースに山菜リゾットって言ってたじゃないのぉ!!!サフランの香りは?わらびの食感は!?」
歩「どわ!?~~~~っせーなぁ」
「悪党呼ばわりされた日にそんな手間のかかるもん作ってられるか」
まどか「あっ。しかもレトルトぉ!!いや――――っ!!」
歩(チッ、めざといな)
歩「文句があるなら自分で作れよ」
まどか「う・・・私が不器用なの知ってるでしょ!」
歩「・・・ねーさん、職場じゃ気取ってんのな」
まどか「なによ。気取って無愛想なお姉さんが家にいたらうっとーしいでしょ」
歩「わがままで感情にムラがあるお姉さんもうっとーしいんでねぇ?」
まどかが歩の足を蹴った。
歩「だっ!?」
「・・・・・・!」
まどか「あんた。本当にやばいわよ」
歩「・・・・・・・」
「本当に俺以外に突き落とせた奴はいないんだな」
まどか「あんたの証言がダメ押しね。自殺は望み薄だし、フェンスの状態から突き落とされたのも確実。動機が見つかれば逮捕状がでるわ」
歩「・・・こりゃまたたいそーなこって」
まどか「ふざけてる場合じゃないわよ。いざとなったらかばわないから」
歩「別にかばってもらおうとか思っちゃいねーよ」
まどか「あっそ。かわいくないわね」
歩「・・・・なあ。あのマヌケそうな刑事が言いかけた「あの事件」ってなんなんだ?宗宮可菜が殺されたのとか何か関係ありなんだろ?」
まどか「・・・・・・」
「さあ・・・それはどうかしら?」
まどかはにっこりと笑った。
歩(は―――――そーきたか。ま、俺は俺でやらせてもらうか)
「・・・一つ言っとく。野原は要注意だぜ?」
まどか「え?野原瑞恵さん?」
歩「俺、上で見たんだよな。あの女皆の注意が俺に向いてた隙に、現場で何か拾ってポケットに突っ込んでやがった」
「ものはわからねえが、見つかると困るもんに違いない」
まどか「彼女が真犯人だっていうの?50メートルも離れたところで墜落現場を目撃してた彼女が?突き落とすには長い手が必要ね。みょい~~~んとした」
歩「だけど」
「特別なトリックでも使わなきゃ、俺以外に犯人はいない・・・・そうだろ?」
そういう歩の後ろに、まどかはある男の面影を見た。
まどか「・・・・あ。素人は口を出すもんじゃないわ!」
歩「さーてと皿でも洗うかな」
まどか「ちょ・・・っ」
歩「あーおととい作ったプリンがあまってら。食う?」
まどか「は・・話そらすんじゃないわわよ!食べたいけどっ」
結局プリンは食べられた。
歩(よく言うぜ)
翌日、放課後―――・・・
歩は音楽室でピアノの前にいた。
歩(――――兄貴にできないことは何もなかった。勉強も運動も・・・)
(ピアノでさえも)
歩はピアノを弾き出した。
歩(いつもああなりかった)
(10代であっさり世界的ピアニストになり)
(20代で刑事となって「名探偵」と呼ばれた兄のように)
(俺は・・・兄貴を憎んでいるのかもしれない――――――・・・)
歩は物音を聞き、ピアノから立ち上がった。
歩「!?」
?「あれー。やめちゃうんですかピアノ。せっかくだから最後まで聴きたいですぅ」
歩「・・・あ」
「あんた誰?」
そこにいたのは一人の女子、2年の結崎ひよのだった。
ひよの「あ、申し遅れまして♡私、新聞部部長の結崎ひよのですぅ」
歩「・・・・・あァ?新聞部?」
ひよのは歩にマイクを突き出した。
ひよの「きゃっ」
「つきましてわぁ!人を殺した心境などお聞かせ頂けると嬉しいんですけどぉ」
「・・・・・・・・あのー、聞いてます?」
歩「・・・・俺はやってない」
ひよの「はあ?」
歩「お・れ・は・やっ・て・ね・え」
ひよの「!」
歩「――――ったく」
ひよの「えーでも、学校中1年の鳴海がやったって噂ですよぉ」
歩「あ?なんでそんなに噂が早いんだよ!!事件は昨日の夕方だぞ!!」
ひよの「それは積極的に噂を流している人がいるからです」
歩「野原瑞恵か」
ひよの「宗宮さんの親友だったそうですからねぇ。憎しみもひとおしなんですよ、きっと」
「ってあれ?鳴海さん?」
歩は音楽室から出た。
男子「あいつが・・・」
女子たち「えっえっ?」
「やだこわーい」
ひよの「鳴海さーん」
歩「・・・・おい」
歩の横にひよのが付いてきていた。
ひよの「はいっ♡なんでしょう鳴海さん」
歩「・・・名前を連呼するな」
歩は柱に頭をぶつけた。
ひよの「あらごめんなさい鳴海さん」
歩「・・・・あんたなんでついてくるワケ?」
ひよの「鳴海さんが殺人者でないとおっしゃるのなら、それが真実であるか鳴海さんの同行をさぐらなくてはいけません。真実を伝えるのが私のモットーです」
歩「なん」
ひよの「ダメっていっても無駄ですよぉ―――勝手についていきますから」
歩「・・・・・」
ひよの「ところで鳴海さんどこへ行くおつもりで?」
歩「決まってんじゃねえか」
「野原瑞恵に文句を言いにいくんだよ」
弓道部。
一人の男子が放った矢が的の真ん中を射抜き、瑞恵がそれを見ていた。
瑞恵「お見事!」
ひよの「鳴海さん意外とまぬけですねぇ」
「クラスも放課後学校に残ってるかもわからない人に会いに行こうとしてたとは」
歩「うるせえ。だいたいあんたなんであいつが弓道場にいること知ってんだよ」
瑞恵「!」
ひよの「新聞部にわからないコトはないんです♡」
歩「・・・あんたさー。もしかしてウワサの「情報通」?高等部にそんなやつがいるってきいたことあるぞ。学長さえ脅えるとかなんとか・・・」
ひよの「失礼ですね!私利私欲に利用したことはありませんよ!」
歩「・・・・」
ひよの「これすべて、知的好奇心のため♡きゃっ♡」
歩「カメラ目線!?」
瑞恵「ちょっとあんた!!!」
歩「・・・主役のおでましだ」
瑞恵「殺人犯・・・こんな所になんの用?」
歩「・・・別に。ちょっとアイサツにな」
男子「瑞恵」
瑞恵「勝」
先程弓を引いていた男子が瑞恵の側に来た。
それを見てひよのが歩に耳打ちした。
ひよの(鳴海さんあの人ですよ、野原さんの彼氏)
(弓道部主将3年の笹部勝先輩です。全国大会で優勝するほどの腕だそうです)
勝「おいおまえ」
勝が歩の胸ぐらを掴んだ。
勝「瑞恵に近づくな。人殺しめ」
歩「・・・・・・」
ひよの「鳴海さ――――――ん、言い忘れてましたけど―――――・・・」
「その人ケンカめっちゃ強いですよぉ」
歩「ナヌ?」
(そーゆーことは早く言え)
歩「笹部センパイ、犯人は俺じゃないですよ」
歩は勝の手を振り払った。
歩「野原サン」
瑞恵「な・・・なによ。なんか文句あ」
歩「俺が言いたいのがこれだけだ」
「あんたのトリックは俺が解く!!」
「・・・ハメた相手が悪かったな」
勝「瑞恵・・・?」
瑞恵が拳を震わせていた。
歩「だいたいおかしいんだ。あいつはろくに情報もない段階で事件を殺人と断定してやがった。事故の可能性もあるのに・・・だ」
ひよの「はは~・・・それで野原さんが犯人だと・・・でも野原さんはあのあたりに立っていて、墜落の現場を目撃してる人ですよ?」
歩「・・・・フン。彼女が目撃者ってのが作為的なんだよ」
ひよの「あら、そんなこと言ったら辻井磯夫さんのことはどうなんです?」
歩「・・・誰それ」
ひよの「目撃者の一人ですよ。野原さんと一緒にいた人」
歩「そんなに重要な奴なのか?」
ひよの「宗宮さんの片想いの人ですよ。え―――――とぉ」
「辻井さんは野原さんのバイト仲間で、どうやら野原さんは宗宮さんと彼をくっつけようとしていたそうです。二人を顔見知りくらいにはしたみたいですね」
「でも宗宮さんの方が告白するのしないのうじうじして、結局昨日死んじゃいました」
「以上女の子のヒミツです♪」
歩「・・・あんた遠くで針の落ちる音が聞こえてんじゃんねぇか?」
ひよの「何言ってるんですか。恋愛の話なんて同性間で筒抜けですよぉ」
「まあでも」
「私は男子のも把握してますけどね。確か鳴海さんは以前寝言で女性の名を――――」
歩「うあ!?」
歩はひよのの口を塞いだ。
歩「あんたの情報通はわかったから。余計なことを言うんじゃねえ。ったくなんて奴だよ」
ひよの「あの鳴海さん」
「動機はどうするんですか?私にも心当たりないですよ」
歩「口封じ・・・じゃないかと俺は踏んでる」
ひよの「口封じ・・・?」
歩「宗宮はある事件に関わってたらしいからな」
ひよの「ふーん、話がおっきくなりましたねぇ」
歩(それにしても「ある事件」か・・・・宗宮が関わってたことは確かなんだが・・・でもねーさんの様子だと俺に知られたくないって感じだったな・・・)
(ひょっとして、兄貴がらみの――――・・・???)
歩とひよのは、事件現場に着いた。
歩「野原と辻井とやらがいたのはこの辺りか・・・踊り場は見にくいな」
ひよの「この場所からだと、あの踊り場に誰かいてもたぶん気がつきませんよ」
歩「・・・・・・」
ひよの「?」
「ね、鳴海さん。事件のあった日、6限目の授業のあと宗宮さんが職員室に呼びだされたの覚えてます?」
歩「え?」
放送「2年F組宗宮可菜さん、至急職員室まで来てください」
ひよの「掃除当番だった宗宮さんは手を止めて職員室に行ったんですけどね」
「不思議なことに誰も用がありません」
「呼び出しを放送した生徒はそうするようメモがあったからやったそうなんですが・・・」
「宗宮さんは首をかしげて教室に戻り掃除にかかったそうです」
歩「・・・・・・」
「・・・・どっから・・・そんな情報・・・」
ひよの「地道な聞き込みですよ。お役に立ちます?」
歩「・・・・・・」
歩(それにしても今の話・・・そしてあの女がポケットにかくしたもの・・・あと何か・・・)
ひよの「あのー鳴海さん」
「私、小腹がすいてしまいました。カフェテリアで何か食べません?おごりますよ」
歩「あァ?ざけんな、一人で勝手に行きゃいーだろ」
ひよの「え――――つれないですね、鳴海さん。いいじゃないですか」
ひよの「ねえ鳴海さん、鳴海さんてば-」
歩「うるせえ」
(またこのパターンかよ)
ひよの「♪わぁい」
歩(・・・で、どーして俺は今カフェテリアに向かってるんだ?)
そんな事を考える歩の横で、1人の女子が上の踊り場のいる女子に声をかけていた。
女子「ゆうー!」
歩「・・・・・・」
(!!)
歩「・・・なるほどな」
ひよの「!」
歩「これが真実の旋律か・・・」
(続く)
最終更新:2021年05月08日 19:32