ヤミ(この地球に来て、どのくらい経っただろう)
(私は―――いつまで彩南町(ココ)に居られるだろう・・・)
美柑「リト――っ、早く起きないとチコクしちゃうよ――っ」
「リトってば――」
モモ「リトさん、リトさん、美柑さんが呼んでますよ。そろそろ起きないと・・・」
リト「ん~、ムニャ・・・」
モモ「起きないと、イタズラ・・・しちゃいますよ?」
眠るリトの上に、上着だけを羽織ったモモが乗っていた。
リト「・・・・・」
リトはモモに気付いて、飛び起きた。
モモ「きゃ、あらら・・・残念♡」
リト「モ・・・モモ!!お前・・・いつからオレの布団に!!」
モモ「うふふ・・・いつからでしょう♡」
そこにナナが入ってきた。
ナナ「あれ?起きてたのか?美柑がバカ兄貴を起こしてこいって・・・・・・」
モモ「あら、ナナ、おはよう♬」
ナナ「朝からモモと何やってんだ―――っ!!」
ナナがリトの頬を引っ張る。
リト「ぐぇ・・・ちが・・・またモモが勝手に・・・」
ナナ「待て、このケダマノ!!」
リト「ひえ――っ」
リトはナナから逃げるようにして、階段を降りた。
ララ「あ・・・おはよ―リト!」
そこには、全裸のララがいた。
ララ「は――っ、朝のおフロはやっぱり気持ちいいね――っ」
リト「ラ・・ララ!家の中裸でウロつくなって、何度言ったらわかるんだ―――!!」
ララ「え――だって~~~」
美柑「やれやれ・・・毎朝騒がしいんだから・・・もう」
リト(そう・・・これがオレ、結城リトの日常)
リトとララは学校に向かっていた。
リト「ふぅ・・・」
ララ「どーしたのリト、元気ないね――」
リト「朝からどっと疲れた・・・・」
リト(銀河を納めるデビルーク星の王女、ララが現れて以来、トラブルだらけの毎日)
(それもララの妹、双子のナナとモモが居候してきて、さらに激しくなった気がする)
(特に最近要注意なのが、デビルーク星第3王女モモだ)
モモとナナはリトとララ、美柑を見送っていた。
モモ「くすくす、いってらっしゃい♡」
リト(天然で純粋なララやナナと違って、モモの行動には何かこう・・・計算された黒さというかヤバさを感じる。いや・・・ただ遊んでるだけかも知れないけど、もともと女の子に免疫のないオレにとってモモの行動はちょっと刺激が強すぎる・・・)
(そして、オレの問題は他にも・・・)
リトは下駄箱でヤミと会った。
リト「!!」(金色の闇!!)
「・・・・!!」
ララ「あ!おはよ―ヤミちゃん♬」
ヤミ「・・・おはようございます、プリンセス」
ヤミが去っていく。
リト「ビビった・・・ララに会ってから、色んな宇宙人と会ったけどまだあいつには緊張する・・・伝説の殺し屋、金色の闇・・・やっぱり、まだオレの命を狙ってるんだろうか・・・」
春奈「結城くん、ララさん、おはよう」
ララ「あ!おはよう~」
リトの思い人である春奈も来た。
リト「!!」(春奈ちゃん!)
(ああ・・・この笑顔・・・癒される・・・♡)
ララ「リト!リト!」
リト「ん?」
ララ「チャンスだよ、告白しちゃえ♡」
リトは顔を真っ赤にして、ララを連れだした。
春奈「?」
リト「いきなり何言ってんだ!!」
ララ「大丈夫だって!絶対成功するから♡」
「うまくいけば、私も春奈もリトと結婚して一緒に暮らせるね♡」
リト「だ―――っ」
ララ「え・・・だってリト、この前私の事も「好き」って言ってくれたでしょ?」
リト「そーゆー問題じゃないっ!!一度に結婚できるのは一人だけって法律で決まっててだな・・・」
ララ「ホーリツ?」
唯「ちょっとあなた達!そんな所で二人で何やってるの!風紀委員として行内でのハレンチ行為は許さないわよ!」
ララ「唯!」リト「古手川・・・」
風紀委員の古手川唯が通りかかった。
彼女は大量のプリントを抱えている。
ララ「あはは!ちょっとお話してただけだよ~」
唯「フン・・・どうだか」
リトが唯の抱えていたプリントを代わりに抱えた。
リト「うわ、結構重いなこれ。教室に運ぶんだろ?オレがやるよ」
ララ「やっさし~♡」
リト「そんなんじゃねーよ」
唯「あ・・・あああ、ありが・・・」
セリーヌ「まう―っ」
リト「セリーヌ!?」
ララ「セリーヌちゃん!?」
リト「何で学校に・・・わわっ!!」
セリーヌに飛びつかれ、リトがバランスを崩す。
唯「えっ」
リト「だ――っ」
唯「ちょっ・・・きゃつ!?」
リトは階段から落ちた拍子に、唯の股間に顔を埋め、下着をずり下ろしてしまってた。
唯「ハレンチな―――っ!!」
唯がリトを殴った。
ララ「あっ」
ナナ「何でいつもパンツに突っ込むんだ、アイツ・・・・」
モモ「相変わらず神業のような転びっぷり・・・♡」
階段の上に、彩南の制服を着たナナとモモがいた。
ララ「ナナ、モモ!?あれ?何で制服!?」
ナナ「へへー、あたし達今日からこの学校に転入するんだ!」
モモ「お姉様達を驚かせようと思って秘密で準備していたんです」
ララ「え!そーなの!?すごーい、全然気づかなかったよ――!」
ナナ「モモとセリーヌと留守番してるのも退屈らからなっ!」
唯「転入・・・って一年?そういう歳だったの?あなた達」
モモ「ふふ・・・細かい事を気にしない校長先生で助かりました♡」
校長(可愛いからOK!!)
唯「あ―――・・・」
ナナ「つー訳でヨロシクな、コテ川!」
モモ「ナナ!「ヨロシクお願いします」でしょ、先輩方には礼儀正しくしなさい」
「皆さんと仲良くできるように頑張らなくては・・・ね!リト先輩♡」
リト(ハッ!!まさかモモの奴・・・昨日の事、本気で・・・!?)
前日 夜 結城家バスルーム
リト「は~~~~~・・・」
「これからどうするかな・・・春奈ちゃんに告白しようにも、ララとの関係に決着つけてからじゃないと、保険かけてるみたいでイヤなんだよなァ・・・」
「ララが言うように、両方ともくっついて幸せになろうなんて・・・虫が良すぎるもんな~~~・・・」
モモ「そうでしょうか?私はそうは思いせんよ?」
リトが風呂に入ってる所に、モモも入ってきた(当然の様に、全裸であった)
リト「モモ・・・お前・・・何入って来て・・・!!」
モモ「し――っ、今日は大切なお話があるんです。大丈夫・・・身体はキレイにして来ました。・・・ねぇリトさん、きっとリトさんはご存じないですよね?」
モモが浴槽に入ってくる。
リト「ちょ・・・・・」
モモ「リトさんに秘かに想いを寄せる女性が、実はけっこう周りにいる・・・って事」
リト「は!?」
モモ「リトさん次第で幸せになれる女性が沢山いるんですよ・・・それってとても素晴らしい事だと思いませんか?」
「だってリトさんは、次期デビルーク王の最有力候補・・・王が側室を持つ事に何の問題もありはしませんもの」
モモの胸が、リトの胸板に押し付けられる。
リト「・・・・、オ・・・オレっ、もう出るっ!!」
リトが浴槽から立ち上がるも、股間をモモに見られた。
モモ「・・・♡」
「・・・迷う事はありませんわ。創りましょう・・・!リトさんの‘楽園‘を」
「皆が素直になれるよう、私がお手伝いしますから♡」
リト(楽園を創る・・・・・・確かにそう言った・・・あ・・・あれが冗談じゃなかったとしたら・・・・・)
「い・・・いや、いくらなんでもそんな・・・」
1-Bの教室にナナとモモが入った。
ナナ「ナナ・アスタ・デビルークだ!」
モモ「モモ・ベリア・デビルークです♡」
男子たち「「「おお~~~!!」」」
その直後、モモの周りに男子たちが集まってきた。
男子たち「モモさん!お話があるんですがっ!!」
「オレも!」「ぼぼ・・・僕も!!」
「今付き合っている人いる!?」「趣味は?」「好みのタイプは!?」
「ララ先輩の妹さんだよね?」「メアド教えて~~~~♡」
モモ「やだ~~~そんな困りますよぅ」
ナナ「フン、まーたいい子ぶってら、何であんなヤツがモてるんだ?」
「・・・ちぇっ、姉上達のクラスにでも行くか・・・ん?」
窓際に、一人の少女が立っていた。
ナナ「・・・・・・何してんだ?お前」
少女「・・・あのコ達を見てるの、一緒に飛んで・・・お友達なのかなぁって」
窓の向こうの空で、2匹の鳥が飛んでいた。
ナナ「あ・・・鳥か!「今日は南の方へ飛んでいこう」・・・ってさ」
少女「あのコ達の言葉がわかるの?」
ナナ「ああ、あたし生まれつき動物の心が読めるんだ!テレパシーみたいなもんかな」
「おかげで、宇宙中に色んな動物の友達がいるんだぜ」
「あ・・・ホ・・・ホントだぞ、言っとくけどなっ」
少女「素敵!」
ナナ「へっ」
少女「動物とお話できるなんてすごい才能ね!!そんなヒトがクラスにいたんてわたしビックリ・・・・・・あれ?あなた・・・クラスにいたっけ?」
ナナ「いや・・・さっき挨拶したろ、転入したんだよ」
(のんびりしたヤツだな――)「お前、名前は?」
芽亜「わたし芽亜、黒咲芽亜!えっとあなたは?」
ナナ「ナナだよ、ナナ・アスタ・デビルーク、よろしくな!」
モモは教室から出ていた。
モモ「疲れた・・・クラスの男子達には慎みってものがないわね・・・下心丸見えでガツガツしてて・・・リトさんの爪の垢でも飲ませてやりたいわ・・・」
「はぁ・・・リトさんの慌てふためく表情・・・何であんなに可愛いのかしら♡」
(でも・・・リトさんが今のままじゃ私も困るのよね、愛人の立場さえ成り立つとは思えないもの)
(やはり荒療治は必要だわ)
(‘楽園‘を創って、リトさんを「肉食系」に変える!!)
(そうすればお姉様の恋も成就するし皆幸せ♡私の事も思いっきり愛してもらえるはず♡)
(そのためにはまず・・・外堀から埋めていかなくては!!)
モモは、ベンチに腰掛け好物のたい焼きを食べているヤミに声をかける。
モモ「ヤ――ミさん♬」
ヤミ「あなたは・・・モモ・ベリア・デビルーク・・・私に何か用ですか?」
モモ「ふふっ、せっかく転入してきた事だし、同じ宇宙人同士お友達になりたいと思いまして♡」
ヤミ「友達・・・私とですか?」
モモ「はい♡」
ヤミ「・・・・・別に友達募集はしていません。友達なら美柑がいるので間に合ってます」
モモ(・・・やはりこの人は一筋縄ではいかないみたいね、‘金色の闇‘・・・・)
(全身を武器に変化させる‘変身能力‘を持つ伝説の殺し屋、本名・素性は一切不明、
地球に来て以来、リトさんを「標的」として狙い続けている)
(でも・・・私知ってるんですよ、あなたの好物であるその‘たいやき‘の味・・・
あなたに初めて押してくれたのは、リトさんという事を・・・
私の勘では、彼女も少なからずリトさんに惹かれている女性の一人・・・しかし・・・一方で、まだ彼女にとってリトさんは始末すべき‘標的‘でもある・・・彼女がどちらに転ぶかが、‘楽園計画‘の行く末を左右するとも言える重要な存在・・・)
(だからこそ堕とし甲斐がある・・・・!!彼女をリトさんにメロメロにしてもらえば、リトさんの身の安全は保障される・・・!)
「そうだ!いっそヤミさんも転入してみたらどうですか?」
ヤミ「転入・・・?別に転入する理由がないので・・・」
モモ「そんな事ありませんよっ、制服も着られるし、学校行事にも堂々と参加できますよ?」
ヤミ「制服・・・行事・・・」
モモ(!反応あり!!)「そうですよ!彩南祭とかプールとか!・・・それに・・・リトさんとも親しくなれるかも♡」
ヤミ「・・・エンリョしておきます」
モモ「あ」(しまった、急ぎすぎた・・・)
「えっと・・・」
リト「うわわわ、よせっ!!」
リトが2人の近くに逃げてきた。
モモ「リトさん、どうしました?」
リト「モモ!あ・・・あいつらがいきなり襲ってきて・・・」
モモ「え!?」
リトを追ってきたのは、友達の猿山を初めとした数人の男子たちだった。
男子たち「ヒヒ・・・」「アアァ・・・!!」
モモ「な・・・何ですか、あなた達!」
リト「さ・・・猿山のヤツ、さっきまで普通に話してたのにいきなり・・・・・」
モモ「!?」
猿山?「み・・・見つけたァ・・・‘金色の闇‘・・・!!オレらとォォ、遊ぼうぜェエェ!!!!」
猿山達がヤミ達に襲い掛かる。
モモ「リトさん!」
モモがリトをおしのける。
猿山の拳の一撃が、ベンチを砕いた。
ヤミは、上空に飛びのいていた。
ヤミ(この力・・・普通じゃない、何者かに操作されている―――・・・)
ヤミは着地したところを、男子たちに手足や髪を掴まれた。
ヤミ(はやい!・・・いや、違う。私が鈍っているんだ、地球の生活に慣れすぎて・・・・)
リト「ヤミ!!!・・・ハッ」
リトは、ヤミの胸やパンツがはみ出しているのを見てしまう。
リト「あの、いま助けに・・・・」
ヤミ「見ないでください!!」
リト「のわっ、あああああ」
ヤミの髪の毛がリトの目を隠し、そのまま回転させた。
モモ「リトさ―ん!!」
猿山「うひょ―っ」
猿山がヤミに飛び掛かろうとしたが、ヤミは髪の毛を‘変身‘させた複数の拳で男子たちを殴り飛ばした。
ヤミ「えっちぃのはキライです」
男子「ガァァアァッ」
残る2人の男子が、モモとリトの方に向かう。
リト「モモ!?」
モモ「リトさん、危ないです。私の下に!」
リト「へっ!?」
リトがモモの足元に寝かされる。
モモは2人の男子の攻撃をかわす。
リト(目のやり場に困るんすけど・・・)
モモが攻撃をかわした拍子に、リトの眼前にモモのお尻が迫った。
リト「!!」
モモが携帯型転送システム‘デダイヤル‘を取り出す。
モモ「転送!!」
地面から太いツタが出てきた。
リト(な・・・何が起こってるんだ~~~!?)
モモが立ち上がる。
モモ「もう大丈夫です」
リト「お!?こ・・・これって」
2人の男子は植物のツタに絡まれ、動きを封じられていた。
モモ「お忘れですか?植物と心を通わせる私の能力を」
「幼い頃から銀河のあちこちで収集した数百種の植物達・・・全てが私の思いのままですわ♡」
気絶したはずの猿山の口から、彼らを操っていた者の声が聞こえてきた。
?「やはり・・・誰一人息の根を止めていないか・・・地球で牙を抜かれたと言う情報は本当だったらしいな」
ヤミ「・・・何者ですか」
?「本当の君を知る者だよ、目を覚ませ、金色の闇・・・地球は君のいるべき場所ではない・・・!!」
「そう・・・君の本質は闇、殺戮以外に生きる価値の無い存在、地球人と仲良くできるはずがない、甘い夢など・・・もう終わらせるべきだ」
「ターゲット、結城リトはすぐ側にいるのだから・・・・・」
芽亜が校舎の窓から、ヤミ達を見ていた。
(続く)
最終更新:2016年03月09日 22:10