ニセコイ:の第1話

朝、ギャング「ビーバイブ」の豪邸の中で、
少女、桐崎千棘は目を覚ました。

千棘「ふわ~わ」
(あっ、そうか・・・私、好きな人ができたんだ・・・)

コレカラ

千棘「よっ」
千棘が制服に着替える。
千棘(私は今、恋をしている)
(恋をすると、世界が一変して見えると聞いた事があるけれど・・・)

楽「ふわ~わ」
千棘の思い人である主人公、一条楽が来た。

千棘(私の場合、別段さしたる変化がある訳ではなく・・・)
千棘は、いったん楽から隠れる。そこから、ガラスに映る自分を見て、ポーズをとる。

千棘「おはよ、ブサイク」
楽「てめ、朝っぱらから開口一番・・・」
千棘「その口、手で覆いなさいよね。みっともない」
楽「・・・・・」
千棘「何?」
楽「いや、冬服見てると初めて会った頃のひざ蹴り思い出して寒気が・・・」
千棘「・・・そのひざ蹴りとはこいつのことかぁ!」
千棘は楽の顔面に両膝蹴りを叩きこんだ。
楽「いてぇな!何しやがるんだ、こら!」
千棘「あんたの彼女が新しい制服着てきたのよ!少しは褒めたらどうなの!」
楽「あーそうかい、可愛いよ、可愛い」
千棘「へへっ・・・」
(て、いかんいかん。何よ、あからさまなお世辞に喜んでるのよ、私)
(ま、少しくらいは変わった事もあるかもれしないけど)
(何でもない事で浮かれてみたり・・・)

2人が教室に入る。
るり「あ、一条君と千棘ちゃん、おはよう」
小咲「おはよう」
楽(ふわ~~♪)
万里花「楽さま~!」
万里花が机を吹き飛ばしながら、楽に抱き着く。
万里花「おはようございますですわ~」
鶫が銃を取り出す。
鶫「一条楽!貴様、お嬢という人がありながら!」
千棘(ムカツク事が更にムカついたり・・・!)

千棘(まっ、とにもかくにも、かくして私は、念願だった恋を不本意ながらこんな男にするハメになった訳だが・・はてさて、どうなることやら・・・)
(・・・あれ、本当にどうなるんだコレ!?)
(ちょっと待って、こいつの事を好きだって分かったのはいいけど、じゃあ、その次って何があるんだろう?)
(好きって事は、私はこいつと、その・・・付き合ったりするのかな?
つまりニセモノじゃなく、本物の恋人に・・・う~ん、何か違う様な。
そもそも付き合うって何すんの?
こう、二人で下校したり、帰りに買い食いしたり、休日に二人でデート・・・それって今と変わんなくない!?)
(じゃあ、そもそも・・・私はこいつに・・・好かれたい、のかな?)

舞子「一条きゅ~ん、あは、あははは、おいでおいで~」
楽「キモい呼び方すんな!」

千棘(近い気はする・・・でも、何だろう。どうもしっくりこないような・・・
あれ、どうしよう!本格的に分かんなくなってきた!私、一体こいつとどうなりたいんだろう?)
楽「おい、千棘」
楽が舞子から受け取ったのは、あの錠前のペンダントだった。


中庭に、楽、千棘、小咲、万里花の4人が出た。
千棘「え、ペンダント帰ってきたの!」
楽「あぁ、まあ一応な。この3人には伝えた方がいいと思ってよ。あ~この感触、落ち着く~」
千棘「キモイ」
小咲「良かったね、無事直って帰ってきて」
楽「いや、それがな・・・」
万里花「ではでは楽様!早速、そのペンダントをこの鍵で開けてみようじゃありませんか!」
万里花が自分の持つ鍵を出して、楽に迫る。
楽「うわ!ちょ、ちょっと待てって、橘!」
万里花「良いではありませんか!これで気になる初恋の相手が分かるんですよ?
まー私に決まってますが!これでようやく結婚の約束をしたのが私だと証明されますわ!
ほらほら、そこの二人も早く知りたいと思ってるに決まってますわ!」
楽「だからその、早まんなって~」
千棘「わ、私は・・・」
楽・万里花「?」
千棘「私はまだ・・・開けなくていいんじゃないかな・・・」
小咲(千棘ちゃん・・・?)
千棘「ほら、だって、その・・・焦る事じゃないじゃない?
ちょっと落ち着いた方が良いってゆうか・・・それにあくまで子供の頃の話なんだし・・・」
楽(・・・何だコイツ?この前はさっさと確かめてやるって感じだったのに・・・)
万里花「あらあら桐崎さんたら、自分が運命の相手じゃないと分かるのがよほど怖いのですわね。分かります、分かります」
千棘「な!別にそんなんじゃ・・・!」
小咲「私も、ちょっと知りたいかな・・・・」
千棘「小咲ちゃん!?」
小咲「もし、誰が開いても、子供の頃の話だし・・・やっぱりその気になるっていうか・・・」

楽「いや、だから待て待て待て待て!まだ壊れてるんだってば、このペンダント」
千棘・小咲・万里花「「「へ?」」」
楽「あ―、つまりだな・・・」

店主「あ―、つまりだな・・・刺さっていた鍵を抜いて、直す所までは出来たんだが、
ペンダントの奥に何かが詰まっていて、普通の方法じゃ錠を開けられないんだよ。
ぶっ壊すなら取り出す事も出来るけど、どうする?どころで集、例の写真集は?」
集「直ってないんじゃな~」
店主「え!?限定版のサイン付き―!」

楽「という訳で・・・」
真里花が工具を取り出し、ペンダントに迫る。
楽「うわ!壊すな壊すな!俺にとっては大事な物なんだよ!」
「とにかく、いずれは開ける方法が見つかるかも知んねえだし、それまでは、ちょっと待ってくれ。それでも方法が見つからなくて、どうしても真相を知りたいってなったら、
その時はこれを壊して、中を見てみよう。それがヒントになるかもしれねぇし」
万里花「仕方ありませんわね」
小咲「壊さずすめば、一番だけどね」

万里花「それにしても何でしょうね?このサイズで中に入れておく物って?」
小咲「再会したら一緒に取り出そうって言ったんだよね」
楽「ああ」
万里花「婚約指輪、だったりして・・・」
楽・千棘・小咲「「「!!」」」
万里花(うふ、面白い人たちですわ・・・)


その後、千棘と楽が2人で帰っていた。
千棘「たく無駄に緊張しちゃったわ。どうしてくれんのよ、この肩すかし感!」
楽「俺だってすぐに言おうとしたんだよ!」

千棘(でも、もしペンダントが開いてたら、一体どうなってたんだろ?)
もし私の鍵で開いていたら・・・もし私の鍵で開いていなかったら・・・)
(もし、私がこのままこいつのことを好きになっていって、その先で私が約束の子じゃないって分かったら・・・私はどう思うんだろ・・・?)
(分かってる!あくまで子供の頃の話・・・でも気になって・・・)
(あ、どうしよ。不安になってきた。私、こいつとどうなりたいかもまだ分かってないのに!)
楽が足を止め、千棘の方を振り返った。
千棘(どうなりたいんだろ、ずっと今のままがいいのかな?
まぁでも、私から何もしなきゃ、こいつ一生、私の気持ちに気付きもしないだろうなぁ・・・)

楽「なあ千棘」
千棘「なに?」
楽「お前、今日ちょっと様子変じゃねえか?お前の顔見てて、もしかしてって思ったんだけど、お前やっぱり・・・」
千棘(うそ・・・まさか気づいたの、私の気持ちに?私、そんなに顔に出てた?
いやいや、まさかこの馬鹿に限ってそんな事・・・どうせまたしょうもない事言うに決まって・・・)
楽「たく、何でもっと早く言わえんだよ・・・・お前・・・・腹減ってんだろ!」
千棘(はぁ?)
楽「やっぱりな。長ぇこと一緒にいるから、お前の事は大体分かる様になってきたぜ。
何を深刻そうな顔してるかと思えば、大体腹減ってる時なんだよ。そういやお前、昼もあんまり食ってなかったもんな。あっ、そうか、もしかして、ダイエットちゅ」
千棘「このドアホウ!!」
千棘が楽の顔面をぶん殴り、
楽は成層圏の彼方までぶっ飛ばされた。(あくまでも、イメージである)

千棘「・・・ぷっ、あはは」
(まっいっか、難しい事は後回しで)「ねーねー、またラーメンおごってよ」
楽「はぁ?何で俺が!てかやっぱ腹減ってんじゃん!」
千棘「それはもういい!」

ニセコイ:

キヅイテ



キヅイテ
千棘は、2人のクラスメートと一緒にいた。
千棘「う~最近唇乾燥するな~」
クラスメート1「千棘っち、リップ使ってないの?」
千棘「リップ?」
クラスメート1「ちょっと待って、貸したげる」
クラスメートがリップを取り出した。
クラスメート1「ジャーン,実は最近こんなリップ買ったんだ。ほら、唇がプルプルになる奴。使ってみ?」
千棘「うん」
千棘がリップを塗った。
クラスメート1「わぁ~、すっごいカワイイ~~」
クラスメート2「すごく似合ってるよ、千棘ちゃん」
千棘「そうかな・・・?」
2人が、千棘の頬を突き、脇をくすぐる。
クラスメート1「くそ―このモデル顔め、何でも似合いやがって~」
千棘「ちょ、痛い痛い・・・」
クラスメート2「このこの~」
千棘「やめ・・・」

クラスメート1「気に行ったなら、それ使っていいよ」
千棘「え、いいの?」
クラスメート1「うん、正直持て余してたし、千棘っちの方が似合うしね」
「こりゃ、彼氏の一条君もメロメロになっちゃうんじゃない?明日も付けてみ?」
千棘(そうかな・・・あいつ、可愛いって言うかな?でもあいつ、馬鹿みたいに鈍いからなぁ・・・)


翌朝、千棘と楽が会った。
千棘「・・・お、おはようダーリン!」
楽「お―、おはようハニー。今日はまた一段と冷えるな―」
千棘「きょ、今日の一限って何だっけ?」
楽「確か英語。宿題は特に無かったと思うぞ」
千棘(・・・フッ、まあ見事に気づきやがらないわね、まあこのくらいは想定内だけど・・・)
「ん、んんっ―、そ、そういえば、冬といえばさ、乾燥の季節だわよねー・・・」
楽「は?何だよいきなり」
千棘「・・いや・・・その・・・唇とか渇くな~と思って・・・」
楽「唇?そーなんだよな、俺もこの季節よく唇が割れてな。痛いわ、血出るわで、しかも中々治んねぇよな―」
千棘(・・・うおい!?気づけよ!せっかくアピールしたのに・・・
この、どうしてくれんのよ、私のこの小さな勇気を・・・何よ、私の事なんてちっとも見てないとでも言いたいわけ・・・?ちくしょー、このままじゃ何か収まんない!)

2人が教室に入る。
小咲「あ、お早う千棘ちゃん。あれ、千棘ちゃん今日リップ付けてる。かわい・・・!?」
千棘が小咲の口を塞いだ。
千棘(こうなったら何としても気づかせてやるんだから!)

夜、千棘がシャワーを浴びている。
千棘(でも・・・あの鈍感相手にリップ一つじゃ心もとないわね・・・)
「お」
千棘がシャンプーを取った。

翌日。
千棘「お早う、もやし」
楽「お、おは・・・」
千棘「んっん―!いや―、なんだか今日はアレね、昨日に比べると少し・・・空気が温かいようね・・・」
千棘が髪をなびかせる。
千棘(どうよ!今朝使ったシャンプーはいつもより5千円も高いのよ!
これは流石に気づいたでしょ!この甘-い香りを嗅げば・・・)
楽「は―っくしょん!」
楽がくしゃみをした。
楽「そうか?俺は昨日よか寒いんじゃないと・・・
千棘(私の秘蔵のシャンプーをくしゃみで一蹴!?こんのドアホウ!もやしのくせに・・もやしのくせに・・・)


夜。
千棘(いや待て、ちょっと落ち着こう!リップやシャンプーくらい女の子だって気付かない事あるもの、無理ないわ。仕方無い、あいつにはもっと分かりやすくいかないと・・・)
千棘はネイルを塗った。
千棘(ジャ――ン!これならどうだ!ネイルなんて滅多にしないけど、うんよし!可愛く塗れた気がする。これだけ分かりやすければ気づくでしょ!)


翌日、教室にて
千棘「ねーねー楽」
楽「あ?」
千棘「これ、この間借りたプリント・・・返すわね」
(さーご感想は?)
楽は無言でプリントを取った・
千棘(!!)
千棘は人差し指の爪で、楽の頬を付く。
楽「痛っ!え、いていて!何すんだ、てめえ・・・」
千棘「感想は?」
楽「いや痛ぇよ!」
千棘「あ―そう、じゃあ次はグーで殴ってやろうかしら」
楽「何でそーなんの・・・」

千棘(も―こいつがここまで、アンポンタンとは思わなかった!
なんで気づかないの?それとも気付いてるのにコメントが無いの?)
(どっちにしても悔しい~!かくなる上は・・・かくなる上は・・・!)


翌日。クラスメート達がざわめく。
千棘は頭のリボンをラメ付きの物に変えてきた。
千棘(これなら!これならどうよ!流石にこれは気付くでしょうし、これだけ大きな変化なら流石に無理は出来ないんじゃない!)

小咲「あ―千棘ちゃん。そのリボン、イメチェンしたの・・・!?」
千棘は、再度小咲の口を塞いだ。
楽「おはよ―っす」
千棘「あ、ダーリン。今日は遅かったのね」
楽「ん?おはよう、ハニー。今日はちと寝坊しちまってな、昨日宿題出てただろ?
千棘「ああ、そうなんだ・・・」
楽「ま、まだ提出はまだ全然先なんだけどな」

千棘(お――い!!)
(ちょ、何でスルーなの!そんなのってある!?
「ちょっとあんた!今日の私について何か言うことはないの!?」
楽「は?・・・ゴ、ゴキゲン麗しゅう?」
千棘(何だその答えは!)

千棘「・・・あ、あ~私もそう言えば、勉強して肩が凝ったな~・・・」
千棘は背伸びして、楽の方にリボンを傾ける。
楽「へーお前が真面目に勉強ね、本当はドラマでも見てダラダラしてたんじゃねぇのか?」
千棘(な、何で!?どうして何も言わないの!
(でも、気づいていたら流石にリアクションあるだろうし・・・こいつどこまで鈍感なの!?)
(も―信じらんない!)

チャイムが鳴った。
千棘は豪勢な弁当を食べる。
千棘(リボンは私のチャームポイントだったのに・・・どうやったら気づいてくれるの?
それとも私は眼中にないってか?)
楽「お前、今日の弁当・・・いつもの神戸牛じゃなくてイベリコ豚なのか!ビタミンはいいよな、ビタミンは!」
千棘(それには気づくのかよ!何よ!牛か豚かなんて私も今気づいたわよ!)
(私の変化はそれ以下って事!?腹立つ――!


千棘と楽は2人で帰る。
千棘「ちょっと一条さん!」
楽「・・・はい?」
千棘「あ、あんたの彼氏としての力をテストしてあげるわ!最近の私の変わった所を指摘してごらんなさい!」
(何かむなしい・・・)

楽「・・・どっか変わったか?あ、いやスゲー変わったな、変わった気がする。
えっと・・・最近ちょっと太っ・・・」
千棘は楽をぶん殴った。
千棘「あんたね―!」
楽「す、す、すまん!今の嘘!えと、前髪切ったとか・・・」
千棘「切ってない!」
楽「・・・マスカラつけたとか」
千棘「天然物よ、コレは!」
楽「・・・背伸びたとか・・・」
千棘「そんな急に伸びるか!」
楽「・・・・新しいダイエッ・・・」
千棘「もっぺん殴ってあげよか?」
楽「でも他に変わった所って言われても・・・」
千棘(たく・・・何で私こんな奴好きになっちゃたんだか・・・)
楽「まさか、3日前ぐらいからリップ付けてるのは違ぇだろうし・・・」
千棘「・・・気付いてたの、あんた・・・?」
楽「え?もしかして変わったっての、それの事?」
千棘「じゃあ、シャンプーは?」
楽「あ、やっぱ変わってたのか」
千棘「ネイルは・・・?」
楽「まぁ、一応」
千棘「何で気づいた時に言わないのよ!」
楽「はあ!?何でオレがそんな事言わなきゃなんね―だよ!!」
んなもん、気づいたって、わざわざ「似合ってんな」なんて男が言わね―だろ、フツー・・・」
「まっ・・待て、今のナシ!だって変だろ。何でオレがお前にこんなこと・・・!」
千棘「変じゃない!女の子にとってはそういう所に気付いてもらえるかは重要なの!
私も女の子にモテたかったら、そういう所に気を配れば!?
それとも何!やっぱり全然似合ってなかったの!?かわいくなかったって言いたいの!?」
楽「そこまで言わねえけど・・・まぁ、可愛かったんじゃないですか。お嬢様・・・」
千棘「・・・へ、へへへ。だったらいいのよ」


千棘「ところで、このリボンの感想はどう?」
楽「は、リボン?・・・うわっ!いつもと違う!?」
千棘「・・・気付いてなかったの?」

ニセコイ:

つづく

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最終更新:2016年06月29日 08:48