聖闘士星矢 天界編 ~overture~のエンディング
声「『神とは何か』だと?」
沙織「この声は!?」
アルテミス「兄君……!」
アルテミスやアテナの兄、太陽神アポロンが現れる。
アポロン「神とは何か。それは、人ごときが答に辿り着ける問いではない。また、問うことも許されておらぬ」
星矢「くっ……!」
アポロン「アルテミス。もう少し賢いと思っていたが」
アルテミス「う……」
アポロン「アテナ、顔を見せておくれ。さぁ」
アポロンが手を伸ばし、沙織の首を締め上げる。
星矢「沙織さん!?」
沙織「うぅ……」
アポロン「美しい顔だ。これが消えて無くなるのは切ない」
沙織「うぅ……」
アポロン「妹よ。人に近づいた神は、人より劣る。そういうことだ」
アポロンの力が沙織に浴びせられる。
星矢が拳を撃って、沙織は解放される。
だがアポロンは、眉一つ動かさずに攻撃をかわす。
アポロン「おかしなことが起こるものだ。人間が神に拳を向けるとは」
星矢「ポセイドンやハーデスとの戦いのときも、沙織さんは俺たちを信じてくれた。こんな俺なんかを、自分の命をかけてまで信じてくれた!」
沙織「星矢、いけません! アポロンの前では、私たちの力など無に等しいのですよ!?」
星矢「俺が魔鈴さんに教わらなかったことが、一つある。それは…… 敵に背を向けて逃げることだ!」
アポロン「神は永遠だ。それに刃向うか? 永遠たるものこそ、この世で最も美しく強い」
星矢の小宇宙が、大きく燃え上がる。
アポロン「滅びよ、人間」
アポロンの放つ光を、星矢が必死に食い止める。
星矢「永遠なら、俺だって持っている! 小宇宙を爆発させて、俺たちは力を生み出すんだ。そのとき、俺たち聖闘士は宇宙と一つになり、永遠に限りなく近づく!」
沙織「星矢……!」
アポロンの光が際限なく膨れ上がり、すべてを飲み込んでゆく。
星矢「神がそんなに偉いのか? 神にとって人は、そんなにちっぽけな存在なのか? だけど人は精一杯、生きようとしているんだ。生きようとする奴を守ろうとしなくて、何が神だ!?」
アポロン「……」
星矢「人を許し、暖かく包んでくれる…… それが神じゃねぇのか!? 沙織さんは、俺たちとともに生きようとしてくれる。俺たちを信じてくれる! 人を愛さなくて、何が神だ! そんな神なら、俺は要らない!」
アポロン「人が神を否定することなど、無理なのだよ」
沙織「おやめください」
アポロン「アテナ!?」
星矢の背後に、沙織が立つ。
沙織「これ以上は、お兄様の身が心配です」
アポロン「なんだと?」
沙織「もし、まだなさるというのでしたら、私がお相手します」
アポロン「なんだと!?」
星矢「まだだよ、沙織さん…… たとえ人が愚かで神に滅ぼされる運命だとしても、ただの一発でいい。こいつに俺の拳をブチ込んでやる! それが、人がこの世に生きた証だ! 究極まで高まれ 俺の小宇宙よぉ──っっ!!」
星矢が、神をも凌ぐほどの小宇宙を燃やし、宙に舞う。
アポロン「消えろ、人間」
人の想いが神を超える時
神は何を許し……
如何なる罰を与えるのか……
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冒頭で星矢の療養していた、湖畔の別荘。
沙織のもとを、旅荷物を抱えた星矢が通りかかっている。
星矢「あ、すみません…… ここが、あまりに美しくて。何か、懐かしい思いがする。初めて来たのに……」
沙織「気になさらなくていいんですよ。私1人しかいませんし…… 捜していらっしゃるかたと、逢えるといいですね」
エンディングテーマとスタッフロールの後。
星矢とアポロンの激突の顛末が流れる。
聖衣を失ったはずの星矢が、新たな姿の聖衣に身を包まれる。
渾身の星矢の拳がアポロンの頬をかすめ、微かに血が飛び散る。
次の瞬間、聖衣が星矢の体から砕け散る。
生身の体となった星矢が、暗闇の中へと消えてゆく。
最終更新:2023年12月31日 13:31