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03話「『ブラック・アイズ・ピース』とJOJOの『腕』 その2」の巻

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orisuta

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「自信をたたき折るとか…………そんなめんどくせーことはどうでもいいからよ……。
早くそいつ開放してやれよ……人が死ぬのを黙って見過ごすのはよ……夢見がわりーからな……。」

「ククク……こいつを放してほしいんだったらこの俺を倒すんだなッ!」

芥川――以降は親しみを込めて「アクター」と呼ぶことにしよう――がそういうと同時に、二人は戦闘態勢に入った。
両者の距離は「5m」といったところ……それから少し離れて亜希がいる。

(……なんてこった(オーマイ)…………俺の『腕』の射程は俺の本物の腕自身とほぼ同じ……。
 精精1mがいいとこだ。……大して相手のスタンドは上半身が発現されている分、俺の『腕』よりリーチが長い……。
 この「リーチ」…………どうやってカバーしたもんかな……やれやれ……。)

(くそが!気取りやがってこの男――ッ!!こいつは俺のことをナメやがったんだから死にかけて当然!
 自業自得の男だってのにッ!さてはこいつも俺のことをナメてんだなッ?俺のことをナメる奴は全員
 俺の『ブラック・アイズ・ピース』で窒息してくたばりやがれ―――――ッ!!!)

(JOJO……確かに君の言うとおり、戦闘は君に任せる……。でもね……もし君が危険になったら、
 たとえ戦闘の最中だろうと容赦なく介入するからね…………。)

三者三様の思惑が交錯する……。

「………………。」
「………………。」

両者の間に緊張が走る。両者ともに微動だにしない。うかつに隙を見せれば、相手にやられるからだ。
いくら射程が短いとはいえJOJOの『腕』。パワーとスピードは間違いなくトップクラス。
これは侮れないことをアクターもJOJOの放つ「凄み」から察したのだろう…………。

と、唐突に足を擦る音ッ!沈黙を破ったのは……!!



猫……だった。偶然通りがかった猫だ。二人の剣呑な雰囲気に圧され、逃げただけのようだった。

「……猫……やれやれ、紛らわしいぜ」

JOJOが猫に対して呟く。ほんの一瞬の油断。しかし、アクターはそれを見逃さなかった。
一瞬で、たばこが燃える。煙が増大する。

「『ブラック・アイズ・ピィ―――――ス』ッッ!!!」

増量した煙の量で、『ブラック・アイズ・ピース』の全身像がその姿を現す……。
そして、JOJOめがけ突進する!

『オオオオオオオオッッシャアアアアアアッ!!』

『ブラック・アイズ・ピース』が雄たけびをあげる。大気が震える……。JOJOも、感じたことのない怖気を感じる。
自然と、構える『腕』にも力が入る。

「食らわせろッ!『ブラック・アイズ・ピース』!」
「来い……迎え撃ってやる。」

両者の距離が縮まる……『ブラック・アイズ・ピース』とJOJOの距離――1mッ!

『オオオオオオオオッ……シャシャシャシャシャシャアアアアア―――ッ!!』
「うおおおおおおおおおッ!」

『腕』のラッシュと『ブラック・アイズ・ピース』のラッシュのぶつかり合い。
右の拳と左の拳が衝突する。しかし両者の拳にもヒビひとつ入ることはない。
両者のパワーは互角。残るはスピードの勝負だが……数瞬の拮抗の後……。

『ウゲェ!』

「やったっ!敵スタンドよりもJOJOの『腕』のスピードの方が上だァ!」

亜希がうれしそうに叫ぶ。
JOJOの『腕』が打ち勝った。JOJOがこれ幸いと『ブラック・アイズ・ピース』の方へさらに踏み込む。
……が…………。それ以上進むことはない。もちろん、とどめのラッシュを叩き込むこともできない。

「……どうした?え?踏み込めよ……ラッシュに打ち勝ったんだ……流れはお前にあるんじゃあねえか?
 ……それとも……まさかできない理由でもあるんじゃあねーだろォなァア~~~?」

ラッシュで打ち負けたにもかかわらず、あせりひとつないアクターはニヤリと笑う。

(……く…………こいつ……シラジラしいぜ……さっきのラッシュ勝負のとき、
 少しずつてめーのスタンドの体を煙状にして俺を吸い込ませて…………
 徐々に酸欠状態にさせていやがった……くそッ……不覚をとった……ぜ……。)

ついにJOJOはひざをついてしまう。

「俺の啖呵に変更はねえッ!邪魔をするならきさまもあのゴロツキと同じように
 白目剥かせて気絶させるッ!今から謝るなら許してやってもいいがなァア~~~~ッ」
JOJOの目の前まで行き、見下した調子で話し始めるアクター。
彼は完璧に勝ち誇っていた。当然だ。相手はひざをつくまでに酸素が足りない状態。
もはやまともにスタンドを動かせる気力もない―――――。

「じょ、JOJO!やっぱりだめだよ!私が!」
「いや。亜希……余計なマネはするんじゃあねーぜ。やっと……この極限状態でつかみかけてきたんだ。」

止めに入ろうとする亜希を静止するJOJO。
彼の傍らにいる『腕』の表面には、何か「メラメラしたもの」が踊っている。

「俺の……『スタンド』……俺のスタンドはな……

 腕だけなんかではなかった(●●●●●●●●●●●●)ッ!」

瞬間、JOJOの体から『何か』が剥離するッ!!
現れたのは亜希の『グラットニー』やアクターの『ブラック・アイズ・ピース』のような……
「人」……『人型スタンド』!!全身に腕と同じような炎の模様、頭部は流線型に延びている。
随所にパイプのような装飾があり……そして何より。

「……なんだ……この『スタンド』はッ!?

 このスタンド……『腕が燃えている』ッ!!」

腕が燃えている……そう、アクターの言うとおりである。

「なんだかよくわからんが、このまま余裕ブッこいてお前に能力を把握されるのは俺にとって困ることだぜ……。
 悪いがこのまま畳み掛けさせてもらおうかッ!!」
『ウオオオオオオオオオシャアアアアアアアッッ!!』

得体の知れない「不安」から、一気にとどめをさそうと向かうアクター。
『ブラック・アイズ・ピース』の拳が『人型スタンド』の頭部めがけ振り下ろされる!
しかし『人型スタンド』が動く気配はない

(……?なぜ動かないんだ?こいつまさか人型スタンドを出したはいいが、もう操作できるパワーはなかったってことか!?
 こいつは笑いものだぜッ!何はともあれこのまま決着をつけさしてもらうッ――!)

フルスイング!『ブラック・アイズ・ピース』の拳が振り下ろされたッ!


……が、そこに『人型スタンド』はいない。JOJOもいない。
不振に思ったアクターは、周りを見渡す。……いた。JOJOと『人型スタンド』は自分の左に移動していた……知らぬ間に……。

「……フン!一瞬何が起こっているのか分からなかったが、何かと思えばただの「瞬間移動」かッ!
 そんなちゃちな不意打ち、この俺に二度は通用しねーぜッ!!」

手品も種が割れればなんてことはない。アクターはJOJOを蔑み、さらなる攻撃を加えようと……。

「……どうやら、分かってねーようだな。自分の身に、何が起きているのか……。
 足元を見てみろ、貴様はすでに負けているということが分かる。」

JOJOに言われて、アクターは下を見る。下には、地面にめり込んでいる自分の足。

「……馬鹿なッ!?いつの間に……いや、スタンドは1人1能力!!
 「瞬間移動」と「めり込ませる」能力は2つ!つじつまがあわない!おかしいぞ!!」

「……やれやれ……信じられないくれーどんくせーやつだな……。亜希、説明してやれ。
 お前の位置からだったらよくわかったろ?俺のスタンド能力が。」
「……うん、分かったよ。アクター……でいいのかな?君、JOJOが瞬間移動したと思ってるみたいだけど、
 それは違うよ。動いたのは……JOJOじゃない。

 君が動かされたんだ(●●●●●●●●●)。アクター、君自身が……ね。」

亜希がそこまでいうと、アクターもさすがに『自分が何をされたのか』気づいた。

「……まさか貴様ッ!その『炎』のついた両腕でッ!!地面を『粘土』みてーにドロドロにして……
 俺の足を埋め込んでラッシュの方向をズラしやがったなッ!なんて抜け目ないやつ!!」

やっと分かった様子のアクターに、JOJOはニヤリと笑う。

「……そこまで分かってりゃあ、もう十分だろ。降参しな。」

これは、JOJOなりの精一杯のやさしさだった。もうここまできたら、アクターに勝機はなかった。
だが、アクターはそれに気づかない。

「……何を言うかと思えば『降参しろ』だとォオ~~~~?やっぱてめー俺のことナメてやがるなッ!
 こんなコンクリぐれー、俺の『ブラック・アイズ・ピース』だったら破壊することは造作もね―ぜッ!!」

「……やれやれ…………いっそコンクリートも破壊できない程度のパワーだったら…………。
 幸せだった(●●●●●)のによォ…………。」

JOJOのその言葉に、やっとアクターは自分の置かれている状況に気がついた。
さきほどまでひざ程度までしか埋まっていなかった自分の体が……既に腰まで埋まってしまっている。
うずくまっているJOJOとほぼ同じ目線に来ているのだ。

「…………!! 俺の体が……どんどん埋まって来ている……!?」
「ああ、そのとおりだぜ。たとえお前の『ブラック・アイズ・ピース』とやらがコンクリートを破壊できるとしても、
 お前ひとりをひっぱり出せるほどのパワーはねえだろう?悪いがこのまま埋まってもらうぜ……!」

JOJOが無慈悲な言葉を投げかける。

「う、うわああああああああああァアアアアアア~~~~~~~~~~ッッ!!!


 …………なんてな。」

アクターが恐ろしさのあまり悲鳴を上げた。……かと思いきや、急に態度を豹変させる。

「……その程度でてめー……いい気になりやがって……俺の体が半分埋まってるから、
 もう俺に勝ち目はねーとナメてかかっていやがったな?馬鹿にしやがって…………。
 俺はナメられるのが何より嫌いなんだよ――――ッ!!」

咆哮をあげるアクター。

「……お前に聞こえるか?この『地響き』が。この際だから教えてやるがよ……。
 俺のスタンド像の「本体」は……ほんの少し……腕が一本作れるかくれーの「煙」だ。
 なら何故俺が「人全体」を形作れるほどの煙を持ってると思う?なあ、分かるか……これはお前にとっても重要な問題なんだぜ。
 「煙」ってよォ~~~……排気ガスとかタバコの煙とかいろいろあるが……俺は全部同じに見えるんだよなァ……。
 まして混ざっちまえばよォ……もう同じ煙にしか見えねェよなァ……!!」
「……!!まさか!きさま……。」

アクターの話に、思わず戦慄するJOJO。

「そォうだッ!俺のスタンド能力は『ほかの煙を自分のスタンドの一部にする』ことッ!
 最近はエコやらなにやらでいろいろ削減されちまってはいるが……それでもお前を倒すための煙は十分集まったッ!!」

アクターの背後にいる『ブラック・アイズ・ピース』……すでに大きさは『グラットニー』に匹敵するものになっているッ!


「そして俺のスタンドは煙の密度が高まるほどパワーが増加するッ!
 これを一気に人間サイズに押し込めてェェェ――――。」

アクターの号令とともに、3mを超える大きさだった『ブラック・アイズ・ピース』が小さくなる。
そして、その色合いはさらに濃くなっていく。

「これで俺の『ブラック・アイズ・ピース』……おまえの『人型スタンド』のパワーは超えた……きさまをブッ飛ばしてから
 ゆっくりと脱出してやるぜェエエ―――――――ッ!!」
『オオオオオオオオオオオオオオッッッ………………ッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――――――――――ッッ!!!』

『ブラック・アイズ・ピース』の雄たけびとともに、嵐すら吹き飛ばしてしまいそうな力強いラッシュが飛ぶ。
一瞬でJOJOの姿が見えなくなった。……しかし、ラッシュは続けられる。

「JOJO……!」

亜希も思わずJOJOの身を案じる。

「…………。」

ラッシュが過ぎ去ったとき、そこにあったのは…………。
無傷のJOJOッ!!

「……やれやれ……煙を全部集めてパワーアップだと?かえって俺にとっては好都合だったな……。
 だっておめー……俺の口にまとわりついてた煙も、ゴロツキの煙も、全部集めてくれたもんなァ……。
 酸素さえあればてめーのスタンド、スピードは俺のスタンドの敵じゃあねー。
 俺のスタンド能力でお前のスタンドの腕を歪ませて、ダメージは回避させてもらったぜ。」
「な……何ッ……。」

見ると、『ブラック・アイズ・ピース』の両腕はあらぬ方向に曲がっていた。
だが、本体であるアクターの腕はなんともない。

「やれやれ……煙を集めて操るスタンド……。どうやら人型をどれだけ破壊しても煙だからダメージはねーようだな。
 だが、修復しねーと格闘はできねーぜ。」

「……しまったッ!この間合い……『ブラック・アイズ・ピース』の形を治している暇が……。」

アクターがそれに気づいたときには、もう遅かった。

「苦労したんだ……このままブチのめさせてもらうぜ。」

『人型スタンド』が拳を構える……。まとう炎が強く揺らめき……。

『FIREEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE―――――――――――ッ!!!!!』

高速のラッシュを叩き込むッッ!!

「うげエエエ――――ッッ!!」

アクターもたまらず吹っ飛ぶ。……が、目だった怪我はない。

「……俺のスタンド能力。アクター、てめーを粘土みてーに軟らかくして俺自身のスタンドの拳を無効化させた。
 そもそもお前はゴロツキに絡まれただけだからな……病院送りにはしねーさ。」

……かくして、JOJOの初陣は白星に終わった。

「JOJO!!大丈夫だった!?」

亜希が心配して駆け寄る。と、JOJOがクラリと揺らぐ。

「……どうやらまだ酸欠の影響が残ってたようだ。悪いが亜希……肩借りるぜ。」

そういって亜希に寄りかかるJOJO。そして倒れたアクターをチラリと見て……。

「そうだな。あいつも一緒に連れて行こうぜ。多分同じ方向だろーしよォ……。」

そう言ってアクターを指差す。本当は同じ方向であるなど、知る由もないのだが、JOJOはなんとなく、
「こいつとは近所な気がする」と悟っていたのだった。(スタンド使いは引かれあうものなのである。)

そして、自宅近くへ向かうバスの中。最後尾の席で、JOJO、亜希、アクターが座っている。
……まだアクターは気絶していた。

「……そうだ、亜希。」
「なあに?JOJO」

JOJOが唐突に亜希に話しかける。

「俺のスタンドの名前……決めたぜ。」
「何何!?聞かせて!」

「燃えるように『アツい』スタンド……。
 俺のスタンドは……。」



「『ヒートウェイヴ』だ。」

JOJO⇒スタンド名決定。『ヒートウェイヴ』
アクター スタンド名『ブラック・アイズ・ピース』⇒敗北



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使用させていただいたスタンド


No.459
【スタンド名】 ヒートウェイヴ
【本体】 川端靖成
【能力】 両手に炎をまとった状態になると、物体を粘土のように扱い、形を自由に変えてしまう




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