ジャンボーグAの第27話

和也は車屋の前でバイクにまたがっていた。

和也「ブン!ブブブン!」
「・・・帰ろうよー!いつまで見てんだよ!

車屋の中で、ナオキは赤と白の2色に塗られた自動車を見ていた。
ナオキ「なあ、もうちょっとだけ!もうちょっと頼むよ」
和也「ちぇっ、そんなに欲しければ、さっさと買えばいいじゃないか!」
ナオキ「・・今月分の給料を足しても、ちょっと足りないんだ」
和也「じゃあやっぱし、諦めるんだね」
ナオキ「何を!」


ナレーター「ナオキはついに新車を手に入れた。
和也のお母さんから足りない分のお金を借りる事に成功したのだ。
そして今日は」

ナオキは和也と茂子を連れて遊園地に来た。

茂子「ドライブなんて本当に久しぶりだわ」
ナオキ「お金を借りたお礼です」
和也「とか何とか言っちゃってさ、ホントはこの車の格好いいとこ見せたかったんでしょ」
ナオキ「こら!そんなこと言うともう乗せないぞ」
和也「けち!」
ナオキ「こいつ!」


和也「そう言えばこの前来た時は、お父さんと一緒だったよね」
茂子「そうね・・・もう1年になるのね」
ナオキ「ごめんね、姉さん」
茂子「どうしたの」
ナオキ「兄貴が買ってくれた指輪で、車なって買っちゃって、悪いことしちゃったかな」
茂子「いいのよ。あなたから返して貰ったらまた買い戻せるんだから」
ナオキ「じゃあ、その時まで!」


マッドゴーネの宇宙船。
マッドゴーネ「ついに完成したぞ!グロース第3号作戦、スーパーロボット怪獣ジャンキラーだ!今度こそジャンボーグAの息の根を止めてやる!行けジャンキラー!ジャンボーグAを倒せ!」


市街地にジャンキラーが現れ、建物を破壊していく。



ジャンボーグA-2号誕生!その名はJ-9




浜田「よし!分かった!いいか!情報によれば、今まで現れたどんな怪獣より強力な奴らしい!PATの全力をあげて怪獣を倒すんだ。みんな頼むぞ!」
隊員たち「「「はい!」」」


ナオキ「和也、アイスクリーム買ってこようか」
和也「うん」
「ナオキさん気前がいいね」

ナオキ「アイスクリーム2つちょうだい!」
店員「はい」

ここでナオキの腕時計が光り、グロース星人の出現を告げる。
ナオキ「現れたなグロース星人め、こうしちゃいられない」
ナオキがその場を離れようとする。

店員「あっ、お客さんこれ」

ナオキ「いけね!どうも」
ナオキが一旦戻って、アイスクリームを受け取った。

ナオキ「ごめん!急な用事を思い出しちゃったんだ、必ず迎えに来るから!待ってくれよ!」
ナオキは茂子と和也にアイスクリームを渡して、その場を離れた。

茂子「ナオキさん」
和也「ちぇっ」


ジャンキラーの元に、PATのファイティングスターとジェットコンドルが来た。

2体がミサイルでジャンキラーを攻撃するも、効かない。

浜田「ナパーム攻撃開始!」

熊井「了解!おーし行くぞ!」
大羽「OK!」

2体がナパーム弾でジャンキラーを攻撃するが、これも効かない。

ジャンキラーの右胸が開き、ミサイル・キラーショットが発射される。
キラーショットはジェットコンドルを追尾する。

熊井「あ――――!ミサイルが追ってくるぞ!」
大羽「神様仏様!」

キラーショットはジェットコンドルを追い続ける。
熊井「こんなことなら朝飯残してくるんじゃなかった!」
大羽「先輩!」

浜田「野村くんミサイルを撃ち落とすんだ!」
せつ子「はい!」

ファイティングスターがキラーショットを撃ち落とした。

熊井「さすが隊長だ!」


大利根航空。
伴野社長は、ラジオで演歌を聴きながらドラム缶風呂に入っていた。

そこへナオキが車でやって来て、一目散にシャンセスナに駆け込んだ。

伴野「こら―――!」

ナオキは何も言わずに、ジャンセスナを発進させた。

伴野「お――――い!こら――――!ナオキ――――!待て――――!」
「ナオキのバカ―――!バカヤロウ――――!お前なんか死んじまえ」

伴野がラジオが叩いた拍子にチャンネルが変わった。
ラジオ「臨時ニュースお伝えします。臨時ニュースをお伝えします。
先程の怪獣は目下、遊園地方面に進路を変え、間もなく遊園地に突入の模様であります」

伴野「PAT――――!頑張れ―――!」


和也と茂子がいる遊園地にジャンキラーが来た。

和也「早く!」
茂子「お母さん歩けないわ。和也早く逃げて!」
和也「やだ!お母さんと一緒じゃなきゃ嫌だ!」
茂子「和也!」

和也「ちくしょう!早く逃げたいのに!お母さん早く!」

ファイティングスターとジェットコンドルがジャンキラーを追ってきた。

熊井「あっ、和也と奥さんだ!」
大羽「え」

浜田「ロケット弾発射!」
せつ子「はい!」

2体がジャンキラーを攻撃するも、通用しなかった。

熊井「くそう!効き目が無い!」


そこへジャンセスナが来た。

ナオキ「馬鹿な!あの2人が逃げ遅れるなんて」

ナオキの腕時計が輝く。

ジャンキラーが遊具を壊し、和也と茂子にガレキが降り注ぐ。
和也「うわ――――っ!」

ナオキ「ジャン・ファイト!!」

ジャンセスナがジャンボーグAとなった。

和也「ママ――――!」

ジャンボーグAが降り立ち、ジャンキラーと戦う。


浜田「今のうちに着陸して和也くんと奥さんを助けるんだ」
せつ子「はい着陸します!」


和也「ママ―――!」



ジャンボーグAはジャンキラーと戦っていたが、
ジャンキラーの胸からのミサイル・キラーブレスターがコックピットのある左目に炸裂した。

ナオキ「うっ!くそう・・・・」
ナオキは左目の上から血を流していた。

ジャンボーグAが倒れた。


マッドゴーネ「ははは!見よ!ジャンキラーの強さを!グロース第3号作戦は順調に行ってるぞ。戻れジャンキラー、今度こそ地球を我が物にするのだ!」

ジャンキラーが姿を消した。

ジャンボーグAは何とか立ち上がった。

ナオキ「フライトリターン!」

ジャンボーグAがジャンセスナに戻ったが、ジャンセスナは煙を噴いていた。

ナオキ「ジャンボーグAは負けた・・・・!でも・・・飛行場までは、飛んでくれ・・・飛ぶんだ・・・・」



伴野「あっ!こら大変だ!」

煙を噴きながら大利根航空に着陸したジャンセスナに、伴野が消火器を吹きかける。

伴野「おい!早く出ろ!早く出るんだ!」

ジャンセスナからナオキが出て来た。

伴野「馬鹿野郎!お前がそんな事やってる間に茂子さんと和也くんが大変な事になったんだ!」
ナオキ「オヤジさん、すみません!」
伴野「早く病院へ行ってやれ!」
ナオキ「はい!」


ナオキが車で病院に向かったが、病室にはせつ子と、三角巾で腕を吊った和也とベットに横たわる茂子がいた。

和也「ナオキさんのバカ!」
ナオキ「和也・・・・」
和也「あんな車を買うから、こんなことになったんだ!」

せつ子「ごめんなさい・・・怪獣はPATよりも強かったわ・・・ジャンボーグAも負けてしまったのよ・・・あたし達が頑張れば、こんな事にはならなかったのに・・・」

和也「みんな・・・僕のお母さんをどうしてくれるんだ!僕は1人ぼっちになるのは嫌だ!」
「嫌だよ・・・・ママ・・・・死んじゃ嫌だよ・・・・ママ・・・・パパ・・・・死んじゃやだよ・・・」


そこでせつ子の元に通信が来た。
せつ子「はい野村です!」

熊井「せつ子、熊井だ。さっきの怪獣が現れた。この病院に向かってるぞ、すぐ出動しろ!」

せつ子「はい!」

ナオキ「せつ子!」
せつ子「PATもこれでお終いだわ。ジャンボーグAでさえ負けた相手ですもの。ナオキさん・・・さようなら」
ナオキ「ダメだ!死に行くようなもんだ」
せつ子「例えPATが全滅しても、みんなと一緒に行動します・・・」
ナオキ「せつ子・・・」

ナオキとせつ子が握手を交わし、せつ子は病室から出ていった。

和也「ママ・・・ママ・・・・ママ・・・死んじゃやだ、ママ・・・・」

ナオキも病室から出た。
ナオキ「和也・・・ねえさん・・・・」


ナレーター「地球パトロール隊は、ジャンキラーに総攻撃をかけていた。
命ある限り、戦う覚悟を決めていた。
だが、その相手はジャンボーグAを倒したジャンキラーだ。
勝てる望みは万に一つも無かった」

ファイティングスターとジェットコンドルがジャンキラーを攻撃するも、ジャンキラーはものともせず、キラーショットを2機に当てた。

大羽「エンジンをやられました!」
熊井「なにい!ようし、ひとまず基地まで引き上げるんだ!」
大羽「はい!」

せつ子「ダメです!機能が完全にマヒしました!」
浜田「不時着用意!」
せつ子「はい!」


そこへナオキが車でやって来た。

ナオキ「ちきしょう!こんな車怪獣にくれてやらあ!」
「グロース星人め、許さないぞ。俺の命と交換だ!」

ナオキは車でジャンキラーに突っ込んでいく。

ナオキ「ああ――――っ!!」

車はジャンキラーと激突し、大爆発―――――
したその瞬間、空から緑の光が降り注いだ。

ナオキ「ああっ!・・・・エメラルド星人・・・・」
エメラルド星人が、車を持ち上げていた。
エメラルド星人「正義を愛する若者よ。命の重みを知る若者よ。君に、3つの命を与えよう」
ナオキ「3つの命・・・・」
エメラルド星人「立花ナオキ、君に命を1つ。そして、君の愛するその自動車に命を1つ。
そしてもう1つ、それはやがて分かる時が来るであろう。君の努力でもう1つの命が生まれる」
ナオキ「俺の努力で・・・」
エメラルド星人「行けナオキ。腕の時計が輝く時、車をダッシュさせるのだ。2つめの命の誕生だ」

ナオキの時計が輝く。
ナオキ「おうし、ダッシュさせるぞ」
「ジャン・ファイト!」

車の屋根が開き、新たなスーツを着たナオキが立ち上がった。

ナオキ「ツー・ダッシュ!!」

ナオキがVサインをした両手を重ねると、
車が新たなるジャンボーグ―――――ジャンボーグ9となった。


浜田「あっ!あれは」

ナレーター「ジャンボーグA2号、その名はジャンボーグ9!」
ジャンボーグ9がジャンキラーと戦う。

マッドゴーネ「な、何だあいつは!ジャンキラー!戦え!そいつを倒せ!」

ジャンキラーはキラーブレスターをジャンボーグ9に炸裂させるも、
ジャンボーグ9はものともしなかった。

ナレーター「エメラルド星人から貰った新しい命、ジャンボーグ9はナオキの操縦で自由自在に動くのだ。
ジャンボーグ9の目の奥でナオキは戦う。
ジャンボーグ9はギアチェンジでそのスピードをコントロールできるのだ。
パワーは100万馬力!身長50メートル、体重5万トン」

ジャンボーグ9がジャンキラーを投げ飛ばし、ジャンキラーは地面に頭から突っ込んだ。
そこからジャンボーグ9はジャンキラーを引っこ抜き、今度は建物に叩きつけた。

ナオキ「ちきしょう、えいっ!」

ジャンボーグ9は建物からジャンキラーを引きずり出す。

ナオキ「ジャンキック!」

ジャンボーグ9は起き上がろうとするジャンキラーをキックで上空に打ち上げた。

ナオキ「ゴールデンレザー!!」

ジャンボーグ9の目からの光線が上空のジャンキラーに炸裂し、ジャンキラーは粉々に粉砕された。


ナオキ「クイック・リターン!」

ジャンボーグ9が元の車、改めジャンカーZに戻り、
ナオキはそのまま茂子達のいる病院へ向かった。


病室では、茂子が目を覚ましていた。
ナオキ「ねえさん」
和也「ナオキさん」

茂子「もうすっかりいいのよ」
ナオキ「僕が悪かったです」
茂子「何もあなたが謝ることは無いわ。どう、車の調子は?」
ナオキ「ねえさん・・・」

茂子は金と銀の折り鶴をナオキに渡した。

茂子「これ、車かセスナに飾ってくれる?」


大利根航空。
ナオキはジャンセスナの元に来た。

茂子(セスナにでも飾ってくれるかしら?)

ナオキ(ねえさんの怪我は治った・・・でも、ジャンは二度と、二度と空を飛ぶことはない・・・
この、折り鶴の様に・・・・空へはもう、飛べないんだ・・・)
ナオキが折り鶴をジャンセスナに置いた。

ナオキ「・・・・ジャン!」

日が沈み、夜となってもナオキはジャンセスナの傍にいた。

エメラルド星人「立て、ナオキ」

闇夜にエメラルド星人の姿が浮かんだ。

エメラルド星人「お前にはもう1つの命があるのだ。その3つめの命は、お前が自分で生み出すのだ」
ナオキ「3つめの命・・・」
エメラルド星人「分かったか」

エメラルド星人の姿が消えた。

ナオキ「3つめの命・・・3つめの命とは何だ・・・・・?」


つづく

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2021年09月27日 19:13