ウルトラマンメビウス外伝 ヒカリサーガの最終回

地球での戦いで力尽きたウルトラマンヒカリは、M78星雲ウルトラの星で、新たな命を得て甦った。
宇宙警備隊の大隊長ウルトラの父、その妻・ウルトラの母、隊長ゾフィー。

母「傷は癒えましたか?」
ヒカリ「はい、ウルトラの母。あなたから授かった命、ムダにはしません」
母「自ら命を落としてしまえば、かけがえのない命を守ることもできません。くれぐれも、そのことを忘れずに」
ゾフィー「地球に、大いなる危機が迫っている」
ヒカリ「地球に!? 大隊長、私を地球に行かせてください!」
父「それはならん」
ヒカリ「なぜです!? 私も、宇宙の平和を守るために戦いたいのです!」
父「お前は、戦士としてはあまりに心が繊細すぎる。地球で待ち受ける数々の試練に、お前の心は耐えられるのか?」
ヒカリ「……確かに、私はあのとき、怒りに心を支配されました」

かつての惑星アーブでの惨劇──

ヒカリ「しかし、今の私は違います!」
ゾフィー「私からもお願いします。彼は、宇宙警備隊員にふさわしい真のウルトラマンです」
父「──よかろう。では、それを証明してみせろ」
ヒカリ「ありがとうございます!」

ヒカリが空へ飛び立つ。

母「彼1人で、大丈夫でしょうか?」
ゾフィー「心配はいりません。彼はもう、1人ではありませんから」
父「これは彼にとって、ウルトラマンとして最初の試練なのかもしれない」



ウルトラマンメビウス外伝
ヒカリサーガ

SAGA 3
光の帰還




宇宙を行くヒカリが、ウルトラサインを目にする。

ヒカリ「むっ、『惑星アーブで待つ、メビウス』──? なぜメビウスが、アーブに?」

惑星アーブの大地に、ヒカリが降り立つ。
初めてヒカリが訪れたときとは一変、高次元捕食体ボガールに滅ぼされて変わり果てた焦土。
突如として現れたウルトラマンメビウスが、なんとヒカリに攻撃を加える。

ヒカリ「お前、メビウスではないな? 誰だ!?」

メビウスが変身する。
今度はかつてのヒカリの姿、ハンターナイト・ツルギとなる。

ツルギ?「見ての通りさ。俺はかつての貴様だ」
ヒカリ「メビウスはどこだ!?」
ツルギ?「地球にいる、あのウルトラマンか? 奴を()るのは後だ」
ヒカリ「何ぃ!?」
ツルギ?「まずはお前になりかわり、地球へ向かう。そして人間どもの前で、破壊の限りを尽くすのさ」
ヒカリ「では、あのウルトラサインは?」

ツルギがヒカリへ攻撃を繰り出す。

ツルギ?「鎧を捨て去った貴様は、俺様の敵ではない。思い知れ、怒りこそ力の根源、復讐こそ生の原動力だ!」
ヒカリ「違う! それは本当の力ではない」
ツルギ?「ならば俺を倒してみろ、ヒカリ。もしくは負けを認め、俺様の(しもべ)になるか?」
ヒカリ「断る! かけがえのない命を守る。 俺はそう決めたんだ」

メビウス、ツルギに化けていた敵が正体を現す。
かつて変身能力を駆使してウルトラの星へ攻め入った宇宙人、ババルウ星人。

ババルウ「フハハハハ!」
ヒカリ「お前は!?」

父「ババルウ星人!?」
ゾフィー「かつて光の国からウルトラキーを盗み出した──」
母「そう、暗黒星雲の支配者」

ヒカリ「お前の策略、俺が阻止して見せる!」
ババルウ「貴様とはうまくやっていけると思ったんだがな、残念だ」

ヒカリとババルウ星人の戦いが始まる。
ババルウ星人が凍気を吐き出し、ヒカリが次第に凍結する。
ついには巨大な氷の塊と化してしまう。

ババルウ「かつて貴様が魅入られた惑星アーブ、その大地と共に死ねるんだ。本望だろう? 命が惜しいか? ならば思い出せ、憎きボガールを、あのとき抱いた復讐心を。その怒りを力に変えれば、貴様はもっと強くなれる。最後の警告だ。ここで死ぬか? それとも俺様の僕になるか?」
ヒカリ「俺は…… ウルトラマンだ……」
ババルウ「そうか、ならば死ね!」

氷塊の中で身動きのとれないヒカリに、アーブの声が届く。

アーブ「ヒカリ── ウルトラマンヒカリ──」
ヒカリ「アーブ……?」
アーブ「あなたはまだ戦えます。思い出すのです。我々と過ごした日々を。あのときの、澄んだ心を──」

惑星アーブが滅ぶ前に大地にあった結晶体が、次々に地上に出現する。
氷漬けのヒカリに、エネルギーを浴びせる。
エネルギーを得たヒカリが、渾身の力で氷塊を破る。
そして輝きと共に、かつてのハンターナイト・ツルギの姿と同じ鎧に身を包んだ姿となる。

ババルウ「バ、バカな!?」
ヒカリ「この鎧は!? しかし、この全身に漲る汚れなき力…… あのとき感じたものとは、まるで違う感覚だ」

ヒカリに戦いの力を与えた、ウルトラ一族の長老・ウルトラマンキングの声が響く。

キング「ウルトラマンヒカリよ! アーブの大地がお前の心に共鳴し、力を授けてくれたのだ。それは復讐の鎧ではない。勇者の鎧だ!」
ヒカリ「勇者の鎧……!」

(アーブ『天空より舞い降りし勇者、光の鎧をまとい、アーブの大地と一つにならん──』)

キング「さぁ、戦え! ヒカリよ!」
ヒカリ「はい!」

ババルウの猛攻を跳ね返し、ヒカリの攻撃が次々に決まる。

ヒカリ「アーブよ──っ!!」

必殺光線ナイトシュートが炸裂、ババルウ星人が深手を負う。

ヒカリ「ここまでだな、ババルウ星人!」
ババルウ「グウゥ……! この雪辱、必ず晴らす。覚悟していろ。いずれメビウスも貴様も消えてなくなる。ハハハハハ!」

もうもうと土煙が上がる。
ヒカリが煙をかいくぐると、すでにババルウ星人は姿を消している。
空にウルトラサインが浮かび上がる。

ヒカリ「『ババルウ星人は地球へ向かっている。直ちに地球に急行せよ』──」
父「メビウスと共に戦うのだ。宇宙警備隊員として」
ヒカリ「ありがとうございます、大隊長。アーブよ、あなたたちが授けてくれた力、決してムダにはしません。私は必ず地球の命を守り抜きます。この鎧にかけて」

ヒカリがアーブの大地を蹴って空へ飛び立ち、宇宙を駆け、地球を目指す。

キング「また1人、この宇宙に勇者が誕生した。その心は汚れなく澄みわたり、その体は大地のごとく頑強な光の戦士、ウルトラマンヒカリ──!」



こうして俺は、晴れて
宇宙警備隊員の仲間入りを果たした。

だが、これは終わりではない。
新たなる戦いの始まりに過ぎないのだ。
俺とメビウスの戦いは、
ますます激しさを増すだろう。

そんな俺たちに力を、心に光を照らしてくれ!



そして、物語は『ウルトラマンメビウス』第35話「群青の光と影」に続いていく…。


(終)

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最終更新:2022年07月06日 05:06