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【ジョン】オリジナルスタンドSSスレ【万】 第五話

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だれでも歓迎! 編集
中条「はぁ・・・はぁッ!!


―ガララ・・ッ!


中条「すいませんッ!遅くなりました!


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

駆け込んだ先は生徒指導室。
そこには椅子に座って足を組み、禁煙パイポをくわえた上城の姿があった・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

上城「・・・・・


中条「(やばい・・・怒ってるか?



上城「ふぅ~・・・
なかなか・・
煙草ってのは止められないモンだな。

娘の小さい頃は「パパ煙草臭~い」って、良く言われたものだが・・・
思春期の難しい頃、丁度君と同じように
親元を離れて一人暮らしを始めたんだ。
恥ずかしいことに娘の卒業式も出てやれなかった・・ま、私も教師だからな。仕方ないちゃあ仕方ない。
それで、卒業式の晩に言われたんだよ。 「煙草は体に良くないから止めろ」って・・・

それが娘と交わした最後の会話だ・・・
ハハッ・・何とか止めようと思っているんだがねぇ。


ドドドドドド・・・


中条「(な、何だか分からねえが・・・話を合わせておくべきか)
・・・そうなんですか、残念です。
でも先生はきっと止められますよ!
娘さんの遺志を・・最後の言葉を覚えている限りッ!

上城「いや生きてるよ。
ちなみに、先週も電話で話した。
仕事で海外を飛び回ってるらしいんだが、近々日本に帰ってくるらしい。
5年ぶりかな・・・


じゃ、このプリントを今日中に終わらせるように。


―ドサッ・・・


中条「ドサッ?今ドサッって・・・


机の上に山の様に置かれたプリント。
50枚は軽く越えている。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

中条「あ、あの、先生?
まさかこれ全部・・?

上城「いかにも。
5分で1枚やれば昼過ぎには終わるさ。
・・・簡単すぎたら罰にならないだろ?
じゃ、先生は会議があるから。頑張って。

―ガララ・・

―・・ピシャッ


こうして、中条は部屋に一人取り残された。


中条「と言うか・・・娘の話、いらなくねぇか?


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

―ダダダダダ・・・ッ

―ガララッ!


大和久「すいませんッ!遅くなりまし・・・って、あら?


勢いよく応接室の扉を開けた大和久を出迎えたのは、窓から差す春の日射しと応接室の家具のみであった。


ドドドドドドドド・・・・


大和久「・・・・

何だ、まだ来てねぇじゃねえかよ。
焦って損したぜ。


井川「おや、同時到着かな?おはよう、大和久礼司君。

大和久「・・・・!

不意に後ろから声をかけられ、振り向くとそこには二人の刑事の姿。


角田「おはようございます。


大和久「お・・・おはようございます(いつの間に後ろに・・?)


井川「上城先生はまだみたいだね。
・・・早く始めて早く終わらせようか。
君もその方が良いだろう?

大和久「まぁ・・そりゃあ。

井川「決まりだね。始めよう。

―スッ。


大和久の脇をすり抜けて応接室のソファに腰をおろす井川。

井川「どうぞ。

勧められるまま、大和久も井川の向かいに座り、最後に角田が井川の隣に座った。


―カラ・・カラ・・・

大和久「・・・ん?


聞き慣れない音に、顔をいぶかしめる大和久。


角田「あ、これは失礼。


そう言って角田が手を開くと、中には金属の玉が二つ・・・

角田「刑事は体力勝負ですから、いつでも鍛えていないとね・・ハハハ。


大和久「あぁ~、胡桃とかで握力鍛えるアレですか。
僕も昔やりましたがすぐ飽きちゃったんですよね・・アハハ。
ちょっと触らせてもらってもいいですか?

角田「いいですよ、どうぞ。
息をするかのように、筋トレを生活の一部にすれば良いんですよ。


大和久「ハハ・・それって難しくないですか?


受け取った玉を掌で弄びながら、談笑していると
わざとらしい咳払いが一つ。

大和久「あ・・すいません。

角田「じゃ、じゃあ始めましょうか?

井川「・・・ま、良いんですけどね。
じゃあ、大和久くん犯人の顔を思い出しながら質問に答えてくれるかな?



ドドドドドドドド・・・・

―ガララ・・・

管尾「失礼しま~す。
・・・って、誰もいないよね。


―ドサッ。

ジャージと荷物を机に置き、椅子に腰掛ける。


管尾「・・・はぁ。
夕方まで待つのは、正直しんどいなぁ。

でも一人で帰るのは心細いし・・・
はぁ~、お腹すいた・・・


わざと大きめの声に出して独り言を言ってみるも、返事がある訳でもなく・・・

彼(彼女)の孤独をますます深めるばかりであった。



―――――――


―――――


―――――


ただただ、時が過ぎるの管尾は待つ。

ペン回しの練習をしたり、ジョナニーをしたりして暇を潰していたがやがて限界がやって来た・・・


管尾「(あまりに・・・あまりに暇すぎる・・・ッ!
このままじゃ発狂してしまうッ!!


空腹と疲労、そして孤独の限界に管尾の脳は休息を欲し・・・
やがて、管尾は机に突っ伏して眠ってしまった。



ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


―ガラ・・・ッ

管尾「ん・・?


どれくらい眠っていたのだろう?
中条君、用事済んだのかな?
それとも大和久君かな?


そんな事を考えながら、寝ぼけた眼をドアの方へ向けると

全く知らない人間が立っていた。


管尾「・・・!!
ぎぎゃあッ!


ビックリして飛び上がり、机を蹴飛ばしてしまう。


?「うわッ!ビックリした・・
君は、何で休みなのに学校にいるんだい?

管尾「あ・・いや、人を待ってるんです。

ドア前に立つ人物を良く見れば織須田高の制服を着ている。ネクタイの色が赤なので3年生であろう。


?「ふーん・・・
君、見たこと無いけど緑ネクタイの1年生か。
ってか、何で男子の制服着てるの?


管尾「あ・・これは、私の・・・と言うか借り物で・・モニョモニョ・・・


?「ふーん。まぁ良いんだけどさ。

管尾「・・・・

?「僕は【越智 文規(オチ フミノリ)】
一応、図書委員長をしている。
今日は・・・まぁ、返却滞納生徒の洗い出しに来てるんだけど・・・


管尾「だけど?


越智「・・・そろそろ帰らないと危ないからさ。


ゴゴゴゴゴゴ・・・

管尾「危ない・・って、何がですか?


越智「七不思議だよ・・・。
管尾 仁義 君。


管尾「―ッ!?
(な・・何故、僕の名を!?)


ドドドドドドド・・・・


越智「ちょっとだけ君の私物を覗かせてもらったよ。
察するに【女に変えられ】てしまったんだろう?


管尾「・・・!


越智「僕のスタンドが見えていないんだね・・・
まぁ、いいや。

4時44分に校内に一人でいるとピンクのカバに襲われる・・・


管尾「・・・放送室の噂ですね。
知ってますよ。

越智「そうだろうね。噂は巡っている・・・現実になった事が物語ってるよ。


チラと時計を見ると4時41分・・・

彼の言っている事が冗談でなければ後3分でピンク色のカバが襲いかかってくる筈だが・・・


越智「ハハッ・・大丈夫だよ。【一人】でいなければね。


管尾「・・・・
(この人は何か知っている。
スタンドってのが何かわからないけど、
僕が女性に変えられた事に気づいたって事は、元に戻るヒントを知っているかもッ!!


ドドドドドドドド・・・

越智「そんな顔をされてもねぇ・・
僕じゃあ君を元に戻せない。
変えた本人じゃな・・


―・・シュッ!

越智の背後を白い影が横切るのを管尾は見る・・・

越智「・・・・!
何て事だ。そっちの噂も現実化済みかよ・・・!


管尾「・・・な、何の話?


―ドガラララッ!!


物凄い早さで扉を閉め、越智は教室内へと飛び込む!

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


管尾「え、え・・と、何?


越智「猿だ・・・猿だよッ!!



―ドガシャアァアアッ!!


教室の扉が派手な音を立てて破られる!!

大和久「(・・・ったくよォ~!
早く終わらせるって、既に4時40分になるぜ?)


あれから程なくして、上城が合流するも何度か途中で抜ける事があった。
他の仕事もあるだろうから、大和久に付きっきりと言うわけにはいかないのだろう。


上城「あぁ、もうこんな時間だ。
すいません刑事さん、ちょっとだけ席を外させていただきます。

井川「ええ、どうぞ 。
・・あ、トイレはどこにありますか?

上城「教室を出て左の突き当たりを右に行けばありますよ。


角田「どうも。

井川「大和久君、悪いね。
あと少しで終わるからさ・・


そう言って大和久以外の人間は部屋から出て行く。


時刻は・・4時43分。


――――――――





中条「くっそぉお~ッ!!終わらねえ!終わらねえぞッ!!
畜生!上城の野郎が!クソッ!クソッ!


山積みのプリントは、半分以下になっていたがそれでもとても残り数時間で終わる量ではなかった。



―カチッ・・

時計の針が4時44分を指す・・・



―キーンコーンカーンコーン・・・・


中条「・・・あ?
チャイムが鳴るような時間じゃあないよな・・


―ザザ・・・

スピーカーからノイズの様な音が発せられる。


「下校の時間でし!
生徒諸君は速やかに・・
下校の時下校の
でし!・・速・・・やか・・生徒時間で・・

下下校・・でし



バグったかの様に不規則に言葉を発するスピーカー・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

中条「・・・・?


「下校の・・・

でし!でし!でしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでしでし!!
ぉあああああ!!


中条「んなッ!?


―ボド・・ボドボドッッ!


スピーカーから、ピンク色の粘土のような物が垂れ落ちる!

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!


ピンク色の粘土は蠢き徐々に複数の形を成す・・・


そしてその形は、カバの様であってカバではない
奇っ怪な生物であった・・・



大和久「・・・キャッツ。
しかも・・1、2、3、4匹。
はッ!こっちの噂も本当だってかよッ!!


キャッツ「「でしししししししししッ!!
いつまでも帰らない生徒には、お仕置きが必要でしぃいい~~ッ!!



―ドバアァアアッ!!


4匹のキャッツが一斉に大和久に襲いかかるッ!

大和久「オーバーチュアーッ!!
オラオラオラオラオララァッ!!


―ドガドガドゴドゴドゴッ!!


―ドッバアァーーッ!!


O・Cの腕は一匹の腹部を貫通し、他の三匹も原型を留めない程グチャグチャにして吹き飛ばすッ!


大和久「カカカ・・ッ!!
口ほどにもねぇなぁ、おい!


さて、コイツ等を操っている奴が居るとしたら・・・やっぱ放送室が怪しいか。
ん・・・?O・Cどうした?


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


O・C「マスター、妙です。
こいつら・・・ブチ殺してやったのに、全然ブチ殺してやったって気分になりません。

それどころか・・・


大和久「―ッ!?(腕が・・動かない?)


―ズズズ・・・


O・Cの腕に突き破られたピンク色の粘土が、スタンドの肘から肩をガッシリと固めている・・!


大和久「こいつら・・!不死身なのかッ!?

―ガシッ!

大和久「ぐあッ!?
しまった・・もう片方の腕も・・・ッ!


キャ「でしししししししィ~~ッ!!
ズボンを降ろしてケツをこっちに向けさせるでしッ!


大和久「んなッ!?おい馬鹿、やめろ!


キャ「でしししししッ!良い子にしてればすぐに済むから安心するでし!

―カチャ・・


いつの間にか再生していたキャッツが


大和久のベルトに









手をかけた。

ドドドドドドド・・・!


大和久「や、やべえッ!
このままじゃあ・・

うぉおおお~ッ!!
てめえら、やめやがれ!


チュ「でししししッ!
やめろと言われてやめる馬鹿・・・もとい、カバはいやしねぇでしよぉお~~ッ!?


―ドンドン・・・ッ!


大和久「・・・?


何か、固い物がぶつかるような音がする。


チュ「でしししししッ!
・・・・でし?


―グニャ・・・


チュ「な、な、なんでしかッ!?
体が・・・


捻れるッ!!



―グニュウゥ・・!


キャッツの体が、右側と左側。
それぞれある一点を中心に左回りと右回りに捻れていく・・・!


キャ「あ・・が!
痛い!痛い!いいいいいいだいいだいいだいいだだだだだだだだだだぁ!!


キャッツの体が更に捻れ、やがて限界を迎えたその体は


―バンッ!!


派手な音を立ててバラバラに飛び散る。


―ボト・・ボトド・・・ッ


大和久「・・・・!!


―ギュルルルルル・・・!


キャッツの居た場所の床には回転する金属の球が二つ・・・


―ギュンギュンッ!


そして、その球は一人でに跳ね上がり、ドアの前に立つ男の掌の中に収まる。


ドドドドドドドド・・・


角田「危ない所でしたね。

大和久「あ、あんたら・・・いや、それより今のは一体?


井川「驚きましたか?凄いでしょう、彼の鉄球の技術・・・
今は失われたと言われていますが。

そして彼は常に私の側にいて、危険から守ってくれるんです。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

角田「スタンド、バイ、ミー・・・って奴ですかね。はははッ!

井川「さて、残りも片づけて下さい。


角田「お任せを・・・!


キャ「ひ・・・ッ!

チュ「が・・かか・・・ッ!



ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


中条「ふん・・!


独特の臭いが立ちこめる部屋で痙攣し倒れるキャッツ達・・・


中条「痛覚を超敏感にした・・・
空気が震えるだけでも気絶する程の痛みだろうな。



―コツ・・コツ・・・


廊下から足音が聞こえてくる。


キャ「いいい痛い・・・が、先生が来た・・でしよッ!逃げ・・・るで・・

中条「・・・?


そう言うやキャッツ達は、まるでアイスクリームの如く溶け、まったく跡形もなく消えてしまった・・・。


中条「・・・生徒の前にだけ現れるのか。
ま、教師は夜までいるのが普通だもんな。


―ガララ・・・

上城「・・・中条くん、進んでるかい?


中条「え・・と、まぁ~ぼちぼちです。

上城「そうか・・・


―ペラ・・

そう言って机の上のプリントをめくる上城。


上城「・・うん、もう8割終わってるね。明日はこの続きからでいいよ。

中条「え?


上城「実はこのプリント、二日分だったの・・・・ん?
何だこの臭いは?



異臭に気づき、上城は辺りを見回し始める・・・



中条「(やべぇ、臭いが部屋に残ってたか?)
あ~、いや~・・・
どこかに栗の花でも咲いてるんじゃないでしょうかね?ははは・・


上城「栗の花ねぇ・・・
時期が違うと思うけど、まぁいいさ。

今日はもう帰りなさい、明日も同じ時間に来るんだよ。


―クルッ


―ガツン!

上城「ぴ」



―・・・ドサッ。


中条「あ・・先生?
もしも~し。


後ろを振り向いたと思ったら、急に気絶して倒れる上城。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

中条は上城の足下を見る。
サンダル、五本指靴下、そしてガツンという音・・・


ドドドドドドドド・・・

中条「こ、これは・・・ッ!
机の角に小指をぶつけたのか・・・。
馬鹿野郎・・無茶しやがってッ!

と言うか、それより管尾が心配だ。
教室に行くしかねえな・・・!

中条は管尾の教室へ向かって走っている最中に異変に気づく・・・


中条「何だ?
そこら中に動物の毛みたいなのが散らばってるぞ・・・
それに、教室のドアが無いッ!?



「君!危ないぞッ!!

中条「えッ!?



教室から出てきた腕やら頭から血を流した男が、中条に注意を喚起する。


だが、その声が仇となった・・・


「ムヒーーッ!!


中条「ッ!!


血を流す男に気を取られ、反応が遅れる。

毛むくじゃらの腕が中条の首もとを平手でひっぱたくッ!!


―ドバッチャァアアッ!


中条「ぐ・・・は!


―ドゴォオオオオンッ!!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・




中条の体は廊下から教室内に扉ごと吹き飛ばされていた・・・

幸いな事にギリギリの瞬間、スタンドでの防御が間に合ったので重大な怪我には至らなかったが
仮に防御が間に合わなければ首の骨が折れていただろうし、教室ではなく反対側・・・つまり廊下の窓側に吹き飛ばされていれば、3階から落下する羽目になっていたであろう。


―ガラガラ・・・


中条「・・・ベッ。
FUCK!口の中ぁしこたま切れてやがる・・・!
にしても、一体今のは何だってんだよ?


―ドガドガッ・・

扉と共に巻き込まれて飛んだ机や椅子を蹴飛ばしつつ中条は立ち上がる・・・



「驚いた。君も・・スタンド使いなのか。


中条「・・・・あんた、何か知ってるみたいだな。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・


「あぁ、知ってるよ、僕の名前は越智。
この一応この学校の図書委員長さ。
そして・・・僕もスタンド使いだよ。
出てこい、【ハロー・ナスティ】


―ピュオォ~ンッ!


越智と名乗る傷だらけの男の背後から、バスケットボールのような何かが飛び出すッ!


中条「・・・!!

ドドドドドドド・・・

越智「僕のスタンド【ハロー・ナスティ】は噂を現実に変える・・・


中条「噂を・・・
あんた、その能力は昔からか?

越智「いや、最近さ。御子神という男に矢を刺されたら・・・君もそのくちかい?


中条「いや、俺は中学の時に。
それよりさっきのは一体何だったんだ?
管尾・・・あ~、眼鏡かけて男子の制服着た女子を見なかったか?


越智「あぁ・・・君が中条君か。
さらわれる間際に君の名前を呼んでたよ。
フフッ・・・君、かなり愛されてるね。


予想もしなかった答えに、中条は耳が熱くなるのを感じる。



中条「んなッ!?馬鹿!!
あいつは

越智「男だろ?
知ってるよ、からかっただけさ。
さて、彼・・彼女?
いや彼か・・?
まぁ、どっちでも良いか。
さらっていったのは
七不思議の一つ、標本室の動く猿・・・
詳しくはコイツに聞いてくれ。


―ガシッ。


そう言ってバスケットボールの様なスタンドを掴む。


「イデデデデ!モウチョットヤサシク!

越智「うるさいぞ、H・N。さっさと猿の噂を、手短且つ分かりやすく説明しろ!

H・N「ハイハイ・・・ットニスタンドヅカイノアライ主人ダゼ。


中条「・・・・。


H・N「アノサルハ、ムカシ動物園ノ飼育員ニ恋ヲシタ。
ダガ飼育員ニハ人間ノ恋人ガイタンダ。
アノサルハ・・・ジブンガ人間デナイカラ、彼トハ恋仲ニナレナイトシッタノサ。
ソレデ彼女ハ人間ニナリタガッタ・・・
人間ノ皮ヲ、カブレバ人間ニナレルト・・・死シテナオ、ソノ思イハキエテイナイ。



ゴゴゴゴゴゴ・・・・

中条「つまり・・・

越智「放っておくと彼女は皮を剥がれちゃうって事だね。


中条「チッ・・!急がねえと!!

キャ「でししししししッ!
待つでしッ!
待て待てぇ~ッ!!


角田「・・・邪魔だぁッ!


―ドンッ!


―グニ、グニニ・・バァンッ!!


鉄球を打ち込まれたキャッツが先程と同じように爆発するが、飛び散った肉片からすぐさま再生し一向にキャッツ達の数は減らない。

それどころか道中にある教室という教室からキャッツ達が飛び出してくるので、その数は10や20ではきかない程である。

井川「う~ん・・・ジリ貧か。

キャッツ「「でししししししししッ!!」」


―わらわらわらわら・・・


角田「敵の数が多すぎるッ!


大和久「ちくしょうッ!放送室はあと少しだってのによぉ~!!


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・

井川「大和久くん、君もスタンドを使ってくれ。
私はちょっとトイレに行ってくるから。

大和久「はぁッ!?

角田「い、井川さん!まさかあの能力を・・・!?
こんな場所で使っては


井川「ふぅ~・・・仕方ないでしょう?
それに私は、君たちみたいな大男がケツ穴ほじくられて悶える姿なんか・・・見たくないんでね。

角田「け、ケツ穴ッ!?

O・C「(マスター。何か分かりませんがこの男、今の状況を打破する自信があるようです。


大和久「(・・・ま、ここまであのおっさん一人で来てたからな。
マッチ棒みたいなのがいなくなっても構わねぇなッ!)
分かりました!気をつけて下さいッ!!

大和久のスタンドを観察するように眺めた後、井川は

井川「うん、君のスタンドなかなか強そうだね。これなら安心かな。
角田さん、じゃあ頼みます。


角田「御意!
・・・うぉおおっしゃああぁーッ!!


懐から野球ボール程の鉄球を取り出し投げる角田。


―ドギュウゥゥンッ!!

そして、その鉄球は空中でパチンコ玉程の無数の球をばらまくッ!


―ッドスドスドスドスドス・・ッ!

キャ「「痛!いだだだだだ!痛いでしッ!痛いでしッ!!


無数の小鉄球が無数のキャッツにダメージを与え、その隙に井川はトイレへ向かって行った・・・

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


キャ「でしでしししししししッ!!

―わらわらわらわら・・・


中条「FUCK・・・廊下中キャッツだらけじゃねえかッ!
おい、あんた。自分のスタンドなら何とか出来ないのかよ?


越智「申し訳ないが出来ないんだ・・・
コイツ(H・N)は、半分勝手に動いてるみたいなものだし。
一度現実になった噂はスタンドを解除しても消えないんだよ。


中条「チッ・・・
これじゃあ教室から出ることだって出来ねえ・・・時間がないってのによォ~!


廊下中に蠢くピンク色の生き物達は、今や押し合い圧し合いの状態であり、とても走り抜けて行くような隙間は無い。


越智「・・・キャッツは放送室に元がいるはずだ。
友達を助けた後・・・出来るだけ早く、元を叩いてくれ。

中条「・・・え?


越智は、顔面蒼白で脂汗を流し、足も小刻みに震えている。

いわゆる「ビビっちまって小便漏らす寸前」の状態であるが、その瞳には決意の火が灯っていた。


中条「アンタ・・・まさか!?


H・N「マジカヨッ!?ショウキジャナイゼ!!


越智「・・・こうなったのも、僕のスタンドせいだからさ。
頑張って時間を稼ぐけど・・出来るだけ早くしてくれると助かるな。

―ニコリ。


精一杯であろう笑顔で中条に微笑みかける越智・・・


H・N「イヤダァーッ!!
オレハイキタク


――ダッ!

H・N「ギャアァアアァ~ッ!?


言い終わる前に飛び出す越智に引っ張られるように、青いバスケットボールも教室から飛び出すッ!



キャ「見つけたでしッ!!

キャ「大人しくお縄につくでしッ!


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!


越智「・・・悪いが僕にはソノ気はないんでねッ!

全力で逃げさせてもらうよッ!!








ドドドドドドドド・・・!!

西日が落ち掛かり、暗くなりかけた部屋で目を覚ますと、充満する薬品の臭いが鼻についた。


―カチャカチャ・・・


金属同士が当たる音だけが響く部屋の中で管尾の意識が徐々にハッキリとしてくる・・・


管尾「・・・ここは?

―・・グッ!

慌てて立ち上がろうとしたが、手首を固定され動くことが出来ない。

―カチャカチャッ。


管尾「・・・・?


奥から聞こえてくるその音に目を凝らすと、白い猿がナイフやら何だか分からない器具を漁っているのが確認出来た。


管尾「ひィッ!!


そうだ、自分は七不思議の猿に捕まったのだ・・・
噂通りだとすればあの猿がこれからしようとしている事は


皮を剥ぐ事。


そこまで考え至った時に、猿がこちらを振り向いた。


管尾「~~ッ!!


濡れた身体、不細工に縫われた腹。
剥き出しの歯茎に白濁した眼球・・・


その手にはナイフを持ち、ゆっくりと近づいてくる。


管尾「(・・・終わった、僕はここで死ぬんだ・・・)



―ガシッ・・・

管尾「うっ・・!

白猿に髪の毛を掴まれ鼻先まで顔を近づけられると、形容しがたい臭いに思わず顔をしかめる管尾。


猿「ムヒィィィ・・・


物色するかの様な素振りを見せたかと思うと、猿は突然手に持つナイフを振り上げるッ!!


管尾「~~ッ!(ちょ・・いきなりですかァ~ッ!?



―グオォオッ!


―ッドゴガシャァアアッッ!!


・・・・・



管尾「・・・ドゴォ?ガシャァ?


凶刃が管尾の心臓に突き立てられる事はなく、代わりに白猿が戸棚に叩きつけられる音が響く。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・


管尾「あ・・・


それは、管尾が最も頼りにしている男。
激情を胸の奥に潜ませ、無理に理性的に振る舞おうとする。そんな所がちょっぴり可愛いマイトガイ・・・!



中条「よぉ・・・待たせたな、管尾ッ!


管尾「な、中条くぅんッ!!

中条「ったくよォ~!世話ばっかりかけやがって・・・!


―・・パサッ

そう言って、ブレザーを管尾にかける中条。


管尾「あ・・・!


先程はあまりの出来事に気が付かなかったが・・・管尾は衣服を一切纏っていなかったのだ。


管尾は恥ずかしくなって顔を赤くする。

中条はそんな事は気にせず、猿が吹き飛んだ場所を睨みつけたまま管尾を拘束する紐をほどこうとしている・・・


管尾「中条くん!あ、あの猿は七不思議の・・!

中条「知ってる。人間の皮を被って人間になろうとしているイかれた猿だ・・!
・・にしてもこの臭い、キツいな。

管尾「ホルマリン・・・ホルムアルデヒド水溶液だよ。
あの猿から・・・


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

中条「・・聞いたことはあるが分からねえな。

管尾「簡単に言えば防腐剤・・・だけど、毒薬。
このままこの室内で嗅ぎ続けるのは危険なんだ、屋外に逃げないと・・・!



―バガァアアンッ!!

中条&管尾「ッ!??

猿「ムッヒィイイッ!!



猿を殴り飛ばした際に倒れた戸棚が宙を舞い、その陰から猿が飛び出すッ!


ドドドドドドド・・・!


中条「ちィッ!全然効いてねえってかッ!!

管尾「な・・何て怪力だッ!


―ビタァッ・・・!!


飛び出した猿はそのまま天井に張り付き、こちらを見据えてくる・・・


中条「スパイダーマンみてぇだな・・ッ!

管尾「噂だと、握力500kgあるらしいからね・・・溝に指をかければ不可能じゃあない・・・!


中条「・・・は!?500ゥ?
500はゴリラだろ~がよォ~!
あの猿はニホンザルだぜぇ?
馬鹿共の噂のせいで、すげぇ怪物になっちまってんじゃねえかッ!!

管尾「噂によれば、握力500kg、走るスピードは車並らしいけど・・・


中条「 」


猿「ムヒー!


―シュババッ!!


中条「ッ!速い!

―バッシィイイッ!!

―ゴッ・・コロコロ・・・・


角田「・・・くそッ!最後の一つが・・・


キャッツに囲まれた角田が忌々しげに呟く。
金属球が手元に戻る際、別のキャッツにぶつかってしまったのだ。
あまりにも敵の数が多すぎて、行動を把握しきれていないのがその原因・・・

そして、今落とされた球が角田の持つ最後の一球であった。



角田「万事窮すか、だが・・・球が無くても構わん!貴様ら如き、鍛え上げた筋肉でねじ伏せてやるッ!!

キャッツ「バッチ・・・来い?
玉が無くなっても構わない?
でししししししッ!!
それじゃあ遠慮なくヤらせてもらうでしよォオォオ~ッ!!


―ゴバアァアァーッ!!


角田「ッ!!(・・・おかあちゃんッ!)


視界一面がピンク色に染まる。
さほど広くない廊下では回避するのは不可能である。


―ドザドサドサドサ・・!


そしてそれは角田の上へと降り注ぐ・・・



大和久「何やってんだッ!早く放送室に行くぞッ!!

角田「・・・?


一体何が起こったのか、角田には理解が出来なかった。
角田の立っていた場所には、キャッツ達が降り注ぎ折り重なって下敷きとなった数匹が苦悶の声を上げている。



O・C「ト、トラスト・オア・キャストアウェイ・・・

大和久「何を照れてやがんだテメーッ!!言えっつったら言うんだよッ!!


O・C「やれやれ・・・言ったでしょう?耳クソ詰まってんじゃあないですか?
アーアー・・聞こえますかマスター?

大和久「てめッ!ブッ殺すぞ!?

O・C「マスターが死ねば、私も死にますって。何遍も言わせないで下さいよ。
大和久「そう言う事を言ってんじゃねーッ!!


ドドドドドドドド・・・



角田「何が起こったか分からないが・・・これが君の能力。
そして、スタンドがそこにいるんだね?


大和久「・・・・。

一瞬・・何言ってんだコイツ。頭おかしいのか?と、大和久は思った。
だが、この男はずっとスタンドを出してはいない事に気づく・・・

大和久「もしかしてだがよ・・・アンタ見えてない?スタンド使いじゃあないのか?


ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

角田「そう、私はスタンド使いではないよ・・・だが、どんなスタンドにも本体はいる。
私はそいつを倒すだけだ。


大和久「・・・そうか。なるほどな。
とにかく放送室へ急ごうぜ、アイツらが過去の俺たちに襲いかかってる間にな。


指した先には折り重なり、未だ身動きがとれないキャッツ達・・・

角田「そうだな、急ごう・・・!


ドドドドドドドド・・・




――――――――――




―・・ジャバジャバジャバ・・・


意図的に詰まらせた洗面台から、大量の水が溢れる。


井川「まだ足りないな、もう少し・・・


―コンコン、コン。

井川「・・・?


誰もいない開け放たれた大便器のドアの方からノックの音が響く。


―コンコン、コン・・・

鏡越しにドアを見るが何もいない。


ゴゴゴゴゴゴゴ・・・


井川「馬鹿馬鹿しい・・・何て事は無いか。
今の状況を考えれば、お馴染みの花子さんがいたって不思議じゃ・・


「そう、私は花子さん。


井川「―ッ!?


―グワァアアアンッ!


―バッシャアァアアッ!!


井川「ぐはッ!?

後ろから足首を持たれ、振り回されて床へ叩きつけられるッ!

小さな少女が片腕でガッシリと足首を押さえている・・

井川「・・!(小さすぎて鏡に映らなかった?・・・いや、今はそれよりコイツを引き剥がさなければッ!


―・・ドゴンッ!

井川「ガボッ!?


もたげていた頭は不意に床へ叩きつけられ、鼻腔に多量の水が入り込む。


井川「~ッ!?(馬鹿なッ!腕が伸びたのか?
あの身長じゃ私の頭に手が・・・いや、それよりこのパワー!
大の大人が少女の片手を引き剥がせないだと!?


花子「キヒャヒャヒャヒャヒャ・・・!!遊ぼうよ!遊ぼうよ!遊ぼうよォ~ッ!!


溺死させるつもりか、井川は一瞬そんな事を思ったがすぐにどうでも良くなった。

井川「・・・(水は充分ある、反撃開始だ。

・・・ヴリトラ。





ドドドドドドドドド・・・!
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