――2012年3月22日 ケープ・カナベル――
「馬鹿な……! 『時』は『加速』したのだッ!
『天国の時』に到達したのだッ! 『メイド・イン・ヘブン』はッ!
きさまらジョースターなど敵ではないのだッ! なのになぜッ!」
エンリコ・プッチは混乱していた。ジョースターの力を使ってスペースシャトル内部に入り、
『新月』の重力を体感し、自身のスタンド『C-MOON』を『メイド・イン・へブン』に完成させた後、
『時』を『加速』させジョースターに止めを刺そうと海(オーシャン)に向かった直後のことだ。
『新月』の重力を体感し、自身のスタンド『C-MOON』を『メイド・イン・へブン』に完成させた後、
『時』を『加速』させジョースターに止めを刺そうと海(オーシャン)に向かった直後のことだ。
『空条承太郎』『空条徐倫』『ナルシソ・アナスイ』『エルメェス・コステロ』『エンポリオ・アルニーニョ』、
そして……『ジョルノ・ジョバァーナ』。
そして……『ジョルノ・ジョバァーナ』。
他の世界においてはDIOの息子でありながら『エンリコ・プッチ』と邂逅を果たさなかった彼は、
この世界では「ケープ・カナベル」で『メイド・イン・へブン』が完成する直前に
承太郎一行と『たまたま』出会い、そのまま『なりゆきで』合流していたのだった。
この世界では「ケープ・カナベル」で『メイド・イン・へブン』が完成する直前に
承太郎一行と『たまたま』出会い、そのまま『なりゆきで』合流していたのだった。
そしてこれはプッチ神父がまずはDIOの息子であるにも関わらずジョースターに肩入れする
『ジョルノ・ジョバァーナ』を始末しようとしていた矢先の出来事だった。
『ジョルノ・ジョバァーナ』を始末しようとしていた矢先の出来事だった。
……プッチ神父の失敗は、その時点でいくつか存在していたが、その失敗のうち最大のものは
『加速』した時の中でまず徐倫を狙わず、ジョルノを攻撃しようとしたことだろう。
徐倫を狙えば、必然的に承太郎は彼女を庇い、死亡し、ジョースターは切り札を失っていたことだろう。
しかし、ジョルノを狙ってしまったがために、その時点でプッチ神父の「勝ち」はなくなってしまった。
何故なら、ジョルノの、いや彼のスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』の胸には―――
既に『矢』が、突き立っていたのだから。
『加速』した時の中でまず徐倫を狙わず、ジョルノを攻撃しようとしたことだろう。
徐倫を狙えば、必然的に承太郎は彼女を庇い、死亡し、ジョースターは切り札を失っていたことだろう。
しかし、ジョルノを狙ってしまったがために、その時点でプッチ神父の「勝ち」はなくなってしまった。
何故なら、ジョルノの、いや彼のスタンド『ゴールド・エクスペリエンス』の胸には―――
既に『矢』が、突き立っていたのだから。
次の瞬間、当然プッチ神父の攻撃はジョルノに届きはしなかった。
0-プロローグ-:「プロローグ・オブ・パラレル・ユニヴァース」の巻
ここで、冒頭に戻るわけである。
『えんりこ・ぷっち……。キサマハ敗北シタノダ……。
「出会イハ重力」……DIOノ血統ヲ、ソシテじょーすたーノ血統ヲ利用シテ
「天国」ヘト押シ上ゲラレタキサマハ……
「天国」ヘト押シ上ゲラレタキサマハ……
『DIO』ト『じょーすたー』ニ……、我ガ本体『じょるの・じょばぁーな』ニ敗北シタノダ……』
狼狽するプッチ神父に、ジョルノのスタンドの『先』が終わりを告げた。
その結果は、当然と言えば当然だった。姿かたちが変わったとは言え、
『メイド・イン・へブン』はあくまで『スタンド』である。しかし、この黒いボディの神々しい「彼」は違う。
その結果は、当然と言えば当然だった。姿かたちが変わったとは言え、
『メイド・イン・へブン』はあくまで『スタンド』である。しかし、この黒いボディの神々しい「彼」は違う。
『スタンド』の『先』。
『鎮魂歌(レクイエム)』と名づけられたそれは、あらゆる意味でスタンドを超越していた。
「意志をゼロに戻す」能力。いかにプッチ神父が素早かろうと、
彼――『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が存在する限り、ジョルノを殺すことはできない。
プッチ神父はそのことを知らなかったが為に……『詰み(チェック・メイト)』にはまってしまった。
「彼」を超える事など、勝つ事など、『たかが時を加速する程度』では土台不可能なのだ。
. . . .. . . . . . . .. . .. . .
「なぜわたしの行動が『巻き戻って』いるのだああああああああ―――ッ!?」
「意志をゼロに戻す」能力。いかにプッチ神父が素早かろうと、
彼――『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が存在する限り、ジョルノを殺すことはできない。
プッチ神父はそのことを知らなかったが為に……『詰み(チェック・メイト)』にはまってしまった。
「彼」を超える事など、勝つ事など、『たかが時を加速する程度』では土台不可能なのだ。
. . . .. . . . . . . .. . .. . .
「なぜわたしの行動が『巻き戻って』いるのだああああああああ―――ッ!?」
自らの後姿を見るという奇妙な現象を目の当たりにして、プッチ神父は絶叫しながら
壊れたビデオのように先ほどまでと同じ行動を再生する。
『ジョルノ・ジョバァーナ』を狙ったのは失敗だった――。よく働かない頭でプッチ神父は
そう考えながら、右頬に『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』の拳を受けた。
壊れたビデオのように先ほどまでと同じ行動を再生する。
『ジョルノ・ジョバァーナ』を狙ったのは失敗だった――。よく働かない頭でプッチ神父は
そう考えながら、右頬に『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』の拳を受けた。
「――!! 無駄ァ!
そこだッ! ジョータロー・クージョーッ!」
自らの「スタンド」を使いプッチ神父を退けたジョルノは弾かれたように
承太郎を見る。自分に出来るのは、今の一発で『一瞬』を稼ぐことだけだ。
いかに『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が無敵であろうと(本人に自覚はないが)、
『メイド・イン・へブン』の『加速』は覆らない。おそらくプッチ神父は一瞬後には
自分たちから離れ、攻撃の機を伺うだろう。そうなっては何もかもおしまいだ。
承太郎を見る。自分に出来るのは、今の一発で『一瞬』を稼ぐことだけだ。
いかに『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』が無敵であろうと(本人に自覚はないが)、
『メイド・イン・へブン』の『加速』は覆らない。おそらくプッチ神父は一瞬後には
自分たちから離れ、攻撃の機を伺うだろう。そうなっては何もかもおしまいだ。
「やれやれだ……。
「ジョルノ・ジョバァーナ」……。
この『ケープ・カナベル』に「偶然」辿り着いていたのは本当に幸運だった……」
この『ケープ・カナベル』に「偶然」辿り着いていたのは本当に幸運だった……」
しかし当然、歴戦の勇者である空条承太郎がこの隙を逃すはずもなかった。
「この呪われた毒蛇ども―――」
憎しみに顔を歪めたプッチ神父が苦し紛れに叫ぼうとした瞬間、
その動きは途中停止した。一瞬にして世界が静寂に支配される。
波は硝子細工で形作られていたかのように一切の動きを止め、目まぐるしく動いていた雲々や
もはや線にしか見えなかった太陽、空を飛ぶ鳥達に、プッチ神父を警戒していた仲間達でさえ、1mmも動かなくなる。
その中で動くことができるのは、空条承太郎ただ一人だけである。
その動きは途中停止した。一瞬にして世界が静寂に支配される。
波は硝子細工で形作られていたかのように一切の動きを止め、目まぐるしく動いていた雲々や
もはや線にしか見えなかった太陽、空を飛ぶ鳥達に、プッチ神父を警戒していた仲間達でさえ、1mmも動かなくなる。
その中で動くことができるのは、空条承太郎ただ一人だけである。
「……時は止まった」
ゆっくりとプッチ神父の方へ向き直る承太郎。
拳を握り締め、そしてスタンドに構えさせる。
拳を握り締め、そしてスタンドに構えさせる。
「『メイド・イン・へブン』だったか……?
『時』を『加速』させる能力……。本当に恐ろしい能力だ。
『時』を『加速』させる能力……。本当に恐ろしい能力だ。
わたしでは……いや、『ジョルノ・ジョバァーナ』が居なければ勝ち目はなかったな……。
しつこいようだが本当に、あの時、プッチ神父がスペースシャトルに乗り込んだあの直前に彼と出会えたのは幸運だった…………」
しつこいようだが本当に、あの時、プッチ神父がスペースシャトルに乗り込んだあの直前に彼と出会えたのは幸運だった…………」
独白とも言える呟きをもらした承太郎は、動かないプッチ神父の瞳を見据える。
注釈しておくと、この「動かない」がかかっているのは「瞳」ではなく「プッチ神父」、だ。
プッチ神父の瞳は時が止まる直前に見ていたジョルノではなく、承太郎を見据えていた。
その事実を再度確認した承太郎は、プッチ神父に話しかけた。
注釈しておくと、この「動かない」がかかっているのは「瞳」ではなく「プッチ神父」、だ。
プッチ神父の瞳は時が止まる直前に見ていたジョルノではなく、承太郎を見据えていた。
その事実を再度確認した承太郎は、プッチ神父に話しかけた。
「……ところでプッチ神父……。おまえは(何故かは分からないが……)『止まった時の世界』を
体感できているらしいな。一体何秒「体感」できるのか?
体感できているらしいな。一体何秒「体感」できるのか?
「1秒」か? 「2秒」か?
それともわたしと同じ「5秒」全てを『体感』できるのか?
気になるところだが…………。もう関係のないことだな、これから倒されるおまえにとっては」
気になるところだが…………。もう関係のないことだな、これから倒されるおまえにとっては」
1秒経過。『スタープラチナ』が全身の筋肉をフル稼働させ、
プッチ神父目がけ拳を振り上げる。
プッチ神父目がけ拳を振り上げる。
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラアアアアアア――――――ッ!!』
2秒経過。
殴られたプッチ神父の体が数十センチ浮き上がり、さらにそこに数発の拳が叩きこまれる。
プッチ神父の腹に粘土に拳を打ち込んだかのように拳の跡がくっきりと残る。
かと思えば、次の瞬間には両腕に数十発の拳が叩きこまれていた。
『停止時間』での出来事を認識できるプッチ神父にすら、この拳の動きは認識できなかった。
シナプス
痛みを伝える神経細胞さえ停止した世界では、拳による痛みは感じられない。
痛みを『覚悟』するのだ、とプッチ神父は自らに言い聞かせる。
殴られたプッチ神父の体が数十センチ浮き上がり、さらにそこに数発の拳が叩きこまれる。
プッチ神父の腹に粘土に拳を打ち込んだかのように拳の跡がくっきりと残る。
かと思えば、次の瞬間には両腕に数十発の拳が叩きこまれていた。
『停止時間』での出来事を認識できるプッチ神父にすら、この拳の動きは認識できなかった。
シナプス
痛みを伝える神経細胞さえ停止した世界では、拳による痛みは感じられない。
痛みを『覚悟』するのだ、とプッチ神父は自らに言い聞かせる。
3秒経過。
打ち込まれた拳の数が四桁を越えたあたりで、プッチ神父の顔の原型がなくなる。
常人ならば再起不能のレベルだが、それでも拳は止まらない。
打ち込まれた拳の数が四桁を越えたあたりで、プッチ神父の顔の原型がなくなる。
常人ならば再起不能のレベルだが、それでも拳は止まらない。
『オラオラオラオラオラオラオラオラァァァア!! …………?』
ふと、『スタープラチナ』の拳が止まり、その視線がプッチ神父の懐に集まる。
プッチ神父の懐からは、キラリと銀色の刃が輝いていた。
承太郎はその刃のうちの一本を手に取ると、つまらなそうに海に投げ捨てた。
プッチ神父の懐からは、キラリと銀色の刃が輝いていた。
承太郎はその刃のうちの一本を手に取ると、つまらなそうに海に投げ捨てた。
「……ナイフを隠し持ってるとは、面白いな……。
20年前のDIOの真似事でもするつもりだったのか?
やれやれだ……。あれを徐倫にやられてたらと思うと、ゾッとしないな。
そして停止時間は4秒を超えた。ラストスパートだ」
20年前のDIOの真似事でもするつもりだったのか?
やれやれだ……。あれを徐倫にやられてたらと思うと、ゾッとしないな。
そして停止時間は4秒を超えた。ラストスパートだ」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァ――――ッ!!』
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァ――――ッ!!』
よりいっそうパワーの上がったラッシュがプッチ神父の全身を襲う。
既にまともに骨が残っている部位は皆無に等しく、常人ならば即死しているレベルだ。
殴打の音だけが海(オーシャン)に響き渡る。
既にまともに骨が残っている部位は皆無に等しく、常人ならば即死しているレベルだ。
殴打の音だけが海(オーシャン)に響き渡る。
「5秒経過。そして時は動き出す」
「ぐあああああ――――ッ!」
瞬間、海風が、細波が思い出したようにその動きを再開する。
カモメの鳴き声と6人の息遣いが戻ってくる。
しかし、時間停止以前とは違い、太陽は線ではなく球形を維持していた。
カモメの鳴き声と6人の息遣いが戻ってくる。
しかし、時間停止以前とは違い、太陽は線ではなく球形を維持していた。
「どうやら『時の加速』は停止したようだな。
それだけしこたま殴られては、当然か……」
それだけしこたま殴られては、当然か……」
承太郎は地に這い蹲るプッチ神父を見下ろす。
彼は息絶え絶えながらも辛うじて生存して、憎らしげに承太郎を見上げていた。
とはいえ、本当に辛うじてであり、現に彼の傍らの『メイド・イン・ヘブン』は既にひび割れで
全体像さえ把握できないほどに破壊されていて、もう完璧に再起不能の様相を呈していた。
彼は息絶え絶えながらも辛うじて生存して、憎らしげに承太郎を見上げていた。
とはいえ、本当に辛うじてであり、現に彼の傍らの『メイド・イン・ヘブン』は既にひび割れで
全体像さえ把握できないほどに破壊されていて、もう完璧に再起不能の様相を呈していた。
「やめろ……
やめろォッ! 『メイド・イン・へブン』は完成したのだッ!
『完成された能力』は人類を幸福にするのだッ!
『完成された能力』は人類を幸福にするのだッ!
『メイド・イン・ヘブン』の『加速』の先には『世界の一巡』があるッ!
全ての生物は『この世界』の出来事を体験して、『一巡した世界』に辿り着くべきなのだッ!!
『覚悟こそ幸福』ということをフベエッ」
全ての生物は『この世界』の出来事を体験して、『一巡した世界』に辿り着くべきなのだッ!!
『覚悟こそ幸福』ということをフベエッ」
海水を飲みながら始めた演説は、漆黒の拳によって打ち止めにされた。
「ウダウダうるさいですよ……。『覚悟こそ幸福』? それじゃあ…………少なくともこれから起こることに関して……
あ な た は 幸 福 で す よ ね ?
だってぼくたちを殺そうとするってことはつまり、
自分が殺されるかもっていうことを『覚悟』しているってことなんですから…………」
自分が殺されるかもっていうことを『覚悟』しているってことなんですから…………」
冷たい、しかしとても『イイ』微笑を浮かべたジョルノの傍らの、
『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』がゆっくりとプッチ神父を見下ろし、その拳に力を込める。
その様子に死の危険とは別の、それよりもさらに恐ろしい予感を感じながらプッチ神父は最期の虚勢を張る。
『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』がゆっくりとプッチ神父を見下ろし、その拳に力を込める。
その様子に死の危険とは別の、それよりもさらに恐ろしい予感を感じながらプッチ神父は最期の虚勢を張る。
「知った風な口を聞いているんじゃあないぞ、このちっぽけな――」
が、
その言葉が最後まで続く事はなかった。
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!
WRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRREEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEYYYYYYYYYYYYYYYYYY――ッ!
無駄無駄無駄WRRREEEEEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
ウリャアアア――――――ッ無駄無駄無駄無駄ァアアア――――ッ!
無駄アッ! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄オラァ無駄無駄無駄無駄無駄無駄ッ
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アアアアアアアアアアアアアアアア――――――――ッ!』
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アアアアアアアアアアアアアアアア――――――――ッ!』
「アガアバアッ――――!」
「(わたしは……わたしは一体、これから、どうなるというのだ……?)」
殴り飛ばされ、朦朧とした意識の中、プッチ神父は静かに自問する。
すると、一瞬。全てが静止したような錯覚にとらわれる。
承太郎の『スタープラチナ・ザ・ワールド』ではない。もっと何か、超越した者の感覚。
全てが灰色になったような混濁した意識の空間の中で、漆黒の『彼』は確かにこう言った。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
『終ワリガナイノガ、『終ワリ』。ソレガ『 G ・ E ・ R 』。
オマエハ、コレカラ、ドンナコトガ起コロウト、永遠ニ何ニモ到達スルコトハデキナイ』
すると、一瞬。全てが静止したような錯覚にとらわれる。
承太郎の『スタープラチナ・ザ・ワールド』ではない。もっと何か、超越した者の感覚。
全てが灰色になったような混濁した意識の空間の中で、漆黒の『彼』は確かにこう言った。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
『終ワリガナイノガ、『終ワリ』。ソレガ『 G ・ E ・ R 』。
オマエハ、コレカラ、ドンナコトガ起コロウト、永遠ニ何ニモ到達スルコトハデキナイ』
体中から血を撒き散らしながら、プッチ神父は地平線のかなたへと吹っ飛ばされる。
波にもまれながら、プッチ神父の姿は海の中へと消えた。
波にもまれながら、プッチ神父の姿は海の中へと消えた。
『特ニ……真実ニ到達スルコトハ……決シテ』
「――ハッ!!」
プッチ神父は見知らぬ浜辺で目を覚ました。
どうやら、あの後無事にどこかに流れ着くことが出来たらしい。
体中ボロボロで、もはや再起不能であることは疑いなかったが、それでもプッチ神父は諦めていなかった。
世の中にはさまざまなスタンド使いがいる。その中には、この傷を癒してくれるスタンド使いもいるだろう。
今はダメージが大きくとも、精神の芯が折れなければ、それはスタンド使いとしての再起不能ではないのだ。
どうやら、あの後無事にどこかに流れ着くことが出来たらしい。
体中ボロボロで、もはや再起不能であることは疑いなかったが、それでもプッチ神父は諦めていなかった。
世の中にはさまざまなスタンド使いがいる。その中には、この傷を癒してくれるスタンド使いもいるだろう。
今はダメージが大きくとも、精神の芯が折れなければ、それはスタンド使いとしての再起不能ではないのだ。
「……ここは…………アメリカのどこだ?」
プッチ神父はまず、周囲を見回した。
自分がジョースターに敗北したのは、アメリカの「ケープ・カナベル」である。
流れ着いたまま介抱されていないところを見ると、まだ流れ着いてから日は経っていないらしい。
ならば、ジョースターたちもまだ「ケープ・カナベル」からは離れていないはずだ。
自分がジョースターに敗北したのは、アメリカの「ケープ・カナベル」である。
流れ着いたまま介抱されていないところを見ると、まだ流れ着いてから日は経っていないらしい。
ならば、ジョースターたちもまだ「ケープ・カナベル」からは離れていないはずだ。
「(わたしは『緑の赤ん坊』を取り込んだことで、「ジョースター」からその存在を探知されている)」
具体的にどこにいる、とかという明確な探知ではないが、それでも「存在している」という強固な事実は分かる。
だから、自分がこうして生きている以上、ジョースターはなんらかの手段を講じて自分を始末しにくるはずだ。
まだ『メイド・イン・ヘブン』が万全でない以上、そうなってしまっては何もかも終わりである。
だから、自分がこうして生きている以上、ジョースターはなんらかの手段を講じて自分を始末しにくるはずだ。
まだ『メイド・イン・ヘブン』が万全でない以上、そうなってしまっては何もかも終わりである。
そう思い、まずは誰かに助けてもらおうと考え――
プッチ神父は周りに数人の男がいることに気が付いた。
「おい、おまえらぁ! こいつぅ、なんだ?」
「『神父』だ、こいつ、ボロボロだが意外といい身なりだぞ」
「身ぐるみ剥いじまうか?」
下衆な笑みを浮かべた浮浪者らしい男達は、プッチ神父の周りを取り囲む。
プッチ神父は思わず顔面蒼白になった。まさか、自分がこんな目に遭おうとは。そう思った。
通常の自分なら、こんな下衆は無視して通り過ぎるところだが、今は生憎スタンドが使えない。
襲われても、反撃できない。つまるところ、ここで襲われたらそれは自分の生命の終わりを意味していた。
プッチ神父は思わず顔面蒼白になった。まさか、自分がこんな目に遭おうとは。そう思った。
通常の自分なら、こんな下衆は無視して通り過ぎるところだが、今は生憎スタンドが使えない。
襲われても、反撃できない。つまるところ、ここで襲われたらそれは自分の生命の終わりを意味していた。
「やッ、やめ……」
そんなばかげたことはやめろ、と言おうとしたとき、プッチ神父の背中にナイフが突き立てられた。
鋭い痛みに呆然と振り返ると、そこには歯の抜けた清潔感など欠片もない笑顔を浮かべた浮浪者の顔。
プッチ神父は怒声を上げようとして――
鋭い痛みに呆然と振り返ると、そこには歯の抜けた清潔感など欠片もない笑顔を浮かべた浮浪者の顔。
プッチ神父は怒声を上げようとして――
頭部に受けた更なる衝撃で、意識を失った。
「ハッ!?」
次に気が付いたときには、暗闇の中だった。
「なッ、なんだッ!? いったいさっきから何が起こっているッ!?」
ガタガタと暴れてみるが、なにやら狭い箱のようなものの中に入っているのか、思うように身動きが取れない。
そうこうしている内に、パチパチと何かが弾けるような音が聞こえる。
そうこうしている内に、パチパチと何かが弾けるような音が聞こえる。
「さっきから何かがおかしいぞッ!! わたしに何が起こっているッ!?」
プッチ神父はわけがわからない。
いや、心の底では何が起こっているのか、自分がどうなるのか、分かっている。
しかし、そこに正面きって向き合うことができないのだ。
いや、心の底では何が起こっているのか、自分がどうなるのか、分かっている。
しかし、そこに正面きって向き合うことができないのだ。
パチパチという音が自分の近くまでやってくる。
狭い箱の中の暗闇が、少しだけ明るくなった。
そこまで気が付いて、プッチ神父はある感覚を認識した。
暑い、いや、『熱い』。
そうか、とプッチ神父は納得がいった。自分は燃えているのだ。
狭い箱の中の暗闇が、少しだけ明るくなった。
そこまで気が付いて、プッチ神父はある感覚を認識した。
暑い、いや、『熱い』。
そうか、とプッチ神父は納得がいった。自分は燃えているのだ。
ジョルノ・ジョバァーナの『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』に殴られ、海に沈み、
そして海岸に打ち上げられ、そこで暴行を受け、自分は死亡した。
死亡した自分は、こうして火葬場で骸を焼かれている――が、どういうわけか、自分は生き返ったような状況らしい。
そして海岸に打ち上げられ、そこで暴行を受け、自分は死亡した。
死亡した自分は、こうして火葬場で骸を焼かれている――が、どういうわけか、自分は生き返ったような状況らしい。
いや、そうではない。
プッチ神父の中の『何か』が警鐘を鳴らす。
わたしは、違う。『生きて海岸に打ち上げられた』のではない。
わたしは、死んだのだ。あの、『ケープ・カナベル』で。
わたしは、死んだのだ。あの、『ケープ・カナベル』で。
考えるな、とプッチ神父は熱さでよく働かない脳にそう命じた。しかし、思考は止まらない。
『終わりがないのが終わり』なのだと、彼のスタンドは言った。
いい加減熱くて、頭が回らないが、それでも考えは進んでいく。
わたしは、そう。死んだのだ。あの、『レクイエム』の拳の後、海に飲み込まれ、呼吸ができずに。
窒息死。それが『エンリコ・プッチとしての』人生の最期だった。
・・・
「ハッ!!」
次に目を覚ました時、プッチ神父は繁華街に突っ立っていた。
あたりの人間の人種を見る限り、どうやらアジア――おそらく日本――のどこかのようだ。
何か、さわがしい。
あたりの人間の人種を見る限り、どうやらアジア――おそらく日本――のどこかのようだ。
何か、さわがしい。
「なんだ……! なんなんだッ! いったいわたしに何が起こっているッ!!」
既に自分のおかれている身の上は理解しているプッチ神父だが、それでも叫ばずにはいられない。
今までは「時の流れ」がひとつになっていたが、ここは違う。普通なら自分はあそこで生きながらに燃やされ、そこで終わりだ。
しかし、なぜか今の自分は何の脈絡もなくアジアのどこかの繁華街に移動させられている。
今までは「時の流れ」がひとつになっていたが、ここは違う。普通なら自分はあそこで生きながらに燃やされ、そこで終わりだ。
しかし、なぜか今の自分は何の脈絡もなくアジアのどこかの繁華街に移動させられている。
「おい、あんた! 早く逃げろ!」
誰かがかけた警告の怒声に、ふと前を見ると、
そこには猛烈なスピードで向かってくる車があった。
そこには猛烈なスピードで向かってくる車があった。
「トラックが突っ込んでくるぞオオオオオオ」
「居眠り運転だアアアアアア」
「――――――!!」
重量1トンにも及ぶ鉄の塊を目の前にした時、プッチ神父の脳裏にあの漆黒の『彼』の言葉がフラッシュバックした。
なるほど、どうしてこのことにもっと早く気が付けなかったのか。
なるほど、どうしてこのことにもっと早く気が付けなかったのか。
答えは、最初から出ていたではないか。
ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム
『終ワリガナイノガ、『終ワリ』。ソレガ『 G ・ E ・ R 』。
オマエハ、コレカラ、ドンナコトガ起コロウト、永遠ニ何ニモ到達スルコトハデキナイ』
『終ワリガナイノガ、『終ワリ』。ソレガ『 G ・ E ・ R 』。
オマエハ、コレカラ、ドンナコトガ起コロウト、永遠ニ何ニモ到達スルコトハデキナイ』
『特ニ……真実ニ到達スルコトハ……決シテ』
自分が『死ぬ』、という「真実」にさえ。
-プッチ神父は-
2度と時を加速できなかった……。
生と死の中間の生活を送り
永遠に「死」という『真実』にすら辿り着けないのだ。
そして死にたいと思っても死ねないので
――そのうちプッチ神父は考えるのをやめた。
――数週間後――
「徐倫、結婚しよう」
長髪の男が、思い切り真面目な顔で、そう言い放った。
世間一般で言われるところのプロポーズというやつだが、
最近でもこんなに直球のプロポーズを、ムードもなしにする人間は少ない。
世間一般で言われるところのプロポーズというやつだが、
最近でもこんなに直球のプロポーズを、ムードもなしにする人間は少ない。
というのも、ここは洗面所。
生活観溢れるこの場所でプロポーズをする人間など、普通は存在しないだろう。
生活観溢れるこの場所でプロポーズをする人間など、普通は存在しないだろう。
「……いや、違う。これはなんか違うな」
それも当然。彼が向かい合っているのは、愛しの徐倫ではなく、鏡。
彼はただプロポーズの練習をしているだけだった。
彼はただプロポーズの練習をしているだけだった。
「好きだァ! 徐倫!」
「……これも微妙……」
鏡に向かって懸命に練習していると、不意にチャイムが鳴らされた。
チャイムが鳴った瞬間、彼は数週間前の自分すらも超越する反射神経で玄関の方を向いた。
結局、彼がプロポーズできるのは、かなり後になってからの話になる。
チャイムが鳴った瞬間、彼は数週間前の自分すらも超越する反射神経で玄関の方を向いた。
結局、彼がプロポーズできるのは、かなり後になってからの話になる。
「……駄目だな、こんなんじゃあ駄目駄目だ。今日はやめておくか……」
そう呟き、彼は玄関へと歩を進める。
身だしなみは完璧だ。常識的かどうかは別として。
身だしなみは完璧だ。常識的かどうかは別として。
そして、扉を開ける。目の前には、徐倫、彼の愛しの女性の姿。
「さ、行きましょ?」
空条徐倫 ナルシソ・アナスイ ・・・SPW財団の圧力で脱獄の事実をもみ消し、交際をスタート。 . 三年後の2015年、めでたく結婚し、翌年子供を授かる。 エルメェス・コステロ. ・・・SPW財団の圧力で脱獄の事実をもみ消し、料理人を志す。 . 今は日本のとある町のレストランで働いているとか。 エンポリオ・アルニーニョ ・・・この後SPW財団の力で戸籍を入手する。ニューヨークの学校に通い始め、 . 学校では、本で読んだ知識を生かして物知り博士となっているらしい。 空条承太郎 ・・・この後、ジョルノを通じてポルナレフと再開を果たす。 ジョルノ・ジョバァーナ ・・・この一件でSPW財団の後ろ盾を得て、組織の支配を強化する。 |
そして時代は移り変わる――。
――2022年 S市 杜王区――
少年「うわあああァァァ――ッ! もっ、もう! 勘弁してくれェ!」
少女「うるせェェ――ッ! てめーッ! 今日と言う今日はぜってェ許さねェ!」
少年「うわァァーッ! 譲華ちゃアん! 許してッ!? ねッ!?」
少女「ドラア!」
ジョジョの奇妙な冒険SS
PART-EX『PARALLEL UNIVERSE』
上野 譲華 ――平行世界
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