夏休みのある日。
ドラえもん「のび太くん! ……あぁ?」
ドラえもんがのび太の部屋を覗くと、のび太は呑気に昼寝している。
ドラえもん「よく毎日、飽きずにゴロゴロしていられるなぁ。宿題やらなくてもいいのかい!?」
のび太「むにゃ、むにゃ……」
ドラえもん「もう、間際になって慌てたって、知らないから!」
ドラえもんが部屋を出る。
ドラえもん「もう。『宿題できないよ~、ドラえもん助けてぇ』なんてね。だけど僕は、冷たく突き放す! 『初めからちゃんと計画的にやっていれば、こんなことにはなっていなかったんだぞ!』ってね。目を覚ましたら、よぉく言ってきかしてやらなくっちゃ!」
ドラえもんは、別室でくつろいでいる。
ドラえもん「でも、あんなに怠けてていいのかなぁ…… 心配になってきたな」
ドラえもんがそっと、のび太のもとを覗く。
ドラえもん「あら?」
見知らぬ青年が、のび太の宿題をやっている。
のび太「大学生なら、こんなの軽いだろう? パーッとやってよ、パーッと」
ドラえもん「人になんかやらせちゃって! 誰なの、この人?」
のび太「未来の僕」
ドラえもん「えっ!?」
青年は、未来から連れて来られた大学青年ののび太である。
(以下、青年のび太と表記)
のび太「タイムマシンで連れて来たんだ」
青年のび太「自分のことだから仕方ないや」
のび太「だから今年は、計画的に怠けてるんだよ。フフフ!」
青年のび太「ふぅ~、大体終わった。社会科は自分でやれよ」
のび太「うん、どうもありがとう」
青年のび太「じゃね」
のび太「ばいばい」
大学青年ののび太が、タイムマシンで未来へ帰って行く。
ドラえもん「ねぇ、社会科はどんな宿題なの?」
のび太「この町の歴史を調べるんだよ。みんな困ってるみたいだけど、僕はへっちゃらさ。ちゃんと計画を立てたんだ」
ドラえもん「偉い!」
のび太「でも、本で調べるなんて面倒くさいことはしないの。タイムマシンでちょこちょこっと見て来るんだ」
ドラえもん「なぁんだ、そういうことか」
のび太「じゃあね」
ドラえもん「ま、待ってよ、のび太くん!」
のび太「なぁに?」
ドラえもん「何年の何月何日頃、この町のどこで何が起きたか、わかってて出かけて行くの?」
のび太「知らないから行くんだよ」
ドラえもん「じゃあ、百年の歴史を見るのに、百年かけなくちゃ見切れないじゃないか!」
のび太「えっ!? ……あ、そうか。ドラえもん! 何とかしてよぉ~!」
ドラえもん「結局手伝うことになるのか」
ドラえもんがポケットから、ひみつ道具を取り出す。
ドラえもん「タイムカメラ!」
のび太「タイムカメラ?」
ドラえもん「このカメラは、時間を遡りながら写真を撮り、この現像機へ送って来るんだ」
最終更新:2024年01月03日 14:18