主人公たちの通う学校、ツツジ台高校。
屋上に生徒の1人、新条アカネが佇んでいる。
頭上を見上げる。
空に一筋の光が瞬き、それが5つに分かれる。
主人公の少年、響 裕太が目覚める。
どこかの部屋の、ソファの上。
傍らでは、同級生の宝多六花がテーブルにかけ、ノートパソコンに向かって鼻歌を歌っている。
六花「♪ ♪ ♪── あ、起きた」
裕太「おはよう……ございます……」
六花「30分くらい寝ちゃって、起きなかったよ。具合悪いの?」
裕太「いや。特に、痛いところとかは……」
六花「急に倒れて寝ちゃうからさぁ、本当びっくりした。顔洗う? 洗面所、あっちだから」
裕太は、六花に案内された洗面所に立ち、鏡を見つめる。
裕太 (あの子、誰だ? ……ってか、俺、誰だ? うぅん、待ってくれ。何だ、これ? 全然思い出せないんだけど。いやいや、記憶喪……)
謎の声「裕太──」
裕太「裕太? ……俺の名前?」
謎の声「裕太──」「裕太──」
裕太はその声の主を追う。
六花の母が自宅で営む、リサイクルショップ兼喫茶店「JUNK SHOP 絢」。
様々な中古品や機械類に囲まれて、旧式のパソコンがある。
裕太「パソコン?」
パソコンがひとりでに起動する。
装甲服に全身を包んだ超人・グリッドマンの姿が、画面に映し出される。
裕太「わ!?」
グリッドマン『私はハイパーエージェント、グリッドマン』
裕太「はぁ…… グ、グリッドマン?」
グリッドマン『思い出してくれ。君の使命を』
裕太「俺の使命?」
六花がやって来る。
六花「何してんの?」
裕太「いや、あれに呼ばれて」
六花「誰?」
裕太「グリッドマン」
六花の目には、そのパソコンは起動しておらず、画面も何も映っていないようにしか見えない。
六花「何も映ってないじゃん」
裕太「いやいや! ……俺にしか、見えてない? 幻覚?」
六花「……響くん、何か変」
裕太「グリッドマンが『使命を思い出せ』って」
六花「氏名? フルネーム?」
裕太「たぶん、違う……」
六花「はぁ? 何の話?」
裕太「ここも、どこ?」
六花「うち。うちの店」
裕太「誰の?」
六花「私の!」
裕太「だから、誰なのって聞いてるの」
六花「だから、誰って…… 誰の?」
裕太「君の」
六花「はぁ…… あのさぁ、ふざけてんの?」
裕太「いや! 真面目に、本当に。何も、何も思い出せなくて」
六花「ふざけてんの?」
裕太「記憶が無くて……」
六花「記憶喪失?」
裕太「そう! それ!」
六花「ふざけてんの!?」
声「ちょっとぉ!」
六花の母(六花ママ)が、カウンターから声をかける。
六花ママ「君たち、うるさいよ」
六花「ママ」
六花ママ「六花。一応、病院連れてってあげたら」
六花「えぇっ!? 私ぃ!?」
六花ママ「当たり前じゃん。同級生なんでしょ? 記憶喪失って、頭打ってるかもしれないのに」
裕太は頭を抱えている。
六花「調子悪そうだね」
裕太「いや…… 幻覚も幻聴も、ずっと響いてて」
背後のパソコンでは依然、グリッドマンが語り続けている。
グリッドマン『君の使命を思い出してくれ』
裕太は六花に連れられて、店を出る。
外には、濃い霧が立ち込めている。
裕太「なんか霧、濃くない?」
六花「そぉ?」
裕太「いや、濃いでしょ?」
裕太が六花の方を振り返る。
六花「なぁに?」
六花の背後、濃い霧のさらに上に、巨大な怪獣のシルエットがある。
裕太「上、上! 向こうにでっかい怪獣!」
六花「えっ? どこ?」
裕太「霧の向こう!」
六花「……何もないじゃん」
裕太「いやいや、見えるでしょ!? いるでしょ!」
六花「はぁ…… 早くしないと、病院閉まるよ」
六花「ねぇ。記憶が無いってことはさ、今日のこと全部、覚えてないってこと?」
裕太「うん」
六花「そっか…… でも、もし記憶喪失のふりだったら、最悪だからね」
裕太「えっ? 何かあったの?」
六花が病院の玄関前で待っている。
裕太が診察を終えて、出て来る。
六花「どうだった?」
裕太「よくわかんなかったけど、『じきに元に戻るんじゃないか』って」
六花「何それ…… っていうか、保険証とか持ってたの?」
裕太「何それ?」
六花「はぁ…… もう帰っていいんじゃない?」
裕太「うん。色々、ありがとう。じゃ…… また」
六花「また」
裕太が帰ろうとして、足を止める。
六花「……どしたの?」
裕太「俺んち、わからない……」
六花「はぁ~!? それも忘れてんのぉ!? 私も知らないしなぁ。……あ! 携帯、貸して」
六花が裕太のスマホを打ち始める。
六花「響くんち知ってんの、内海くんかなぁ」
六花は、裕太の友人の内海 将から、LINEで裕太の住所を聞き出す。
六花「あ──、はいはい、わかった。でも、割と遠いなぁ」
裕太「そうなの?」
六花「てか、もう7時じゃん! あ~あ、おなかすいたぁ」
裕太と六花が、コンビニでドーナツを買い、店頭で食べる。
裕太「なんで俺、女子の家で寝てたの?」
六花「女子、じゃなくて、宝多六花」
裕太「……?」
六花「私の名前。響くん、うちの前で倒れて、寝ちゃって、起きなかったんだよ」
裕太「何それ? ど、どういう関係!? 友達?」
六花「……悪いけど、響くんと同じクラスになって、初めてこんなに喋った感じだよ」
裕太「そっすか……」
六花「ご馳走さま」
道路を挟んで、通行人の行きかう中、1人の男がこちらを見ている。
黒のスーツ、腰には数本の刀らしきもの。
通行人たちは、それを気に留める様子がない。
裕太「うわぁ~ なんだ、あれ」
六花「先行くよ!」
裕太「いや、何でもないっす」
裕太は六花の案内で、自宅マンションの部屋に辿り着く。
裕太「あ、ここだ」
六花「じゃあ私、これで。明日朝、内海くんてのが迎えに来てくれるって」
裕太「うん。色々、ありがとう」
六花「じゃ」
六花が去り、裕太は自宅の部屋へ。
裕太「ただいま…… 暗!」
家の中を調べてみると、俺の両親は出張中。
3か月くらいは帰ってこないらしい。
他人事みたいで現実味が無い。
グリッドマン。
やっぱりあれ、幻覚かなぁ……
翌朝。
裕太のもとに、内海が迎えに来る。
裕太「君が…… 内海、くん?」
内海「記憶喪失は、本当みたいだなぁ。俺の顔まで忘れるたぁね」
裕太「……すんません」
内海「まぁいっか。4月に知り合ったばっかだし。もう1回、友達になったってことで」
裕太「ありがとう。でさ」
内海「何?」
裕太「俺って、どんな人間なの?」
内海「え──、何? その面倒くさい質問。てか、どんなって言われてもなぁ。普通としか…… まぁ、悪い奴ではない」
裕太「もしかしてさぁ、グリッドマンとか、知ってる?」
内海「何それ? 流行ってんの?」
裕太「あ、いや、そういうんじゃなくて。実は、昨日……」
ツツジ台高校の教室。
六花が、学友なみこ、はっすの2人にからかわれている。
なみこ「おい。昨日、見たぞ」
六花「えっ?」
なみこ「響くんと歩いてたっしょ」
はっす「男だ──」
六花「え~ 何それぇ」
裕太「あぁ、昨日はありがとう」
なみこ「お──い! こいつ、嘘ついたぞぉ!」
内海「裕太の席、あっち」
内海が指した先。
隣の席では、冒頭の新条アカネが、学友たちと楽しげに談笑している。
休み時間に。
六花「ねぇ。友達にさ、からかわれるからさ」
裕太「あんまり話しかけない方がいい、ってこと?」
六花「……そうは言ってないけど、距離感っていうか」
裕太「ごめん、よくわかんない」
六花「じゃあ、いい」
昼休み時間。
生徒たちは昼食や談笑など、思い思いに過ごしている。
教室内でバレーボールで遊んでいる女生徒たちもいる。
内海「外で食おうぜ」
裕太「いや、ご飯なくて」
内海「あら、メシ忘れたの?」
裕太「いや、学校のことで一杯一杯で」
アカネ「これあげる」
裕太「えっ?」
アカネがパンの包みを差し出す。
アカネ「響くん。武士は食わねど高笑い、ってやつ?」
裕太「えっと……」
アカネ「新条アカネ。なんか記憶喪失っていうか、転校生みたいだね」
裕太「いや、本当に何も思い出せなくて……」
アカネ「スペシャルドッグ。余ってるからあげる」
裕太「あ…… ありがと」
アカネ「いえいえ」
声「ヤバイッ!」
バレーボールが宙を舞い、そのスペシャルドッグに命中。
スペシャルドッグが床に転がる。
ボール遊びしていた女生徒の1人、問川さきるが、慌てて手を合わせる。
問川「あ…… ごめん! マジでごめん!」
別の生徒「大丈夫?」
裕太「大丈夫、大丈夫」
アカネたち「問川、外でやれよぉ~」
問川「反省します! しました!」
別の生徒「でも、スペシャルドッグが……」
裕太「いや、潰れただけだし、全然食えるから」
どこかの部屋。
誰かがナイフで彫刻を削り、怪獣を作っている。
目の前のパソコンの画面から、黒ずくめの怪人が語りかける。
「また怪獣かい? 何か嫌なことがあったんだねぇ。どうしても許せないことが」
裕太と内海の帰路。
内海「大変だったなぁ、今日」
裕太「うん。でも、新条さんは優しいね」
内海「優しい!? 優しいっていうか、哀れみみたいなもんだろ?」
裕太「そんな線引きしなくても……」
内海「いぃや! するね! 新条アカネはね、才色兼備、才貌両全の最強女子、クラス全員に好かれるという奇跡みたいな女だよぉ!」
裕太「内海もその、新条さんが好きなの?」
内海「いや!? 俺は別に、近寄りがたいあぁいう感じは別に、好きとかそういう…… それより! 俺もそのグリッドマンという奴、見たいんだけど!」
裕太「えっと…… あ」
六花が通りかかる。
ツツジ台高校では、バレーボール部が練習中。
「ね── 問川は?」
「外。サボリでしょ。あいつ、四葉先輩いないと、だらけるからなぁ」
アカネのパンをボールで台無しにした生徒、問川は、部活をさぼって、校舎の外で音楽を聴いている。
六花が帰宅する。
六花「ただいまぁ」
六花ママ「もう…… 表から入らないでよ。お客さんかと思うでしょ」
六花「いや、その、お客様がね」
裕太と内海が顔を出す。
裕太「また、お邪魔します」
六花ママ「あら、昨日の。で、どう? まだ記憶喪失?」
裕太「はぁ…… でも、大丈夫です」
六花ママ「六花──、お店お願──い。ちょっと私、外回り行ってくるから」
六花「え~っ!? まぁ、誰も来ないか」
六花ママ「ちょっとぉ!」
六花「あぁ、聞こえてた?」
六花ママ「あんたの夕飯、冷奴オンリーね」
六花「え~っ!?」
裕太「仲いいんだね。六花んちは」
六花「何が? 別に普通だと思うけど」
内海「裕太! どれがグリッドマンなの?」
裕太「そっちのパソコン」
裕太は、グリッドマンの映っていたパソコンを示す。
内海「へ~。昔のパソコンって、こんなにデカいの。この寄せ集め感、まさしく『ジャンク』だな」
画面にグリッドマンが現れ、話し始める。
グリッドマン『私はハイパーエージェント、グリ──』
裕太「それは昨日、聞いたっす」
グリッドマン『裕太、急いでくれ。この世界に危機が迫っている』
裕太「危機って、何?」
内海「……誰と話してるの?」
裕太「えっ、内海にも見えないの?」
内海「見えない」
裕太「そっか…… えっ、何それ?」「だから何が?」「よくわかんない!」
六花と内海には、裕太は何も映っていないパソコンの前で、独り言を繰り返しているようにしか見えない。
内海「ヤバイな、こいつ」
六花「あぁ、ヤバい」
グリッドマン『危機はすぐそこに迫っている!』
先ほど何者かの作っていた彫刻の怪獣が、完成する。
パソコンの画面から、先の怪人が語りかける。
「おぉ~! 超動的で素晴らしい姿だねぇ~。では動かそう。インスタンス・アブリアクション!」
裕太の左腕に、火花が飛び散る。
裕太「はっ!?」
内海「どうした?」
裕太「わかんないけど…… なんか、ヤバい感じが」
内海「ふーん…… お前は、ずっとヤバいよ」
裕太「そうじゃなくて……」
裕太の耳に、不気味な唸り声が聞こえる。
裕太「──怪獣が聞こえる」
六花「もう1回、病院行った方がいいんじゃない?」
突然の地震のように、店内が大きく揺れる。
街中ではあちこちが炎上し、黒煙が吹き上がっている。
六花ママの車が、足止めに遭っている。
六花ママ「何? 火事? マジか……」
彫刻の怪獣が、実体の巨大怪獣、気炎万丈怪獣グールギラスと化し、路上の車を蹴散らしつつ闊歩している。
裕太たちも、その異常事態に気づく。
内海「何かいる…… 見て来る!」
裕太「う、内海!?」
怪獣が口から放った光弾が、地上の民家に直撃し、火柱が上がる。
内海「何だ、あれ!? 本当に怪獣じゃん!」
六花「あれが、響くんが言っていた怪獣?」
裕太「わかんないけど……」
内海「っていうか、ここからじゃよく見えない! 大通りに出ないと」
裕太「いや、危ないって!!」
怪獣が再び光弾を放ち、一同の頭上をかすめる。
内海「熱っ!!」
学校では、問川が依然、音楽を聴いている。
怪獣の光弾が迫る。
火柱が上がり、学校は炎に包まれる。
六花「学校の方だ」
グリッドマンの声「裕太──」
裕太「グリッドマンが呼んでる……」
裕太が駆け出す。
六花「響くん!?」
内海「裕太!?」
裕太は「JUNK SHOP 絢」に戻り、グリッドマンの映るパソコン──ジャンクの前に立つ。
裕太「グリッドマン! 俺を呼んだよな!?」
グリッドマン『そうだ。私と君は、覚醒しなければならない』
裕太「覚醒? それって……」
グリッドマン「説明は後だ!」
裕太「え!? 一番大事な話── うわああぁぁ!!」
六花と内海が追いついてくる。
2人の見る中、裕太の体が光と化して、ジャンクの画面の中へと吸い込まれる。
内海「裕太!?」
六花「えっ!? 何あれ!?」
内海「裕太が、ジャンクに食われちまった……!?」
六花「昔のパソコンって、怖ぁ……」
裕太とグリッドマンが、光に満ちた空間の中で対峙する。
その様子は、ジャンクの画面に映し出され、六花と内海の目にも見えている。
内海「俺も何か、見えた……」
六花「私も見えちゃった……」
裕太とグリッドマンが一心同体となり、現実の巨人の姿となって、街に降り立つ。
六花「嘘っ! 巨人!?」
内海「裕太が言っていたグリッドマンか! でもここから、じゃよく見えない!」
ジャンクから裕太の声が響く。
裕太『止めなきゃ! この怪獣を! 俺が!』
内海「ジャンクから裕太の声がする!?」
グリッドマンが、怪獣グールギラスに立ち向かう。
戦いの光景を、将と六花がジャンクで見ている。
内海「裕太は今、グリッドマンになって戦ってるんだ! 怪獣からこの街を守るために!」
グリッドマンが、グールギラスの巨体での攻撃、口からの光弾を浴びて、徐々に押され始める。
倒れ伏したグリッドマンに、さらに怪獣が迫る。
ジャンクの赤ランプが点灯して、警報音と共に火花が飛び散る。
六花「きゃあ! ジャンクが!?」
内海「昔のパソコンって凄ぇなぁ…… もしかして、ジャンクとグリッドマンが連動しているのか!?」
六花「何!? 響くんがヤバイってこと!?」
内海「あ──っ、ウルトラシリーズならなぁ、怪獣に弱点とかあるのに!」
六花「は? 何の話?」
裕太『くそっ、体が重い……』
ジャンクの画面の中。
内海が目を凝らすと、怪獣の首が、急ごしらえの彫刻のように剥がれ、破片がこぼれ落ちている。
内海「……首だ。首がほころんでて、もろいんだ。あそこを狙えば!」
六花「じゃあ、すぐ響くんに知らせないと!」
内海「でも、どうやって!?」
裕太『学校が燃えてる! 学校が!』
六花「嘘っ!?」
内海「こっちの声は聞こえてないし……」
六花「何か、連絡できないかな?」
内海「このパソコンで?」
六花は意を決して、ジャンクのキーボードに向かう。
六花「私、やってみるよ。内海くんの言葉を、私が響くんに伝えてみる」
六花はキーボードを、猛烈な速さで叩き始める。
内海「速ぇ……」
グリッドマン「聞こえる……!」
裕太『聞こえる…… 六花と、内海の!』
グリッドマン「言葉が!!」
グリッドマンが全身に光を漲らせて、力強く立ち上がる。
そして、大地を蹴って突進する。
グールギラスが光弾を放射するが、グリッドマンは片手でそれを防ぐ。
さらにグリッドマンが、グールギラスの首を締め上げ、ねじ切る。
巨大なグールギラスの首が宙を舞い、校庭に落ちる。
さらにグリッドマンが、大ジャンプから繰り出した飛び蹴りが、首を失ったグールギラスに直撃する。
六花「凄い……!」
内海「行っけぇ!! グリッドマン!!」
グリッドマン「グリッドォォ──ビィィ──ム!!」
必殺光線が炸裂──!
怪獣グールギラスが光線を浴びて大爆発し、最期を遂げる。
内海「おっしゃ!! 勝ったぁ!! 凄えぇ!!」
ジャンクの画面から裕太が飛び出して、床に転がる。
内海「おぉ、裕太!! 良かったぁ!」
裕太「えっと…… ただいま」
内海「凄ぇよ、裕太!! 怪獣と戦って、勝っちゃうなんてぇ!!」
裕太「いや、俺だけじゃなくて……」
グリッドマン『裕太!』
裕太「ん?」
グリッドマン『裕太、君の使命を果たすんだ』
裕太「えっ? たった今、やったんじゃ……?」
グリッドマン『すべては始まったばかりだ』
内海「なぁ! 俺たち3人とグリッドマンで勝ったんだ!」
裕太「う、うん」
内海「あれだ。こういうの絶対、名前あった方がいい! 『グリッドマン同盟』みたいな、そういう感じの──」
六花「ねぇ、ちょっと! ごめんだけど…… ちょっと、今日はもう……」
内海「えっ?」
六花「今、頭の中ごちゃごちゃで…… グリッドマンとか、わけわかんないし…… 友達とかも、心配だし…… ちょっと、ごめんだけど……」
内海「……帰るか」
裕太「うん」
六花ママ「六花──!」
六花ママが帰って来る。
六花ママ「あ! 君たち、大丈夫だった? 良かったぁ…… 六花、ちゃんと電話出てよぉ」
六花「え?」
六花ママ「え、じゃないでしょ? 世話かけるんだからぁ」
内海「なぁ、帰ろうぜ」
裕太「うん」
テレビでは、住宅地での火災の連続、怪獣の出現が報じられている。
六花の学友はっすが、インタビューのマイクを向けられている。
SNSは、怪獣やグリッドマンの話題で持ち切りとなっている。
怪獣の彫刻を作っていた何者かが、拳を荒々しく机にたたきつける。
パソコンの画面から、先の怪人が語りかける。
「どうやら、お客様が現れたようだね」
裕太たちの学校が燃え続けている。
コンビニの裕太たちを見ていた謎の男が佇み、学校を包む炎を見つめている。
オープニングテーマとスタッフロールの後の、エピローグ。
グリッドマンの戦いの翌朝。
裕太と将が登校し、学校を見て唖然とする。
内海「えぇ──? 何で、何で? どうなってんの? 昨日、学校燃えてたよね?」
六花も来る。
六花「何してんの?」
裕太「いや、ほら……」
六花「え、嘘……」
怪獣の襲撃で燃え盛っていた学校が、すっかり元通りになっている。
生徒たちも、なんの騒動もなく、ごく普通に登校している。
六花「学校、直ってるじゃん」
裕太「さすがにおかしいでしょ……」
最終更新:2022年07月30日 20:28