ウルトラマンギンガSの最終回

※ここまでのあらすじは『ウルトラマンギンガSの第15話』をご覧ください。


最後の強敵ビクトルギエル内部に乗り込んだマナ(アンドロイド・ワンゼロ)が、自分の生みの親であるチブル星人エクセラーと対峙する。

エクセラー「やはりお前は失敗作だ、アンドロイド・ワンゼロ!」
マナ「私のことは『マナ』と呼べ」
エクセラー「ガラクタに名前など必要ない!」

ヒカル「ギンガスラッシュ!」
ショウ「ビクトリウムバーン!」

ヒカルとショウ、ウルトラマンギンガとウルトラマンビクトリーがビクトルギエルに挑む。


明日を懸けた戦い


ヒカル「マナを助けるぞ!」
ショウ「おぅ!」
エクセラー「学習しない奴らには困ったものだ。ビクトリウムキャノン発射!」
ヒカル「来るぞ!」

とっさにマナが、エネルギー源であるシェパードンのスパークドールズを奪い、外へ放り投げる。

エクセラー「しまったぁ!」

シェパードンのスパークドールズは、ウルトラマンビクトリーの中のショウの手に戻る。

音声『ウルトランス! シェパードン・セイバー!

ショウ「俺に力を貸してくれ、シェパードン! これで決める!」

シェパードンセイバーでの斬撃を食らい、ビクトルギエルが大きく後ずさり。
すかさずビクトリーがセイバーを、ギンガがギンガスパークランスを振るい、ビクトルギエルに挑む。

エクセラー「愚か者めぇ! 地球人の武器ごとき、失ったところでどうということはないのだよ!」

ギンガたちがビクトルギエルの強大攻撃を受けて、吹っ飛ばされる。

エクセラー「エクセレントォ! 見たか、このパワー! 宇宙最高の頭脳は、宇宙最強の肉体に宿る! 偉大なるグランドマスター・ルギエル! これであなたの体は完全に復活す……」

エクセラーは言い終わる前に何者かの手により、一瞬にしてスパークドールズにされてしまう。
そこに現れたのはなんと、かつてギンガに敗れ去ったはずのダークルギエル

ルギエル「ご苦労だったな…… 我が名はルギエル。ダークルギエル! 我は今、甦りたり──」
ショウ「何者だ!?」
ヒカル「ダークルギエル!?」
ギンガ「ダークルギエルを復活させて完全に破壊することが、ビクトリウム・コアとマナの目的だったのだ」
ヒカル「本当の敵は、ダークルギエルってことか! そうとなったら、あいつを!」
ショウ「行くぞ!」
ルギエル「無駄だ──」

ギンガとビクトリーを、強烈な攻撃が襲う。

ヒカルたち「うわぁぁっ!!」

ウルトライブが解け、ヒカルとショウがギンガとビクトリーから分離し、地上に投げ出される。
ギンガとビクトリーは巨大な姿のまま、次第に石と化してゆく。

ビクトルギエルの内部で、マナがダークルギエルに殴りかかるが、体をすり抜けてしまう。

マナ「ホログラム!?」
ルギエル「チブルが造った機械人形か」

逆にダークルギエルの一撃で、マナが吹っ飛ばされる。

ヒカル「ギンガ、ビクトリー…… また俺たちを守ってくれたのか」

傷だらけのヒカルたちのもとへ、アリサとゴウキが駆けつける。

アリサたち「ヒカル!」「ヒカル!」


雫が丘の人々の集う避難所。

医師「薬が足りない…… 電源もあと、どれくらい持つか」
母娘「お母さん、おなかすいたよぉ」「もう少しがんばって」

空腹を訴えるその少女に、美鈴が菓子を差し出す。

美鈴「どうぞ」
少女「あ…… ありがとう」
母親「えっ、あなたは?」
美鈴「私、和菓子職人なんです。元気出してね」
母親「良かったね!」


ヒカルたちが、アリサたちや友也と合流する。

友也「礼堂くん、マナからメッセージが」
ヒカル「何だって?」

友也のガンパッドに、マナからのメッセージが表示される。

マナ『あの怪獣は、内部と外部の同時攻撃によってしか倒せない。私は、内部システムを暴走させる』
ゴウキ「『内部システムを暴走させる』って、そんなことしたら、あの子も一緒に爆発しちまうじゃねぇか!?」
友也「彼女が自分なりに出した結論なのでしょう……」
アリサ「地球を救う唯一の方法って…… 彼女が自分を犠牲にするってこと?」
ヒカル「それが、ビクトリウム・コアの答なのか……」


ルギエル「我はこの地に、永遠の静寂をもたらす── 生きとし生けるもの、この星に息づく命のすべて、スパークドールズにして時間を止めてやろう── 争いは消え、憎しみは失い、老いることもなく──」


降星町。
千草が人々に混じり、雫が丘の惨劇を伝えるニュースに見入っている。
そこへ健太が。

健太「千草!」
千草「健太!」
健太「どうなってる、ヒカルは?」
千草「携帯、全然繋がらないの!」

『突如現れた怪獣は依然、雫が丘市の中心部に留まり続けています』

千草「あそこには、美鈴もボランティアで行ってるのよ」
健太「マジか!?」
千草「私、雫が丘に行ってくる! あの子たち、放っとけない!」
健太「ムリだよ、道路が寸断されて」
千草「でも、何か…… きっと、何かできるはず」

健太が自分のタブレット端末を見て、何かに気づく。


ヒカルたちが避難所に駆けつける。

アリサ「状況は?」
避難所の人「こっちです、電源をお願いします」
アリサ「わかりました。ヒカル、ケーブルを繋いで!」
ヒカル「ガレット! 先輩!」
ゴウキ「おぅ!」

ヒカルたちはUPG車両マラミュートの電源を避難所の電源に転用し、照明がつく。

人々「おぅ!」「電気がついた!」「ついた、ついたぁ!」

人々の顔に笑顔が戻る。
美鈴も、ボランティアで菓子を配り続けている。

美鈴「はい」「良かったら、どうぞ」
ヒカル「美鈴」
美鈴「ヒカルくん!」
ヒカル「大丈夫か?」
美鈴「私は大丈夫。それより、早くあの人を」

第5話でゴウキの救った妊婦・詩織が苦悶の声をあげ、医師が診ている。

ゴウキ「詩織さん! 先生、状態は!?」
医師「母子ともに、非常に危険な状態です」
ゴウキ「そんな……」

ショウが自分のペンダントを外して詩織の手に握らせると、苦しそうな声が幾分か和らぐ。

ショウ「これで、しばらくはもつ」


地底のビクトリアン神殿のキサラ女王たち。

レピ「おいらたち、もう駄目なの?」
サクヤ「馬鹿ね、そんなわけないでしょ?」
キサラ「カムシン…… 地上への門をお開けなさい」


ヒカル「どうした?」
美鈴「見て、ヒカルくん。千草が……」

スマートフォンの画面の中、千草が訴える。

千草『雫が丘の皆さん』
ヒカル「ネットの中継か?」
千草『今は大変なときだけど、どうか、望みを捨てないで!』
健太『俺たち、降星町から応援しています! 頑張ってください!』
ヒカル「健太じゃねぇか!」

健太のネット中継による即席のステージで、千草たちが「ウルトラマンギンガの歌」を歌う。
避難所の人々のスマートフォンで千草たちの姿に見入り、次第に笑顔になってゆく。

美鈴「ありがとう、千草、健太……」


キサラたちビクトリアンの面々が、避難所に現れる。

キサラ「大いなる災いを乗り越えるには、すべての者が力を合せるしかありません」

キサラは自分の水晶のペンダントを外して、ヒカルに手渡す。

ヒカル「これは?」
ヒヨリ「私の水晶も、使ってください」
カムシン「持って行け」
レピ「おいらのも!」
サクヤ「私たち全員の水晶を合せれば、きっとまたウルトラマンになれるはず! 受け取って、私たちの希望を」

ヒカルとショウが、一同のペンダントを受け取る。

キサラ「今は、この星に生きる者すべてが手を取り合うときです。それがビクトリウム・コアの意思であり、マナさんの気持ちでもあります」


ルギエルの攻撃を受けたマナは、全身に火花を散らしつつ、ビクトルギエル内部で行動を起こしている。

友也「基地のコントロールが回復しました」

ガンパッドがマナの姿を映し出す。

マナ『私とルギエルは繋がった── 今からシステムを暴走させる』
ヒカル「だけど…… だけどマナは!?」
マナ『急げ! 私の機能が停止する前に』
ゴウキ「……行け、ヒカル!」
アリサ「早く! マナがせっかく作ったチャンスを、ムダにしないで!」

躊躇するヒカルの手を、美鈴が優しく握る。

美鈴「命を回復させる── それが『マナ』。その言葉を教えてくれたのは、ヒカルくんよ」

その言葉にヒカルが笑顔を取り戻し、美鈴の手を握り返す。

ショウ「行こう、ヒカル」
ヒカル「あぁ!」

しかしそこへ、ゼットン星人ベルメ、 ナックル星人グレイ、バルキー星人、イカルス星人、そして大量のチブロイドたちが現れる。

ベルメ「どちらへ?」
グレイ「あぁら、ご機嫌よう、皆さん」
ベルメ「僕たち、ダークルギエル特戦隊!」
バルキー「ユーたちをぶっ倒して、ルギエル様に献上してやるぜ!」
イカルス「今どき再就職も、大変じゃな~イカ?」
ベルメ「行きましょう! ゴー!」
陣野「アリサ、ゴウキ!」
ゴウキ「ここは俺たちに任せて、行け!」
ヒカルたち「ガレット!」「おぅ!」

ヒカルとショウがチブロイドたちを蹴散らしつつ、駆け出す。
アリサも包帯で腕をつったまま奮闘する。

ベルメ「楽勝!」
ゴウキ「勝算ありぃ!」

ゴウキがベルメを叩きのめす。

友也「ジャンスターダスト!」

友也がガンパッドで敵を撃ち抜く。
ビクトリアンの面々も奮闘している。
千草もエールを送り続ける。

千草「私、信じてる。どんなときも、歌はみんなを元気にしてくれるって。歌が、みんなを一つにしてくれるって」

ビクトリアンたちの水晶を手に、ヒカルとショウが駆けだす。

ヒカル「ギンガ──っっ!
ショウ「ビクトリ──っっ!

光球となった2人が一体化し、石像となっていたギンガとビクトリーが元の姿に戻り、力が漲る。
ギンガたちがビクトルギエルに挑む一方、ビクトルギエル内ではマナが機器を暴走させている。

ルギエル「なぜだ? 生命のないものが、なぜ他人の命をかばう?」
マナ「ある人間が私に言った。『命とは変化し、続いていくものだ』と」

その言葉の主である友也は、避難所で奮闘を続けている。

音声『ウルトランス! サドラ・シザース!』『ウルトランス! エレキング・テール!

ヒカル「ギンガサンダーボルト!!」

音声『ウルトランス! キングジョー・ランチャー!

ギンガとビクトリーの連続攻撃が、次々にビクトルギエルを追いつめてゆく。

ショウ「俺たちは成長する! 昨日までの俺たちを、越えていく!」
ルギエル「変化など必要ない! すべてが幸福の中で停止するのだ!」
マナ「命のサイクルは停止しない。一つの命が、次の命に続いていく」
ヒカル「スパークドールズに閉じ込めるのが、永遠じゃない! 未来に受け継がれていくのが、永遠の命だぁ! ギンガセイバー!!」

マナ「ヒカル、今だ!」
ヒカル「ガレット!」

音声『今こそ、ひとつになるとき!』『ウルトラマンタロウ!

ヒカル「行くぞ、マナ!」

音声『ギンガに力を! ギンガストリウム!』『ゾフィーの力よ! M87光線!!

ギンガがギンガストリウムに変身、ウルトラ兄弟最強技のM87光線がビクトルギエルに炸裂。
ビクトルギエル内部のマナのもとには激しい火花が飛び散り、周りに次々に炎が立ち昇る。

マナ「ヒカル、ショウ、ミスズ── ありがとう」

機械のはずのマナの瞳から、一筋の滴がこぼれ落ちる。

マナ「これが── 『涙』か」

ビクトルギエル内にあふれる炎と光に、マナが飲み込まれてゆく。

ヒカル「行くぞ、ショウ!」
ショウ「おぅ!」

「コスモミラクルエスペシャリ──!!」

ウルトラ兄弟すべての力を込めたギンガ、そしてビクトリーの同時攻撃が、ルギエルに炸裂──!!

ルギエル「永遠の── 命の力── 馬鹿な──!?」

ビクトルギエルが光と火花を迸らせつつ、ついに大爆発、最後を遂げる。
爆発跡から漏れた無数の光の粒子が、地上へと注がれてゆく。

キサラ「ビクトリウム・コアが、大地に還って行く……」


ギンガとヒカルが、星々の満ちる空間で対峙する。

ギンガ「永遠の命を信じた私、それを信じられなかったルギエル── そこが分かれ道だった」
ヒカル「あんたたちは、もともと一つの存在だったのか」
ギンガ「光が強ければ、影は濃くなる。そういう意味で、ルギエルと私は一つだったのだ──」

ヒカルの付けていたストリウムブレスが、もとのウルトラマンタロウの姿に戻る。

タロウ「ヒカル。君が呼べば、私はいつでも駆けつける」
ヒカル「ありがとう!」

タロウが宇宙の彼方へと飛び去る。


何日か後。

地底世界のビクトリアンの神殿。
サクヤたちに勧められ、カムシンがショウの好物のチョコ菓子を頬張る。

カムシン「うん、美味いもんだな」
キサラ「これからは、地上人とビクトリアンが手を取り合って、新しい世界を築いていかなくてはなりませんね」

地上の映像。
無事に産まれた詩織の赤ん坊を、ゴウキが抱く。

ゴウキ「良かった。かわいいね」

サクヤ「見て! 避難所の赤ちゃん、無事に生まれたんだぁ!」
ヒヨリ「かわいい……」
レピ「逢いに行こうよ!」
キサラ「レピ!」

駆けだそうとするレピを飛びとめ、キサラが自分の水晶のペンダントを渡す。

キサラ「これを、一条寺友也に渡しなさい」


雫が丘では、激戦の跡地で復興作業が行われており、ヒカルたちUPGの面々やショウも協力している。
ビクトリウムを軍事利用しようとした神山長官が複雑な面持ちで、陣野隊長、アリサとともにその様子を見ている。

神山「結局、私は街の破壊を大きくしただけか……」
アリサ「ご安心ください、長官。我々が、もっとすばらしい街を作ります」

アリサが笑顔で敬礼を決め、自らも復興作業に加わる。

陣野「本当に強いのは破壊ではなく、築き上げていく力です。信じましょう、彼らを」


ヒカルとショウが、雫が丘の青空を見上げる。

ショウ「この空の下で、俺たちの命は皆、繋がってるんだな……」
ヒカル「そうだ! その絆を守るために、俺たちの冒険は続いていく」

ヒカルが力強く拳を突出し、ショウが拳を重ねる。

ショウ「また逢おう、ヒカル」
ヒカル「ガレット!」

ヒカルとショウが笑顔をかわし、それぞれ別々の道へと歩いてゆく。


友也は研究室で、レピから渡された水晶のペンダントを解析している。

友也「君は自分のデータを、すべてここに保存してたんですね!」

スクリーンの映像には、マナの姿があった──

そして、物語はそれから1年後を描く「ウルトラマンギンガS 決戦! ウルトラ10勇士!!」へと続いていく…。

(終)

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最終更新:2023年03月28日 13:46