今日のトランスフォーマーは
サイバトロン・エアーボット部隊の指揮官シルバーボルト、副官スリング、スカイダイブ、ファイヤーボルト、エアーライダーが、デストロン・ジェットロン部隊のスタースクリーム、サンダークラッカー、スカイワープを、空から追跡している。
シルバーボルト「エアーボット諸君、デストロンに捕まった人間たちを助けるんだ」
スリング「人間たちも、もう少し用心してほしいね」
シルバーボルト「まぁ、そう言うなよ。とにかく、捕まったのはこの地球の指導者ばかりだ」
スカイダイブ「ということは、彼らの身に万一のことがあれば、地球は大混乱だ」
スカイワープ「おい、エアーボットの奴らが跡を追って来るぜ」
スタースクリーム「よし、迎撃態勢を取れ!」
スカイワープ「俺に任せてくれ!」
さぁ、空中戦の開始だ!
スタースクリーム、サンダークラッカー、
スカイワープのデストロン軍団に対するは
サイバトロンの空の勇者たち、
エアーボット部隊だ!
スカイワープが、雲間に姿を消す。
スリング「どこへ消えちまったんだ?」
スカイワープ「ここだよ、ここ!」
エアーライダー「スリング、危ない! 上だ!」
スリング「何ぃ!?」
スカイワープが死角から攻撃をしかけるが、スリングがそれをかわす。
スリング「おっと」
スカイダイブ「僕がやる!」
スカイワープ「やれるもんなら、やってみな!」
スカイダイブの攻撃が決まる。
スカイワープ「うわぁ! トランスフォーム!」
スカイワープがロボットモードに変形して、不時着してゆく。
サンダークラッカー「畜生!」
ファイアーボルト「おい、サンダークラッカーだ!」
スリング「よぉし!」
サンダークラッカーとエアーボットたちの戦いとなる。
サンダークラッカー「おっと、やられてたまるか!」
エアーライダー「俺が片づける!」
サンダークラッカー「うるせぇや!」
サンダークラッカーも被弾する。
サンダークラッカー「うわぁ! トランスフォーム!」
スカイワープ「5対3じゃ、勝ち目はねぇや」
スタースクリーム「えぇい、くそぉ! エアーボットどもの追跡を振り切るにゃ、手は一つしかないか。もったいねぇが、人質を捨てるしかねぇ!」
スタースクリームが、ボディ内に捕らえていた人々を、空中へ放り出す。
どうする、エアーボット!?
シルバーボルト「なんて汚いことを! 早く助けないと!」
シルバーボルトたちが回り込んで、人々を受け止める。
シルバーボルト「みんな、しっかりつかまって!」
エアーボットたちが、サイバトロン基地に帰還する。
基地には総司令官コンボイ、サイバトロン戦士のアイアンハイド、ラチェット、ホイルジャックらがいる。
スリング「しかし、あのスタースクリームのスピードはピカイチだな。テクニックもかなりのものだし」
ラチェット「おいおい。まるでデストロンに憧れてるみたいじゃないか、スリング」
ファイアーボルト「それにスマートだし、機転だってきく」
スリング「少なくとも人間と比べりゃ、あらゆる点で勝ってるね」
シルバーボルト「しかし、心は邪悪そのものだ。人間を空に放り出すなんて」
スリング「あれは、仕方なくやったことさ」
アイアンハイド「このわからず屋の、若造どもが。もし君らが俺たちのように、長年デストロンと戦っていれば、そんな甘い言葉は──」
コンボイ「やめておけ、アイアンハイド。エアーボットはこの世に生を受けて、まだ間がないんだ。その内、おいおいわかってくるさ」
そのとき!
基地のコンピューター・テレトラン1が、警報を鳴らす。
テレトラン1「警報、デストロンにに異常な動きあり」
コンボイ「それは何だ? テレトラン1」
テレトラン1「セイバートロン星より極度に集中したエネルギー波をキャッチ、エネルギー発生源は不明です」
ホイルジャック「こりゃ、何ちゅうエネルギー量のでかさや」
コンボイ「こんなエネルギー波は、これまでに見たこともないぞ。オメガスプリームに、すぐ来いと伝えろ。セイバートロン星へ行って調べるんだ!」
そして、出発。
オメガスプリーム「トランスフォーム!」
巨大戦士オメガスプリームが宇宙ロケットに変形して、一同を乗せる。
スリング「俺たち、セイバートロン星へ帰れるんだぜ! やったな!」
オメガスプリーム「オメガスプリーム、ゴー!」
デストロン基地。
被弾したスカイワープが、スタースクリームの修理を受けている。
スカイワープ「エアーボットのクソったれどもが、俺の翼に穴をあけやがって」
リーダーの破壊大帝メガトロンが現れる。
メガトロン「この間抜けども! またしてもサイバトロンの奴らに点数を稼がせおって。これがどういうことか、わかっておるのか!? 奴らにエアーボット部隊がおる限り、わしらの空中での優位は脅かされるんだぞ!」
情報参謀サウンドウェーブからの通信が入る。
サウンドウェーブ「メガトロン様、大変です」
メガトロン「どうした? サウンドウェーブ」
サウンドウェーブ「サイバトロンたちが、セイバートロン星へ向かった」
メガトロン「レーザーウェーブが進めておるプランのエネルギーをキャッチしたに違いない。エアーボットも一緒に行ったか?」
サウンドウェーブ「恐らく」
メガトロン「そいつは都合いい。向こうに行けば、奴らを消すチャンスも生まれるというものだ。スペースブリッジの用意だ!」
そして、セイバートロン星。
メガトロンたちが、セイバートロン星で留守を預かる防衛参謀レーザーウェーブと合流する。
スタースクリーム「レーザーウェーブが進めてるプランって一体、何なんですか?」
メガトロン「タイムマシンだ。そいつを使って、過去からエネルギーを奪うのだ。このセイバートロン星にエネルギーが満ち溢れていた、はるか遠い昔に戻ってな。それからもう一つ。あのタイムマシンは、あのエアーボットどもを消し去るのにも使えるのだ」
その頃、長い宇宙の旅を終えて、コンボイ一行は
セイバートロン星へ到着していた。
コンボイたちを乗せたオメガスプリームが、セイバートロン星に到着する。
オメガスプリーム「長い旅── 燃料、ゼロ」
コンボイ「君はここで待っていてくれ。必要なエネルギーは手に入れてこよう。だがその前に、例のエネルギーの発生源を突き止めるのが先だ。サイバトロン戦士、出動!」
シルバーボルト「エアーボット、トランスフォーム!」
コンボイたちは陸から、シルバーボルトたちエアーボットは空から、捜索を始める。
ファイアーボルト「コンボイ司令官もどうかしてないか? 機械だけの素晴しい星がここにあるのに、なんで地球みたいな住みにくい星にしがみついてるのかな」
スリング「俺にはどう見ても、デストロンの方がまともに思えてならないよ」
シルバーボルト「何を馬鹿言ってるんだ。デストロンは悪の軍団なんだぞ」
そのときだ!
スタースクリームたちジェットロン部隊が、攻撃をしかけてくる。
ファイヤーボルト「デストロンだ!」
サンダークラッカー「くたばりやがれ!」
スリング「おい、離れろ!」
シルバーボルトを除くエアーボットたちが、地上に着陸する。
スリング「待ってくれ! う、撃たないでくれ! お前たちと戦うつもりはない!」
シルバーボルト「おい、みんな! どうしたんだ!?」
スリング「お前たちに聞きたいことがあるんだ!」
スカイワープ「何ぃ!?」
サンダークラッカー「頭がおかしくなったんじゃないのか?」
スタースクリーム「あぁ、おかしくなったんだろうが、こっちにとっちゃ好都合だぜ」
スタースクリームたちが、スリングたちのもとに降り立つ。
スタースクリーム「よし、エアーボット諸君、話し合いといこうか。で、何が知りたいんだ?」
スリング「コンボイ司令官が、君らを悪と決めつけている理由だ」
スタースクリーム「ハハハ! あの石頭のコンボイは、俺たちデストロンのことを何も知らねぇのさ。よし、一緒に来な。デストロンが本当は何をしているか、たっぷり教えてやらぁ」
シルバーボルト「何てことだ。こちらシルバーボルト、緊急事態発生! 仲間たちがスタースクリームと行ってしまいました!」
アイアンハイド「まったく、しょうがない連中だな。敵さんに寝返る気なんですよ」
コンボイ「そういつはどうかな。しかし、無事に済むとは思えないぞ」
スタースクリームは、スリングたちを、デストロン基地のもとへと連れてゆく。
スタースクリーム「さぁさぁ、どうぞ。俺たちは、友好的なロボットなんだぜ。じっくり語り合えば、きっとわかってもらえるよ」
メガトロン「フフフ。あの間抜けどもが、ころりと騙されおって」
スタースクリームの狙いは、エアーボットを
タイムマシンまで誘導することにあった。
間に合うか、シルバーボルト!?
スタースクリーム「まぁ、そこに座ってくつろいでくれ。我がデストロン軍団について、話してやろう」
シルバーボルトが駆け込んでくる。
シルバーボルト「駄目だ! 皆、戻るんだ! 罠だってことが、わからんのか!?」
メガトロン「よし、今だ!」
タイムマシンが作動して、シルバーボルトを含むエアーボットたちが、光に包まれる。
シルバーボルトたち「うわぁぁ!!」
メガトロン「ハハハ、間抜けどもめが! 2分後にはタイムマシンが貴様らを、原始の昔まで運んでくれるわ! そして、この宇宙が誕生する以前の、永遠の無の世界に、貴様らは囚人として閉じ込められるのだ!」
シルバーボルトたちが時間を超えて、遥か太古の世界へと飛ばされてゆく。
そのとき!
コンボイたちが突入してくる。
コンボイ「そうはさせんぞ、メガトロン!」
スタースクリーム「畜生、サイバトロンだ! 撃て撃てぇ!」
コンボイ「サイバトロン戦士、トランスフォーム! アターック!」
コンボイたちサイバトロンと、スタースクリームたちデストロンの戦いとなる。
コンボイ「このまま放っておいたらエアーボットたちが、我々の手の届かない宇宙以前の世界に送り込まれてしまう。おい、頼む! 間に合ってくれ!」
コンボイが銃撃で、タイムマシンを破壊する。
だが
エアーボットたちは、宇宙の原始の世界への追放は免れたものの、どこかの惑星上に辿り着く。
シルバーボルト「あぁっ、ここはどこだ!?」
メガトロン「デストロン軍団、引き上げるぞ!」
一同「はい、メガトロン様!」
デストロンたちが退却してゆく。
アイアンハイド「まったく、あいつらときたら、何て奴らなんだ!」
コンボイ「しかし、問題はエアーボットたちだ。彼らはセイバートロン星の遥か昔の時代に送り込まれてしまった」
ラチェット「どのくらい、昔なんですか?」
コンボイ「作動時間から計算して、およそ900万年の昔だ」
アイアンハイド「それでコンボイ司令官、エアーボットたちを過去から連れ戻す方法はあるんですか?」
コンボイ「唯一の方法は、このタイムマシンを直すことだが…… できるかな、ホイルジャック」
技術者のホイルジャックが、破壊されたタイムマシンを調べる。
ホイルジャック「どこかにスペアパーツがあると思うんですが、はてさて…… それさえあれば、何とか」
コンボイ「では、すぐにかかってくれ」
ラチェット「今頃エアーボットは、900万年の昔にいるのか。やれやれ」
アイアンハイド「その頃はまだ、戦争の始まる前、セイバートロン星の黄金期の中でも、最も輝かしい時代だぜ」
エアーボット部隊一同が辿り着いたのは、900万年前、サイバトロンとデストロンの争いが始まる前のセイバートロン星だった。
スリング「ここは一体、どこなんだ?」
エアーライダー「決まってるじゃないか、セイバートロン星さ」
スカイダイブ「ただし過去のな」
ファイアーボルト「それも戦争前の」
シルバーボルト「つまり、デストロンに破壊される前だ」
スリング「俺は、何もかもデストロンが悪いと決めつけるのは、ちょっとどうかと思うね。サイバトロンだって応戦したじゃないか。責任は五分五分だぜ」
シルバーボルト「いや、戦わざるを得ず、仕方なくだ。それに我々は、デストロンに騙されてここに飛ばされたんだぞ」
スリング「あぁ。しかし、そんなに悪いところじゃない」
ファイアーボルト「悪いどころか、最高だぜ」
そして、彼らは1人の青年と出会う。
エネルギー倉庫を管理するロボット青年、オライオン・パックスがいる。
オライオン「やぁ、手伝いに来てくれたのかい?」
シルバーボルト「手伝い? あ、いや…… そうじゃないけど」
オライオン「君たち、初めて見る顔だな。僕はオライオン。オライオン・パックスだ」
シルバーボルト「私はシルバーボルト」
スリング「スリングってんだ、よろしく」
ファイアーボルト「俺はファイアーボルト。こっちはエアーライダーに、スカイダイブだ」
オライオン「そうか、よろしく、僕らはここで、エネルギーの積み込み作業をやってるんだよ」
この時代のセイバートロン星は、
豊かなエネルギーに恵まれていた。
友人のダイオンが、エネルギーを運んでくる。
オライオン「やぁ、ダイオン、君か。エアーボットの諸君、僕の親友だよ」
ダイオン「どうした? 仕事をさぼりたくなって、人手を集めたのか?」
オライオン「冗談はやめろよ、ダイオン」
オライオンの恋人、エイリアルもやって来る。
エイリアル「オライオン!」
オライオン「彼女の名は、エイリアル。断っておくけど、僕の恋人なんだ」
エイリアル「気を付けた方がいいわよ。すごい焼きもち焼きなんだから」
ダイオン「オライオン、見ろ! あれを」
3体のロボットが、空を飛んでいる。
シルバーボルト「奴らを知ってるのか?」
オライオン「いや。でも、噂は聞いたことがあるよ。空を飛べる、新しいタイプのロボットだってね」
ダイオン「しかし、実物を見るのは初めてだな。本当に飛んでる」
目を凝らすと、それはメガトロン、レーザーウェーブ、サウンドウェーブの3人である。
シルバーボルト「おい、今のは!?」
スリング「あぁ、メガトロンだ。トランスフォームもしないで飛べるとは、本当に凄いな」
シルバーボルト「まだデストロンに憧れてるなんて、どうかしてるぞ、スリング」
エアーライダー「攻撃される前に、こっちから先制パンチをお見舞いしようぜ」
スカイダイブ「いいかい、ここは過去の世界だ。僕らがサイバトロンだって知らないんだ」
エアーライダー「どうして、メガトロンが知らないって言いきれるんだ?」
スカイダイブ「今は何百万年前の昔。僕らはまだ生まれてないの。おわかり?」
オライオン「彼らと知り合いになりたいものだな」
シルバーボルト「ちょっと、オライオン。あの連中は、君らにはない邪悪な力を持った超ロボット生命体だ。近づかない方がいいね」
ダイオン「邪悪だって? 何を馬鹿なことを言ってるんだよ。素晴しい連中じゃないか」
エイルアル「彼らのリーダーは軍団のようなものを組織して、他の街を襲ったって聞いたわ」
ダイオン「そんな噂を信じてんのか? 君」
オライオン「もし戦いになっても、心配いらないさ。こっちには都市防衛用の巨大ロボ・ガデプがいるんだ。それより、積み荷は届いたようだ」
川辺に船が荷物を運んできて、オライオンが誘導する。
オライオン「いいよ!」「よぉし、もう少しだ」「OK!」
そのとき!
オライオンのもとに、メガトロンが現れる。
メガトロン「やぁ、お若いの。わしはメガトロンだ。君の名前は?」
オライオン「はい、オライオン。オライオン・パックスです。お目にかかれて、とても光栄です」
シルバーボルト「メガトロンめ、エネルギードックの方へ向かってったぞ。早く止めないと」
スリング「考えすぎじゃないのか?」
シルバーボルト「早く!」
メガトロンはオライオンに、自分の無数の車両を見せる。
オライオン「こりゃ、凄い! 全部、あなたの?」
メガトロン「あぁ、いかにも。だが、これだけ大量の商品をストックしておける倉庫が、なかなか無くてな。しかし、ここの倉庫なら十分に置けそうだ」
オライオンはメガトロンを、エネルギー倉庫の中に案内する。
エイルアル「ねぇ、オライオンと一緒にいるの、誰?」
ダイオン「あれは、さっきの空飛ぶロボットの1人だよ」
メガトロン「で、ここにストックしてあるのは、原料かね? それとも、エネルギーかね?」
オライオン「はい、エネルギーだけを貯蔵してます」
メガトロン「ありがとよ、間抜け! その答が聞きたかったんだ! デストロン軍団、アタック!」
メガトロンの車両の積み荷が、ロボット兵士に変形する。
さらに
車両自体も、ロボット兵士に変形する。
オライオン「な、何をする気だ、あなたは?」
メガトロン「いいからどいてろ、このウスノロめ」
メガトロンがいきなり、オライオン目がけて発砲する。
オライオン「うわぁ! な、何をする!?」
エイルアル「やめてぇ!」
エイリアルがオライオンを庇おうとして、飛び出す。
ダイオン「エイリアル、危ない!」
メガトロン「何だ、貴様は!?」
メガトロンの銃撃が、エイリアルの胴を貫く。
エイルアル「きゃあっ!」
オライオン「エイルアル!? よくも僕の大事なエイリアルを! 行くぞ、メガトロン!」
オライオンがメガトロンに立ち向かおうとする。
しかし武器が無くては勝負にならず、メガトロンの銃撃が、オライオンを貫く。
さぁ、強奪が始まった!
メガトロン「いいか、1人も見逃してはならんぞ! 皆殺しにしろ! そしてエネルギーを奪うんだ」
ダイオン「畜生!」
ダイオンがメガトロンに挑もうとするも、ダイオンもまた倒される。
そこへ駆けつけたエアーボットたちだったが
エアーボットたちが倉庫に辿り着くと、メガトロンの姿はなく、オライオンとエイリアルが動かなくなっている。
シルバーボルト「遅かったか! オライオン! オライオン、しっかりしろ! 何とか言ってくれ!」
オライオン「メ、メガトロンに……」
セイバートロン星、現在。
メガトロン「再度攻撃をかけるぞ。万一あのタイムマシンがサイバトロンどもの手に渡れば、わしはピンチを招くことになる」
レーザーウェーブ「メ、メガトロン様!」
メガトロン「何事だ、レーザーウェーブ?」
巨大なロボットの残骸がある。
メガトロン「おぉっ! これは都市防衛ロボ・ガデプじゃないか!」
レーザーウェーブ「その通りで……」
スカイワープ「こ、こいつを見ると、まったくゾッとするぜ」
サンダークラッカー「その昔、こいつにこっぴどく痛めつけられたからなぁ」
メガトロン「確かにこの怪物ロボは、昔は敵だったかもしれん。だが、味方として使えば良いのだ。レーザーウェーブ、こいつをリペアできるか?」」
レーザーウェーブ「──可能です。頭の部分が欠けていますので、細かい作戦は無理ですが」
メガトロン「兵士に頭など必要ないわ。ひたすら強い肉体があればいいんだ」
コンボイのもとでは、ホイルジャックとアイアンハイドが、タイムマシンの修理にあたっている。
コンボイ「あと、どのくらいかかりそうだ?」
ホイルジャック「さてね…… まだまだ、かかりそうで。ですが、こいつにはオート・リターン機構が付いてるんでね。エアーボットをまっすぐ、ここへ呼び戻せます。うまく働けば、ですが」
コンボイ「こうなったら、エアーボットたちが、トラブルに巻き込まれていないことを祈るしかないな」
その頃、900万年前の世界では
シルバーボルトたちが、オライオンを運んでいる。
スリング「誰かリペアできる者を捜さないと」
ファイアーボルト「一刻も早く!」
シルバーボルト「あぁ、わかってる」
スリング「くそぉ、メガトロンめ…… この礼は、必ずしてやるからな。覚えてろよ、卑怯者!」
シルバーボルト「もういい。それより、オライオンを助けるのが先だ」
声「ちょっと待った」
サイバトロン長老、アルファートリン。
アルファートリン「その若者をリペアしたければ、隣町まで運べ」
スリング「そんな時間はないんだ!」
アルファートリン「……では、中に運びなさい。朝からケガ人が多くてな」
アルファートリンのもとでは、数多くのロボットが修理されている。
アルファートリン「わしはデストロンに対抗できる、戦うロボットを製作しているのだが……」
シルバーボルト「お願いです! 診るだけでも、診てください」
アルファートリンが、オライオン・パックスの顔を覗く。
アルファートリン「ふぅむ…… 並外れた意志と、強い実行力の持ち主だ。わかった。彼のリペアをわしに任せなさい」
スリング「そいつはありがたい!」
ファイヤーボルト「ケガ人は、他にもいます」
アルファートリン「待て待て、一度に1人。まずは、この男をリペアしてからじゃ。何時間かかることやら……」
エネルギー強奪は続いた。
だが
メガトロン配下のロボット兵士たちが、エネルギーを強奪している。
そこへ、巨大な都市防衛ロボ・ガデプが現れる。
「防衛ロボ・ガデプだ!」「退却しろ!」
シルバーボルトたちは、アルファートリンによるオライオンのリペアを待つ。
スリング「一体、いつまで待たせるんだ……」
シルバーボルト「まぁ、落ち着けって。心配なのはわかるがね」
アルファートリン「やっと終わった。精魂こめて、リペアしたぞ。彼は今までのオライオンではない。サイバトロンを守る、ナンバー1戦士の誕生だ」
オライオンが、リペアされて新たな姿となって現れる。
アルファートリン「その名は、コンボイ司令官!」
一同「おぉっ……!!」
その姿は、コンボイそのもの。
オライオン・パックスこそが、過去のコンボイその人であった。
コンボイ「どうやら、私は間違っていた。私は力あるがゆえに、メガトロンを崇拝していたが、その使い方の間違いに気が付かなかった」
スリング「……いや、いいんですよ。誰にも間違いはあります」
ファイヤーボルト「早くエイリアルを助けないと、手遅れになる!」
コンボイ「そうだな。私になさったのと同様に、やっていただけますか?」
アルファートリン「君に施した技術を応用して、何とかなるじゃろう。部下をやって、彼女を運ばせよう」
コンボイ「では我々は、メガトロンを倒しに行くぞ!」
一同「よし!」
アルファートリン「女性の戦士も悪くないな、フフ。名前は…… そうじゃ、エリータワンとするか」
その頃、兵士ロボ対、防衛ロボ・ガデプの戦いが続いていた。
メガトロン配下のロボット兵士たちが、必死にガデプに挑んでいる。
メガトロン「破壊してしまえ! 構わん、ブチ壊せ!」
そこへコンボイが現れる。
コンボイ「待った待った! そこまでだ、メガトロン! あまり調子に乗るんじゃない!」
メガトロン「どこの馬の骨か知らんが、引っ込んでいろ!」
メガトロンが銃撃を放つが、コンボイの体には通用しない。
メガトロン「貴様……!? 貴様、誰だ!?」
コンボイ「私は正義の戦士、コンボイ司令官! 受けてみろ!!」
メガトロン「えぇい、アタックだ! 倒せぇ!!」
コンボイの銃撃が、ロボット兵士たちを倒してゆく。
その頃、サイバトロンの
エネルギー貯蔵庫に向かう、車の一団があった。
ファイヤーボルト「なんだよ、あの車は?」
シルバーボルト「あれは、メガトロンの輸送用ロボットだ。エネルギーを盗む気だ」
スカイダイブ「これ以上、メガトロンにエネルギーを渡したら、奴はもう無敵だ!」
シルバーボルト「絶対にエネルギーを渡してはならん!」
そして現在、タイムマシンの修理は?
ホイルジャック「でけた!」
コンボイ「よし、エアーボットたちをすぐに呼び戻すんだ! 手遅れにならない内に」
ホイルジャック「はいな、わかってまさぁ! 2分間お待ちを」
そのときだ! メガトロンの襲撃だ!
メガトロンたちが襲いかかる。
コンボイ「おい、タイムマシンを守れ! エアーボットたちが戻るまで、何としても持ちこたえるんだ!」
メガトロン「そうはいかんぞ、コンボイ! 覚悟しろ! やれぇ、ガデプ!!」
ガデプが巨大な姿を現し、コンボイたちに襲いかかる。
コンボイ「ラチェット、アイアンハイド、奴の気を他にそらしてくれ!」
ラチェットたち「了解!」
ラチェットとアイアンハイドが、ガデプの足元を素早く走り回り、注意を引く。
ラチェットたち「おい、こっちだこっち!」「どこを見てる!」
コンボイ「がんばってくれよ! あと1分、あと1分が勝負なんだ」
あと1分で、エアーボットは現在に戻るのだ。
しかし!
900万年前の世界。
シルバーボルトたちがエネルギー倉庫で、エネルギーパックを手にして、倉庫内のエネルギーが爆発するように仕掛けを作っている。
シルバーボルト「よし、これだけあれば十分だろう。あとは奴らが入って来るのを待ち、あれを一気に爆発させる」
スカイダイブ「待った! 見ろ!」
兵士ロボットたちが倉庫に突入して、入口を塞ぐ。
スカイダイブ「兵士ロボットが入口を固めた! エネルギーを爆発させることはできても、僕らの逃げ道はどこにもない!」
シルバーボルト「とは言っても、メガトロンを勝たせるわけにはいかない」
スリング「そうとも! 今メガトロンが勝てば、未来でもそうなってしまうんだ」
シルバーボルト「点火しろ、スリング!」
タイムマシンの作動まで、あと15秒!
スリングがエネルギーパックを撃ち抜く。
スリング「さぁ、爆発するぞ!」
それに連動して、エネルギーの山が大爆発する。
同時にシルバーボルトたちが光に包まれて、姿を消す。
そして!
再び現在、戦いは続いていた。
コンボイたちとガデプの戦いが続く。
コンボイ「撃て撃てぇ!!」
メガトロン「とどめを刺せ、ガデプ!」
そのとき!
光の柱が立ち昇り、シルバーボルトたちエアーボット部隊が現れ、ガデプやメガトロンに攻撃を見舞う。
シルバーボルト「これでもくらえ! デストロンのクズどもを叩きつぶすんだ!」
メガトロン「えぇい、くそぉ!」
シルバーボルト「よぉし! エアーボット部隊、トランスフォーメーション・スペリオン!!」
エアーボット戦士5人が合体し、スペリオンとなる。
スペリオン「行くぞ、この裏切り者!」
さぁ、戦いだ!
エアーボットが合体戦士スペリオンとガデプの、巨体同士の戦いとなる。
ガデプが怪力に力を任せ、スペリオンを地面に叩きつける。
スペリオン「お前の力はその程度か」
スペリオンが反撃に転じて、ガデプを渾身の力で、空高く投げ飛ばす。
スペリオン「セパレート!」
スペリオンが分離して、シルバーボルトたち5体の姿に戻る。
ガデプは敗北し、デストロンたちも退却してゆく。
シルバーボルト「メガトロンが、奴が逃げていくぞ!」
スリング「俺たちからは絶対に逃げられはしないぞ、メガトロン! お前がくたばるまで、俺たちは戦い続ける! いいな!」
シルバーボルトが、過去の世界で手に入れたエネルギーを、コンボイに渡す。
シルバーボルト「このエネルギーパックがあれば、オメガスプリームと一緒に地球へ帰れますよ」
ホイルジャック「なぁ。過去で一体、おたくらに何があったんだね?」
シルバーボルト「いやぁ、別に。メガトロンのことを少々と、それにコンボイ司令官、あなたのことを知りました。それとも、こう呼びましょうか? 『オライオン・パックス』」
コンボイ「それでは…… この私を救ってくれたのは、君たちだったのか!」
ラチェット「誰か、今のはいったい何のことか、わかるように教えてくれよ」
シルバーボルト「聞きたきゃ、ご本人の口からどうぞ」
ラチェット「ねぇ、司令官、どういうことなんです? 教えてくださいよ」
コンボイ「あぁ、いいとも。そもそもの始まりは、900万年前の昔にさかのぼるんだがね」
ラチェット「やれやれ…… こいつはとてつもなく、長い話になりそうだ」
最終更新:2021年07月31日 19:38