「――じゃあ、俺ら別の世界から集められたってわけか?」
「そう考えるしかねえな。俺の世界じゃ、ポケモンを知らねえ人間ってのはあり得ねえし」
「そう考えるしかねえな。俺の世界じゃ、ポケモンを知らねえ人間ってのはあり得ねえし」
会場の西南端。波の打ち寄せる崖の上で、学校の制服を着た2人の少年が言葉を交わしていた。
一人はグレープアカデミーのペパー。もう一人は、青箱高校の広瀬凪といった。
一人はグレープアカデミーのペパー。もう一人は、青箱高校の広瀬凪といった。
殺し合いが始まって程なくして鉢合わせした2人だったが、
互いに一目見て危険な雰囲気は纏っておらず、日常に属する人間であることは明白であった。
その為、幸いにも衝突に至ることなく、殺し合いに乗っていないことを互いに確認し合った後、情報交換を開始していた。
互いに一目見て危険な雰囲気は纏っておらず、日常に属する人間であることは明白であった。
その為、幸いにも衝突に至ることなく、殺し合いに乗っていないことを互いに確認し合った後、情報交換を開始していた。
2人は続けて名簿を広げ、互いの知る信用できる人間を探し始めた。
まずペパーが、かつてパルデアの大穴での冒険を共にした3人の名を刺し示す。
まずペパーが、かつてパルデアの大穴での冒険を共にした3人の名を刺し示す。
「アオイ、ネモ、ボタン。こいつらは俺のダチで、同じグレープアカデミーの連中だ。確実に信用できる。
多分テーブルシティにある俺たちの学校に向かうと思う」
多分テーブルシティにある俺たちの学校に向かうと思う」
アオイとネモは共にパルデア地方ポケモンリーグのチャンピオン。ボタンは機械に強く、嵌められた首輪の解除方法を見つけ出してくれるかもしれない。
ペパーの印象では、3人とも殺されたクラベル校長を慕っていた。殺し合いには乗らない可能性が高い。
そして恐らく、全員が仲間との合流を目指してテーブルシティを目指すはずだ。
無論、3人とも殺し合いとは無縁の人間ではあるが、信頼ができて能力の高い人間数名と合流できる算段があるのは、この殺し合いの場においては非常に心強い事実だった。
ペパーの印象では、3人とも殺されたクラベル校長を慕っていた。殺し合いには乗らない可能性が高い。
そして恐らく、全員が仲間との合流を目指してテーブルシティを目指すはずだ。
無論、3人とも殺し合いとは無縁の人間ではあるが、信頼ができて能力の高い人間数名と合流できる算段があるのは、この殺し合いの場においては非常に心強い事実だった。
だが、凪が喰いついたのはそこではなく。
「えぇぇぇぇぇ!? この女の子達みんなお前のガールフレンドなのかよ~~~!?
上手くやってんな~! どうやったんだよ~! 教えてくれよ~! おい~~~!!」
「ち、ちげーから! ただの友達だよ友達! たまたま学校の課題を一緒にやってたとか、そういうことだから誤解すんな!!」
目を輝かせて距離を詰めてきた凪を引き剥がしながら、ペパーは呆れ顔でさらにこう続けた。
上手くやってんな~! どうやったんだよ~! 教えてくれよ~! おい~~~!!」
「ち、ちげーから! ただの友達だよ友達! たまたま学校の課題を一緒にやってたとか、そういうことだから誤解すんな!!」
目を輝かせて距離を詰めてきた凪を引き剥がしながら、ペパーは呆れ顔でさらにこう続けた。
「それと、あまりアイツらにそういうこと期待すんなよ……
なんつーか、アイツら全員性格にアレなところあっからな……」
なんつーか、アイツら全員性格にアレなところあっからな……」
ペパーは改めてアオイ達3人の顔を思い浮かべる。
頼れることは間違いないが、考えてみれば合流したら合流したで頭を抱えそうな面子であり、先が思いやられそうであった。
頼れることは間違いないが、考えてみれば合流したら合流したで頭を抱えそうな面子であり、先が思いやられそうであった。
続いて、凪が名簿を手に取った。まず、最初に指し示された名前は。
「広瀬岬一…… お前と同じ苗字ってことは、兄弟かよ?」
「ああ、双子の弟だ。あいつの性格上、まず間違いなく殺し合いを止めるために動くはずだ」
「……ったくあの女、兄弟で殺し合いさせるってか? 胸糞悪ぃな」
「広瀬岬一…… お前と同じ苗字ってことは、兄弟かよ?」
「ああ、双子の弟だ。あいつの性格上、まず間違いなく殺し合いを止めるために動くはずだ」
「……ったくあの女、兄弟で殺し合いさせるってか? 胸糞悪ぃな」
顔をしかめるペパーを横目に、凪は次に『リコデムス=ハーリアトロ』の名前を示した。
写真に写った姿は明らかに人間ではなく、むしろポケモンのような見た目だ。
凪は少し考えると、説明が難しいが、とりあえず言葉を話せるポケモンのようなものと考えてくれ、と話した。
広瀬家で一緒に暮らしており、性格は素直だから、恐らく味方になってくれるとのことだった。
凪は少し考えると、説明が難しいが、とりあえず言葉を話せるポケモンのようなものと考えてくれ、と話した。
広瀬家で一緒に暮らしており、性格は素直だから、恐らく味方になってくれるとのことだった。
リコデムスの説明を終えると、凪は急に考え込むような仕草を始めた。
表情にも、心なしか少し影が差しているようにも見える。
表情にも、心なしか少し影が差しているようにも見える。
「ん、どうした?」
「あ、悪いな。で、俺の知ってるのは次で最後なんだけど……」
「あ、悪いな。で、俺の知ってるのは次で最後なんだけど……」
しばしの逡巡の後、示したのは、大鳥希という名前の少女だった。
「この人、俺の学校の先輩。今の先輩なら、他の参加者を助ける為に動くかもしれないけどさ。
でも、あまり期待しない方がいい。信用も、し過ぎない方がいいと思うぜ」
「……それ、どういう意味だよ?」
「ちょっと不安定というか、良く分からないところがあるんだよ。
もしかしたら暴発するかもしれない。特に、岬一…… 俺の弟に何かあったら」
「この人、俺の学校の先輩。今の先輩なら、他の参加者を助ける為に動くかもしれないけどさ。
でも、あまり期待しない方がいい。信用も、し過ぎない方がいいと思うぜ」
「……それ、どういう意味だよ?」
「ちょっと不安定というか、良く分からないところがあるんだよ。
もしかしたら暴発するかもしれない。特に、岬一…… 俺の弟に何かあったら」
ペパーはその語り口と表情に不穏なものを感じたが、特に知りもしない人間関係に口を出すのもはばかられ、ひとまず胸の中にしまっておくことにした。
◇
一通り話を終えると、ペパーは荷物を背負って立ち上がった。
「じゃあ、俺はテーブルシティに行くけど、お前はどうするんだ?」
「俺は…… とにかく岬一を探したいな」
「何か当てはあるのかよ?」
「あー、それがさ…… 実は無いんだよな……」
「じゃあ、俺はテーブルシティに行くけど、お前はどうするんだ?」
「俺は…… とにかく岬一を探したいな」
「何か当てはあるのかよ?」
「あー、それがさ…… 実は無いんだよな……」
凪は、岬一と希の秘密基地の存在を知らない。
地図上に記された『秘密基地』なる施設が、まさか岬一と関係があるものだとは思いつく由もなかった。
地図上に記された『秘密基地』なる施設が、まさか岬一と関係があるものだとは思いつく由もなかった。
「それなら、一緒に来ねえか? せめて、弟の手掛かりが見つかるまではさ」
信頼が持てそうな人間からの同行の誘い。力を持たない一般人にとって、この殺し合いの場では有難い選択肢だろう。
だが、それに対し、凪は遠慮の姿勢を示した。
だが、それに対し、凪は遠慮の姿勢を示した。
「俺には戦う力なんてないし、ありがたいけどな……
でも、駄目だな。急に倒れたりするかもしれねえんだよ、俺」
「……身体、悪いのかよ?」
「ちょっと、病気持ちでね。油断すりゃ死ぬようなところで他人に迷惑をかけるわけにはいかねえよ。よっこらしょっと」
でも、駄目だな。急に倒れたりするかもしれねえんだよ、俺」
「……身体、悪いのかよ?」
「ちょっと、病気持ちでね。油断すりゃ死ぬようなところで他人に迷惑をかけるわけにはいかねえよ。よっこらしょっと」
腰を上げた凪は、改めてペパーに向き直った。
「自分で何とかするよ。もし岬一に会えたら俺が探してたって伝えてくれ。
まー、お前の友達の女の子達に会えないのは残念だけどな! お互い、頑張って生き延びようぜ! じゃあな!」
まー、お前の友達の女の子達に会えないのは残念だけどな! お互い、頑張って生き延びようぜ! じゃあな!」
そう言って、手をひらひらと振りながら踵を返す。
そ去りかける凪。ペパーは彼の背中を見ながらしばらく立ち尽くしていたが、自分のモンスターボールを一瞥すると、
(…………いや、駄目だよな、やっぱ)
決意の表情を浮かべ駆け出し、凪の肩に手を掛けた。
「凪!!」
「ん?」
「やっぱり、一緒に来いよ! もしかしたらお前の弟と俺のダチが会ってるかもしれねえだろ。
当てもねえのに歩き回るよりはマシじゃねーの?」
「さっきも言ったろ。俺、下手すりゃ盛大に足引っ張っちまうかもしんねえよ?
俺だけならともかくお前も死にかねないんだぜ?」
「ここまで聞いててほっとけねえだろ」
「っはぁ~~~~…………」
「ん?」
「やっぱり、一緒に来いよ! もしかしたらお前の弟と俺のダチが会ってるかもしれねえだろ。
当てもねえのに歩き回るよりはマシじゃねーの?」
「さっきも言ったろ。俺、下手すりゃ盛大に足引っ張っちまうかもしんねえよ?
俺だけならともかくお前も死にかねないんだぜ?」
「ここまで聞いててほっとけねえだろ」
「っはぁ~~~~…………」
その勢いを前に盛大に溜息を付く凪。まるで岬一のように真っ直ぐな眼じゃないか。。
だが実際、この広い会場の中で、何の手掛かりも無いまま一人で岬一を探すなど非効率の極みだとは自分でも理解していたのだ。
やれやれと肩をすくめると、遂に凪は折れた。
だが実際、この広い会場の中で、何の手掛かりも無いまま一人で岬一を探すなど非効率の極みだとは自分でも理解していたのだ。
やれやれと肩をすくめると、遂に凪は折れた。
「そんじゃまあ、お言葉に甘えさせてもらうかな」
「よし! じゃあ、行こうぜ、凪!」
「よろしく頼むぜ、ペパー」
「よし! じゃあ、行こうぜ、凪!」
「よろしく頼むぜ、ペパー」
こうして、2人の少年は連れ立って歩み出した。
◇
(殺し合い、か。死んじまったんだよな、校長せんせ……)
先頭を進みながら、ペパーはクラベルの死と、そして名簿に記されたある人物について考えを巡らせていた。
ペパーが親しい大人を失ったのは、これで2人目…… 捉えようによっては、3人目だった。
今回のクラベル校長に、実父のフトゥー博士。そして、フトゥーの知識と記憶をコピーした人工知能・フトゥーAI。
ペパーが親しい大人を失ったのは、これで2人目…… 捉えようによっては、3人目だった。
今回のクラベル校長に、実父のフトゥー博士。そして、フトゥーの知識と記憶をコピーした人工知能・フトゥーAI。
彼らの最期に対し、ペパーは、常に後れを取っていた。
先ほどのクラベルは言うまでも無い。実父のフトゥー博士は、未だにどのような最期を遂げたのかも分かっていない。
フトゥーAIについては、最後に別れの言葉を交わすことは出来たものの、彼と最初に対峙し事の真相を聞いたのも、
ゼロラボでの最後の決戦に於いて最も主体的に動いていたのも自分ではなくアオイであった。
それについて、アオイに対し劣等感などは抱いていない。だが、そんな自分自身に対し不甲斐なさを感じていたのも事実だ。
先ほどのクラベルは言うまでも無い。実父のフトゥー博士は、未だにどのような最期を遂げたのかも分かっていない。
フトゥーAIについては、最後に別れの言葉を交わすことは出来たものの、彼と最初に対峙し事の真相を聞いたのも、
ゼロラボでの最後の決戦に於いて最も主体的に動いていたのも自分ではなくアオイであった。
それについて、アオイに対し劣等感などは抱いていない。だが、そんな自分自身に対し不甲斐なさを感じていたのも事実だ。
そんなペパーを混乱させたのは、名簿に参加者としてフトゥーAIの名が載っていたことだ。
あの古砂夢とかいう少女は、参加者の中には既に死んでいる人もいる、とは言っていた。
だが、AIのフトゥー博士は、実際には死んでいない。タイムマシンを止めるために未来の世界へ消えていった筈だ。
では、何故、この殺し合いの場に彼がいるのか。それこそタイムマシンを使ったとでも考えなければ説明が付かない。
自分でも訳が分からな過ぎて、先ほどの凪との情報交換の場でも彼については説明はできなかった。
あの古砂夢とかいう少女は、参加者の中には既に死んでいる人もいる、とは言っていた。
だが、AIのフトゥー博士は、実際には死んでいない。タイムマシンを止めるために未来の世界へ消えていった筈だ。
では、何故、この殺し合いの場に彼がいるのか。それこそタイムマシンを使ったとでも考えなければ説明が付かない。
自分でも訳が分からな過ぎて、先ほどの凪との情報交換の場でも彼については説明はできなかった。
(そういえば父ちゃんは、自分のAIなんかを用意してたんだ。なら、そのAIのバックアップくらいあっても不思議じゃないのか?
でも、それなら何で今まで俺とか校長せんせとかに連絡もしなかったんだ? 意味が分からねえ)
でも、それなら何で今まで俺とか校長せんせとかに連絡もしなかったんだ? 意味が分からねえ)
とにかく、彼が存在するとして、だ。
タイムマシンを発明するほどの科学者であり、最後の別れの瞬間に父からの愛を自分に伝えてくれた彼ならば、頼もしい味方になり得る。
それに何より、AIであったとしても、今度こそ自分の手で『父ちゃん』を助けたいと思う。それはペパーの男子としての意地だ。
タイムマシンを発明するほどの科学者であり、最後の別れの瞬間に父からの愛を自分に伝えてくれた彼ならば、頼もしい味方になり得る。
それに何より、AIであったとしても、今度こそ自分の手で『父ちゃん』を助けたいと思う。それはペパーの男子としての意地だ。
凪に強く同行を呼びかけたのも、かつて怪我で苦しんでいた己のパートナー・マフィティフと彼の姿を重ねたこともあるが、
クラベルの死と父のAIが参加しているという事実から、己の不甲斐なさを嫌でも想い起こされ、
誰かを救いたいという想いが強くなっていたからでもあった。
クラベルの死と父のAIが参加しているという事実から、己の不甲斐なさを嫌でも想い起こされ、
誰かを救いたいという想いが強くなっていたからでもあった。
(アオイ、ネモ、ボタン、それに『父ちゃん』…… 死ぬなよ)
その想いを胸に、ペパーは歩む。
今度こそ『父ちゃん』を救うことができるのか。
それとも、父子の別れが三度繰り返されてしまうのか。
結末を知るものはまだ誰もいない。
今度こそ『父ちゃん』を救うことができるのか。
それとも、父子の別れが三度繰り返されてしまうのか。
結末を知るものはまだ誰もいない。
◇
(信用できそうなヤツとは一緒にはなれたけど…………
生き残ることは難しいだろうな。さあ、どうするかな)
生き残ることは難しいだろうな。さあ、どうするかな)
凪は、ペパーの後ろを歩きながら、世界を越えて集められた者達による殺し合いに巻き込まれたという事実を、自分でも驚くほど冷静に受け止めていた。
10年前、自分が大人になるまで生きられないと知らされ、その後も入退院を繰り返す、死と背中合わせの生き方をしてきたからか。
それとも、両親が死に、自分と岬一のパーフェクト・ワールドが“侵略者” 大鳥希によって破壊された、
大災害を超える破滅(カタストロフ)など、己にとって決して有り得ないと確信しているからか。
10年前、自分が大人になるまで生きられないと知らされ、その後も入退院を繰り返す、死と背中合わせの生き方をしてきたからか。
それとも、両親が死に、自分と岬一のパーフェクト・ワールドが“侵略者” 大鳥希によって破壊された、
大災害を超える破滅(カタストロフ)など、己にとって決して有り得ないと確信しているからか。
ペパーには明かしていないが、実のところ、凪には力がある。
長袖の制服で隠された彼の右腕には、不思議な文様が浮かんでいる。
マーヤから教えられた、その右手に眠る力。マーヤは大鳥希すら超えうる力と言っていた。
長袖の制服で隠された彼の右腕には、不思議な文様が浮かんでいる。
マーヤから教えられた、その右手に眠る力。マーヤは大鳥希すら超えうる力と言っていた。
力の存在を知って以降、凪は、岬一に代わって侵略者から地球を守るべく、
マーヤが用意した空間で力を使いこなすための訓練を行っており、実際に宇宙人の尖兵を撃破して見せている。
だが、まだ付け焼刃の域を出ていないことは否めないだろう。
殺し殺される世界に生きてきた相手や、ましてあの大鳥希に通用するかというと、自信はないのが正直なところだ。
マーヤが用意した空間で力を使いこなすための訓練を行っており、実際に宇宙人の尖兵を撃破して見せている。
だが、まだ付け焼刃の域を出ていないことは否めないだろう。
殺し殺される世界に生きてきた相手や、ましてあの大鳥希に通用するかというと、自信はないのが正直なところだ。
それに、文化祭の時のように、病気の発作が起きればそれでアウトだ。
右腕の力が自分の体に馴染むに従い、身体の調子は過剰なまでに良くなってはいるが、予断は許されまい。
右腕の力が自分の体に馴染むに従い、身体の調子は過剰なまでに良くなってはいるが、予断は許されまい。
常に覚悟してきたからか、死ぬことそれ自体には、さほど恐怖はない。
問題なのは、死に方だ。
自分か岬一のどちらかが死ぬとしても、岬一が自分の為に死んでくれるのなら、もしくはその逆になるのなら、それでいい。
だが、岬一がもし、自分の手の届かないところで死んでしまったのなら。
大鳥先輩か、それともまた別の誰かの手を握って死んだというのなら。
その時は、俺は……
問題なのは、死に方だ。
自分か岬一のどちらかが死ぬとしても、岬一が自分の為に死んでくれるのなら、もしくはその逆になるのなら、それでいい。
だが、岬一がもし、自分の手の届かないところで死んでしまったのなら。
大鳥先輩か、それともまた別の誰かの手を握って死んだというのなら。
その時は、俺は……
(お前は俺を置いて死なねえよな、岬い■……)
その時、広瀬凪の意識は断絶した。
◇
「なあ、ペパー!」
「おわっ!?」
急に背中をはたかれ、ペパーは前につんのめった。
「おわっ!?」
急に背中をはたかれ、ペパーは前につんのめった。
「おい、急になんだよ!?」
「変なこと聞くけどさ、お前の世界って、宇宙人っているのか?」
「…………はあ?」
「変なこと聞くけどさ、お前の世界って、宇宙人っているのか?」
「…………はあ?」
続けざまのこの素っ頓狂な問いかけ。ペパーは困惑した。
「宇宙人つったって…… いねえよ。俺の世界の常識的には。
宇宙から来たかもしれない、っていうポケモンなら、いるにはいるけどよ……
てか、なんでそんなこと気になるんだ?」
「まあ、ようするに、だ! この殺し合いを壊すにしろここから逃げ出すにしろ、
そんなことができるような奴について、心当たりが無いか、って聞きたいんだよ!」
宇宙から来たかもしれない、っていうポケモンなら、いるにはいるけどよ……
てか、なんでそんなこと気になるんだ?」
「まあ、ようするに、だ! この殺し合いを壊すにしろここから逃げ出すにしろ、
そんなことができるような奴について、心当たりが無いか、って聞きたいんだよ!」
質問の意図は分かった。最初に宇宙人なんて聞いてきた意味は分からないが。
だが、今後を考えると確かに重要な事項ではある。ペパーが思い付くのは、やはりポケモンだった。
ゼロラボからの帰還後、フトゥー博士の研究を調べ直す中で、時間に関係するポケモンの資料を目にしたような気がする。
だが、今後を考えると確かに重要な事項ではある。ペパーが思い付くのは、やはりポケモンだった。
ゼロラボからの帰還後、フトゥー博士の研究を調べ直す中で、時間に関係するポケモンの資料を目にしたような気がする。
「ん~…… 時間を超えるとか、時間と空間がどうとか、そういうポケモンがいるって伝説は有るらしいけど……」
「時間と空間ね…… へえ……」
「うろ覚えだし、本気にするなよ。俺はポケモン博士でもなんでもねえんだし。
それに、この世界にそんな都合のいい奴らがいるとも思えねえけどな。
それでも気になるなら、俺の学校の図書館に行けば、少しは調べられると思うぜ?」
「……そうか」
「時間と空間ね…… へえ……」
「うろ覚えだし、本気にするなよ。俺はポケモン博士でもなんでもねえんだし。
それに、この世界にそんな都合のいい奴らがいるとも思えねえけどな。
それでも気になるなら、俺の学校の図書館に行けば、少しは調べられると思うぜ?」
「……そうか」
それを聞いた凪の口角がわずかに上がった。
「悪かったな、変なこと聞いて。じゃ、行こうぜ」
凪に促され、ペパーは若干の困惑を残しながらも、再び歩き始めた。
◇
(ん…………?)
凪は、己の周囲の景色が突然変わったことに気付いた。
時間を切り取ったかのように、己の身体が、瞬間的に数メートルほど前に進んでいた。
時間を切り取ったかのように、己の身体が、瞬間的に数メートルほど前に進んでいた。
(まさか、『また』あれが起きたのか……?)
凪は、時間にして数十秒ほど、己の意識が飛んでいたのだと悟った。
前触れもなく突然途切れ、そして今また突然戻ったのだ。まるで、テレビのスイッチを入り切りしたかのように。
前触れもなく突然途切れ、そして今また突然戻ったのだ。まるで、テレビのスイッチを入り切りしたかのように。
今回のような意識の断絶には覚えがあった。
かつて、岬一が宇宙人に身体を乗っ取られた後、
マーヤから侮辱を受けたとして強く責められたことがある。
自分はそのことについて全く覚えが無いというのに。
その後も、突然自分でも知らない場所に移動したり、知らないうちに時間が経っているという事象が時折起きるようになっていたのだ。
かつて、岬一が宇宙人に身体を乗っ取られた後、
マーヤから侮辱を受けたとして強く責められたことがある。
自分はそのことについて全く覚えが無いというのに。
その後も、突然自分でも知らない場所に移動したり、知らないうちに時間が経っているという事象が時折起きるようになっていたのだ。
(やっぱ、こいつのせいなのか……?)
言い知れぬ不安を抱きながら、凪は自分の右腕を見つめた。
この正体は、マーヤも知らないという。
では、こいつは一体何者なのか。
自分の意識が無い間、まさかこの右腕が自分自身を乗っ取っているのだろうか。
この正体は、マーヤも知らないという。
では、こいつは一体何者なのか。
自分の意識が無い間、まさかこの右腕が自分自身を乗っ取っているのだろうか。
(そうだとしたら、この殺し合いの場で、こいつは俺に何をさせる気なんだ)
凪は、薄ら寒さを感じつつも、ペパーの後を追った。
◇
(――せっかくゴズの王位が手に入ったというのに、面倒なことになりやがったな)
広瀬凪の右腕の中で、とある存在が蠢いていた。
広瀬凪の右腕の中で、とある存在が蠢いていた。
別世界から人間を集め、殺し合いの為の世界を作り出す。
そんなことが可能なのは、自分の知る限りではオルベリオ人かエラメア人くらいだが、
あの古砂夢とかいう魔女はそれとは異質な力の持ち主だろう。あの魔女に対抗するにはオルベリオの力を奪うことが最低条件と考えていた方がいい。
そんなことが可能なのは、自分の知る限りではオルベリオ人かエラメア人くらいだが、
あの古砂夢とかいう魔女はそれとは異質な力の持ち主だろう。あの魔女に対抗するにはオルベリオの力を奪うことが最低条件と考えていた方がいい。
そして、ペパーという男から聞いた、ポケモンという存在。
時間だの空間だの眉唾ではあるが、この殺し合いの場に大鳥希と並んで呼ばれている以上、
オルベリオと同等の力を秘めている可能性は否定できない。
まずは情報を探る。その上で役立つようなら、己の力として利用させてもらうまでだ。
時間だの空間だの眉唾ではあるが、この殺し合いの場に大鳥希と並んで呼ばれている以上、
オルベリオと同等の力を秘めている可能性は否定できない。
まずは情報を探る。その上で役立つようなら、己の力として利用させてもらうまでだ。
(何にせよ、まずはあの心臓か)
自分の見立てでは、広瀬岬一の胸に埋め込まれたオルベリオの心臓は、独自の進化を遂げ、新たなる力を産み出しつつある筈だ。
優勝を狙うにせよ、この世界から脱出するにせよ、そして本来の目的であるオルベリオの呪いの打破にせよ、その心臓は己にとって大きな力になるだろう。
まずは、広瀬凪の望み通り、広瀬岬一を探し出してやるとしよう。そして、兄弟が再会を果たしたその時には――
優勝を狙うにせよ、この世界から脱出するにせよ、そして本来の目的であるオルベリオの呪いの打破にせよ、その心臓は己にとって大きな力になるだろう。
まずは、広瀬凪の望み通り、広瀬岬一を探し出してやるとしよう。そして、兄弟が再会を果たしたその時には――
(愛する弟との再会を待ちわびているぜ、凪よ)
凪の右腕に巣くう者、星団連の三強の一・ゴズ星の王―― ゾキゴッド・バシデロス・ゴズは、広瀬凪という仮面の裏で、密かに爪を研ぎ始めていた。
【F-1/一日目 深夜】
【ペパー@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品(確認済み、1~3)
[思考・状況]
基本行動方針:アオイ達と合流し、殺し合いを打破する
1.アオイ、ネモ、ボタン、死ぬなよ……
2.フトゥーAIがもし父ちゃんと同じ心を持っているのなら、今度こそ助けたい
3.校長せんせ……
【ペパー@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品(確認済み、1~3)
[思考・状況]
基本行動方針:アオイ達と合流し、殺し合いを打破する
1.アオイ、ネモ、ボタン、死ぬなよ……
2.フトゥーAIがもし父ちゃんと同じ心を持っているのなら、今度こそ助けたい
3.校長せんせ……
※本編、DLC終了後からの参戦です。
※広瀬凪からひとりぼっちの地球侵略の世界について簡単に説明を受けましたが、
宇宙人の存在などについては全く聞いていません。
※広瀬凪からひとりぼっちの地球侵略の世界について簡単に説明を受けましたが、
宇宙人の存在などについては全く聞いていません。
【広瀬凪@ひとりぼっちの地球侵略】
[状態]:健康、右腕にゾキ寄生
[装備]:アベンジャー@FINAL FANTASY IX
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み、0~2)
[思考・状況]
基本行動方針:岬一との合流優先。手がかりが見つかるまではペパーと同行(凪)/広瀬岬一の心臓の奪取(ゾキ)
1.岬一と会いたい
2.大鳥希とは会いたくない。岬一とも会ってほしくない
3.ポケモンへの興味(※ゾキ)
[状態]:健康、右腕にゾキ寄生
[装備]:アベンジャー@FINAL FANTASY IX
[道具]:基本支給品、不明支給品(確認済み、0~2)
[思考・状況]
基本行動方針:岬一との合流優先。手がかりが見つかるまではペパーと同行(凪)/広瀬岬一の心臓の奪取(ゾキ)
1.岬一と会いたい
2.大鳥希とは会いたくない。岬一とも会ってほしくない
3.ポケモンへの興味(※ゾキ)
※ペパーからポケットモンスターの世界について簡単に説明を受けました。
※ゾキは凪の意識を一時的に乗っ取ることが可能です。
その間、凪の意識は無く、起こったことも記憶していません。
※参戦時期はマーヤと同時期(39話(8巻)より後、44話(9巻)より前)です
※ゾキは凪の意識を一時的に乗っ取ることが可能です。
その間、凪の意識は無く、起こったことも記憶していません。
※参戦時期はマーヤと同時期(39話(8巻)より後、44話(9巻)より前)です
【支給品紹介】
【モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット】
ペパーに支給された、彼の相棒のマフィティフ。
かつてパルデアの大穴で大怪我を負い、眼を開けることすらできないほど衰弱していたが
ペパーとアオイが探し出した秘伝スパイスの力により完治した。
テラスタルオーブのタイプはあく。
【モンスターボール(マフィティフ)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット】
ペパーに支給された、彼の相棒のマフィティフ。
かつてパルデアの大穴で大怪我を負い、眼を開けることすらできないほど衰弱していたが
ペパーとアオイが探し出した秘伝スパイスの力により完治した。
テラスタルオーブのタイプはあく。
【アベンジャー@FINAL FANTASY IX】
相手を一撃で仕留めるという爪。
適性が有る場合、『グラビデ拳』『カウンター』のアビリティが使用可能になる。
但し、原作にあった即死効果は制限対象として封じられている。
凪もしくはゾキのアビリティ適性については後の書き手に一任します。
相手を一撃で仕留めるという爪。
適性が有る場合、『グラビデ拳』『カウンター』のアビリティが使用可能になる。
但し、原作にあった即死効果は制限対象として封じられている。
凪もしくはゾキのアビリティ適性については後の書き手に一任します。
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