ロックマンX(漫画版)の第10話

#10 MERMAID(人魚)

南太平洋――――この広大な海底のどこかにΣ軍が海路寸断のため潜伏しているとの情報をうけ――――エックスはその計画を阻止すべくこの海域を調査していた。

エックス「?、誰かが襲われている!?」
海の中を泳ぐエックスは、一体のレプリロイドがアンコウ型メカニロイドに追われているのを見つけた。
?「いや!」

エックス「ふせろーっ」

エックスバスターがメカニロイドを破壊したが、余波で追われていたレプリロイドとエックス自身も吹き飛ばされた。

?「きゃーっ」
エックス「おわっとっとっと~~~~~あうっ!!」

エックスとそのレプリロイドがぶつかった。
エックス「だっ・・・・大丈夫・・・・か・・・・」

ぶつかった相手は、少女の姿をした人魚型レプリロイドだった。

少女「あ・・・助けて!!」
エックス「落ちついてください!どうしたんですか!?」
少女「L・オクトパルドというレプリロイドが私の命をつけ狙って・・・・・」
エック「お・・・いや僕はそいつの命を狙っている・・・・・んだけど・・・・・」
少女「本当に!?」
エックス「ウ、ウン」

少女「じゃあ一刻も早く行きましょう」
エックス「「行く」って?まさか・・・・一緒に行くの?」
少女「ええ・・・警備の手薄なところ私知ってるし・・・」
エックス「君は連れて行けないよ」
少女「私が・・・・女・・・・だから?」
「・・・・・」
エックス「そう・・・だから俺がまず安全なところまで・・」
「!?」

少女が尻尾でエックスの顔をはたいた。
エックス「ぶっ!?な・・・!なにすんだよ!!」
少女「騎士きどりは十年早いよ!坊や!」
「行くよ!」

エックス(坊やぁ・・・・なんだよっ、えらそうに・・・・)

エックスと少女は海を進む。

少女(そうよ・・・こいつをあの男にひきわたせば・・そうすれば・・・・そうしさえすれば・・・・この楽園の平和は守れるんだ!)


行く手を阻む魚型メカニロイド達を、エックスはバスターで倒していく。
エックス「くそ!しつこいぞお前ら!!」

少女「す・・・・すごい!!でもその後がしまんないわね」

爆発の余波にあおられ、エックスはもがいていた。
エックス「俺は水中用じゃないんだよっ!!なぁ本当にこのルート安全なの?」
少女「あ!疑っているんだ・・・・ムカツク」
エックス「そうは言ってないだろ!!」
少女「勝手にしたら!――――フン」


その時、海の底がうごめいた。
エックス「な!!?」

海底から、ウツボ型メカニロイドウツボロスが飛び出てきた。

エックス「うわああっっ!!水の中じゃうまく・・・」
「!!」
ウツボロスがエックスに突っ込んできた。

エックス「うぐは—―――――っ!!」

少女「!!」

ウツボロスは海底に潜った。

エックスは岩に掴まった。
エックス「くっ!!どこだ・・・どこから来る!?」

エックスの掴んでる岩が揺れた。

エックス「くっ!!真下からか!!」

エックスは出てきたウツボロスの胴体を撃ったが、弾かれた。

エックス「胴体にはきかない!?頭部を狙うしか・・・・!!」
エックスの背後にウツボロスの頭が出ていた。
エックス「!?」

ウツボロスがエックスにかみついた。
エックス「ぐあっ!!!」

少女「――――っ!!!」

エックス「その口を離せ!!」
エックスがウツボロスのヘッドライトを撃つと、ウツボロスは離れ、海底に潜った。

エックス「う・・・ぐ・・・かはっ」

エックスは噛まれた所からオイルを流し、沈んでいく。

少女「・・・・・」
(こんなに血が・・・・私・・・私は・・・・)
「坊やよくやったよ!!もう逃げよう!!」

エックス「逃げる・・」

少女「そうさ!命あっての物種じゃない。敵がいない間に・・・・はや・・く・・」

エックスはバスターをチャージしていた。

少女「何してるのよ!!勝てっこないじゃないか!あなた怖くないの!?」
エックス「・・・・・怖いさ―――――けど」
少女「え」
エックス「恐怖よりもっと強い気持ちが、俺をつき動かすんだよ・・・・・・」

少女「なに・・・・何かっこつけてんの・・・きゃっ」

少女の横からウツボロスが出てきて、エックスに向かう。

エックス「それに・・・」
「一度逃げると二度と敵に立ち向かえなくなる!!」

エックスのチャージバスターがウツボロスの頭を粉砕し、胴体が沈んでいった。
エックス「だから・・・逃げ出せないのさ」

少女(一度逃げたら二度と敵に立ち向かえなくなる・・・・)
「けが見せてみな」
エックス「え」
少女「実はあたし、レスキュータイプ
でね・・・応急処置ぐらいならできるからさ・・・・」


エックスと少女は、オクトバルトの要塞の前まで来ていた。

エックス(このままじゃ二人ともやられちまう)
「!」

エックスは見つけた洞穴に、少女を入れた。
エックス「はいって!ここでじっとしてるんだ!」
少女「坊や!!」
エックス「ここまでありがとう。そうだ、名前・・・・わっ」

エックスの前に、魚類型メカニロイドの大軍団が迫っていた。
エックス「くっ!!大軍団のお出ましか。ここでお別れだ!!さようなら!!」
少女「坊や!!私の・・・・私の名前は・・」
(・・・・いや、私には・・名前をいう、資格すらないわ・・・・・)


エックスは要塞の中に侵攻したが、床に穴が空き、水と一緒にエックスを引き込んでいった。
エックス「おわあっ」

水中に落とされたエックスに魚型魚雷が迫ってきた。
エックス「ちゃちな罠をしかけやがって!!バスターで一掃してやる!」

エックスはバスターを撃ったが、放たれたバスターが消滅してしまった。
エックス「バスターが消滅した!?」
「?」

魚雷がエックスに当たり、爆発した。
エックス「うわああああっ!!なぜ・・・」
?「サイドス溶液さ・・・・」
エックス「!?」

オクトバルト「ここの液体はバスターエネルギーを吸収しちまうんだよ!!」
エックス「オクトパルド!!」

エックスの前の高台に、ランチャー・オクトパルドが待ち構えていた。
オクトパルド「バスターを封じられ体力も底をつきかけているお前など、赤子同然というわけだなっ!!今から残った体力も根こそぎ奪ってくれるわ!!」


オクトパルドが飛び降り、大回転して渦巻きを起こした。
オクトパルト「エネルギートレイントルネード」
エックス「身動きがとれない!!」

オクトパルドが触手を伸ばし、エックスに巻き付けた。
エックス「!!」
オクトパルド「お主のエネルギー頂戴するぜ!!」
オクトパルドの触手がエックスのエネルギーを吸収していく。
エックス「うあああぁぁぁっ!!エ・・エネルギーが吸いとられて・・・・いくっ!!」
オクトパルド「冥土の土産に教えてやるわっ、お主をここまで案内したあの女はなあ・・・・」
「お主の体力を消耗させるためわざと警備の多いところに案内したんだよ。あの女はわしとグルだったんだ!!まんまとだまされ・・・・!?」
エックス「わけが・・・・貴様らに従うわけが・・・・!彼女の目は汚れていなかった!!」
オクトパルド「甘ちゃんが――――っ!!」
エックス「ぐあああぁ、く・・・・」

エックスが倒れた。
オクトパルド「もう立ち上がる力もあるまいて」
エックス「彼女が・・・わけなく、人をだます・・わけないだろ、タ――――コ・・」
オクトパルド「言ってろ!今すぐに貴様も、女も、この海域も全部ほろぼしてやるわ・・・」
少女「なんだって!!」
オクトパルド「!?」

オクトパルドの後ろの壁に、あの少女が来ていた。
少女「あんたに手を貸せばこの海には手を出さないって言ったじゃない!!」
「だからあたしは」
「だからあたし、この海を守りたいから・・・あんたなんかに協力したんでしょ!!」
オクトパルド「ハン!!青くさいことを!!」
少女「あたしを・・・」

少女は壁に飾られていたトライデントを取って、オクトパルドに突っ込んでいった。
少女「だましたんだね―――――っ!!!」

オクトパルド「データインプット完了!てめーも干物になりなっ!!」

オクトパルドが少女に触手を伸ばしたが、少女は触手をかいくぐっていく。
少女「ハン!あんたとあたしじゃスピードが違うよ。あたしは迅速モットーのレスキュータイプだよ!!」

しかし触手が曲がってきて、少女の右腕、胴体、尾をそれぞれ貫いた。
少女「はううっっ!!」
「触手が・・・曲がった・・・」

オクトパルド「くくく、わしの触手はなぁ・・・相手のエネルギー波を入力したらオートで追っかけてくれんだよ。忘れたのか?お主はしょせんレスキュータイプ。わしはハンタータイプ、しかも特A級だってことをな―――――っ!!!」
「あ!!?」

エックスがオクトパルドの腰にしがみついていた。
エックス「やめ・・ろっ!!」
オクトパルド「こ・・こいつ離さんか!!やつはてめーをだました女だぞ!!」
エックス「彼女はこの海を守りたかっただけだったんだ。それにつけ入ったお前を決して許さない!!」
少女「―――――・・・・」
エックス「さあ・・・逃げろ!逃げてくれ!!」
少女「何いってるのよ、あなたが言ったんじゃないの・・・」
「一度逃げたらもう二度と立ち向かえなくなるって・・・」
「あたしずっと逃げてばかりいた・・・でももう逃げない!!あたしも闘って自由を手に入れたいんだ!!」

オクトパルド「演説はそれまでだ!!バイブレーションオン!!」
「この超震動がターゲットに届いたとき」

少女「あああああぁぁっ」
「う・・・・あっ・・・ごめん・・・ね・・エック・・・あああああああああっっっっ」
エックス「!!」

超震動を流し込まれた少女の体が、粉々に粉砕された。

エックス「な・・・」
オクトパルド「離れな!!」

エックスがオクトパルドに投げ飛ばされ、倒れ伏せたエックスは涙を流していた。

オクトパルド「けっ、泣いたり怒ったりけったいなレプリロイドだぜ。Σ様はなぜこんなやつを・・・・生けどれと―――――!!」

エックスは立ち上がり、バスターをチャージしていた。

オクトパルド「た・・・たわけめぇ――――っ、エックスバスターデータインプット。生けどりはやめだ!お主もコナゴナにしてやる!!」
オクトパルドがエックスに触手を伸ばしてきた。

エックス「うわあぁぁあああぁあ」
エックスが地面にバスターを叩きつけ、そのエネルギーを周囲に散らばらせ、
少女の残骸がエネルギーを帯びると、オクトパルドの触手はそちらに伸びていった。

オクトパルド「エックスのエネルギーを帯びた女の残骸に、わしの手が反応して・・ぼ・・・暴走した―――――っ!!??」
オクトパルドの触手が限界を越えて、伸びきった。

オクトパルド「俺の性能が・・・仇になりやがっ・・」

その隙を付き、エックスは少女の遺したトライデントで、オクトパルドの頭を貫いた。

オクトパルド「く・・・特A級ハンター・・が・・・・こんな手にやられるとは・・・不覚・・・・」

オクトパルドが沈んでいった。

エックス「うっ・・・・」
「!」
膝を付いて項垂れるエックスの元に、少女の残骸のチップが落ちてきた。
エックスはチップを手に取り、他の残骸が浮かぶ海を見上げる。

エックス「俺は・・・・無力だった・・・女の人・・・ひとり・・・守れなか・・・・った・・・・名前すら・・・・わからなかった・・・・・」

チップ「`マーティ`って言うのよ!!エックス!!」
エックスの持つチップから少女・・・マーティの声が聞こえてきた。

エックス「い・・・生きてる・・・・・」

マーティ「落ちる―――――ッ」
エックス「ワッ」
マーティ「コンピュータルームにいくっ!!」
エックス「ハイッ」


コンピュータルーム。
マーティ「はやく`データ`の`セーブ`をする」

エックス「フ―――――ッ、つかれた」
「!!」
?「―――――ョ」

モニターにマーティの顔が映った。
エックス「あっ!?」
マーティ「マーティよ!おぼえた?坊や」
エックス「その`坊や`ってのやめようぜ」
マーティ「女の子の体ひとつ守れないやつは`坊や`で十分なの!!」
エックス「ひ~っ」
マーティ「本当に世界を平和にできるのかしら!?」
エックス(生身よりおてんばだよ・・・・)

マーティ「ねえ、闘いが終わったらあたしの`体`作ってくれる?」
エックス「も・・・もちろん」
マーティ「元どおりにしなかったらただじゃおかないからねっ!!」
エックス「まったく・・・・・」

マーティ「いいわね!!」
エックス「ハハハ、了解!!」





(つづく)

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最終更新:2021年09月26日 07:49